魔術高専   作:一般ゲーマー

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罰ゲームの一週間ジュース禁止はなんとか過ごせた。お茶とコーヒー(微糖)はセーフだよね。
でもせっかくジュース禁止にしたのに、貰い物のお菓子やら家族の旅行土産やら、身内からのバレンタインチョコやらで随分と甘いものを摂取してしまった……。

UA 158 - 130 × 100 = 2800文字
今回 3300文字 目標達成

何も進まない話を見てくれてありがとうございます。








1章-6 強行

「はぁ……」

 

 

 明星の勧誘にことごとく失敗して訪れるは木曜日の放課後。授業を終えてもすぐに動く気にはならず、精神的な疲れからか席に残って深いため息。

 今日はこれからギルド活動をせにゃならんのに、やる気メーターがダダ下がりするのを感じる。

 

 

「どうした、また振られたのか?」

「……振られてねーよ。そもそもそういうんじゃない」

 

 

 

 声を掛けてきた隣の席の奴――佐原空良へと視線を向ければ憎たらしいほどのイケメン面をニヤニヤさせながらこちらを見ている。

 こいつと初めて話したのは先週の火曜日、登校2日目のことだった。初日の学校散策中に学生会の行事を覗いた結果、学生会に所属していてその場に居たらしい空良が俺のことを認識したらしい。

 その翌日には隣の席ということもあって話しかけられたのだが、親しみやすい通り越して馴れ馴れしい陽キャ然とした態度に、俺も早くも崩した態度で接するようになった。

 顔も良いくせにコミュ力も高いとか存在がズルいなこいつ。

 

 

「そんな熱烈なアプローチをして何をしようとしてんだ?」

「内緒。いつか万が一なにか間違いがあったらお前にも頼むかもだけど」

「ほぼ無いって言ってるようなもんじゃねぇか。それに悪いけど俺は男は対象外だからな」

「そういう意味じゃねぇっつってんだろ。俺だって無理だわ」

 

 

 わざとらしく身体を引いてドン引きした様子を見せる空良に、俺もげんなりとした表情で返す。

 

 

「そんな女子ばっか追いかけてないで、いい加減一緒に遊びにいこうぜ。今日もこれから遊ぶ予定だけど、一緒にどうだ?」

「悪い、今日も行きたいとこがあってな」

「また女子か。見た目に寄らず肉食系なのな」

「見た目通りの草食系だわ。言わせんな」

「……はっ」

「……いや、マジで悪い。日曜なら空いてるから」

「すまん、日曜は空いてない」

「ありゃ、合わねぇな」

「まぁ機会なんていくらでもあるだろ。お前が女に夢中にならなけりゃ」

「俺だってさっさと用件を済ませたいんだよなぁ……」

 

 

 そんなふざけた会話をしつつも、そのおかげでいくらか気分がまぎれた。

 短い間でこう何度も遊びの誘いを断るのを申し訳なく思ってはいるものの、やはり第一優先は特訓及び協力者探しにしたいわけで。ごめん。

 ギルド活動に開始時間があるわけでもないが、いつまでも無為に時間を過ごすわけにもいかずそろそろ向かうかと腰を上げる。

 

 

「おっ、もう帰りか?」

「用事な。それじゃ、また明日」

「うい。またな」

 

 

 短く挨拶を交わし教室を出る。

 ギルド組合へ向かう途中も考えるは明星の勧誘方法。ここまで接触すら難しいなら、やりたくはないが強硬手段を取る他ないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 そうして迎えた翌日、週末の金曜日。

 朝の説得は諦めて勝負は昼休み。まずはテラスで明星を待ち伏せすると、今日は昼休みになると同時に爆速で現れてくれた。きっと俺が来るよりも早く移動する腹積もりだったのだろうが、残念だったな。俺は先に授業を抜けて待ち構えていた。抜けた理由? 聞くな。

 明星は俺を見つけると露骨に表情を歪めたが、それを気にせず話しかける。

 

 

「明星、今日だけでいいからもっかい話を聞いてくれ」

「……はぁ、分かった。前と同じ場所ね」

「あぁ、さんきゅ」

 

 

 ひとまず話を聞いてくれるみたいで助かった。

 場所を移して屋上のベンチへ。俺は最初から明星の隣へと腰掛け弁当を取り出すと、先に口火を開いたのは彼女の方からだった。

 

 

「言っておくけど、どんな報酬があっても私は手伝う気はないからね」

「あぁ、だからその方法はやめることにする。ところで明星、面倒なことは嫌か?」

「なに突然。そりゃ嫌に決まってるけど」

「注目を集めるようなことは?」

「それも嫌」

「一人で居られる空間や時間は?」

「好きだけど……なにこれ。何がしたいの?」

 

 

 これはただの確認だ。今からやるのは説得ではなく、もっと強引なやり方だからな。

 

 

「さて明星。俺は今日までお前に話しかけるにしても人目を集めない様になるべく気を遣ってきたつもりだ。教室には入ってないし、寝ているところを起こすこともしてない」

「……そもそも話しかけないで欲しいんだけど」

「だが、俺はもうそれを止めようと思う。教室にも入るし、とりあえず見かけたらどこだろうと声をかける」

「……は?」

 

 

 2週間と過ごしてきて分かったが、この学校は学科で学ぶ内容がはっきりと別れており学科内での行動が基本となるため、学科を超えた交流が目に見えて少ない。それでも全くのゼロではないから、交流がある奴はあるし、部活が一緒の奴と放課後に遊びに行ったりもする奴もいると聞く。というか空良がそう。

 とにかく、放課後は別としても教室やクラス移動の最中に他学科の人と話すとめちゃくちゃ注目されることになる。

 当然、俺が教室にずかずかと踏み入って明星に話しかければ、一躍みんなの視線を独り占めする人気者になれるわけだ。俺よりも1年と在籍が長い明星もそんなことは分かり切っているため、思いっきり眉を顰めて拒絶を示してくる。

 

 

「やめてね。マジで」

「俺はただ純粋に用件があって話しに行くだけだぞ?」

「相手が嫌がってるのにそうするのは問題があるんじゃない? 私が学校に報告すれば面倒なことになるかもよ?」

「そうだな。今明星が言った通り面倒なことになるかもな。だけど報告した明星も百パーその面倒事に巻き込まれるぞ」

「…………」

 

 

 ついには黙ってしまった明星に何てこと内容に装いながら昼食を食べ進める。

 半ばというか9割ほど脅しになってしまっていることに申し訳なく思うが、本心では俺だって面倒は嫌だし目立ちたくないからしたくない。マジで。切実に。

 だからこそこの後の本命の交渉に応じて欲しいと切に願う。

 

 

「そこでだ、俺と一つ勝負をしないか?」

「勝負?」

「と言っても明星がすることは特にない。明星が俺に一つ要求をして、期限内に俺がそれを達成出来たら俺の勝ち。出来なかったら明星の勝ちだ」

「…………」

「明星が勝ったら俺は今後一切勧誘をしない上に、追加で明星の要求を一つ叶える。ただし、俺が勝ったら明星には俺の協力者になってもらう。どうだ?」

「………………」

 

 

 明星は俺の話に黙って考え込む。

 勝負を持ちかけはしたが、特に俺に勝算があるわけではない。だが、これが一番彼女の協力を得るのに手っ取り早い方法であるとも思う。明星がこの賭けに乗ってくれさえすれば、あとは俺の努力次第だ。

 

 

「……もしそっちが勝ったとして私に何をさせる気?」

「ただ魔力を俺に渡してくれれば良いだけだ。週に2、3回ほど、放課後にそれだけの時間を取ってもらいたい」

「魔力を? そんなことしたら……いや、今はいいや」

 

 

 俺の手伝いの内容に首を傾げて疑問を覚えた様子だが、一旦は流して明星は次の質問へと移った。

 

 

「要求の内容は何でもいいの?」

「不可能な要求と倫理観に欠けた要求をするのはなし。あと、この勝負の間は俺も勧誘行為はしないし、明星も俺の手伝いは当然しなくていい。だから達成するのに時間が掛かりすぎる要求もなし。期限は長くても3週間でどうだ?」

「……その判断の線引きは誰がするの。私達で決めようとするとどっちかに有利が傾くんじゃない?」

「そこは……第三者に頼むか。柊さんにお願いしようと思う」

「分かった。いつまでに決めればいい?」

「今日が金曜だから、来週月曜の放課後までに勝負するかどうか決めて欲しいかな」

 

 

 

 そこまで答えると再び明星は黙り込む。受けるべきか、受けるならどんな要求をするべきか考えているだろう彼女を横目に、俺も止まっていた手を動かして自作の弁当を食べ進める。

 結局、食堂を利用したいと思っていても初日以外に利用することは出来てなかったが、この勧誘サービス週間が終わればまた行ってみたい。ほとんどを冷凍食品が占めると言っても、毎日朝に弁当作りをするのはさすがに億劫だった。

 

 

「……ごちそうさま」

 

 

 先に食べ終えた明星は合掌するとベンチから立ち上がり屋上を出て行った。少し遅れて俺も食べ終えると、そのままベンチで休みながら端末を操作し始める。明星の件とは別に、他の協力者探しもぼちぼち始めたい。

 それにしてもどうやって探すべきかと、俺は思案しながら適当に掲示板をあさるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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