魔術高専   作:一般ゲーマー

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UA (217 - 198) × 100 = 1900文字(3000文字)
計算面倒だから、3000以下は3000文字がノルマということにしよう。

今回 3100文字 目標達成
きりが悪いですが許してください。文字数設定してるとどうしてもこうなるよね。どうしようか……。


ぽこポケ楽しすぎて時間が溶ける。



1章-10 戦闘開始

 速水先輩との模擬戦を目の前に、深呼吸をして感情を落ち着かせる。

 彼我の距離は約30m。相手の武器は弓のため、初手はその場に留まるか後退してから狙撃だと予想できる。だが、靴も魔装具であるとの情報があるから、移動法に関しては常に注意を払っておく必要がありそう。

 

 

「それじゃあいくよ~」

 

 

 情報を整理する中、声を張ろうと間延びした明星の声が耳に届く。短剣を両手に構えて、残りは近くの地面に置いておいた。相手の行動予測から俺の取るべき最初の行動は――

 

 

「スタート」

 

 

 とにかく距離を詰めること。

 合図と同時に俺は自分の身体を魔力で強化して前方へと飛び出す。相手は予想通りバックステップで後方に下がるが、その距離が予想以上に大きい。

 開始1秒。俺が15m距離を詰める間に彼女は一息で5m以上の後退をした。あの弓の魔装具にどんな魔術が仕込まれているか分からないため、コンマ1秒でも早く接近戦に持ち込みたかったが、そう上手くことは運ばない。

 後ろに下がりながらも弓を構えた彼女が射った矢は、速射ながらも確かな精度で俺を射抜こうとしていた。だが距離はまだ十分にあるため、指を離すタイミングさえ見えていれば躱すのは難しくない。

 

 1射目を避けると、相手は後ろではなく壁沿いに移動をしながら2、3発と続けて矢を放ってくる。魔術で強化されているのか、それとも弓の魔装具がそういう効果なのか分からないが、恐らく通常より早い速度で迫ってくる矢を過剰な動作で避ける。

 そのせいで一直線に相手に向かうことは出来ないが、もはや銃弾と化したアレを受けるくらいなら大げさでも確実に避けるのが吉だろう。やはり速水先輩は俺を殺す気なのでは?

 

 矢の雨に加えて最短距離を潰され、その上にさらに彼女は身体強化をしたのか移動スピードが上がり、余計に距離を詰めるのが難しくなった。

 とはいえ相手の矢の数にも上限があるため、耐久していればジリ貧になるのは相手の方だ。だがそれが弓を主武器にしている以上、彼女も当然それを理解しているだろう。俺の予想だと、あの弓の魔装具の効果は――。

 

 

「……!!」

 

 

 矢が尽きた。

 

 その隙を見逃さず、回避の姿勢から一気に距離を詰める。速水先輩は矢を取ろうとして空をきった手で、そのまま弦を引く動作をする。すると引き絞られた弓から魔力で作られた矢が装填される。

 やはり予想通り、魔装具の効果は矢の補充。

 弦から手が離れて近づいた俺へと真っすぐに矢が飛んできて、備えていたにも関わらず胸のシンボルを撃ち抜かれる。後方へ吹き飛ばされた俺へと追撃が迫るが、ギリギリ避けれはした。予想以上に放つ早さと矢が飛んでくるスピードが速かった。

 そこから矢をつがえる工程が無くなったために、先ほどよりも早い回転率で攻撃が襲いかかり、必死に避けるもついには捌ききれなかった攻撃が腕のシンボルに当たり、破壊されてしまった。

 

 

「まだまだいくよー!」

 

 

 こうなってしまえばジリ貧なのはこちらの方だ。近づくことは一層難しくなり、相手は魔力切れでしか攻撃が途切れない。恐らくそれよりも先に俺の体力が尽きるか、決着が着いてしまうだろう。

 俺も遠距離攻撃の魔術が使えないことはないが、魔術適性が低く、けん制には威力と頻度が弱い。魔力効率も良くないからと、一番望みがありそうな短期決戦を試みていたが、もう作戦変更をするしかない。

 

 まずは逆に距離を取る。これで少しは避けやすくなる。

 その上相手の攻撃が魔力矢というのも都合が良い。俺の魔装具はドレインの魔術が編み込まれているので、手のひらから魔力をかすめ取ることができる。問題はそれが難しい上に、失敗するとダメージを追ってしまうこと。

 速水先輩は未だに遠距離からの矢の攻撃しかしてこないため、それに甘えて準備を進める。

 

 右手で魔力を奪いながら、左手で別の魔術を展開する。

 使う魔術はシンプルな煙幕。トレーニングルームの材質はかなり硬度があるらしいため、遠慮なく俺と速水先輩の間をめがけて魔術を放つ。攻撃性能はほぼなく爆煙を出すことに特化した魔術によって視界は著しく悪くなる。

 これなら矢で狙うのも難しく、俺の次の行動も読みづらい。

 その隙に別の魔術を展開する準備を整える。

 

 

「それなら……はぁっ!」

「……マジか」

 

 

 突風が辺りに吹き荒れ、煙を晴らす。まさか速水先輩の適性が風魔術だとは、運が悪い。まだ準備が不十分だが、これ以上は無理だと悟り、幻影魔術を発動する。

 時間が足りなかったが5人へと増えた俺が一斉に速水先輩へと向かう。幻影魔術の弱点としては、そこに投影した幻なだけで足音や呼吸音がしないことと、魔力を探知されるとバレてしまうこと。あとは弱い攻撃や小さな衝撃でも喰らうとかき消されてしまうが、この距離であれば咄嗟に見分けることは不可能だろう。

 証拠に速水先輩から矢継ぎ早に3本の魔力矢が放たれて幻影が二人消えてしまうが、本物はばれていない。

 幻影も残り三人。これなら接近戦に持ち込めると息まき、三人同時にとびかかる。

 

 

「吹き飛んで!」

「っ!」

 

 

 しかしそれは速水先輩を中心に全方位へ吹き荒れた暴風によって防がれる。風によって幻影が全て掻き消えるが、本体の俺は最初から幻影魔術で姿を隠して回り込んでいた。

 遠回りしたことが功を奏して吹き飛ばされずに済み、背後から不意打ちで攻撃をする。狙うは背中と足のシンボル。

 

 

「わっ! いつの間に」

「……っ」

 

 

 無事に背中のシンボルを破壊することは出来たが、そこからの反応速度が尋常じゃなく、すぐさま距離を取られて足のシンボルは壊せなかった。

 だが、最初の目的通り接近することは出来たため、ここからまた距離を離されない様にとすぐに追撃へと移る。

 短剣を右手に構えて上から、横から、下から、縦横無尽に手数で攻める。相手は大きな弓を持っているため接近戦は苦手なはずなのに、それでもこちらの攻撃に対して的確に対処する。遠距離攻撃持ちなんだから近距離くらいは苦手であれよ。

 それでも遠くから連続で狙撃されるよりも状況は圧倒的に有利に傾いたので、このまま至近距離で攻撃を続ける。速水先輩は俺のそんな思惑を感じ取ってるはずなのに、離れる様子は見せずにひたすらに攻撃を捌く。

 油断か、隙がないのか。どちらにせよ最善はこのまま押し切ること。

 だが、やはりそう上手く事が運ぶわけはなく。

 

 

「なるほど……よし」

 

 

 近くにいる速水先輩がそう呟いた。

 嫌な予感がして攻撃をより苛烈にするが、彼女はそれを弓で受け止めたかと思えば、次の瞬間には一息で空中へと飛び上がっていた。天井付近、4mほどの高さへと軽く上昇した彼女は、驚いたことにそのまま空中へと留まってしまった。

 

 

「……は?」

 

 

 思わずぽかんと見上げていると、宙に浮かぶ速水先輩は弓をこちらへと向けて構えた。

 

 

「頑張って対処してね」

「うっそでしょ……」

 

 

 嫌な予感は当たり、俺の攻撃が届かない場所から速水先輩は射撃を開始した。

 先ほどまでとは違い、近寄る術も反撃の術もない。正確に言えば身体強化をしてるならあの高さまで跳び上がったり、壁を蹴って攻撃を届かせることは可能だが、地上とは違ってどうしても空中では直線的な動きになる。そんなことになれば相手からすればいい的でしかない。

 ひたすらに部屋を走り回って逃げ続けるが、射撃に集中できる彼女の攻撃は段々と精度が増していき、俺の動きを読んだ上で攻撃をするようになっていった。そうなれば必然、避け続けるにも限界が訪れて腹のシンボルを破壊されてしまった。残り一つを破壊されてしまえば俺の負けだ。

 別に負けてしまっても報酬は支払われるらしいが、速水先輩からは全力で来て欲しいと言われたため最後まで抗う。とはいえ出来ることはほとんどなく、後はもう観戦している明星を盾にするくらいしか無さそう。しないけど。

 

 

「そろそろ終わらせてもらうね」

 

 

 速水先輩はそう宣言すると、より一層攻撃が激しくなる。必死に攻撃を避けては弾いているが、もうダメ、無理ぽ。いずれは彼女の言った通り被弾して俺の負けになるのは目に見えているので、賭けに出ることにする。

 まずは煙幕。飛翔する矢に魔術を当てて迎撃しながら目くらましを行う。魔術を展開する速さを重視し、効果は小さくなってしまったが問題なし。

 

 

「二番煎じは効かないよ」

 

 

 すぐさま突風によって煙幕はかき消されるが、その隙に幻影を放つ。これもまた速さ重視で2体しか出せていないが、やむなし。せめてもの妨害にと、模擬戦開始前に置いておいた短剣を投擲する。案の定撃ち落されるが、そのおかげで幻影は欠けていない。

 一人は直線的に正面から、一人は壁を蹴って側面から、そして本体の俺は天井を経由し真上から攻撃を仕掛ける。

 

 

「吹き飛んで!」

 

 

 それに対する相手の行動は、全方位への暴風。あっさりと幻影は消え去り、本体の俺も吹き飛ばされる。だがこの攻撃ではシンボルは破壊されないので、そのまま天井へと着地し、勢いをつけてもう一度とびかかる。

 速水先輩は一度不意打ちを喰らったからか、暴風の後はすぐさま周囲を確認し、すでに本体の俺を見据えている。

 

 

「はぁっ!」

「えぇい!」

 

 

 空中からの奇襲は巨大な弓によって防がれるが、ここまでは織り込み済みだ。俺は逃げ回っている最中からずっと準備を続けていた魔術を発動する。

 

 

「吹き飛べ!」

「!!」

 

 

 速水先輩が使ったような暴風が、今度は彼女へとその刃を向ける。予想外の事態に速水先輩は驚いた表情を見せるが、俺は落下する彼女へとさらに追撃を仕掛ける。姿勢の崩れた今なら空中にいる彼女に対抗する術はない。これなら――

 

 

 

「ほっ」

 

 

 そんな軽い言葉とともにあり得ない軌道で宙を跳ね、俺の攻撃は空を斬った。立場が逆転し、上を取った彼女に対して俺は背を向けて無防備に落ちるだけ。

 

 

「ごめんね」

 

 

 

 そんな言葉が聞こえると同時に、背後から狙撃され俺の背中のシンボルが破壊された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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