魔術高専   作:一般ゲーマー

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UA (230 - 217) × 100 = 1300文字(3000文字)
今回 4000文字 目標達成
前回の最後にちょっと追加して書いてます。

今週末は土日どっちも旅行で時間がとれないので、投稿とペナルティなしで。


確実にマイルールのおかげで執筆できてる。無かったら無限にぽこポケやってるぞ。



1章-11 模擬戦終了

 

「大丈夫? 怪我してない?」

 

 

 模擬戦が終わり座り込む俺に、速水先輩はふわりと静かに着地するとこちらへ駆け寄り真っ先に心配の言葉をかけてくれる。それに対して起き上がりながら大丈夫と返事をし、ぱっぱとズボンの汚れをはらう。

 最後の場面、俺はてっきり速水先輩の浮遊は風の魔術による滞空だと勘違いしていたおかげでまんまと攻撃を避けられた。使っていた魔術から彼女の適性は風魔術なのは明らかだったし、浮遊魔術とは適性が異なる。浮遊魔術が自由自在に空を翔るのに対して、他の魔術による疑似浮遊や滞空はそこまでの自由さはない。空中からの攻撃では彼女は一切動いてないことから、機動力はそこまで無いと考えていたのだが、単なる思い込みだったわけだ。

 

 

「良かったぁ」

「それにしても強いですね」

「まぁね。それなりだと自負してるよっ」

 

 

 ふふんと腰に手を当て胸を張る先輩。可愛い。

 模擬戦が終わったことでのそのそと明星がこちらに近寄ってきたところで、話を切り替える。

 

 

「結局模擬戦をして何がしたかったんですか?」

「う~んと……期待されてる神凪くんの実力を確かめたかったから、かな?」

「はあ……。期待とかそんなことないと思いますけど。見ての通り大して強くもないですし」

「でも弱くもなかったよ? 2年生の中でならそこそこ戦えるんじゃないかな」

「まぁ所詮はそのレベルですけどね。それと簡単な質問にも一つ答えて欲しいって言ってましたよね」

「あっ、そうだった。えっとね、君と沙雪先輩ってどんな関係なの? 私、卒業後の先輩の動向を知らないから、何をしてるのかさっぱり分からなくて」

「あ~……」

 

 

 問いかけられるも、どう答えたらいいものかと回答に窮する。馬鹿正直に七瀬さんが未来予知した破滅を食い止めようとしてますとか言っても信じられないだろうし。そもそも七瀬さんの許可なく広める気はないし。

 

 

「協力者……師匠……恩人……、なんかパッとしないな」

「複雑な関係……もしかして疚しい関係だったり?」

「違います」

 

 

 真顔でとんでもないことをのたまう速水先輩に、秒で否定を返す。

 なんかもう面倒くさくなってきた。どう見てもこの先輩は七瀬さんに執着……とまではいかないまでも並々ならぬ感情を持っているっぽいので、もう全部七瀬さんに投げてしまおう。もしかしたら協力者になってくれるかもしれないし。

 

 

「それなら七瀬さんに直接聞いて貰っていいですか? 俺から連絡してOK貰ったら連絡先を先輩に送りますんで」

「えっ、いいの!?」

「先輩がよければ。俺からはさっき言ったような関係としか答えられないんで、あとは七瀬さんに聞いてください」

 

 

 あからさまに嬉しそうな反応をする彼女に、やはり丸投げで正解だったなと心の中で深くうなずく。忘れないうちにと壁に避難させていた携帯を回収し、七瀬さんにメッセージを送る。

 そうしているうちに、俺の学校端末の方も震えて通知を知らせる。

 

 

「はい、今神凪くんの端末に報酬を送ったから確認してみて」

 

 

 促され端末を操作して所持APを見てみると、確かにぴったり100万増加していた。改めてみるとほぼ100万円の勝ちがある通貨がぽんと手に入るとか恐ろしいな。

 

 

「ちゃんと増えてました。ありがとうございます」

「いえいえ、ちゃんとした取引だからね。ちなみにこれは取引とは関係ないただの質問だけど、最後に私を吹き飛ばした魔術って、もしかして私と同じの?」

「まぁ、そうですね」

「神凪くんの情報を調べてるときに知ったんだけど、きみの魔術適性は軒並みDランクだったはず。私と同じレベルの風魔術が使えるとは思えないんだけど……あれは何をしたの?」

 

 

 えぇ……そんなとこまで調べられてたのかよ。まぁいい。後で明星にも話そうと思っていたから、ついでにちょうどいい。

 

 

「万能魔力って知ってます?」

「万能魔力……?」

 

 

 首を傾げる様子から知らないようだと察して説明しようとするも、それよりも先に今まで静観していた明星が口を開いた。

 

 

「あれでしょ。どんな魔力とも反発作用を起こさない特殊な魔力」

「そうそれ。よく知ってるな」

「たまたま本で見たことがあっただけ」

「えっと……どういうこと? 私いまいち理解できてないんだけど」

 

 

 速水先輩の言葉で明星の方へと視線を向けるが、ふいと逸らされてしまう。これ以上は説明する気はないみたいだ。

 

 

「えっと、本来魔力って個々人によって大きく特性が違うじゃないですか」

「そうだね。魔術適性も魔力で決まるし、遺伝子とか血液とかよりも明確に差が出るものだし」

「はい。なので基本他人の魔力は毒でしかないことは知ってると思います」

 

 

 仮に他人の魔力を受け取った場合、元々持っていた自分の魔力と他人の魔力が反応し、反発し、毒となって体を蝕む。極まれに相性の良い魔力であれば反発作用は起こらないが、現代の技術ではそれを判別することは困難だ。

 余談だが、こんな理由で魔力の授受が出来ないため、魔力切れの際には体内の魔力を生成する器官を活発にする薬を使った自然回復が一般的となっている。

 

 

「万能魔力はどんな魔力にも適応し、毒にはならないんです。あらゆる魔力との反発作用を起こさないから。だから人の魔力を受け取れるし、他の人に魔力を与えることも出来る」

「へぇ~、凄いね! つまり戦闘中に私の魔力矢から魔力を吸収して、それを使って私の魔術を発動したわけだ」

「その通りです」

「えぇー! 凄いじゃん! かっこいいなぁ」

 

 

 素直な賞賛の嵐にさすがに照れる。かっこいいとか真正面から言われると勘違いしちゃいそうになるから、女子の皆は軽々しく言わない様に気を付けて。

 とまぁそんな褒められてばかりだが、良い事だけではない。

 

 

「でも万能魔力にも明確な弱みがあるんですけどね」

「そうなの? ただただ強そうなだけに思えるけど」

「さっき先輩が言ってましたよね、俺の魔術適性は軒並みDランクだって」

「そうだけど……あっ、そういうこと?」

「ですね。万能魔力持ちの魔術適性は全てにおいて低くなります」

 

 

 魔術適性はそのまま魔術を扱う際の適性の高さを表している。高い方からA~Fランクまであり、大抵の人は一つか二つAかBの適性を持っていて、それ以外に関してはC~F、多くはFになる。

 それだけ聞くとオールDもそれほど悪くないように聞こえるが、適性の高さは一つ違うだけで大きく変わる。俺が好きなRPGゲームで例えると、適性Aであれば20のMPで上級呪文が使えるとすると、適性Dは同じ呪文を使おうとしてもMP200で中級呪文程度の威力になるといった感じだ。

 要するに適性Dがたくさんあって小技をいくつも使えるよりも、極めた一つの方が圧倒的に使えるという話。そうなれば適性が低い魔術をわざわざ鍛える意味は薄く、多くの人は自分にあった適性の魔術を長い時間を掛けて洗練させていく。

 だが万能魔力持ちにはそれが出来ない。だからこそ模擬戦でも遠距離攻撃をしてないし、煙幕や幻影みたいな補助的で簡単な魔術しか使用していない。

 

 

「確かにそのデメリットはかなり痛いね」

 

 

 その言葉に黙ってうなずく。俺自身もギルド活動で魔物退治をすることが多々あるが、適性が高いものが無いときついところがあった。まぁ今ではそれも楽にはなってきたけど。

 

 

「そっかぁ……。でもそのデメリットがあった上で神凪くんは十分強かったし、神凪くんなら上手く使いこなせると思うな!」

「……あざます」

「頑張ってね! それで、ここの部屋は1時間取ってるからまだまだ居れるけど、どうする?」

「申し訳ないですけど、明星と話をしたいので帰ります」

「おっけー。私はもう少しここに残るから、ここでバイバイだね。帰る時はロッカールームに使用済みの運動着を入れておく場所があるし、シンボルと武器は借りた場所の近くに返すところがあるからよろしくね」

「了解です。それじゃあ、ありがとうございました」

 

 

 そうしてお礼を告げて軽く頭を下げながら笑顔で手を振る速水先輩と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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