来週からちゃんと本編書きます。何も展開考えてないけど。
世間はゴールデンウィークを迎え、俺の通う魔術高専も7連休に入った。
とはいえ趣味という趣味もなく、娯楽と言えば無料で見れるアニメや音楽鑑賞、これまた無料のソシャゲを嗜む程度のため、日課の鍛錬やギルド活動を除けば友達と遊ぶでもなくダラダラと過ごすのみ。そんな中、GWのちょうど真ん中の今日だけは唯一予定がある日だった。
今まで何度か誘われてはいたものの、それより優先したいことがあったためずっと断っていた空良と遊びに行く日。聞けば俺以外にも声をかけていたものの、俺自身がまだ空良以外と面識がないために気を遣ってくれて2人だけだ。正直助かる。
滅多に遊ぶことがないためプランは全て丸投げし、唯々諾々と着いて行った先はカラオケ。
初めて入った場所と初めての人前で歌う経験から多少緊張していたものの、先陣を切った空良が遠慮なく歌う様子を見てそれもほぐれる。言っちゃ悪いが正直あまり上手くないと思うものの、何とも気持ちよさそうに歌う様子は見てるこっちも楽しくなってくるほど。
もしかして俺が歌いやすいようにと敢えて下手に歌ったかと勘繰ったものの、終始それだったので歌が微妙なのはデフォルトな模様。でも本人は楽しそうだからヨシ。フィクションとかでありがちなこちらの気分まで悪くなるようなレベルには程遠いし、俺もかなり楽しめた。
昼過ぎから夕方まで4時間ほどぶっ続けで歌いまくった俺らは、カラオケを出たあとで空の案内でオススメのラーメン屋に。まだ開店したばかりで夕飯にも少し早い時間ということで、待つことなくテーブルに座ることが出来た。
空良は期間限定のメニューなどを見てからさくっと頼むものを決め、俺も無難に一番人気と書かれたラーメンを頼む。
「……なんか、あれだよな。お前の歌って感情あんま籠ってないよな」
「まだ言うか。普通に歌ってるつもりなんだけど、そんな変だった?」
「いや音程は完璧にあってるんよな。なのに棒読みに聞こえるというか感情が薄いというか」
「んなことないだろ。てかお前も人のこと言えるほど上手くないだろ」
「俺はいいんだよ。直す気ないし、あれで楽しいんだから」
「それ言ったら俺だってあれでいいんだよ。楽しいから」
「まっ、そうな。楽しかったらなんでもいいか」
「お前は頻繁に行ってんのか?」
「カラオケ?」
「そう」
「まぁな。今日誘ったお前以外の奴とも行くし、一人でも行く事あるくらい」
「それ以外だとどこ行くん」
「ダーツとかボウリングとか、それらが出来るアミューズメント施設が多いな。あとは誰かの家」
「ほーん……。どれもやったことないわ」
「次はそこ行くか」
「てか今日呼ぼうと思ってたのも同じクラスの奴らなんだけど、呼んでも良かったか」
「まぁ俺としては別にいいけど、どうせ話したことない人だろうから正直いなくて助かったな」
「こっから仲良くなっていけよ。交友関係広げていこうぜぃ」
「そのうちなそのうち。まだ学校生活一か月なんだからそんな機会はいくらでもあるだろ」
「そりゃあそうだな。俺ら普通科は特に」
「やっぱ多いのか、その、グループ学習? 的なやつ」
「まぁなぁ。1年の頃は年に4回くらい他学科との合同授業があったし、普通科だけでもこれから多くなるだろうな」
「そんなにあるんか」
「それに加えて行事もあるしな」
「あー、なんだっけ。体育祭と文化祭があるくらいは知ってるけど」
「魔術祭と魔闘演舞祭、ギルド対抗戦とか
「多いな。魔術祭と魔闘演舞祭? とかいうのは何が違うん」
「シンプルな魔術の腕を競うのと、真正面から戦うのとで全然違うぞ」
「あー、なるほどね。……それ、強制参加なのか?」
「いんや、流石にそんなことはないぞ。ただ、評価に大きく関わってくるから出た方がいいけどな」
「戦いが得意じゃない奴はどうするんだよ。例えば椎木とか無理そうだろ」
「個人戦とチーム戦があるから、チームの方で頑張る感じだな。参加さえすれば最低限の評価は貰えるし」
「なる。……あっ、そっち俺です。はい、ありがとうございます」
「ありがとうございます。……ほい箸」
「さんきゅー」
「話変わるけど空良って友達多いよな。全員普通科のやつ?」
「いんや、他の学科もいるぞ」
「やっぱさっき言ってたような合同授業で知り合うのか」
「それもあるけど、あとは部活とか、俺だと学生会や寮の繋がりでの友達もいるな」
「そういや学生会入ってたな。たまたま速水先輩と知り合ったけど、結構忙しいのか?」
「部署によるなぁ。俺は体育委員だから体育祭や魔闘演舞祭の時はちょっと忙しかったけど、それ以外は大したことないな」
「ほーん。歓迎会か説明会か知らないけど、なんか結構な人数がいたのに積極的に勧誘をしてたらか相当忙しいのかと思ってた」
「学生会全体になると分かんね。そもそも何人いるかも把握してないしな」
「そんなもんか。例えば2年だけでもお前の知らない人もいるん」
「あー、…………めんどっ、大体10人くらいか? あんま話さないやつもいるけど、同学年ならたぶん全員把握してる」
「そんくらいしかいないんだな。メリットもあるんだろ?」
「AP貰えるけど大したことないな。普通に学内掲示板の依頼こなした方がマシなレベル」
「それなのによくやってるな」
「面白そうだったからな」
「逆にお前はなんか部活とか入んないのかよ」
「今のところ考えてないな。放課後は色々とやりたいこともあるし」
「そういやお前違うクラスの女子の尻おっかけまわしてたもんな」
「人聞きの悪い言い方やめて? 間違ってはないけど」
「結局何がしたかったん、あれ」
「ちょっと俺のやりたいことを手伝ってもらいたくて勧誘してた」
「あー、なんか前にもちらっと言ってたな。で、そのやりたいことって?」
「ん~……、簡単に言うと俺の魔術の練習を見てもらってる」
「魔術。そんな熱心に練習したいなんて珍しいな。普通科のくせに」
「なんか馬鹿にしてね? お前も普通科なのに」
「いや、明確な目的があるならそれに合った他学科の方がいいだろ。そっちに編入しなかった理由が分からん」
「あーね。調べれば分かるし隠してないから言うけど、俺は万能魔力って体質で、全部の魔術適性が同じなんだよ」
「なにそれずっる」
「全部等しくDランクな」
「なにそれ雑っ魚」
「くたばれ」
「それで、色んな魔術に手を出してみたくて教えてくれる人を探してたんだよ」
「そういうことね。でもその女子を無理しておっかけてた理由は? やっぱお前の好み?」
「そっち方面に持っていこうとするな。普通に珍しい魔術適性を持ってたってのと、共通の知り合いって話題があったからだよ」
「でもたしか可愛い子だったよな」
「そっちにシフトするのかよ、話戻しただろ」
「お前も可愛いと思ってるだろ?」
「……まぁ可愛いんじゃない? 一般的に見て」
「やっぱ狙ってんじゃーん!」
「違うから、俺は純粋に魔術の練習がしたいだけだから」
「でも付き合えるなら?」
「……付き合いたい」
「ほらー!」
「いや、今のは言わせただろ! 言う流れだったじゃん!」
「でもほんの少しでもそう思ってるってことだろ? いやぁ、お前もしっかり男子で安心したわ」
「なんだその言い草。当たり前だろ」
「いやでもお前なんかクールぶってるっていうか冷めてるっていうかそんな感じじゃん。クラスでも全然喋んないし」
「友達がいないだけだ言わせんな」
「でもたまに陽とか華とかとも話してるだろ?」
「お前含めてな? 俺だけだとあの二人と話したことないわ」
「俺のおかげで学生生活に彩が生まれてるわけだ」
「……お前こそ、あの二人じゃないにしろ仲良い女子とか多いだろ。彼女作らないのかよ」
「作れないんだよぶっ殺すぞ」
「口悪っ。なんでだよお前なら簡単に作れるだろ」
「ふざけんなもし断られなんかしてみろ、1週間は泣きわめいて数か月は引きずってその後一生その子と喋れなくなるわ」
「ただのチキンじゃん」
「そうだよ悪いか」
「しかも開き直ってるし。彼女いらないの?」
「彼女欲しいぃ…………!」
「どうしようもないなお前」
「そういや空良、結局どこにしたん?」
「何の話だよ」
「ほら、休み明けの合同授業。迷ってるって言ってただろ」
「あぁ。俺は狩猟科だな。研究科と迷ったけど、頭使うより身体動かす方が楽しいしな。お前は?」
「俺は守護科だな。ちなみに、守護科の方で珍しい魔術適性を持ってる人とか知ってるか?」
「さすがに他学科の魔術適性までは知らないな。大きな行事とかで活躍した有名人とかならともかく」
「だよなぁ
「てかまた別の人おっかけんのか? 前の子にはもう飽きたと」
「毎回嫌な言い方するのやめろよ。他の魔術も学びたいだけだから」
「魔術適性はともかく、端末で見れるBPの高い奴ならそれなりに良い魔術適性を持ってるんじゃない? それが珍しいかとか、お前に教えてくれるか、とかは知らないけど」
「そうだよなぁ。実際に見てみないことには分からないわけだ」
「ちなみに俺の適性は浮遊魔術のAランクだけど、教えてやろうか?」
「頼む」
「めんどいからやだ」
「くたばってくれ。マジで」
「そろそろ出るか」
「おー。会計まとめてでいいよな? お前の分貰っていいか」
「あいあい。……ん、合ってるか一応確かめてくれ」
「……ん、おけ」
「先に外に出てるわ。ご馳走様でしたー」
「ありがとうございましたー!」
「うっし、そんじゃ帰るかー。詠は電車か?」
「あぁ。電車は……今から向かえばちょうど良いのがあるな」
「んじゃ俺は寮だからここで解散だな。それじゃあまたなー」
「うい、今日はありがとな。それじゃ」
七瀬さんと出会ってからここ1年、友達と遊ぶ機会は無かったし、なんならそれ以前も交友関係の狭い俺は滅多に遊ぶことが無かったが、久々の外で過ごした一日が過ぎ去った。
ただただ歌って駄弁ってるだけだったが、充実感のある一日だった。一人で過ごすことには慣れているが、それはそうとして誰かと話しているだけでも案外と楽しいものだ。加えて空良はこれまでの交友関係の中でトップクラスに話やすい相手。男の俺でも惚れそうになるレベル。気持ち悪いな、くたばれ。真面目にあいつに彼女がいないのは可笑しく思えてくる。さっさと誰かに告ればいいのに。
今日の出来事を思い返しそんな風に考えながら、ホームにやってきた電車に乗り帰路についた。
UA (299 - 293) × 100 = 600文字(3000文字):来週ノルマ
今週ノルマ:4100文字
今回 4180文字、目標達成
前回のUA40は何の奇跡だったのか。
今回も見てくださった方、本当にありがとうございます。