魔術高専   作:一般ゲーマー

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思い切って日課のソシャゲを減らそうかな。ぶっちゃけストーリーちゃんと追ってないのもあるし。でもいざ止めようとすると中々踏ん切りが付かない。


2章-3 合同授業 初日③

「そのぅ、神凪くん」

「ん?」

 

 

 椎木のテスト練習を終えて思案にふけっている中で聞こえてきた申し訳なさそうな声につられて視線を向ければ、これまた申し訳なさそうな表情をした椎木がこちらを見据えている。

 

 

「良ければ私の練習に付き合ってほしいなぁ、って」

「いいぞ」

「いいんだ!? 神凪くんも練習したいんじゃ?」

「別に成績は気にしてないし」

「神凪くんなら上位も狙えると思うのに、勿体ない。……私が報酬を払った方が良い?」

「かつあげみたいに映るからやめよう。そもそも報酬貰えるレベルじゃないと思うから」

 

 

 冗談なのか本気なのか分からない発言にストップをかける。

 さて、椎木の練習に付き合うことは何の問題もないが、練習に付き合うと言っても何をすればいいのか。結局のところ上達するには魔術の発動をひたすら反復するしかないわけで、それは本人にしか出来ない。

 そういったわけで消えてしまった偽物を補充してから、椎木の練習を再開する。

 

 

「とりあえず、もう一回やってみるね。今度は本物に魔術をかけるから」

「あぁ、俺もなんかアドバイスできるよう見ておく」

 

 

 ひとまずは引き受けた以上、少しでも役に立てるようにしっかり見ておかなくては。

 椎木は先ほどと同様に、索敵魔術を発動させる。魔装具を使ってる関係で効果の細かい調整はできないが、魔法陣を構築するステップが省かれるため発動はかなり楽になっている。その上索敵魔術は汎用魔術に分類されるため、適性が何であろうと問題はなく、注ぐ魔力量も今回はかなり適当で問題ない。

 判別するための道具は椎木の周囲10m付近には収まっていて、魔装具に刻まれた効果の範囲は50m。多少魔力が少なくなろうが多くなろうが、見極めることに支障はない。

 ……これ、効果範囲を小さくするように書き変えればもっと早く発動できるな。っと、今は俺のことじゃなくて椎木の練習に集中しなければ。

 

 椎木も索敵魔術に関しては俺よりも時間はかかっているものの、失敗はしてない様子。続けて、テストの模擬練習では一度失敗してしまった拘束魔術の発動。

 

 

「気持ち多めに……」

 

 

 その時の俺の言葉を反芻しながら、魔装具のグローブへと魔力が注がれる。魔法陣に魔力が通い輝きを放ち始め、拘束魔術が発動する。十分な量が込められた拘束は消えることなく、見た目プラスチックで出来た箱のような簡素な道具をミシミシと締め付け――。

 

 

「あっ」

「あっ」

 

 

 そのままバコッと音を立てて破壊した。

 まさか壊れるとは思っておらず残骸を見ながら立ち尽くす俺たち。

 

 

「……えぇ?」

「ああぁごめん! 壊すつもりは無くて!」

「分かってるから落ち着け。そんな高級品でもないだろうし大丈夫だろ」

 

 

 俺よりも慌てふためく椎木を見て平静を取り戻した俺は彼女を宥める。わざと壊したわけじゃないのは十分に分かっているため、二人して素直に先生に謝罪をする。あっさりと許しを貰え、代わりの道具を貰って元の場所へと戻る。

 許してもらえたとは言え、壊した罪悪感からか落ち込む椎木を前にして腕を組みながら考え込む。

 

 模擬練習の時に少なすぎたことと言い、今のような破壊するほど魔力を込め過ぎたことと言い、椎木は魔力の調整を苦手としていることは分かった。言葉を濁さずに言えば、あまり細かい調整のいらない今回の汎用魔術に関してでもこうなってしまうレベルはド下手と言って差し支えない。

 魔力の調整の練習は感覚な部分が大きいから、もっぱら言葉上でのアドバイスが限界だ。なんなら俺は自分で言うのもなんだが魔力操作に関してはかなり上手い方だと思ってる。つまりは出来ない人の感覚が分からないから、アドバイスは余計に難しい。

 

 

「……あれをするか?」

 

 

 だが、ちょうど俺のような奴にぴったりの練習方法がある。相手が気ごころ知れた人なら問題はないが、そうじゃないなら嫌がる可能性もあるし、俺の方も恥ずかしいしで実行するかは迷うところだけど。……とりあえず方法を説明してから椎木に判断を任せるか。

 

 

「うぅ、まさか壊しちゃうなんて……。どうしよう、さすがにもう壊せないし練習は……。でも本番でまた壊しちゃうかも」

「なぁ椎木。練習方法についてちょっと提案があるんだけど」

「えっ?」

 

 

 未だに落ち込む椎木に説明する。

 俺の提案する練習方法とは、俺に魔力を渡すこと。それだけである。

 ただ魔力を渡すだけだから量を間違えても問題はない。俺の方はかなり正確に魔力量を見極められる自信があるから、受け取った魔力量が適切かどうか判断できる。そして魔力を受け取った後、相手に返すことで何度も練習することが可能だ。

 普通なら魔力の受け渡しが出来ないから不可能だけど、万能魔力の俺だから、そしてそれなりに魔力操作に自信があるから可能な練習方法。

 問題点があるとすれば、魔力を受け渡す関係上、手を握る必要があること。それも長時間。俺も恥ずかしいし、そもそも相手が嫌がるかもしれない。明星? あれはきちんと勝負を経て納得させた上でだし、明星の性格上あっちが照れることもない。俺の方は女子が相手では相変わらずドキドキするものの、俺だけがどきまぎしているのは癪なので表には決して出さないようにしている。

 

 

「分かった。それじゃあお願いしてもいい?」

 

 

 そんなことを椎木に話せば、悩む様子も無く頷く。もっと考えるかと思っていたのにあっさりと了承されたことに驚きつつも、彼女がそれでいいのならと自分を納得させる。

 七瀬さんや柊先生は年上だから良いとしても、明星と椎木は同級生なのに異性と触れることが気にならないものなのか。羞恥心を覚える俺の方が異端児みたいに見えてくるからちゃんと恥じらって?

 そんな文句は心の中だけに留めておいて、「それじゃあやるか」と複雑な心境を隠しながら手を差し出す。対面の椎木が魔装具を外して小さな手をそっと添えつつ、身長差から自然と上目遣いとなって俺を見てくる。

 

 

「えっと、どうすれば良いの?」

「そのまま触れてる場所から魔力を流してみてくれ。俺の手を魔装具と見立てる感じ」

「拘束魔術の発動をイメージすればいいんだよね」

「そうそう。別に多くても大丈夫だから、気軽にやってみ」

「うん! いくよ……」

 

 

 目線をじっと繋いだ手に向けながら椎木は魔力の譲渡に集中する。俺も彼女の役に立てるよう集中せねばと自分の中の感覚を研ぎ澄ませる。

 目を閉じ体の中に新しく入ってくる魔力を意識する。俺が拘束魔術を使うならこれくらいの量だな、と思った辺りを超えて注がれてから、「……この、くらい?」という不安気な声とともに供給が止まる。

 

 

「……今の8割くらいでも大丈夫かな。ただ、これくらいならさっきみたいに壊れるほどの出力は出ないと思う」

「おぉぉ……そんな細かく分かるんだね。よし、もう1回お願いします」

「うい。とりあえず魔力返すな」

 

 

 そうして渡された魔力を返却してから、魔力供給の練習をひたすらに繰り返す。

 

 

「これで、どう?」

「まだちょっと少ないけど、問題ないレベル」

 

「これは?」

「今度は増やしすぎたな。壊れるほどじゃないけど」

 

「どう?」

「良い感じ」

 

 

 魔力供給のステップのみに着目したこの練習は1回1回の時間が短くて済むから、かなり練習回数を稼げる。おかげで椎木も段々とブレな小さくなり、今の様子だと恐らくテスト本番でも失敗しないだろうなという程度には上達した。

 

 

「15時になったんで一旦休憩時間としますり20分ほどいなくなるので、その間貸し出しとかは出来ません。練習は続けてもいいですけど、怪我だけはしないよう気を付けて下さい!」

 

 

 監督役の先生のそんな声が響いたことで、練習を中断する。気が付かなかったが、いつの間にか1時間近くもやっていたらしい。

 

 

「……ふぅ、私たちも休憩にしない?」

「そうだ、な……。…………?」

 

 

 椎木の言葉に返事をしつつ、集中していた意識を切り替えて肩の力を抜いたところでふと気付く。……なんか、見られてない?

 先生の指示によって他の人達も休憩に入る人が多いのか練習場から移動する生徒がそれなりにいる中で、俺たちの方に向けられる視線も何故か多い。

 

 なんだ? まさか俺か椎木のどちらかの格好が変なことになってたり?

 

 注目の理由を探そうと椎木を上から下まで観察し、特段おかしなところは無いよなぁと首を傾げながら未だに繋がれたままの手に目線が止まる。

 

 

「あっ……」

「? どうしたの?」

 

 

 咄嗟に手を離しつつも、見られていた理由はこれかと納得する。

 ……いや、待てよ? 練習のために椎木と手を繋いだのはついさっきの話ではなく、1時間ほど前からずっとその状態だった。ってことは……。

 

 

「やっべ……」

「えっ、なに。何が?」

「いや……マジで悪い。周囲の目を考えてなかった」

「……んっ? どういうこと?」

 

 

 俺の台詞の意味を理解していない椎木に、気が付いていないならわざわざ説明しなくてもいいんじゃ、という考えが一瞬浮かぶが、後から気が付かれたときに責められそうなため、大人しく白状する。

 優しい椎木が怒るか様子は若干見てみたい気もするけど。

 

 

「このテストの練習って普通なら道具を使って実際に魔力を発動させるよな。俺たちが最初にやっていたように」

「そうだね」

「でも俺たちは結構な時間、別の練習方法を取っていたわけだ」

「うん。こっちの方が成長できた気がする」

「それは良かった。でもな、その時の俺らの格好ってどんなだった?」

「どんな、って……。こう、手を合わせ……て……」

「……普通なら使うはずの道具をほったらかして、ずっと手を合わせてたな」

「あっ、えっ……そっ、そういうこと……?」

 

 

 現状を正しく理解したらしい椎木は目に見えて分かるほど顔を赤く染めていき、落ち着かない様子でキョロキョロと視線を彷徨わせる。

 一言で纏めてしまえば、先ほどまでの俺らのは合同授業の時間に練習をさぼってひたすらに手を繋ぐバカップル、ってとこだろうか。自分で言ってて凄い恥ずかしい評価なんだけど。

 この練習を始めるときにどうして気が付かなかったのかと過去の自分を呪いつつ、最終的にしゃがんで縮こまる椎木に「すまん」と謝罪するのだった。

 

 

 

 

 

 

 




UA (415 - 388) × 100 = 2700文字(3000文字) + 書溜1900文字 =4900文字 :来週ノルマ
今週ノルマ:5800文字
今回 4050文字 + 次回分書き溜め1900文字、目標達成

きりが悪かったのでノルマ以下だけど投稿。次回分は既に書き溜めてるのでノルマは達成。来週はその分を抜きにして、3000文字(合計4900文字)書きます。

今回も見てくださった方、本当にありがとうございます。
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