魔術高専   作:一般ゲーマー

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最近は携帯で気軽に読める二次創作ばっかりでちゃんとした作品に触れてなかったけど、いざ読みだすと引き込まれ過ぎて今度は時間が溶ける溶ける。





2章-4 合同授業二日目①

 合同授業2日目の今日、俺の参加する守護科との合同授業は個人テストと相成っている。始業の時間とともに昨日と同じく第4グラウンドへと集められ、説明もそこそこに早速テストへと移った。

 テストの順番はクラス関係なく50音順で4人ずつ。それぞれが離れた場所に陣取一斉にスタートする形式だ。苗字が神凪の俺は割と早い方で行うことになる。

 一組目がスタートしたばかりだが、相変わらず居場所が無さそうな椎木と並んでテストを眺めていた。昨日は恥ずかしイベント後も多少ぎこちなくなりながらも授業の終わりまで一緒に練習していた俺らだが、一日明けてあっちも気にしなくなったらしい。普段通りに戻ってくれた方が俺としても接しやすくて助かる。

 ひとまず俺は自分のテストよりも他人の結果の方が大事なので、今はきちんと情報収集に徹しよう。

 

 誰が普通科で誰が守護科かは分からないが、最初の4人はあまりぱっとしない結果で終わった。一番早い人でも19秒。二組目もだいたい一緒で最速が15秒。三組目、16秒。みんな似たりよったりの結果だった。しかも大多数が魔装具を装着している。

 ⋯⋯もしかして結構みんな遅い? 昨日は一時注目を浴びたところでどうせ後から失望されるとか考えていたけど、このレベルだと流石に手を抜いた方がいいか?

 

 

「おぉ! 11秒だって! さすがレオ!」

 

 

 俺の出番は五組目となるため、早々に決断しなきゃという場面での4組目。歓声と女子の黄色い声が上がった方へと顔を向ければ爽やかイケメンが手を振っていた。

 スペックが高いイケメンを見ると自然に嫌悪感が湧く呪いに苛まれながら、その光景を前にいよいよ俺はどうしたものかと頭を抱えていた。

 昨日帰ってから試しに練習してみた結果、俺の記録は7秒近くまで縮まった。イケメン野郎が11秒でこの盛り上がり具合なら、もし7秒なんで出したら満席のコンサートホール並の大歓声が巻き起こるのではないか。

 さすがに話を盛りすぎの自意識過剰だとしても、考えていた以上の注目を集めることは間違いない。後々失望されるのは確定事項だとしても、レベルが違うとなれば話が変わってくる。

 

「次、五組目は――」

「神凪くんの番だね。頑張って!」

「⋯⋯おう」

 

 

 頭の中は未だにどうしようどうしたほうが良い、なんて言葉で満たされながら椎木の応援の声とともに見送られ、魔装具を貸し出そうとしてくる教師を止めて持ち場に着く。

 そして俺は――腹を決めた。

 

 

「始めっ!」

 

 

 合図とともに索敵魔術を発動する。

 

 

 

 合図とともに魔力を操作しちょうど良い量で魔法陣を描き索敵魔術を発動。周囲の中から魔力の反応があった偽物を見つけ出し右手を置き、今度は拘束魔術へと移る。

 結局手を触れない方法は習得時間が足りないと早々に諦めた。だがそのおかげで触れた対象を拘束するシンプルなコレに関してはかなり早くなったと思う。椎木の練習に付き合いながら、俺の魔力供給の練習にもなっていたし。

 魔術によって作られた拘束は徐々に強さを増していき、ついに偽物の道具を消し去った。

 

 

「記録、18秒」

「……ふぅ」

 

 

 そこまでの動作を滅茶苦茶丁寧にゆっくりと進めていき、 俺のテストは無難なタイムで終わった。無難とは言いつつもこの組では俺が一番だったようで多少の注目は集めたものの、1つ前にもっと凄いタイムが叩き出されたからか特に反応はない。

 

 

「お疲れさま。……調子悪いの? 昨日はもっと早かったのに」

「いや、緊張してたのと失敗しないように慎重にやったから、たぶんそのせいだろ」

「そっかぁ。神凪くんなら一柳くんも超えられると思ってたのに、残念だったね」

「別に成績は気にしてないからな。てか一柳って誰?」

「さっきの、ほらあの、一番早かった人」

「あぁ……」

 

 

 あのイケメンさんは一柳というらしい。普通科の椎木も知ってるということはやはり有名人なのだろうか。

 慰められても勝つ気も無かったし、なんなら内心本気出せば勝ってたしーなんて自尊心を満たしてるしで特段悔しさなんぞ感じていない。顔面偏差値では圧倒的に負けている? うるさい黙れ。

 茶々を入れて来る脳内の悪魔をしばき倒しながら、自分の番が終わったことだし後は目的に沿って大人しく見学していよう。

 

 その後、合計24組96人の第一テストは滞りなく終了した。気になった生徒はと言えば、11秒の一柳何某を始め、10秒前半のタイムを出した生徒が男子女子合わせて7人ほど。中でも最速の9秒を出した女子生徒は要注目といったところ。

 ちなみに椎木は練習のかいあって失敗せず、時間も30秒をきることが出来ていた。決して良い記録とは言えないが、椎木本人は嬉しそうにしていたから、ヨシ!

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 2つのテストが終わった午前11時、ところ変わって昨日座学を受けていた大講義室。少々の待機を指示された俺らは昨日と同じ席に座って休憩を取っていた。この後は事前に聞かされていた通り、グループ課題のためのグループ作成をするのだろう。教壇の付近で作業をしている教師を見るに説明が始まるまでもう少し時間が掛かりそうだ。

 周囲をちらと見渡しながら、先ほどまでのテストを振り返る。

 

 場所を移して行われた第二テストについても問題なく終わった。第一テストではパッとしなかった生徒も、こちらでは運動能力を強化してのパルクールや飛行などをし存分に活躍していた。逆に大体が順路を無視するため、際立って目立つことも無かったとも言える。

 俺も順当に身体強化からの最短ルートを目指し、だいたい平均くらいのタイムで終わった。椎木については……頑張っていたとだけ言っておく。ただ、守護科の全員が戦いや運動に慣れているわけではなく、椎木レベルで遅い人は他にもいた。

 

 話を戻して、この2つのテストを通して総合的に優秀な生徒は4人ほど。今回のテストだけでは魔術適性も分からないし、これだけでその人個人の素質が全て分かるわけではないが、練習相手の候補として覚えておこう。誰一人として名前は分からないから顔だけになるけど。……あっ、イケメン一柳だけは覚えた。他の人も椎木に聞けば分かるか……?

 

 

「はいみんな静かに! これから次の課題と午後からの授業について話すぞー」

 

 

 作業が終わったのか教師が声を張り上げる。騒めきが引いていき、生徒たちの聞く態勢が整ったところで説明が始まった。

 

 

「まず昼休み前までに、明日の課題と今日の午後分の無いようについて説明をしてから3人グループを作ってもらう。グループが出来たところから先生に報告して昼休み入りだ。それじゃあ早速グループ課題についてから始める」

 

 

 そう言い終わると同時に教師が手元を操作すると、講義室の前の巨大スクリーンにスライドが表示される。

 

 

「課題はグループ対抗の捕獲戦……簡単に言うと鬼ごっこだな。3人のうち1人が犯罪者役を担い、先に相手チームの犯罪者を捕縛した方が勝利のシンプルな内容だ。これをグループでトーナメント戦を行う」

 

 

 スクリーンの画像が変わり、トーナメント表が映し出される。よく見る上へと伸びるだけの表ではなく、下の方にも逆三角形が出来ている。

 

 

「この通り、トーナメントは負けたグループでも行ってもらう。上位4グループまでは報酬があるが、逆に下位2グループについてはペナルティを設けるから頑張るように」

 

 

 また画像が差し代わり、報酬とペナルティの内容が表示される。優勝グループは3万APと250SP、準優勝は2万APと200SP、3,4位は1万APと150SP、それ以外の生徒は100SPのみ付与とのこと。

 ペナルティは下位2つは補習授業が行われ、最下位に関しては先生の手伝いも追加されるとのこと。そういう方面のペナルティなのね。時間を取られる分、俺としては『APを払えー』とかよりも嫌かもしれない。

 

 

「捕縛については2種類ある。一つはこの手錠をつけることだ。魔装具でもない簡単に壊せる見た目だけの手錠だけど、ルールとしてこれを付けられた生徒は直ちに動きを止めるように。ただ各グループに一つしか渡さないから、落としたりしないようにな」

 

 

 かちゃ、と遠目からは本物と区別が付けられない手錠を掲げられながら告げられる。

 

 

「それからもう一つは身動きが取れない状態になることだ。例えば、拘束魔術で手を捕まえれても動けたり、足を拘束されても空中に飛ばれたり、拘束したもののすぐに破壊されて逃げられたりしたら無効だ。簡単で確実なのは、気絶させることだ」

 

 

 気絶て。そんな過激な行為もOKなのか。

 ……いや、学生とは言え将来守護者(ガード)を目指すのなら危険な業務は避けて通れない。今のうちから慣れておこうということか。

 

 

「ただし、あまりに過剰な攻撃はペナルティじゃなくて罰則を与えるから注意するように。同じくテスト会場の市街地の故意な破壊も罰則対象だ。内容が内容だけにそれなりには目を瞑るが、建物を倒壊なんてさせたら一発アウトだからな」

 

 

 教師の補足にだろうなと同意する。治安を守るために街を破壊してちゃ本末転倒だし、犯罪者とはいえ殺すのもアウトだろう。

 

 

「今から皆の端末にグループ作成の参考のために今日のテスト結果一覧を送る。ついでに今スクリーンに映した資料も一緒に送るから、見返したい時はそれを確認するように。届いてない奴はいるか?」

 

 

 端末を操作し、たった今送られてきたメッセージを確認する。2つのテストの結果が上から順にずらっと並び、名前と時間が記録されている。

 良かった。これで名前を知らなかった有力生徒を調べられる。

 一柳玲央、東条耀桜(きらら)古郡(ふるごおり)綾乃、今浪雫。うろ覚えの記録だが、恐らくこの4人だろう。覚えておかなきゃ。

 

 

「各テストの上位10名までは少ないながらAPとSPを渡すから、そっちも届いてなかったら教えてくれ」

 

 

 残念ながら俺は上位10位以内に入ってないので報酬はない。が、特に狙ってなかったので問題なし。ついでにグループ課題も俺としては無理に勝とうという気もない。せいぜいがペナルティを受けたくないなぁ程度の気持ち。

 

 

「最後に今日の午後についてだが、完全自由行動だ。練習の開始も終了も各々の好きにしていい。それからトレーニング施設としては昨日に引き続き第四グラウンドと小市街地トレーニング場、それから第三訓練場も18時まで押さえてある。これで説明は終わりだが、何か質問はあるか? ……無いならこれで終了だ。今からはさっき言った通りグループ作成の時間となる。それじゃあ解散」

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

「えっと……神凪くん……」

「椎木、良かったら俺と組まないか」

「えっ、いいの!?」

「俺の方から頼んでるんだから、当然」

 

 

 おずおずと声をかけてくる椎木に先んじて提案する。俺からしたらグループ課題も下位2グループを回避出来れば何でもいいし、競争の激しそうな人気者に声をかける必要はない。

 それにここまできて椎木を見捨てるわけにもいかないし、むしろ俺が誰とも組めない可能性もあるから枠が一つ埋まるだけでもありがたい。

 

 

「でもあと一人どうする?」

「神凪くんに任せるよ」

「……椎木の方で組んでくれそうな知り合いはいないか?」

「居たらそっちに行ってるよ、ってのは神凪くんに失礼だったね。ごめん。神凪くんの方は……先月編入したばかりだし難しいよね」

 

 

 実は他の人のテストを見ている中で一人だけ知り合いを見かけたが、あっちはずっと友達と一緒に居たし声を掛けても無駄だろう。というか同学年かつこの学校の守護科に通っていたとは知らなかったから、気が付いたと時は随分と驚いた。

 結局のところ椎木の言う通り俺にも組んでくれる知り合いは居ないことになるので、黙って頷く。

 

 

「どうする? こっちから積極的に声をかけるか、様子を見てから余った人を探すのか、どっちが良い」

「……ちょっと様子を見よっか。知らない人ばっかりで声も掛けづらいし」

「ういうい、それじゃあこのまま座ってるか」

 

 

 誰でも良いから余ってる人を勧誘する方向で動きを固め、人数が減るまで椎木と雑談に興じる。やはり守護科同士はそれなりに互いを知っていることもあってか、ぽんぽんとグループが作成されていく。

 

 

「僕のグループに入れてやると言っているだろう!」

「別にいいってー、あたしは自分で組む人を見つけるから」

「ふん、友達は君を見捨ててさっさと組んだのにか?」

「あれはあたしの方から断ったんだよ。別にお情けはいらないから、須郷くんももっと優秀な人を勧誘したら?」

 

 

 ……ああいう感じで中々上手くいかないところもあるみたいだけど。

 というか何だあれは。痴情のもつれ?

 

 

「……そこまで言うなら君のグループは僕のグループより高い順位を取るんだろうね?」

「……え何でそういう話になるん?」

「だってそうだろう。わざわざ僕が誘っているというのに断るというんだからな」

「えぇ……それとこれとは話が別じゃん」

「うるさい! これで僕の方が順位が上だったら、僕の言うことを一つ聞いてもらうからな!」

「いや普通に嫌だけど――って話聞いてないし」

 

 

 なんか知らないがお供を連れた傲慢そうな男子生徒が一方的に話を付けて去っていった。

 なんというか、ちょっと野蛮なイメージのある狩猟科と違って、守護科は高潔……というと美化しすぎだけど、真面目な生徒が多いイメージを持っていたが、当たり前だけどそうじゃない生徒もいるんだな。

 確実に同じクラスの奴らもいるだろうに関わろうとしてないし、そういう奴として周囲にも認識されているんだろう。俺も関わりたくないな。

 

 そんな一幕を見ながらもグループはどんどん作られていき、講義室にいる人の数も簡単に数えられる程度まで減ってきた。

 俺と椎木が2人並んで座っていて、それ以外の残っている10人ほどが一塊になり話をしている。要するにあの中からあぶれた一人だけが俺たちのグループに入ることになるだろう。もしくは俺と椎木が分かれて別のグループに入ることも有り得るか?

 そんな風に様子を伺っていると、集団の中から一人が離れてこちらに歩み寄ってくる。てかさっきの傲慢男子に絡まれていた女子生徒だった。嫌な予感がする。

 

 

「ごめんねー。君たちまだグループ作ってないよね? あたしを入れて欲しいんだけど、いいかなー?」

 

 

 椎木と顔を見合わせると無言の頷きが返ってくる。俺に任せるということだろうか。

 正直なところさっきの厄介ごとに巻き込まれそうで嫌な気もするが、受け身を選んだのは俺たちだし選択肢も他にない。

 

 

「勿論、よろしく」

「良かったー。私は守護科の千秋(せんしゅう)友利(ともり)。よろしくね」

「総合科の神凪詠です」

「お、同じく総合科の椎木華です。よろしくお願いします」

「よろしくー。それじゃあこの後は……」

「……良かったら昼飯でも食べながら相談しないか? 他に約束とか用事が無かったらだけど」

「あたしはオッケーだよ」

「私もいいよ。陽に連絡しておけばいいし」

「うしっ、それじゃあ先生に報告してから移動するか」

 

 

 そうして若干の不安を残しながら、無事にグループを作成することが出来た。

 

 

 

 

 

 




UA (431 - 415) × 100 = 1600文字(3000文字) :来週ノルマ
今週ノルマ:4900文字
今回 6000文字 目標達成

今回も見てくださった方、本当にありがとうございます。
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