魔術高専   作:一般ゲーマー

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暑さからか何もやる気が出ない。





2章-8 合同授業三日目 試合開始

 観戦を開始してから約1時間半。とうとう俺たちの出番がやってきた。

 未だに緊張が解れない様子の椎木と気楽な友利を伴って、フィールドとなる市街地の入り口に集まる。まだ6回戦は続いてるものの、終わり次第すぐに開始できるようにとのことで早めの招集だ。

 

 

「全員集まったな。事前に告知したようにそれぞれの対戦相手のグループは把握しているな? 関係ない他グループに被害が行くような行動を取ったらペナルティだから注意するように」

 

 

 監督役の先生の注意に生徒たちが頷く。俺とかは特に相手生徒の顔をよく知らないから、うっかり間違えて攻撃しないように気を付けなければならない。

 

 

「それじゃあ各グループの犯罪者役は前に出てきてくれ」

 

 

 先生の指示に従い、事前に決めていたように俺が前へと進み出る。相手グループからは須郷が前に出てくる。俺自身は初対面で会話もしたことすらないが、ちょっかいを掛けている友利のグループだからか、敵愾心を丸出しでこちらを見てきていた。

 

 

「相手の犯罪者役は把握したな? 最後に捕縛用の手錠を渡す。各グループ一つまでだから誰が持つかは慎重に考えるように。では、各グループ所定の位置に着いてくれ」

「おい、そこの男子」

 

 

 その言葉を最後に、俺たちとは関係のない2グループの生徒たちは早速移動を開始する。俺も椎木たちと一緒に移動を開始しようとするが、先んじて声をかけられた。別に名前を呼ばれたわけじゃないが、おそらく自分のことだろうと振りむく。

 

 

「俺か?」

「あぁ。君のグループの千秋さんとは勝負をしていてね。僕たちに負けた暁には大人しく話を聞いてもらうからな」

「それ、友利は了承してないんじゃないか?」

「とっ、友――! ふんっ、僕の誘いを断ったんだ。負けないという意思表示をしておきながら敗北したのならば、それくらいは当然のことだろう」

 

 

 当然じゃないと思う。

 内心でそうツッコみながらも口に出せば面倒なことになりそうだと、代わりに別のことを聞く。

 

 

「……なら、俺たちが勝った時もそっちには一つ要求をしても良いんだよな?」

「はぁ? どうしてそうなる」

「いやそれこそ当たり前だろ。勝負だっていうんなら勝った負けたの報酬も同じじゃなきゃフェアじゃない。それとも、負けるのが怖いから一方的に要求しますってことだったか?」

「そんなわけないだろう! 君たちのことは軽く調べたが、僕たちが負けることなんて有り得ない。いいだろう。万が一そちらが勝ったら要求を何でも一つ吞んでやろう。まぁ、無理だろうがな」

「その言葉、忘れるなよ」

 

 

 この勝負を吹っ掛けられた場面を盗み聞きしたり、友利から話を聞いた限りだとこっちが勝った時の話がされていないと思っての質問兼挑発に、須郷も了承する。

 負けたとしてもすっとぼける機会を失ったが、元々あっちはそれを無視する可能性もあるしでこの流れに持って行けたことはラッキーだ。俺としては試合前に話す気とか無かったし。最悪負けてもあまりに無茶な要求だったらAPでも柊先生という大人のカードを使ってでも俺が何とかしようと心に決めて、須郷に背を向ける。

 ふんっ、と再び鼻を鳴らし須郷はグループメンバーの元へと去っていき、俺も椎木と友利に合流してから指定されたスタート地点へと移動を開始する。

 

 

「さっき、須郷くんと何を話してたん?」

「あー、改めて宣戦布告をされてただけだ」

「ふーん。まぁいいや、やることは変わらないしね」

 

 

 その道中、俺と須郷のやり取りが聞こえていなかった友利から話を振られ、適当に答える。さして興味も無かったのか、あっさり引き下がった友利はそのまま椎木と別の話題を広げる。

 ひとまず指示された地点を目指し、二人の先を歩いて先導する。現在も試合中のグループの邪魔をしないように、市街地訓練場の外側をぐるっと歩いて目的地を目指す。これまでが一試合大体20分前後で終了していたから、おそらく後10分ほどで俺たちの試合が始まるだろう。

 このままのんびりと歩いていたら、到着と同時にスタートくらいになるか。全グループが準備を終えるまでは流石に試合が始まることはないが、もうスタート地点に待機して準備を整える時間はない。

 そう判断して振り向きながら二人に声を掛ける。

 

 

「二人とも、歩きながらでいいから最終確認をしたい」

「うん、いいよ」

「わかった」

「……椎木、もう緊張は大丈夫そうか?」

「今がピークかも。あんまり意識させないで……」

「悪い。話を進めた方がよさそうだな」

 

 

 未だ顔が強張っている椎木の調子を確かめるべく話を振ったものの、にべもない返事が返ってくる。いっそ最終確認でやるべきことを反芻してた方が緊張しすぎないで良いかもしれないと、そのまま話を進める。

 本番の今日になって明かされた仕様はあるものの、昨日考えた作戦から特に変更はない。スタートからの行動を一つ一つ確かめて、ついでに俺たちのスタート地点と観戦して得た地形情報から最適な場所の共有も行う。

 真剣な表情で頷く椎木と、返事が軽いながらもしっかりと把握はしている友利。試合が始まってしまえば俺は二人と別行動をすることになるが、この様子なら問題はないだろう。

 

 そうして話をしつつ足を進めること暫く、俺たちはスタート地点へとたどり着いた。そこから然程間を空けることなく、『まもなく7回戦を開始します。合図とともにスタートです』との全体アナウンスが流れる。

 

 深呼吸をする。相手は魔物じゃない。負けても死にはしない。ここまで来て他人の目を気にする余裕もない。つまりは緊張する理由もない。

 目立たないようにが俺の学生生活の指針だが、俺の全力なんて大したことない。誇れるところは魔力の操作精度くらいか。ここで須郷たちに勝ったところで2回戦目を突破できる見込みは少ない。

 

 

『試合開始まで5秒。4……3……2……1……スタート!』

 

 

 つまりはここで全部を出しきって問題ないということだ。

 

 試合開始とともに、俺たち3人は移動もせずにそれぞれ魔術を発動させる。

 別のグループがどこからスタートするのかは分からないが、今までの試合を見た感じだとスタート地点はある程度操作されていて、須郷たちとは真反対とは行かずともそれなりの距離があるはず。

 あっちの初動の動きまでは何の確証も得られないが、セオリーで言えば索敵魔術を発動しながら中央を目指すか、高所を位置取り目視で相手を補足する。友利の情報だと相手に飛行手段は無いため、愚直に足での移動と索敵魔術がこちらを見つける手段だろう。

 なら準備をする時間は十分に取れる。とはいっても魔術のセッティング後に俺たちも移動をしたいからあんまりのんびりはしてられない。複数の魔術を発動させるが、合計で3分以内に抑え込みたい。

 

 昨日の練習ではギリギリ3分オーバーだったが、本番の適度な緊張感からか集中力が増し、3分以内に魔術が発動する。

 

 

「椎木、索敵に反応は?」

「ううん、今のところは大丈夫」

「おっけー。友利、魔術の調子はどうだ?」

「ばっちり。こっちも準備万端だよ」

「よし。ならまずは相手が来ないうちに移動しよう」

 

 

 まだ始まって3分だが、一番恐ろしかったのがこの準備の間に襲われること。相手の魔術適性から見て大丈夫だとは思っていたが、ひとまず一つ目の難所は無事に突破した。

 この後も上手くいくよう祈りながら、次の行動に移るべく俺たちは移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




UA (502 - 493) × 100 = 900文字(3000文字) :来週ノルマ
今週ノルマ:3000文字
今回 2965 +次話分200文字 目標達成

先週はまた別の作品を書いてました。


今回も見てくださった方、本当にありがとうございます。
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