魔術高専   作:一般ゲーマー

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UA91 ÷ 6話 ×100 = 1500文字
今回 3500文字 目標達成


5000文字とか自惚れてた……。
後で設定変えるかもですが、とりあえずこのまま。



1章-3 散策

 がやがやと四方から話し声が飛び交う。それぞれが意味のある言葉を発しているというのに、混ざり合ってしまえば一つの大きなノイズでしかない。

 目の前に俺と話してくれる奴でもいるのならば、ノイズに耳を傾けることなく相手の言葉に集中して会話が成り立つというのに、一人でいるだけでこんなにも音というのは変わるのだから不思議なものだ。

 まぁ近くの会話に耳を済ませればきちんと聞き取れはするのだが、聞き取れたとて既に出来上がっている関係に初見で突っ込んでいけるほどの胆力はない。

 

 ようするに今の現状をざっくりと説明すると、自己紹介の機会もないままクラスに放り込まれたため、知り合いもゼロの中一人ぽつんと席に座って休憩時間を過ごしていた。

 いやまぁ陰キャと喋り下手を自覚している俺からすると自己紹介がないのはむしろありがたいのだが、初日のこのアウェー感だけどどうしようもない。

 担任の先生が言うには2年総合科の3クラスでクラス替えもあり、留年生もちらほら混ざっているからわざわざ編入性のお前だけ特別に紹介することもしないとのことだが、他の人は少なくとも数人は知り合いや友達が居て関係性も構築出来ている中、まったくの新顔である俺にもその対応なのはいかがなものか。

 

 とはいえ前の学校でも友達や遊ぶ相手が居たうえで、結構な時間を携帯を弄ったりして一人で過ごしていた俺だ。休憩時間のやり過ごし方としては依然と何ら変わりなく、ぽちぽちと端末を操作して色々と機能の確認をしていた。

 柊さんに説明してもらったとて、それは学校のおおよその説明でしかなく、この端末の操作についてはあまり詳細に語られなかったものだから未知の部分の方が大きい。

 

 休み時間のたびに誰とも話さずそんな風に過ごしていれば、気が付けばその日の最後の授業も終わりを迎えていた。

 授業の内容としては、前の学校と比較してそれなりの専門知識をそれなりのスピードで進めているが、十分着いて行ける範囲ではありそうだなという何とも言えない評価。

 ただし今日が初日だから慣らしのためにゆっくり進めていた可能性もあるから、明日以降もちょっと気合を入れないといけないかもしれない。以前の学校だったら不真面目気質な俺は適当に受けたり、何ならさぼったこともあるくらいだが、退学が掛かってる以上ここではそうもいかない。

 あとは今までは1コマ50分の授業だったのに、2コマ合わせてノンストップ90分の授業は中々きつかった。慣れれば楽なのだろうが、今は長時間座りっぱなしだったおかげでケツが痛い。

 

 ともかく放課後。今日は編入初日ということもあって買い物もギルドに行く予定もないフリーな日だ。午前中に明星に案内してもらったとはいえ、まだ構内を見回り切れていないため適当に散策でもしようか。

 教科書を仕舞い終えると席を立つ。中には俺よりも早く退散している人もいるが、クラスメイトの大半はまだ教室に残って友達とお喋りを続けている。誰にも話しかけず、話しかけられず、ぬるっと教室を後にした。

 結局今日はクラスメイトと一言も会話してねぇ……。こういう時に自分から話しかけに行かない辺りが陰キャたる所以だろうか。学園の端末には不親切な事に構内図は載っていないが、昼食を終えた後に唯一の構内図を写真で撮っておいたので、それを頼りに適当に歩く。

 明星に聞いた限りだと離れた場所にある特殊な大型施設の訓練場なんかは特定の授業や行事でしか使われないとのことで後回し。とりあえず空き時間に個人が使える訓練施設は明星に案内してもらった場所以外にもあるとのことなので、そこはマストで行くとして、あとは適当に教室の場所でも把握するために散策をするか。

 そうして方針を固めた俺は適当に廊下を歩き始めた。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 俺たちの教室がある4号館は5階建てで、1階が1年生の教室、2階が2年生、5階が5年生と分かりやすい構造になっている。各クラスの教室以外は特にないためさっさと隣の3号館へと移り歩き回った。そして2号館の散策も終えて5号館を歩いて少しすると、とある講義室から大勢の話し声が聞こえてきた。

 たしか各部活で使われている部室は全て部室棟にまとめられているので、放課後の今ここらで大勢の声が聞こえてくることはないはずだよなと疑問符を浮かべる。写真の地図を見てみても何の特徴もない、3クラスほどが入れる大きさのただの講義室だ。

 気になった俺は声に誘われるまま、扉が開きっぱなしだったその講義室を覗いてみる。中ではテーブルがいくつか纏められていて、その上にはお菓子とジュース。その周囲にはぱっと見で学年が違うだろうなという男女が数十人。まつで立食パーティのような様相がそこに広がっていた。

 その光景を見てもなお、これが何の集まりなのか分からず首を傾げていると、中に居る一人の女子生徒と目が合ってしまい、小走りで寄ってきては声を掛けられた。

 

 

「おっ、君も新入生? 見学に来たのなら遠慮せず入ってもいいよ!」

「……いえ、俺は2年です。適当に歩いてたら声が聞こえたんで気になってしまって」

「えっ、2年生? って、君は……」

 

 

 素直に返答すると女子生徒は小さく驚いた表情をしたかと思えば、続けて何かを確かめるように俺の顔をじっと見つめて来る。

 

 

「あの……何か?」

 

 

 こうも顔立ちの整った女子に見つめられると落ち着かなく、短く言葉を零せば相手はハッとしたようにポニーテールを揺らして姿勢を正した。

 

 

「ごめんごめん、ちょっと確かめたくて。っと、この集まりが気になってたんだよね。私達は学生会っていう、いわゆる生徒会的な組織だよ」

「なる……ほど……?」

 

 

 説明を受けたが、まだ疑問が残る。

 生徒会は以前通っていた高校にも当然のようにあったが、ここまでの人数はいないし、そもそも役職と担当は選挙によって決めるため1年生が入るなんてことは無かった。

 そんな俺の理解しきれていない感情を汲み取ったのか、女子生徒は続けて説明する。

 

 

「この学校は色んな行事を学校側じゃなくて学生が主体になって運営するんだよ。もちろん予算や物品なんかは学校と協議するけど、その協議の場に出るのも学生。というわけで学生会は万年人手不足で、何人でも何年生でも常に募集してるんだ」

 

 

 まるでアニメや漫画にあるようなそれなりの権力を持った生徒会なんだなと首を縦に振って納得する。とはいえ、この学校のシステム的に権力を持った組織なんて大人気になりそうなものだが、人手不足とは。若干気にはなるものの、別に今聞くまでのことじゃないなと思考の外に流す。

 

 

「それで今は新入生向けに希望者の説明会と、簡単な歓迎会をやってたんだけど……君も一緒に参加していく?」

「いや、俺は入る気はないので……すみません」

 

 

 実際のところ興味はあるものの、人手不足というからにはそれなりに忙しいのだろう。放課後はギルド活動や特訓やらに時間を使いたいため、残念ながら学生会に時間を割いてる余裕は無さそう。

 

 

「そっか、残念。まぁでもさっきも言った通り、学生会はいつでも人員募集中だから、気が変わったらいつでも声を掛けてね。えーっと………………よし。今きみの端末のアドレスにメッセージを送ったから、その私のアドレスを登録しておいて。学生会関係なく気軽に連絡してくれてもいいよ。それじゃあね、神凪くん」

「あぁ、はい。ありがとうございます」

 

 

 女子生徒はこちらの反応も待たずに一方的にまくし立てたかと思えば、さっと踵を返して部屋の中の喧騒へと戻る。勢いについつい生返事して立ち尽くしていたが、これ以上ここに居ても仕方がないと俺も構内散策の続きをするべくその場を後にする。

 歩きながら端末を開けば確かに1件のメッセージが届いており、『よろしくね』との短く簡易な分が表示されていた。アイコンをタップすれば先ほどの女子のプロフィールが表示される。4年生、守護科、速水楓。

 

 

「……あれ?」

 

 

 そういえば、とふと思い返す。速水さんは最後に俺の名前を呼んでいたが、俺は彼女に自己紹介をしていない。さらに言うと、何故俺の端末のアドレスを知っているのかも謎。休み時間のうちに端末を色々弄って見て確認してみたが、アドレスを追加するには直接個人コードを打ち込むか、相互に操作して直接交換するしかない。ほんのついさっきが初対面のはずの早瀬さんが俺の名前や個人コードを知るすべはないはずだ。

 

 

「……こわっ」

 

 

 まぁシンプルに俺の知らない方法があったりする可能性も全然あるわけだけども。

 ひとまずこの速水さんの連絡先は残しておくが、こちらから連絡することは無さそうだな。というかしたくない。怖いし。あと怖い。

 

 

 

 

 

 

 





少しでも見てくれてる人が居て嬉しいです。
感謝。
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