魔術高専   作:一般ゲーマー

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UA 130 - 109 × 100 = 2100文字
今回 2850文字 目標達成


1章-5 勧誘

 編入2日目。

 朝の1限目が始まる前に俺はテラス席のような場所で明星を待ち伏せしていた。理由は勿論、明星を俺の協力者に勧誘するためだ。明星の勧誘は諦めると言ったな。あれは嘘だ。

 ともかく、明星に話がしたいが、肝心の明星の所在が分からない。研究科だとは昨日聞いたがクラスまでは聞いてなかったし、連絡先も交換してないので2学年の全クラスが通るこの場所で明星が来るのを目を光らせて待機していた。

 だが、あと2分で授業が始まってしまうタイミングになっても明星は現れていない。

 もしかして見逃したかと、一旦俺も自分の教室に戻ろうかと腰を上げたその時、人通りの無くなった廊下をマイペースに歩く明星の姿を見つけた。恐らく開始のギリギリに来るんだろうなという俺の予想は当たったが、それにしてもギリギリを狙いすぎだろ。チャイムと同時に席に着くくらいの時間じゃないかこれ。

 

 

「明星」

「……えっ、なに」

 

 

 とりあえず立ち止まって話す時間はもう無いので、隣に並んで歩きながら声を掛ける。明星は話しかけられたことに驚いた顔をした後、露骨に面倒くさそうな表情を浮かべた。もう少し隠す努力をして欲しい。

 

 

「ちょっと話したいことがあるから、昼休みにでも時間がほしい」

「無理。それじゃ」

「えっ」

 

 

 取り付く島もなく、明星は秒で断りを入れると研究科の2組へと入って行った。

 無情にも取り残された俺は、授業開始のチャイムが鳴り響く中、急いで自分の教室へと戻った。

 

 そんな朝の一幕があったが、それくらいで諦めることはできず。

 昼休み、朝と同じ場所に待機して同じように明星を待ち伏せし、明星が教室から出てきたところを背後から追跡した。やってることまんまストーカーだな。訴えられたら負けそう。生活が苦しいので何とか土下座で許していただきたい所存。

 明星は片手に小さな袋を持ち、向かった先は一番でかい校舎である4号館の屋上。前の学校は立ち入り禁止だったのに、この学校は入れるのかと驚きながら後ろを付いていく。

 

 初めて入った屋上はフェンスはあるものの、かなり開放的で見晴らしが良い。何の植物か分からないが、いくつか小さな植物が花壇のように飢えて有り、ベンチも複数個がちらほら並んでいる。

 そんな中の一つ、給水塔の陰に隠れた日陰のベンチに明星は座ると小包から弁当箱を取り出した。

 いつまでもこうして見ているわけにはいかないので、俺も姿を見せて話しかける。

 

 

「明星」

「…………あっ、もしもし。目の前にストーカーが」

「判断が早い!」

 

 

 声に反応して俺の方に視線を向けたかと思えば、おもむろに携帯を取り出して操作し、耳に当てる動作と共に発した言葉を聞いた俺は状で土下座の体勢に移る。

 

 

「冗談。電話かけてないから」

「足くらいなら舐めるんで許してください」

「それをしたら今度こそ通報するよ」

 

 

 呆れたような声に俺はそろりそろりと顔を上げる。すでに携帯は仕舞ったらしく、明星は何事も無かったかのように弁当の蓋を開けている。

 

 

「食べている間なら話を聞いてあげる」

「あぁ、ありがとう」

 

 

 許可が下りたことで俺も立ち上がり、半人分の距離を空けて明星の横へと座る。明星と同じく持参した弁当を膝にのせて食べ始める。本当は暫く学食でも堪能しようと思っていたが、こうして昼休みも明星に接触しようと思って弁当を自作してきた。

 

 

「それで、話って何」

 

 

 さっさと済ませて欲しいとばかりに用件を伺う明星に、俺は冷食のからあげを飲み込み口を開く。

 

 

「俺の手伝いをして欲し――」

「やだ」

「判断が早いって」

 

 

 やはり食い気味に断る明星だが、昨日の反応からしてこれも予想済み。まずは一つずつ相手の言い分を聞いていくとする。

 

 

「昨日も言ったでしょ。私は沙雪さんからの誘いも断ってるって」

「なんで嫌なんだ?」

「普通の人は死ぬかもしれないことに首を突っ込みたくないでしょ」

「……ぐうの音も出ない正論」

 

 

 だが、その言い分なら反論の余地がある。

 

 

「ただ、明星にお願いしたいのは七瀬さんへの協力じゃなくて俺の手伝いだ」

「……何が違うの?」

「具体的には俺が強くなるためのトレーニングを手伝って欲しい」

「私戦えないんだけど」

「問題ない。戦う必要も動く必要もないし、ただ魔力を貰いたいだけだから」

 

 

 その魔力を与えること自体が結構なデメリットになったりするが、一旦は置いておく。だが本当にそれ以外は必要ないので、戦闘も命の危険も当然無し。

 

 

「シンプルに面倒くさいからやだ」

 

 

 一つ目の言い分を潰された明星の次の言葉は、そんな内容だった。だが、これも対策済み。七瀬さんが昨日零していたのもあるし、本人を見ていたら随分な面倒くさがりだと一目で分かる。

 

 

「それは俺にはどうしようもないけど、それを上回るメリットがあればどうだ?」

 

 

 ちょっと趣旨はズレるが、人は面倒だからと食事や風呂をさぼるなんてことは基本無いだろう。

 大人だって仕事が面倒と言いながら(偏見)、生活のために結局は日々社畜をこなしている。娯楽で例えると、趣味にお金をつぎ込むためにバイトに励む高校生だっている。

 要は面倒だって気持ちがあっても、それ以上のリターンを得られるなら面倒事だってやるはずだ。

 

 

「具体的には?」

「明星の要望があればそれでいいけど」

「特に無い」

「ならそうだな……APとか」

「現状で間に合ってる」

「明星の手伝いを」

「手が欲しいことはない」

 

 

 困った。提示できるメリットについては明星の要望に応えるつもりでいたのに、こいつ想像以上に無欲というか、想像を絶する面倒くさがりというか。

 魔力をあげるだけで報酬を貰えるなら随分と破格な条件だから、これで乗ってくれるとばかり思っていた。昨日だって結局は柊先生の報酬に釣られてたし。

 

 

「……ご馳走様でした。話はこれでお終いね。それじゃ」

 

 

 うんうんと唸りながらどうしようかと考えていると、一足先に昼食を食べ終えた明星が弁当を片して立ち去る。それを引き留める術もなく、俺も残りの弁当を頬張りながら第二のプランを練り始めた。

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 そして放課後。勢い勇んで最後の授業が終わってすぐに明星の教室を覗いてみれば、そこに明星はいなかった。

 

 水曜日。

 朝はあいも変わらずギリギリに登校するせいで話す時間は無く、昼休みは昨日と同じく屋上で待ち伏せしてみたものの現れることは無かった。

 

 金曜日。

 その日の放課後は研究科は別棟で授業らしく所在不明。

 

 翌週火曜日。

 朝は話す時間が無かろうととにかくコンタクトだけ取ろうとするが、やはり無理の一言でばっさりと切り捨てられる。

 

 水曜日。

 その日の放課後も、今度は俺側が移動授業だったのでまたも捕まえることは叶わず。

 

 木曜日。

 昼休みは前回の反省を活かして初日と同じようにテラスで待ち伏せるも一向に出てこず、痺れを切らして明星の教室を覗けば既に昼食を終えたのか机に突っ伏して寝ている。

 わざわざ起こして話そうとしても機嫌を悪くするだけなのは目に見えているので、すごすごと退散することにした。  

 放課後はギルド活動があるので俺の都合で時間を取ることさえ無く終わり。

 

 結局俺は明星と話すことさえ出来ずに1週間を過ごした。

 

 

 

 

 

 




県外移動だけど、移動中になんとか書けた。
今週末こそ本当に無理かも。

県外活動中だからしょうがないしょうがない……。
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