ニセコイ・モウソウ   作:ぬめり

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季節感なんぞガン無視でやっとります。
謎に宮本るりの名前を宮内と間違えるこの頃。

今更言うのも何ですが、この二次創作の主人公について。
彼はニセコイのストーリーの要所要所や事の顛末は何となく覚えているものの、細かい所は全く記憶にありません。偶に感じるデジャヴ程度の感覚しか持っていないのです。
ニセコイが好きといってもガチオタとかではなく、あの漫画好きだったなぁ、くらいです。

ぶっちゃけそのイメージの方が動かしやすいんすわ()


第五話

 夏休みに盛り上がるイベントの一つ、神社の縁日。

 

 簡易的な屋台が建ち並び、焼きそばやたこ焼きだったりのソースの焼ける香ばしい匂い、唐揚げやポテトやらの揚げ物の匂い、ベビーカステラや綿菓子といったお菓子の甘い匂いその他もろもろがない混ぜになった、縁日特有の不思議な空気。

 周辺地域の人々が一堂に会し、神社は人々でごった返しになる。その人々に向かって屋台の店主が呼び込みをする。

 喧騒という喧騒が一気に集まる場所、それが縁日だ。

 

 縁日のために紐を張って、宙からぶら下がる提灯の淡いオレンジの灯りは非日常を演出しているかのようだった。

 

 で、

 

 そんな縁日に来ているが、早速、一緒に来ていた妹が中学の友人と共にどっかへ行ってしまった。別れ際に「どうせ勝手に家に帰ってるから気にしないでー」とか言っていた。

 1人だけで動いている訳ではないので、まだ大丈夫ではあるだろうが…。

 

 母は母で「これで遊んで、ついでに晩ご飯も済まして来ちゃいなさい」と小遣いを割り増しで渡し、父は父で「別に時間は気にしなくて良いからなー」と放任気味である。心配のしの字もない。

 なかなか気の抜けた一家だ。生まれてここまで何の波風も立たない人生を送っているからこそだろう。

 

 気にするだけ無駄か。

 

 さてと、とりあえず腹拵えでもするか。たこ焼き、フランクフルト、焼き鳥、豚串、パッと見ても美味そうなもので目白押しだ。店主は何故か額やらに傷がある人や筋骨隆々とした人が…なんか…妙に強面が多いような…?

 

「あれ?おーい、悠也じゃねぇか」

 

「ん?」

 

 振り向くと、一条が器用にヘラを使って、鉄板で焼きそばを焼いていた。頭にタオルを巻き、汗が少し流れている。夕方とはいえ、夏の時期によくやるものだと思う。

 …いや、高校生が何やってんの?という疑問を一旦心に秘めて、返事をした。

 

「おー、一条。焼きそば焼いてんのか」

 

「おうよ」

 

「あぁ確か、坊ちゃんのお友達の!焼きそばお一つどうですかい?お友達ってことで、特別に差し上げますぜ」

 

 ひょこっと顔を出し、一条の隣に立っている集英組構成員の1人がそう勧めてきた。一応接客用の態度は取れているものの、この人も中々の強面だ。

 

「おいおい何勝手に…まぁいいか一つくらい。どうだ?」

 

「んじゃあお言葉に甘えさせてもらいますわ。大盛り一つ」

 

「あいよー…って大盛りかよ?!」

 

「良いじゃないか〜友達のよしみで〜」

 

「自分で言うなっつの。大盛りな、分かった分かった」

 

 一条は慣れた手つきで鉄板の焼きそばをパックに詰め始めた。まるで昔からやってましたみたいな面構えでテキパキとやる。うーん、なかなかの腕前…。

 

「ところでさ一条」

 

「ん?どうした?」

 

「何で焼きそば焼いてんの?」

 

「あぁ、ここの屋台のいくつか集英組(ウチ)が出してんだよ。だからその手伝いにな」

 

「実は坊ちゃん、朝からやってんですぜ?」

 

 隣の構成員が自分のところの跡取りを誇らしげに自慢した。

 

「うひゃー、そりゃ凄いな」

 

「いやいや他の奴らと比べたら全然だぜ?俺はそろそろ上がるけど、まだこいつら夜遅くまで働くしよ…ほい焼きそば」

 

「ありがとな…ふーん、シノギってのは大変だなぁ」

 

「いや言い方!…その通りではあるけど!」

 

 焼きそばを受け取って屋台を後にした。去り際に「もしかしたらまた会うかもな」と一条に言われたが、いかんせん人が多い。その確率は低いだろう。多分。僕は生返事をした。

 大盛りの分はまたどっかで返そう。

 

 その後コンソメ味のシーズニングがかかったいわゆるフリフリポテトや、屋台特有の割高なジュースを買って、飲食スペースを探し回った。先に見つけておくべきだったことを後悔した。

 

 気づけば夕日は沈んで薄暗くなっており、薄っすら月が浮かんでいる。熱々だった焼きそばは生温くなっていた。それでも美味いが。

 

「もぐもぐ」

 

「あら?あなたは確か…佐藤さん?」

 

「むぐ?あ、橘さんか。こりゃどうも」

 

 橘さんは花柄で髪色と合わせた橙色の浴衣を着ている。可憐な佇まいで、周りの人よりも目を引くとてつもない美人加減だった。この人に好かれている一条が羨ましい。

 

「どうも。佐藤さんはどういったご用件で?」

 

「僕ぁまぁ、単純に遊びに来たって感じで。橘さんは?」

 

「ふっふっふ、それは勿論、大人気の恋むすびですわ!アレを手に入れれば楽様をきっとイチコロに…おっと少し話しすぎましたわね」

 

「あー、そういうのありましたね」

 

「…?佐藤さんは興味ないご様子で?」

 

「いやぁあんまし信じてないというか」

 

「それは良くありませんわね、時には神頼みというのも大切でしてよ?信じる気持ちが扉を開く、なんてことがあるかも知れませんわよ」

 

 そうは言われてもなぁ、大体御守りって気休めくらいなもんだと思うが…、いや転生した自分が言える筋合い無いか。まさか自分の存在がトンチキな所為で神仏オカルトを否定しきれない日が来るとは。

 

「…かも知れませんわなぁ…」

 

 橘さんは実際恋というのにひたむきである。確か10年は前という約束を足掛かりに1人の男を愛し続けているのだ。当の一条はそこまで本気にしている訳でもないのにだ。

 恋の結末としては芳しく無いものであることを僕は知っているが、それにしたって報われないのは悲しい、そう思えてしまうくらい彼女は本気だった。

 

「そろそろ販売時間ですので、行かせてもらいますわね。それでは」

 

「へーい。一条と良いことあると良いねー」

 

「ありがとうございますー」

 

 ほんの少しだけ足早に橘さんは社務所の方へ向かって行った。人々の足の方向も明確に社務所に向かって進んでいるのが分かる。どんだけ人気なんだ恋むすび。

 ちょっと気になってきたが…混み具合的にすぐ売り切れそうだな。境内の方に向かって手でも叩いとくか。鶫誠士郎と付き合えますようにーなんつって。

 

 …あ、ということは屋台通りが人少なくなってんのか。遊びに行こ。

 

 残っていた焼きそばをかき込んで、席を立った。

 まだまだ金は残っている。1回遊ぶのに2、300円くらいと考えれば少なくとも5、6回とかか。さて屋台巡りの始まりじゃい。

 

「金魚掬い、亀掬い、スーパーボール掬い、ヨーヨー釣り…妙に水関連ばっかだなここ。他んところ行こ」

 

 ポイとかを扱う繊細な作業は不得手なのだ。一瞬で終わってしまう可能性が高い。

 1、2回くじ引きを挟んでみるとして、輪投げとか射的とかはどこだろうか。

 

「ここは…ヤモリ、ひよこ、ハムスター…生き物が多い…買えねぇし飼えねぇ」

 

 ダメだこりゃ。

 見逃してるところがあるかも知れないが、見つからない。

 

 本堂から少し外れたところにもあるようだから、そこに当たりをつけよう。それでも無理なら…この金は持ち越し。…持ち越しした方が建設的な気はするが、ここで楽しまんとして何をするってんだ(?)

 意地でも使ってやるんじゃい。

 

 お、あれは射的。

 

「おじさん一回ね」

 

「はいよぉ、これ弾ね」

 

 ふむ、一回300円で5発か。なかなかの優良店と見た。

 

「ちょっと鶫さん横失礼」

 

「ああ…って、ぬるっと出てくるな貴様!(?)」

 

 先に射的をしようとしていた鶫さん。紫陽花の柄が付いた青色の浴衣がよく似合っている。ちょっと綺麗すぎて心臓はち切れそう。

 

「まぁまぁ、良いじゃないっすか」

 

「ふん…。…ここは一つ勝負でもするか、佐藤悠也?」

 

「お、やりますか」

 

 射的用の銃にコルクの弾を詰め込む。銃を構えようとすると、律儀に台を乗り出さず、鶫さんは実銃でも扱うかのように構えた。

 

「ちっちっち、それでは当たりませんぞ」

 

「むっ、何がおかしいのだ。私の銃の扱いに間違いがある訳なかろう」

 

「こういうコルク銃は大体威力弱いんすよ。だからもういっそのこと…うおっ!?っとと」

 

 鶫さんに射的のやり方を教唆しようとしたところで、背後から何かに勢いよく突っ込まれた。背中からほんの少し獣臭と生温さが伝わった。

 

「痛ぅ、猫…?」

 

 目の端に絶妙にファンシーな顔をした猫が捉えられた。視線を前に戻すと…

 

「かっ、顔が近いわ馬鹿者!」

 

「ぶがぼうほがぁ!(不可抗力!)」

 

 迫り来る拳を避けることは不可能、思いっきり鶫さんにぶん殴られた。吹っ飛ばされて地面に打ち付けられる。殴られた部分と合わせてすんごい痛い。

 

 …ちょっと良い匂いした…。

 

 我ながら気持ち悪いが、匂いを感じれた駄賃と考えればちょっと安いかも…いや、流石に痛いわ。

 

「鶫!」

 

 僕のほんの少しの懸想を遮って、どこかから走ってきた一条が現れた。

 

「ど、どぼぢだんだおひでぃでょほ(ど、どうしたんだよ一条)」

 

「悠也!?お前こそどうしたんだよ…いや、そんなことより、今こっちにぶち模様の猫が来なかったか!?」

 

「あぁ…それなら今あっちに…」

 

 どうやら鶫さんも見ていたようで、猫のいる方向を指差した。え?事情分かってた上で殴られたの、僕?

 

「サンキュー!」

 

 一条は情報提供料としてコルク銃で軽くキャラメルを撃ち抜き、鶫さんに手渡し、猫を追いかけて走り去って行った。

 ば、馬鹿な、台に乗り出すことなしに容易く…!?

 

「…おー痛てて。……」

 

 鶫さんの顔を見ると、ほんの少しだけ頬が紅潮していた。そっか、そうだよなぁ、やっぱり。

 

「…一条楽は普通に撃っていたが…」

 

「…え?ああ、ありゃ例外ってやつですよ。本来ならこう…」

 

「何っ!?そんな乗り出してっ!?て、店主、これは良いのですか!?」

 

 やはりアメリカからやってきたマフィア、日本の文化は知らないようだな。誰が何と言おうとこれは文化だ。

 

「ん?まぁ、別にルールとか厳しく決めてないしなぁ。良いんじゃないかお嬢さん」

 

 だってさ。アウトすれすれでもセーフはセーフなのだ!

 

「おりゃっ」

 

 引き金を引き、コルクが発射される。

 コルクは景品を掠って虚しく景品台からこぼれ落ちた。

 

 …恥ず。

 

「貴様…その距離から外すとはどれだけ下手くそなんだ…」

 

「っすぅー…性能悪いねこの銃」

 

「ぷっ…はは」

 

 なんか分かんないけど笑ってくれた。可愛い。

 

「…残りは互いに4発、やりますか」

 

「ああ。大方射的について理解したからな、負けんぞ。…そうだな…あの熊のぬいぐるみでどうだ?」

 

「よっしゃ」

 

 射的勝負が始まった。

 

 一進一退の攻防…防…?で、単純に外れたり、当たっても落ちないを繰り返した。一度鶫さんが横から撃ってきて僕の弾が落ちたりもした。流石ヒットマンというべきか。いや今の反則では。

 

 追加投資も行って、最終的に僕の資金が尽きたことで勝負は終わりを迎えた。

 

 結局手元にあったのは一条が取ったキャラメルだけだった。

 

「他の物を狙っていた方が良かったかも知れんな…」

 

「うん…」

 

 ちょっとだけ気まずい。

 

「…これ、食べるか?」

 

 鶫さんは箱から一つキャラメルを取って、僕に差し出した。

 

「良いの?」

 

「これは一条楽の取ったものだしな。勝負とは関係ない」

 

「ではありがたく…うーむ、甘い」

 

「あむっ…うん、甘い…」

 

 好きな人の隣で食べるキャラメルはいつもよりも甘くて美味しい気がした。

 自分が取ったやつだったら…もっと良かったのかなぁ…。

 

 




どうなるんですかねこれ。
でも、どんだけ時間かかってもこれだけは終わらせるつもりではありますので、よろしくお願いします。
例えニセコイ界隈がどれだけ廃れようが、誰にも見られなくなろうが、推しが幸せになるところ見たいというエゴまんまんでやったりますわ。

一条楽は向こうで勝手に主人公やっとるイメージ。キャラエミュとか大丈夫ですかね?ついでに誤字とかも。なんかあったらお願いします。

次回は流れ通りだと海水浴のエピソードだす。もしかしたらオリジナルか、吹っ飛ばして2学期が始まっている可能性も無きにしも非ず。まぁ9割方海水浴だす。

感想、高評価くれたらモチベーション上がるなぁ…なんて…(p_-)
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