ビッグ7は沈まない   作:ドラフェノク

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今日の午前中に木曾と夕立が改二になって、サブ島(5-3)クリアしました。

我ながら濃密な午前だったと思います。


そして、10評価と9評価かをつけていただき有り難うございます!
筆者、感激です!(榛名並感)


幕間Ⅵ

「……」

 

食事が終わり、寝込んでいる三人を除いた三人は未だ食卓を囲んでいた。

 

「で、キンバラー」

 

「なんじゃ」

 

すっ、と濡れたサクランボのヘタを指差し、種を吐き出す。

カレーの鍋は空になり、代わりに彼の身体に魔力と瘴気が満ちていた。

 

「ヘタで何してたの?」

 

そう聞いた瞬間、金剛と加賀さんの視線があらぬ方向へと向かう。

相変わらず何を考えているかわからない加賀さんと、露骨にそっぽを向いて口笛を吹いている金剛。

 

加賀さんも一見無表情ながらにどこか冷や汗をかいているように見えるのは、気のせいではないのだろう。

 

「……あぁ、こういうことじゃな」

 

ヘタごと大ぶりに実ったサクランボを口に放り込み、ムグムグと頬張って種だけを出す。

 

「ほれ」

 

実を味わい、種を出してから数秒後、ヘタの先が唇からひょっこりと顔を出した。

 

といっても、短いヘタが中央部分で結ばれている状態で、だが。

 

「……くだらなっ」

 

「そう言わんでやってみい」

 

数個のサクランボが目の前の小皿に盛られ、何故か視線がこちらに集まる。

 

「参考にしたいんだが、加賀さんと金剛はできたのか?」

 

「できんできん、素質がないわい」

 

なんの素質だ。

そう突っ込みたい自分を抑え、盛られたサクランボの実からヘタだけを取り、実だけを食す。

食った数だけ種を真ん中にある種入れに排出し、小皿には数本のヘタだけが残された。

 

「……やらないのかしら?」

 

「やるけど……大した物はできないから、あんまり期待しないでくれよ」

 

この本数じゃ出来て簡素な塔か、頑張れば熊手。

見栄えがいいのはどちらかと言うことを口で適当に結びながら考えていると、金剛が何かを言いたげにこちらを見てくる。

 

「提督、別に無理する必要はありまセーン。こんなこと出来る方が珍しいデスシ……私は提督が上手かろうが下手だろうが気にしまセーン!」

 

口内はただいま戦闘中なため、視線で発言を促すと、いつも通りの元気な声が飛び出した。

 

何を言っているかは誠に不明……というか、何が上手いのか何が下手なのか、それが金剛にどう関係するのか、この行為が何の上手い下手の判断材料になるのかは激しく疑問だが―――

 

「はい、塔」

 

これくらいは普通にできる。

 

「……は?」

 

「は?じゃねえよキンバラー。お望み通り結んでやったんだから、こう……何かないの?」

 

別に期待はしていなかったが、人外代表たるこの女に人外を見る目で見られたくはない。

 

「提督」

 

「ハイ」

 

鷹のような眼光を眼に宿らせながらこちらへ視線を向けた加賀さんに、思わず謹直に返事を返す。

 

虎こと長門なら何となくセーフなんだが、加賀さんは適度にこちらの身が引き締まる視線を送ってくるからいい。

 

彼女とはなんとなく、なあなあな関係にはならないのだ。

 

「コツは?」

 

「舌を指だと考えながら動かすことです、サー」

 

そう言った瞬間、目の前に積まれていたサクランボが三房消え失せる。

 

女性陣の口がモゴモゴしているところを見るに、出来ていたキンバラーを含めて再挑戦しているらしいが……

 

(キンバラーは俺に負けるのが嫌だという意地が原因だとして、だ。

何故加賀さんと金剛が未だモゴモゴやってるんだ……?)

 

「朝飯前じゃな」

 

「や り ま し た」

 

「Perfect、ネ!」

 

ヘタを三つ使ってトライアングルのような珍妙な形に仕上げたキンバラーは置いておいて、加賀さんは十五分の、金剛は二十分の格闘の末に成功を収める。

 

そして、加賀さんの『やりました』が勝利の美酒に酔っぱらっている時のソレになった。

お互いの視線の先を見るに金剛に勝ったのが嬉しいらしい。

 

「お三方、気が済んだならさっさと出るぞ。あ、キンバラーはとっとと帰れ」

 

「断る」

 

「帰れ」

 

「カエレ!」

 

オウムのように俺の言った言葉をそのままキンバラーにたたきつけるほっぽちゃんに和みつつ、柔らかい白髪を撫でる。

 

「カエレ!」

 

ひとまず撫でるのをやめると、再び可愛い言葉がキンバラーを襲った。

 

チラリとこちらを見上げてくることから考えるに、『カエレ!』と言ったら撫でてもらえるみたいな理解の仕方をしてしまったらしい。

 

「禁忌人形にしてやろうか……?」

 

「カエレ!」

 

この場に百人居たら百人が怯むであろう脅し文句にも全く怯まず、更に言い募る。

 

「……まあ、いいや。バレないようにしろよ」

 

「シロヨ」

 

キンバラーの額にピキッと青筋がはしり、その割には特に何もすることもなく瘴気となって霧散した。

 

「ほっぽちゃん、真似はいいけど」

 

「イイケド?」

 

「使い方と意味も考えなきゃダメだよ?」

 

「ウン」

 

無邪気に頷いたほっぽちゃんに和まされながら、小さな身体を抱き上げる。

 

ちっちゃ可愛い。それを体現したようなこの幼女は、まさに天使と言えた。

 

俺の娘は百人を超す勢いで増えてきているが、半数近くが大人な女。幼女連中は俺の指揮下に入らないから疎遠。

 

後継者にしようとしているキソーは外見上は俺と殆ど同年代なのだし、長門・加賀さん・金剛の三人衆は外見上は二十代。

 

周りにいる女性陣の中で、唯一ロリコニア出身の天使。それがこのほっぽちゃんなのである。

 

まあ、成長すると胸囲の格差社会の頂点を極めることになるが……それは今どうでもいいことだ。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

行き先は、英国陸軍演習場。

招待状を胸ポケットに差し入れ、後ろに美女を侍らせ、俺は時間に余裕を持って出発した。




読了ありがとうございました。感想・評価いただけると幸いです。
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