紫煙少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

7 / 8
心操と山如がただただゲームを楽しむまったり回となります


ランキング36位に入っててめっちゃ嬉しかったです
応援有り難う御座います


襲撃後のお話

 USJで起きた(ヴィラン)の襲撃。

 オールマイトや他のプロヒーロー達がUSJに現着して事態の収拾を計る。

 そうして……主犯格こそ取り逃したものの総勢79名の(ヴィラン)を捕縛、警察へと引き渡し……A組及び担任は事情聴取の為にクラスにて一時待機を言い渡される。

 事情聴取も終わり放課後。

 心操と一緒に帰り一旦お互いの家に戻り後程、駒草家での食事を行う予定であった……。

 心操一家が駒草一家にお邪魔して月に4回程食事会が開かれる。

 逆も然り、駒草一家が心操一家にお邪魔しての食事会もある。

 


 

 そうして、食事会が開かれ和やかな雰囲気で歓談と食事が行われていく。

 両家の親も共に話が弾み、山如と心操も話が弾んでいく。

 

 食事の後……それぞれの家の両親は歓談を行なっており、心操と山如の2人は山如の部屋でまったりと映画を観ている。

 心操の膝に座りぐでぇっとだらけながら足を伸ばす山如。

 山如は心操に身体を預けて完全に脱力しており対する心操も自身にもたれかかってきている山如に慣れているのか軽くあしらいつつ映画を鑑賞する。

 2時間30分後、アクション映画をエンドロールまで見た2人。

 互いに感想を述べて時間を確認すると22時45分。

 夜も更けているが明日は臨時休校という事で……まだまだ楽しむ時間はある。

 何かゲームをしようと告げ、今度こそ勝つと息巻いて心操は本棚の隣に置いてある山の様なゲームセットの中から幾つかのゲームセットとカジノチップのセットを取り出す。

 山如の眼がギラリと猛獣の眼を思わせる眼光と共に……顔付きが変わる。

 

「勝負内容は自由に決めて良いよ?」

 

 山如よりそう語られて……心操はダイス、花札、トランプ、コイン、ルーレットを見つつ思案する。

 山如の部屋にはありとあらゆるカジノゲームが取り揃えてある。

 心操はそれを踏まえて思案する。

 今度こそ勝ちたい、勝って……一泡吹かせてみたい、成長を見て欲しい。

 そう思い……ダイスと心操の手より若干大きいサイズに作られた黒い色で染め上げられた金属製の長方形の箱を持ち語る。

 

「久しぶりのダイスゲームで丁半はどうだ? ……子の勝利条件は元手の10倍に増やす事……親の敗北条件は子のチップが元手の10倍に増える事」

 

 その申し出に山如は肉食獣の如き獰猛な笑みを浮かべ……了承する。

 そうして……ゲームの前に、尤も重要な親決めがスタートする。

 親決めは5個のダイスの出目の和の多い方が親と子の決定権を有するというルールを設定して心操から箱にダイスを投げ入れて開封する。

 出目は30。

 最大値を意図も容易く、息をする様に出した心操。

 対する山如も箱受け取って、箱へとダイスを投げ入れて振り開封する。

 出目は心操と同様に狙い澄ましたかのように30。

 胴元や親が圧倒的に有利なのは変わらない……それが丁半なら尚の事。

 互いに譲らずに最大値を出し続けて30回目の振り直しとなる。

 親を譲らない2人。

 35回目の振り直しで心操の出した出目は29……。

 対して、山如は変わらず30を叩き出す。

 

「親は私がやろうか……なぁに、簡単な事だ、たかだか二分の一を当て続けるゲーム……チップ数は100,000で異論はないかな? 手数料(コミッション)は5,000で3ゲーム毎に10,000ずつ上乗せ……ゲーム数が2桁になったら手数料(コミッション)を更に倍額払いで行こう、ではゲームを始めよう」

 

 イカサマ防止の証明の為に山如は衣服をはだけさせてサラシが見えるまではだける。

 金属製のダイスカップにダイスを投げ入れて振る山如。

 丁半は至って簡単なルールだ。

 ダイスの出目の総数が(偶数)(奇数)かを当てるゲーム。

 毎ゲーム毎に賭け金とは別に手数料(コミッション)の徴収が為される為に大きく張る時は張らないとジリ貧になる。

 慣れた手つきでダイスカップを弄びながら口上を語る山如。

 

「ハイ、ツボをかぶります」

 

 カタンっという軽快な音と共に被せられたカップ。

 そうして心操を見つつ続く口上。

 

「丁か? 半か? どちらでもお好きな方に」

 

 1分ほど逡巡した心操。

 ……山如や心操にとって丁半は運ではない、山如と心操は熟達した壺振りの技術を有する。

 それは34回に渡る最大値の引き分けを見れば分かる、互いにとって極めて低確率などという言葉は意味を為さない。

 そもそも2人ともダイスゲームでは普段滅多に遊ばない。

 何故ならば……1番面白く、1番熱狂出来、まさにこれこそがダイスゲームの醍醐味とも言える『運』の要素を2人は『技術』で根本から台無しにしてしまう。

 確率や勝率が0%じゃなければどうとでも動かせるのが2人の腕。

 故に此処で読み合うのはただ(偶数)(奇数)ではない。

 親である山如の心理や手癖まで読み解かなければ惨敗するのは目に見えている。

 暫く考え込み……ようやく手を決める心操。

 手元のチップの5万を賭けて語る。

 

「半だ」

 

 そう呟くと山如は語る。

 

「コマが揃いました」

 

 そう語り山如はイカサマ防止を徹底しており左手をツボに置いたまま右手の指の股を大きく開いて手の平は心操が見やすい様にツボの横に伏せる。

 そうして、カップが開かれる。

 

「サブロクの半‼︎ 見事です」

 

 丁半は賭け金と同額が払い戻されるゲーム。

 故に元手の10倍を稼ぎ切るには元手が多ければ多い程速く稼げる。

 しかしながら50%の確率を更に高くするには相手の手癖や心理すら読み解かねばならない。

 運否天賦の結果、勝てたなど、山如曰く運が良かっただけらしい……。

 雄英の入試だってそうだった、最後の実技試験は文字通り運否天賦に任せたが……それに至る迄は常に本気で獲りに行っていた。

 ルール、前提、賭けるもの、心理状態、能力値、タイミング、調子……そういう無数の〝見えない変数〟で、ゲームの勝敗は、始める前には終わってる。

 偶然なんて、ない。

 ──偶然とは。 見えない変数がもたらす、予測できない必然の別名に過ぎない。

 知ってれば『1.92%』が『100%』に変わる。

 それを知らない奴はただ単純に、自分の運が悪かった(・・・・・・)と愚痴を垂れ……知ってる奴は必然的(・・・)に勝ちをもぎ取っていく。

 そう思案し……山如の次の一手を読み解く心操。

 賭け金である100,000のチップを払い語る。

 

「丁だ」

 

 9ゲーム目。

 此処まで当たり外れは当たりが7回、外れが2回。

 手数料(コミッション)は35,000。

 賭け金とは別に残っている手持ちのチップは手数料(コミッション)を払い14万5000。

 勝利条件の1,000,000にようやく1割届いた……此処からは張る額を見定めないといけない。

 化け物の様な強さを誇る山如に勝つにはあらゆる方策を徹底して思案し精査する事が必要不可欠なのだから。

 カップが開かれて山如が声を上げる、

 

「ピンゾロの丁‼︎ 素晴らしいですね」

 

 34万にまで到達した手持ちを見つつ心操は思案する。

 最速で行けば後2回で勝てる。

 フルベットを行い山如の手を読み解けばいい。

 だが、3ゲーム毎に上乗せされる手数料(コミッション)を考えに入れると……手持ちを手数料(コミッション)以下にした時点で事実上の敗北となる。

 長引く分だけ子である心操には不利となる。

 故に此処は全額フルベットして最速で勝利……。

 そうして……大勝負の1回目を制して68万まで増やした心操。

 大勝負の2回目。

 半に賭けた心操。

 しかし、丁の目が出てほぼ半額を持っていかれる。

 手数料(コミッション)で更に持っていかれて後がない。

 此処で賭け金を減らしても手数料(コミッション)で持っていかれて後がない。

 そうして……勝負を決する賽の目の開封となり……。

 


 

「まさかあそこから全額持っていかれるとは……」

 

 残念そうにそう語る心操。

 あの後……立て続けに心操の宣言した目とは逆の目を出し続けて全額を奪い取った山如。

 やはり2人にとってダイスゲームは圧倒的に親番が有利であり、如何に親を獲るかが勝負の分かれ目となる。

 続くゲームはインディアンポーカー。

 チップを均等に振り分けて、BB(ビックブラインド)SB(スモールブラインド)、そして手数料(コミッション)などの取り決めを行いゲームがスタートした。

 

 まだまだ夜を楽しむ山如と心操であった。




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