魔法乙女達の魔力を借りて翼を生やしたマスターはロロイとともにセツナラードへ。
セツナラードとはジルバラードの真近くにある世界でジルバラードとは親戚のような世界に当たる。
その世界は今危機に立たされていた。
その世界は今や地獄絵図。全てが荒れ果て魔物の巣窟と化していた。
「ベニエ嬢は大丈夫なのだろうか?」
「どうにかなる前に助けるんだ!」
この惨状に息を呑む2人だったがせめてマスターだけはロロイに叱咤し自分にも言い聞かせる。
『グオオオオォ!!』
魑魅魍魎の魔物の群れが襲いかかってきた。
「くっゴエティア!!」「アルテミス!!」
ロロイとマスターは弾幕を放ちながら魔物達を撃退。
「さあ行こう!」「お供いたしますぞ!」
マスターとロロイは魔城と化したかつてのセツナラード城へ乗り込む。
一方のベニエは籠城戦を繰り広げていた。
「鎧よ!あいつらをやっつけて!!」
『了解でっす!!』
城の飾りである鎧達が槍を向けながら魔物達に突撃。
彼らは人ではなく城の飾りに過ぎないがなんと彼らはベニエの異能で動いていた。
因みにこれはベニエがWNIを読み、瞬一というキャラに憧れて身につけた異能だ。
『なんだぁ生き物でもない魔力で動いているだけのデク人形が!』
魔物達は鎧の群れを次々と崩してしまう。
「くうこうなったら花さんも肖像画も服も何もかも使っちゃえ!」
ベニエは城のありとあらゆるものに命を吹き込み魔物達をけしかける。
しかし次々とそれらは魔物達に破られる。
「あぁそんな…手持ちのものがほとんどない…」
ベニエは顔が真っ青になる。
魔物達に襲われたらここで終わりだ。
どうせ魔物に殺されるならその場で自殺した方が…。
ベニエは目を瞑り自害しようとした。
しかしある声がベニエを留まらせるのだ。
『ベニエちゃん死なないで!』
「その声はスフレちゃん!?」
なんとスフレがベニエに呼びかけていた。
スフレ含む、5人の魔法乙女達はベルメイユにいながらマスターに魔力を送り続けているが、なんと魂だけは飛ばすことが出来た。
よってマスターの側で戦ったり、助けたい対象の元まで魂を飛ばす事は出来る。
『マスター達が今ベニエちゃんを助けに行ってる!そしてそしてティアラ姫もベニエちゃんの無事を願ってる!だから踏ん張って!!』
続いてラナンの声が。
「スフレちゃんの無邪気な声とラナンさんの温かい声が懐かしい…どんな苦境に立たされてもベニエは生きなきゃ…そうですよね瞬一さん!」
ベニエは無事を願っている者達の思いに答える為に次々と家具や飾りに命を吹き込ませ魔物達と必死に戦った。
(*因みに瞬一とはベニエが読んでる好きなキャラの事で知り合いなどではありません)
しかしこれらは魔物達の前ではことごとく無力。
もはや万策は尽きていた…。
「こうなったら逃げて時間稼ぎしなきゃ…」
ベニエは逃げながら隠れ、逃げながら隠れを繰り返して時間稼ぎをする。
それが功を奏したのか、魔物が断末魔をあげながら次々と消滅していく。
「え…?」
汗をダラダラ流しながら縮こまっていたベニエはその突然の奇跡に我を取り戻す。
ふと影が覆ったかと思うと「大丈夫ですかお姫様?」
と温かい声が。
顔を上げるとマスターとロロイの多少よれついた服と疲弊はしているが整っていて端正な顔立ちが見えた。
「お兄様!!」
ベニエはロロイに飛びつく。
「よしよし無事で良かったですぞ」
「ま、まあ君が無事でよかったよ…」
自分が近くなのに何故かロロイに飛びついたもんだからマスターは多少複雑な気持ちにはなった。
「しかし安心するのは早い早く脱出しよう!」
そしてマスターとロロイはベニエを連れて避難させようと向かった。
しかし…
マスターは考え事をしていた。発達障害の特性で状況と関係ない事を時々考えてしまう事があるのだ。
(お金使い過ぎたな…来月の請求書見るのが怖い…)
その為至る所に隙が出来てしまう。
「マスター危ない!!」「え?」
そんな時ベニエがマスターに飛び込んだ。
その刹那弾幕がベニエを貫通する。
「「ベニエ!!」」
全身に傷を負い倒れ伏すベニエ。
「ベニエ!しっかりしろ!!」
「えへへ…私もう駄目みたい…ティアラ姉ちゃんに伝えて…短い間だったけどベニエはティアラ姉ちゃんとお友達になれて良かったって…ガク…」
ベニエは死んでしまった。
マスターは戻るベニエの亡骸を抱き抱えて。
ーーー
「すみませんティアラ姫様…結局ベニエは亡くなってしまいました…」
マスターはベニエを抱えてこう報告。
「貴方がたはよくやってくれました…ベニエを連れてきてくれただけでも素晴らしいです…」
ティアラもまた、涙目になりながらもマスター達を労う。
そしてマスター達が部屋から出た後ティアラの泣き叫ぶ声が痛々しいほどに響きマスター達の胸を痛めた。