ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
バレンタインデーが近づき、学園内には不思議な緊張感が漂い始めていた。
女子たちがやけにソワソワしているのは、オレにもさすがにわかった。
オレはトレーナー室で、バトルビデオを見直していた。
すると、入口で激しい口論が始まった。
「ちょっとカスミ! サトシの隣は私が先に確保したのよ!」
「フン、セレナ。あんたが勝手にそう思ってるだけでしょう! ジムリーダーとして、サトシの集中力を乱すヤツは許さないわよ!」
カスミとセレナが、オレの隣の席を巡って睨み合っている。
オレが「二人とも、バトルに集中してるから大丈夫だよ!」と言うと、二人は同時に「そうじゃない!」と声を上げた。
セレナは悲しそうな目でオレを見つめた。
「サトシは本当に、こういうところ……鈍いよね」
(二人は、オレのポケモンバトルの反省点を、近くで確認したいんだ。旅を共にした最高のトレーナー仲間だ!)
その時、ヒカリが勢いよくトレーナー室に入ってきた。ヒカリは、大きな箱を抱えていた。
「ちょっと! サトシの邪魔しないでよ、二人とも! 私はサトシと、今度の休み、ポフィン作りの合同特訓をしたいんだから!」
ヒカリは、バトル中に体力を回復させるための「戦略的な栄養学なんだから!」と箱の中身を隠すように言った。
(ヒカリがポフィン作りでオレの健康を心配してくれている。本当に心強い!)
オレがバトルビデオの続きを見ようとすると、アイリスが部屋の隅で、黒い紙に何か熱心に書き込んでいるのが見えた。
「うるさいわね、サトシ! あんたの子どもな部分を治すための『ドラゴン直伝の心構え』をまとめてるの!」
(アイリスは、オレのトレーナーとしての成長のために、熱血指導の準備をしているんだな。)
オレが寮に戻ろうと廊下を歩いていると、リーリエが真っ白いクロスを抱えて、廊下の窓を丁寧に拭いているのが見えた。
「サトシ。もうすぐバレンタインですよね。私は、感謝を伝えるために、寮をいつもより綺麗にしようと思って……」
(リーリエは、感謝の気持ちを伝えるために、清掃という形で貢献しようとしているんだ。なんて優しいんだ。)
その様子を、グラジオは遠くから静かに見ていた。
「リーリエ、お前は絶対に変なことに巻き込まれるなよ」
オレには、グラジオの「妹を守る」という熱い決意が、痛いほど伝わってきた。
その日の夜、オレが寮の自室でピカチュウとストレッチをしていると、ゴウが入ってきた。
ゴウは何か小さな箱を握りしめていた。
「サトシ、タケシ。ちょっといいか」
ゴウは真剣な顔をしていた。
「コハルのことなんだけど……オレは、気づいたんだ。コハルの存在こそが、オレの『夢』だって」
ゴウは、ポケモン研究への熱意を語るように、早口で話し始めた。
「オレは、オレの図鑑を完成させるために、コハルが隣にいてくれることが、何よりも重要なんだ!」
「そうか、ゴウ。コハルは最高の研究パートナーだからな!」
オレはゴウの熱い友情に感動した。
翌日、夕食時。オレは食堂の隅で、顔を真っ赤にして泣いているコハルと、彼女を優しく抱きしめるゴウの姿を見た。
コハルはゴウに何かを伝え、そしてゴウの胸に顔をうずめていた。
ゴウは感極まった様子で、コハルの頭を撫でていた。
タケシは目頭を押さえながら、「あの熱意、オレもジャック先生に伝えるぞ!」と叫んでいた。
ケンジがすかさずタケシを止めていた。
バレンタインデー前夜。
オレの周りでは、友情とライバル心が入り混じった、複雑な感情が渦巻いていたが、オレの心は晴れやかだった。