ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
バレンタインデー当日を控え、学園の調理室は異様な熱気に包まれていた。
オレはマオに「試食係になれ」と連れてこられたが、そこはまさに「友情の特訓場」だった。
調理台の真ん中では、ヒロインたちが火花を散らしていた。
全員がエプロン姿で、真剣な表情をしている。
カスミは、特大の水ポケモン型のチョコ細工に没頭していた。
「サトシに贈るなら、最高の芸術品でなきゃダメでしょう! 私がジムリーダーとして築き上げた絆の証よ!」
セレナは、ポフレをベースにした華やかなチョコを繊細にデコレーションしていた。
「サトシが一番頑張れるように、このチョコには私の『特別な想い』を込めるんだ」
ヒカリは、タッグバトル中のエネルギー補給を意識したポフィンチョコ。
ハルカは、旅の思い出を表現したフルーツタルト。
アイリスは、ドラゴンの鱗のような精神矯正用チョコ。スイレンは、深海探査に必要な集中力を高めるためのデータが詰まったリアルなチョコを作っていた。
全員が、オレの特訓に役立つものを必死に作ろうとしている!
(……みんな、オレのことを考えてくれてるのは分かる。でも、それがどういう気持ちなのかまでは……まだ、ちゃんと掴めてない)
調理室の隅には、サトシへのアピールとは関係なく、静かに作業する人たちがいた。
コハルは、ゴウのために、栄養バランスを徹底的に計算したシンプルなチョコを作っていた。
「ゴウは、図鑑完成のために、少しでも効率よく栄養を取らなきゃ。これは、研究のサポート」
そして、マノンがアランのために、可愛らしいメガシンカのキーホルダー型チョコを作っていた。
マノンは「アラン、いつも私を守ってくれてありがとう!」とそっとチョコを包んでいた。
(ゴウとコハル、アランとマノンも、最高の仲間同士で協力し合っている。オレたちも負けられない!)
リーリエは、白いアローラロコンのチョコに「感謝を込めて」とメッセージカードを添え、丁寧に包んでいた。
その様子を見ていたグラジオが、オレとリーリエの間に割って入るように近づいてきた。
「リーリエ。無理をするな。このイベントで、お前の純粋な気持ちを、誰かに利用されるようなことがあってはならない」
(グラジオは、妹の純粋な気持ちが傷つかないように、心底警戒しているんだ。熱い絆だ!)
タケシは、ブリアー先生のために、女子たちの熱意に負けない「愛情たっぷり回復チョコ」を猛スピードで作り上げていた。
「サトシ! ヒロインたちのこの熱意は、全てお前の強さへの期待だ! 俺もブリアー先生の健康を支えるぞ!」
オレは調理室の熱気に圧倒されながらも、感動で胸がいっぱいになった。
「みんな、オレのポケモンマスターへの道を、こんなに協力して、全力で応援してくれているんだ!」
オレは、全員の熱意に応えるべく、大きな声で宣言した。
「みんな! 明日のバレンタイン、全力でチョコを受け取るぞ! そして、その『友情パワー』を力に変えて、修行に励むことを誓う!」
ヒロインたちは、オレの言葉を聞いて一瞬固まった後、顔を真っ赤にして、各々のチョコレートをオレに背を向けるように隠した。
彼女たちの顔には、悔しさと、喜びと、複雑な感情が入り混じっていた。
明日は、バレンタインデー本番だ!