ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
ブルーベリー学園に入学してすぐに、オレたちの授業は、テラスタルの理論と実習に移った。
今日の特別講師は、情熱的な研究者、ブリアー先生だ。
タケシは「ジャック先生とはまた違う、知的な魅力がある!」と目を輝かせているが、ケンジに「ターゲットが多いな」と静かにツッコミを入れられていた。
実習は、広大なバトルフィールドで行われた。
ブリアー先生がオレたちに課した課題は、「普段のタイプではない、意図的に別のタイプにテラスタルを変化させる」という高度なものだ。
ブリアー先生はオレを指名した。
「サトシ君、ピカチュウをあえてこおりタイプにテラスタルさせてみましょう。君たちの集中力と絆の試金石です!」
「こおりタイプ……ピカチュウが氷?」
オレは困惑したが、ピカチュウがオレの気持ちに応えようとするのがわかった。
「ピカチュウ! いけ、テラスタル!」
ジュエルが輝き、エネルギーが降り注ぐが、失敗だ。
ピカチュウは、頭に氷の結晶を載せたまま、ガタガタ震えている。
周囲から笑いとざわめきが起こった。
その中で、一人、冷酷な声が響いた。
「くだらない。経験則だけで戦ってきたツケが、こういう結果を生む。集中力の欠如だ」
声の主は、かつてシンオウ地方で何度もぶつかり合った宿命のライバル、シンジだった。
感情を排し、理論と効率だけを信じる戦い方は、今も変わっていない。
シンジのポケモンは完璧にタイプチェンジに成功し、賞賛の声が上がる。
シンジはオレの方を見もせず、言い放った。
「テラスタルは、熱い絆や情熱で成功するような、生温いシステムじゃない。理論と冷静な判断力だ」
(シンジは相変わらず手厳しいな。次はもっと冷静に理論を意識して挑まないと、真のポケモンマスターにはなれない)
オレが落ち込んでいると、すぐに仲間たちが駆け寄ってきた。
「サトシ、大丈夫!? ピカチュウ、冷たかったでしょ!」
カスミは真っ先に駆け寄り、ピカチュウをタオルで拭いている。
(カスミは本当に優しい仲間だ)
「サトシ、こおりのテラスタルは、みずの流れを意識するといいよ! 私とポッチャマなら完璧にサポートできたのに!」
ヒカリが、悔しそうにポッチャマを抱きしめた。
(ヒカリはタッグバトルでまた連携をとりたいんだな)
「サトシ、無理しないで。でも、落ち込んでるサトシも、す……嫌いじゃないよ」
セレナは、オレの腕にそっと手を添えてきた。
(セレナは、オレが失敗しても励ましてくれる最高の仲間だ)
離れた場所で、シゲルがブリアー先生に熱心に質問をしていた。
「ブリアー先生、テラスタルの結晶構造が持つエネルギー効率の最適解は、トレーナーの集中力との相関関係に依拠するものでしょうか?」
シゲルは、オレたちの失敗には目もくれず、学術的な頂点を目指している。
(シゲルも、オレと同じように、ポケモンへの飽くなき探求心を持っているんだ。最高のライバルだ!)
オレがヒロインたちに囲まれている様子を、ホップが食い入るように見ていた。
「サトシさん、すげえな! 失敗しても、あんなにみんなに囲まれてる! でも、俺はあのシンジってやつに勝って、兄貴に近づくんだ!」
ホップは闘志を燃やしていた。
オレは、ピカチュウを抱きしめ直した。
「くそっ、シンジには負けられない! ピカチュウ、みんなも応援してくれているんだ。次は勝つぞ!」
テラスタルを巡るバトルは、単なる熱意だけでは勝てないことを、この学園は教えてくれようとしている。
オレは、仲間の熱い友情と、ライバルの厳しい言葉を力に変えて、次の挑戦に備える。