ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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アイリスの想い〜未来を照らす約束(7/8の可能性)

ブルーベリー学園、テラリウムドーム内のジャングルエリア。

夜になり照明が落ちたドーム内は、野生の熱気と幻想的な静寂に包まれていた。

 

オレは大きな木の根元にあるベンチに座り、暗闇の向こうから漂う森の匂いを吸い込んだ。

 

「ピカ……」

膝の上で丸くなるピカチュウが、緊張を解きほぐすように鳴く。

 

誰かの真っ直ぐな想いに向き合うのは、何度経験しても慣れることはない。

けれど、ここで言葉を濁すことこそが、相手への最大の非礼になると、オレは自分に言い聞かせていた。

 

「サトシ。このエリアの空気は、野生のエネルギーと決意が混ざり合った、非常に高貴なアロマを醸し出しているね」

暗闇から、静かにデントが姿を現した。

 

「デント……。起きてたのか」

 

「アイリスが来るよ。彼女の心のフレーバーは、今、かつてないほど鋭く磨き上げられている。サトシ、君の出す答えが、彼女という一輪の花をさらに強く咲かせるための『エッセンス』になることを願っているよ」

 

デントは優雅に一礼すると、夜風に溶けるように立ち去った。

親友として、そしてソムリエとして、オレたちの「最高の答え」を信じてくれているのが分かった。

 

やがて、頭上の枝を器用に伝う音が聞こえ、アイリスが身軽にオレの前に降り立った。

 

「サトシ。……ホワイトデーの返事、ちゃんと言いに来てくれたんだね」

いつもの快活な調子を装っているが、その瞳には深い緊張が宿っている。

 

オレは立ち上がり、アイリスの瞳を真っ直ぐに見つめた。

「ああ。アイリス……。気持ち、本当に嬉しかった。でも、オレは……アイリスの想いには応えられない。悪い」

 

アイリスの顔から、一瞬で色が失せた。

両手をきつく握り、唇を噛みしめる。

 

涙を見せるまいと、わざとらしく上を向いた。

 

「……やっぱりね。そういうところ、ホントに子どもなんだから」

震える声。

 

いつもの台詞が、今は自分を支えるための唯一の盾のように聞こえた。

 

「アイリス。オレは、アイリスと出会って、ドラゴンの強さや、才能にいつも驚かされてきた。……でも、オレの心には、生涯を懸けて守りたいと決めた大切な約束があるんだ」

 

(……そうだ。ずっと胸に秘めてきた、あの笑顔がある。その存在に胸を張って向き合うために、オレは一歩も引くわけにはいかない)

 

オレは言葉を続けた。

「アイリスの夢は、自身がその強い意志で叶えるべきものだ。オレは、ポケモンマスターを目指す。別の場所からだけど、最高のドラゴンマスターになるのを、誰よりも信じてる」

 

「……わかってるわよ」

アイリスは、大きく深呼吸をしてからオレを見据えた。

 

「サトシが決めたことなら、もう何も言わない。……だって、サトシはいつだって、自分の心に正直な『子ども』なんだもんね」

 

一筋の涙を乱暴に拭うと、隣に現れたオノノクスの体を優しく撫でた。

「わかったわ、サトシ。サトシが選んだ道の先が、本当に正しいか……私がドラゴンマスターになった時に、見極めてあげる。その時、もし迷子のままでいたら、今度こそ私が叱ってあげるから!」

 

アイリスはそう言い残すと、オノノクスと共にジャングルの暗闇へと力強く消えていった。

一人残されたベンチに、アイリスの熱い決意が残っている。

 

(アイリス、ありがとう。……その光に負けないくらい、オレも、決断の先にある未来へ突き進むぜ)

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