ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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マオの想い〜太陽が沈む場所で見つけた答え(7/8の可能性)

オレはブルーベリー学園の学生食堂の片隅にある、テラス席にいた。

ここは夜になるとハーブの香りが漂い、どこかアイカ食堂の裏庭を思い出させる場所だ。

 

「ピカチュウ……。あと、もう少しだ」

ピカチュウはオレの膝の上で、元気づけるように「ピカピ!」と短く鳴いた。

 

オレは、今日という日の重さを噛み締めていた。

一人ひとりの想いと向き合うたびに、オレの心は削られ、重い鉛を抱えているようだった。

 

誰かを選び、誰かを選ばない。

その決断がどれほどの痛みを伴うか、今さらながら痛感している。

 

「サトシ。分析データによると、君の精神的な負荷はもう限界値に近いよ」

 

暗がりのベンチから、トゲデマルを連れたマーマネがひょっこり顔を出した。

「熱量」を分析していたあいつは、今もスマホロトムを手に、静かにオレを見つめていた。

 

「マーマネ……。まだ起きてたのか」

 

「マオがもうすぐ来る。あいつ、アイカ食堂の新メニューを開発する時みたいに、ずっと一生懸命、君への言葉を練ってたんだ。……計算じゃ割り切れない想いって、本当にあるんだね。サトシ。太陽は沈む時が一番綺麗だけど、一番寂しいんだよ。……最後まで、ちゃんと見てあげてよね」

 

マーマネはそう言うと、トゲデマルと一緒に暗い廊下へと消えていった。

 

やがて、軽やかな、だけどどこか躊躇うような足音が近づいてきた。

マオだ。トレードマークのキャスケットを脱ぎ、両手で大切そうに抱えている。

 

「こんばんは、サトシ! 待たせちゃったかな?」

彼女はいつもの太陽のような笑顔を見せたが、その声はわずかに上ずっていた。

 

「マオ……」

 

「……ホワイトデーの返事、聞かせて?」

 

オレは、マオの温かい、茶色の瞳をまっすぐに見つめた。

 

「マオ。オレの答えは……ゴメン!!」

 

マオの笑顔が、一瞬だけピクンと震えた。

でも、彼女は泣かなかった。代わりに、大きく、深く深呼吸をした。

 

「……うん! わかってた。サトシは、嘘をつけないもんね」

 

彼女はテラスの柵に寄りかかり、夜のドームを見上げた。

「私ね、サトシに会って、世界にはこんなに美味しいものや、楽しいことが溢れてるんだって知ったの。お母さんのことがあって、一時期は心に霧がかかってたけど……。サトシが、その霧を全部晴らしてくれたんだよ」

 

「マオ……。オレは、マオが作ってくれる料理や、その笑顔に何度も救われた。マオの夢……アイカ食堂を世界一にするっていう夢は、絶対に叶う。オレは、心に決めた道がある。でも、マオの夢を応援する気持ちに嘘はないんだ」

 

「ありがとう、サトシ」 マオは振り返り、今度は少しだけ寂しそうな、でも晴れやかな顔で笑った。

 

「私、もっと修行するよ。サトシが選んだその人と、いつか一緒にアイカ食堂に来てくれた時……『あぁ、やっぱりマオの料理が世界一だ!』って言わせちゃうくらいにね!」

 

彼女はオレの手を取り、握手するようにギュッと握った。

その手は、料理人の、温かくて力強い手だった。

 

「サトシ。あんたが選んだ道、絶対に後悔しないで進みなさいよ。……もしお腹が空いて倒れそうになったら、いつでもアローラに帰ってきな。最高に美味しいご飯を作って待ってるから!」

マオはキャスケットを深く被り直し、一度だけ大きく手を振ると、食堂の奥へと駆けていった。

 

オレは、彼女が消えた後も、手に残る温もりを感じていた。

 

(マオ……。お前の笑顔は、これからもたくさんの人を幸せにするんだな)

 

決断の重みが、オレの肩をさらに重くする。

でも、その重みこそが、オレが選んだ道に対する責任なんだ。

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