ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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セレナの想い〜未来へ懸ける、新しい約束(7/8の可能性)

ブルーベリー学園、ユニオンルーム。

生徒たちの喧騒が消えた多目的ステージの上で、オレは一人、スポットライトの残像を見つめていた。

ここはパフォーマーやコーディネーターが自分を表現する場所。

 

セレナをここに呼び出したのは、セレナがカロスで手に入れた「自分の足で歩く強さ」を、オレが誰よりも認めているからだ。

 

「ピカチュウ、もう少しだけ……。見守っててくれ」

 

「ピカ……」

肩の上で、ピカチュウが優しく寄り添う。

 

かつて、カロスで別れる時、オレに、最高の「勇気」をくれた。

 

その勇気に答えを出すために、オレは今日、ここに立っている。

 

「サトシ。……やっぱり、ここにいたんですね」

暗がりから、眼鏡を光らせたシトロンが歩み寄ってきた。

 

「シトロン。……悪い、邪魔したか?」

「いえ。発明の調整をしていただけですから。……サトシ。セレナさんは、あの別れの日からずっと、サトシを追いかけるだけでなく、自分だけの光を見つけるために旅をしてきました。今のセレナは、もう守られるだけの女の子じゃありません。一人のパフォーマーとして、正面から向き合ってあげてください」

 

シトロンは静かに一礼すると、親友としての配慮を見せるように、廊下の奥へと消えていった。

 

直後、扉が開く。 そこにいたのは、落ち着いた、でもどこか華やかな空気を纏ったセレナだった。

瞳は、オレを真っ直ぐに捉えている。

 

その視線だけで、今日この日のために、どれほどの覚悟を積んできたかが分かった。

 

「サトシ。呼んでくれて、ありがとう」

セレナはステージの前まで歩み寄り、静かに足を止めた。

 

「ホワイトデーの、返事……。聞かせてくれるかな」

 

オレは、逃げずにセレナの瞳を見つめた。

「ああ。セレナの気持ち、本当に嬉しかった。あのアスカナ駅でくれた勇気、今でも忘れてない。……でも、オレは、想いに応えることはできない。ゴメン!!」

 

一瞬の静寂。

セレナは目を伏せることもなく、ただ微かに肩を揺らした。

 

「……そっか。うん。そうよね。サトシなら、そう言うって、どこかで分かってた気がする」

小さく、でも凛とした声で言った。

 

「オレの言葉を支えにしてくれたって言ったけど、オレの方こそ、セレナが頑張る姿に何度も勇気をもらったんだ。だからこそ、オレは『サトシを追いかけるセレナ』のままでいさせたくない。世界一のパフォーマーを目指すセレナは、誰かの隣にいるためじゃなく、自分の夢を叶えるために輝くべきなんだ」

 

セレナの瞳に、ゆっくりと涙が溜まっていく。

「……残酷だよ、サトシ。私が好きになったのは、そういう……自分の夢にも、他人の夢にも、絶対に嘘をつかない真っ直ぐなところだったのに」

 

一粒の涙を指で拭うと、最高に美しい笑顔を作って見せた。

「わかったわ、サトシ。私、決めた。私を振ったこと、世界で一番後悔させてあげる! サトシがポケモンマスターになった時、私がその頂点で、一番眩しい光になって祝福してみせるから。それが、私の新しい『約束』よ」

 

セレナは、カロスでのあの時と同じように、強く、気高く微笑んだ。

そして、今度は一度も立ち止まることなく、自分の未来へ向かって、真っ直ぐにユニオンルームを去っていった。

 

一人残されたステージで、オレはセレナが去った扉を見つめていた。

恋愛という形では、手を取ることはできなかった。けれど、セレナがくれた「勇気」は、今、お互いの夢を高め合うための「誓い」に変わった。

 

「ピカチュウ。……オレも、もっと高い場所へ行かなきゃな」

 

夜の闇が降りたユニオンルームで、オレは静かに、でも確かな足取りで一歩を踏み出した。

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