ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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黄金のサバンナ、アイナ食堂の看板娘に贈る『真実の愛』(1/8の可能性・前編)

テラリウムドーム、サバンナエリア。

乾燥した風が吹き抜けるこの場所は、アローラの温暖な気候をどこか思い出させる。

 

ポケットの中にある小袋の感触を確かめながら、黄金色に輝く草原を歩いていた。

「……マオ、この辺にいるって聞いたんだけどな」

 

放課後、食堂や実習室で顔を合わせるいつもの日常。

マオはいつも「サトシ、今日もいっぱい食べなよ!」明るく笑いかけてくれる。

 

けれど、今日はその笑顔にどう応えればいいのか、心が少しだけざわついていた。

胸の奥が、なんだか落ち着かない。

 

ポケットの中の小袋を確かめるたびに、心臓の音が速くなる。

バトルより緊張しているかもしれない。

 

(……マオ……)

 

声に出した瞬間、背後から聞き慣れた電子音が響いた。

 

「やっぱりここにいたんだね、サトシ」

 

振り返ると、マーマネがデバイスを片手に、少しだけ茶目っ気のある笑みを浮かべて立っていた。

トゲデマルが肩でピョコンと跳ねる。

 

「マーマネ……お前、何してんだ?」

 

「何って……君の応援だよ。サトシがここで立ち止まっちゃう確率は、僕が計算しなくても分かってたからね。マオならあそこの休憩所で、新しいレシピの試作をしてるよ。……冷めないうちに、早く行ってあげなよ」

 

マーマネはデバイスを閉じると、カキたちと誓い合った「男の約束」を思い出すように、オレの肩をポンと叩いた。

 

「サトシ。マオの笑顔を一番近くで守れるのは、君しかいないんだから」

 

「……マーマネ」

友人の真っ直ぐな言葉が、オレの背中を強く押した。

 

「サンキュー、マーマネ!」

オレは駆け出した。遠くに見える休憩所。

 

エプロン姿でフライパンを振るマオの姿が、夕陽に照らされて輝いていた。

 

「……マオ!」

声をかけると、マオは驚いたように顔を上げ、すぐにいつもの太陽みたいな笑顔を見せた。

 

「あ、サトシ! ちょうどいいところに。新作の試食、お願いしてもいいかな?」

その声は明るいが、オレには分かった。

 

マオの指先が、ほんの少し震えている。

 

毎日顔を合わせているのに、今日は違う。

ホワイトデーという特別な空気が、二人の間に流れている。

 

深呼吸した。

ポケットの中の小袋を握りしめる。

 

バトルなら、迷わない。

けれど、これは……オレにとって、もっと大事な勝負だ。

 

「試食もいいけど……これ。バレンタインのお返しだ。受け取ってくれ!」

 

真っ直ぐに、マオの目の前にお返しを差し出した。

 

「……っ」

マオの動きが止まる。

 

ゆっくりと手を伸ばし、オレの手からその包みを受け取った。

指先が触れた瞬間、サバンナの熱気よりも熱いものが、胸に広がった。

 

「……ありがとう、サトシ。……私、信じて待ってたんだよ」

 

その言葉に、心臓が跳ねた。

マオの笑顔は、いつもの笑顔なのに、どこか違う。

 

何か言わなければならない。そう思うのに、言葉が喉に張り付く。

代わりに、差し出したオレの手が、抑えきれない高揚感で震えていた。

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