ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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遥かなる風、コンテストクイーンに贈る誓い(1/8の可能性・後編)

オレの呼びかけに、アゲハントと舞っていたハルカがピタリと動きを止めた。

極彩色の花々に囲まれた広場で、ハルカは少し肩を揺らしながら、ゆっくりとオレの方を向く。

 

「……サトシ。来てくれたんだね」

その声は、ジャングルの熱気に溶けてしまいそうなほど、震えていた。

 

オレは迷わずハルカに歩み寄り、ポケットから紅色のリボンがあしらわれたブローチを取り出した。

「ハルカ、これ……バレンタインのお返しだ。受け取ってくれ!」

 

「……っ。これ、私に?」

ハルカは両手で包みを受け取ると、愛おしそうに指先でリボンをなぞった。

 

「ああ。……ホウエンで初めて出会った時、お前の自転車を壊しちゃってさ。そこから始まった旅だったけど、気づけばオレは、ハルカの頑張る姿に何度も勇気をもらってきたんだ」

 

ステージの上で、誰よりも輝こうと必死に汗を流すハルカ。

時には悩み、涙を流しながらも、自分の力で「舞姫」と呼ばれるまでになったその強さ。

 

「学園で再会して、また毎日一緒に過ごすようになって……。オレ、分かったんだ。オレの隣にいて一番しっくりくるのは、ハルカだって。お前と食べる飯は最高に美味いし、お前と話してると、どこまでも飛んでいけそうな気がするんだ」

 

オレは一歩、ハルカのすぐ目の前まで踏み込んだ。

ハルカの潤んだ瞳が、真っ直ぐにオレを射抜く。

 

「ハルカ。……オレ、お前が好きだ。ただの旅仲間じゃなくて、一人の女の子として……誰よりも、お前のことが愛おしい。これからもずっと、オレの隣で笑っていてほしい。……オレの、恋人になってくれ!」

 

「サトシ……っ!」

 

ハルカが泣き出しそうな笑顔で、オレの胸に勢いよく飛び込んできた。

「……嬉しい! 本当に、本当に嬉しい……! サトシがホワイトデーに、そんなに真っ直ぐな想いをくれるなんて……信じて待ってて、本当によかった……っ!」

 

オレは、ハルカの細い体を力いっぱい抱きしめ返した。

腕の中に伝わるハルカの体温が、ジャングルの熱気よりもずっと熱くて、心地いい。

 

「これからは、二度とお前を離さない。これから先の冒険も、人生も……全部ハルカと一緒に歩んでいきたいんだ」

 

「……うん! 私も……私もサトシのことが、世界で一番大好きだよ!」

 

ジャングルの木々の間から差し込む光が、抱き合う二人を優しく照らし出す。

離れた場所で、マサトがそっと眼鏡を拭いながら、アゲハントと一緒に静かに立ち去っていくのが見えた。

 

「……なあ、ハルカ」

 

オレは少しだけ体を離し、真っ赤になったハルカの顔を見つめた。

 

「これからも、美味いもんいっぱい食べて、最高の景色、一緒に見に行こうな」

 

「もちろん! ……あ、でも、私のスイーツを横取りするのは禁止だよ?」

ハルカがいつもの元気な調子で笑い、オレの鼻をツンと突いた。

 

「へへ、それは……バトルの結果次第かな!」

 

オレたちは顔を見合わせ、幸せを噛みしめるように笑い合った。

だけど、ハルカはふっと笑みを和らげると、繋いでいたオレの手をぐっと自分の胸元に引き寄せた。

 

「……もう、サトシったら。そういうところは、昔からちっとも変わらないんだから」

 

そう言って見上げてくるハルカの瞳には、ジャングルの極彩色の花々も霞むくらい、深くて熱い愛情が宿っていた。 そのあまりに綺麗な表情に、オレは思わず生唾を飲み込む。

 

「……ハルカ」

 

「でも、そんなサトシだから……私はずっと、目が離せなかったんだよ」

 

ハルカは少し背伸びをすると、オレの頬に柔らかく、羽が触れるようなキスをした。

一瞬の出来事に、オレの全身が火を吹いたみたいに熱くなる。

 

「ハ、ハルカ……っ!?」

 

「あはは! サトシの顔、真っ赤! バトルじゃ負けないけど、こういうのは私の勝ちかな?」

 

いたずらっぽく笑って駆け出すハルカ。

その赤いバンダナが、ジャングルの緑の中で鮮やかに揺れている。

 

「――待て、ハルカ! 今のは反則だぞ!」

 

オレは照れ隠しに声を上げながら、愛おしくてたまらない背中を追いかけて走り出した。

かつて「遥かなる風」に乗って旅をした二人は、今、新しい「恋人」という絆で、さらに高い空を目指して羽ばたき始めたんだ。

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