ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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雪原の深花、氷の騎士に誓う真実(1/8の可能性・前編)

テラリウムドーム、ポーラエリア。

鋭く冷たい空気が肺を焼き、吐き出す息が真っ白に凍る。この厳しくも美しい景色は、アローラでリーリエと一緒に雪山を越えた、あの決死の冒険を思い出させる。

 

オレは、ポケットの中で冷え切った小さな箱を握りしめていた。

中身は、リーリエの真っ直ぐな瞳のように透き通った、氷の結晶を象ったネックレスだ。

 

(……リーリエ)

 

頭の中に浮かぶのは、ポケモンに触れることさえ怖がっていたリーリエが、今や自分の足で立ち、大切なものを守るために戦う強いトレーナーへと成長した姿だ。

 

学園で再会してからの毎日。

リーリエはいつも丁寧な言葉でオレを励まし、隣で優しく微笑んでくれる。

 

その淑やかな仕草や、時折見せる芯の強さに触れるたび、オレの胸の奥には、これまでに感じたことのない深い情熱が積もっていったんだ。

 

「……ッ」

氷の洞窟を抜ける風が、頬を叩く。

 

いざリーリエに自分の本心をぶつけようと思うと、寒さのせいじゃない震えが指先に走る。

その時だった。

 

「――待て、サトシ」

 

鋭く、そしてどこか孤独を孕んだ声が、氷壁に反響した。

振り返ると、銀髪を風になびかせ、鋭い眼差しでオレを射抜くグラジオが立っていた。

 

かつての宿敵(ライバル)であり、リーリエを誰よりも愛する兄。

 

「グラジオ……。リーリエは、どこだ?」

 

「この先の星降るテラスにいる。……だが、その前に答えろ」

グラジオは一歩踏み出し、「男の約束」を今一度問いかけるように、拳を握りしめた。

 

「サトシ。リーリエは、この学園に来てからも、お前の背中をずっと追い続けてきた。お前が世界チャンピオンになろうとも、あの子の中では『サトシ』という一人の男が、何よりも大きな光なんだ」

 

グラジオがさらに一歩近づき、低く、重みのある声で告げる。

「……リーリエを泣かせるような真似は、例えお前であっても、この俺が許さない。お前の覚悟は、あの子の人生を丸ごと背負うほどに重いものか? 遊び半分なら、今すぐ引き返せ。だが……」

 

グラジオの瞳に、兄としての、そして一人の男としての信頼が宿る。

 

「もしお前が本気で、生涯をかけてリーリエを守り抜くと誓うなら……俺は何も言わん。行け、サトシ。お前の『ゼンリョク』を、妹に見せてやってくれ」

グラジオの言葉は、氷のように冷たく、けれど炎のように熱い激励だった。

 

「……言われなくても分かってるよ、グラジオ」

オレはグラジオの拳に、自分の拳を力強くぶつけた。

 

「オレは、リーリエを世界で一番幸せにする。あの子が二度と不安にならないように、オレが一生かけて隣にいるって決めたんだ。グラジオ……安心しろ、リーリエは絶対にオレが守り抜く!」

 

「……フッ、ならいい」

グラジオは静かに身を引き、道を開けた。

 

「サンキューな、グラジオ!」

 

オレは氷の道を走り出した。

凍った地面を力強く蹴り、真っ白な世界を突き進む。

 

洞窟を抜けた先、オーロラがカーテンのように揺れるテラスに、白いドレスのようなコートを纏ったリーリエが、静かに夜空を見上げている姿が見えた。

 

「リーリエーーーッ!!」

 

声を限りに叫ぶ。

リーリエが驚いたように振り返る。

 

その瞬間、二人の世界に、静寂と熱い鼓動だけが満ち溢れた。

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