ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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約束の青い石、腐れ縁を卒業する日(1/8の可能性・後編)

コーストエリアの白い砂浜に、エメラルドグリーンの波が何度も寄せては返している。

空はいつの間にか、燃えるようなオレンジ色に染まり始めていた。

 

オレは、手のひらの中で温まっていた小さな包みを、指先に力を込めて取り出した。

「……待たせたな、カスミ。これ、バレンタインのお返しだ」

 

差し出したのは、カスミの瞳の色をそのまま閉じ込めたような、深く澄んだブルーの宝石をあしらったペンダントだ。

この石を見つけた瞬間、オレの頭にはカスミの顔しか浮かばなかった。

 

カスミは一瞬、息を呑んで立ち尽くした。

それから、まるですごく壊れやすい宝物を扱うみたいに、そっと、震える手でそれを受け取った。

 

「サトシ……。本当に、ちゃんと考えてくれてたんだ」

 

「当たり前だろ。約束を忘れるわけないだろ」

 

オレは一歩、砂を蹴ってカスミに近づいた。

潮風に乱れるカスミのオレンジ色の髪が、オレの頬をかすめる。

 

オレはその細い肩に、自然と手を置いていた。

 

「カスミ。……お前と出会ったあの日のこと、今でもはっきり覚えてる。ピカチュウを助けるために、お前の自転車をめちゃくちゃにして、そこから始まったオレたちの旅。あの時は、お前のことを口うるさい奴だなって思ってたけど……」

 

オレの言葉に、カスミが少しだけ、懐かしそうに目を細める。

 

「喧嘩も数えきれないくらいしたし、お前には何度も耳を引っ張られた。でも、振り返ってみればいつだって、オレの真ん中にはカスミがいたんだ。カスミがいない旅は、どこか色が欠けてるみたいで……。ハナダジムでカスミがマントを羽織って、ジムリーダーとして立派にやってる姿を見たとき、誇らしいと思ったのと同時に、本当はすごく寂しかったんだぜ」

 

オレは肩に置いていた手を、そのままカスミの頬へと滑らせた。

夕陽の熱のせいか、それともオレの体温のせいか、カスミの肌は驚くほど熱くなっている。

 

「あの時くれた『カスミスペシャル』。あのルアーを見るたびに、オレはカスミがそばにいて応援してくれてる気がしてた。でも、もう物越しに繋がってるだけじゃ満足できない。……カスミを誰にも渡したくないんだ。これからも、オレの隣で一緒に怒って、笑って、一番近くでお前を感じていたい」

 

オレはカスミの大きな瞳を真っ直ぐに見つめ、声を低く、全身の想いを込めて響かせた。

 

「カスミ、好きだ。……ただの幼馴染や腐れ縁なんて、もう終わりにする。オレだけのものになってくれ。オレと……一生、一緒にいてほしい!」

 

「っ……!」

カスミの瞳に、みるみるうちに涙が溜まって、夕陽を反射してキラキラと溢れ出した。

 

それは悲しみなんかじゃなくて、あまりの幸福に溢れた涙だってことが、伝わってくる。

カスミはペンダントを胸に強く抱きしめたまま、オレの胸に自分から飛び込んできた。

 

「……ありがとう、サトシ! 私も……私もずっと、この言葉を待ってた。サトシが私を選んでくれる日を、ずっと、ずっと夢見てたんだから……!」

 

カスミはオレの背中に腕を回し、その温もりを独り占めするように、オレの服がシワになるほど強く抱きしめ返してきた。

オレもその背中に手を回し、壊さないように、でも二度と離さないように強く引き寄せる。

 

「……もう、絶対に離さないから。いいわね、サトシ! どこかに行こうとしたら、また釣竿で釣り上げちゃうんだから!」

 

「ああ。……今度は、オレからお前を釣り上げる番だぜ。もう一生、離さない」

 

潮騒が心地よく響く中、夕陽に照らされたコーストエリアの岬で、オレたちは重なり合った鼓動をいつまでも確かめ合っていた。

この熱量こそが、オレがずっと探し求めていた、たった一つの「答え」なんだと確信しながら。

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