ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件   作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった

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サバンナのキス、二度と離さない誓い(1/8の可能性・前編)

テラリウムドーム、サバンナエリア。

人工の空から降り注ぐ夕陽は、どこまでも深く、オレたちの周囲を焼き尽くすような橙色に染め上げていた。

 

ポケットの中に突っ込んだ右手のひらには、セレナへと渡す小さな箱の感触が、オレの体温を吸い込んでじりじりと熱く伝わってくる。

 

マサラタウンの森で迷子になって泣いていた、あの小さな女の子。

カロスを一緒に旅して、最後、あのエスカレーターを駆け上がってオレに「答え」をくれたあの日。

そして、ミナモシティの埠頭で、少しだけ大人びた姿で再会したセレナ。

 

かつての「幼馴染」や「旅の仲間」っていう言葉じゃ、もう説明がつかない。

一人の魅力的な人として、真っ直ぐにオレを射抜いたセレナの瞳。

その残像が、あれからずっとオレの胸の奥で、消えることのない熱い火を灯し続けていたんだ。

 

「……サトシ。やはり、ここにいましたか」

後ろから声をかけられて、オレはハッとして振り返った。

 

そこに立っていたのは、眼鏡を夕陽に反射させたシトロンだった。

 

「シトロン……。ああ、今からセレナのところへ行くよ」

オレは隠さずに、シトロンにだけは今の本音を吐き出した。

 

「オレさ……セレナとミナモシティで再会した時、一瞬だったけど、別れた後、船が見えなくなるまでずっと、喉の奥が焼けるみたいに熱かったんだ。もっとセレナと話したかった、もっと隣にいたかった……って。そんなことばかり考えて、船を追いかけそうになってたんだぜ」

 

自分でも驚くほど、声が低く、熱を帯びているのが分かった。

シトロンは少しだけ目を見開いた後、誇らしげに、そして親友としての温かい眼差しでオレを見た。

 

「今のサトシには、これまで見たことがないほどの強い『熱量』を感じます。セレナも、あなたのその『熱』に溶かされるのを、ずっとここで待っていました。……サトシ。あなたのその真っ直ぐな愛情で、彼女を世界一の幸せ者にしてあげてください」

 

「ああ、分かってる……。サンキュー、シトロン。行ってくる!」

 

オレはもう、一歩ずつ歩いていくなんて我慢できなかった。

サバンナの乾いた風を突き破るように、愛おしいセレナが待つ、あの大きな一本の木へと走り出した。

 

遠くに、夕陽を背にして立っているセレナのシルエットが見える。

風になびく長い髪。細い肩。

セレナを見つけた瞬間、オレの心臓は爆発したみたいに激しく高鳴って、全身の血が熱く逆流するような感覚に襲われた。

 

「セレナ……! セレナッ!!」

 

声を限りに名前を呼ぶ。

セレナがゆっくりと振り返った。

その瞳には、再会してからずっと、オレの特別になりたいと願い続けてきた、切ないほどに純粋な恋心が溢れていた。

 

「サトシ……。……来てくれたんだね。本当に、来てくれたんだね」

震える声で呟くセレナ。

 

オレは荒い息を整える間も惜しくて、華奢な両肩を、二度と逃がさないっていう誓いを込めて、がっしりと掴んだ。

 

「……約束、果たしに来たぞ。セレナ」

オレはポケットから、自分の熱を帯びた小箱を差し出した。

 

いつもなら迷わないはずの指先が、愛おしさでわずかに震えている。

「これ、バレンタインのお返しだ。……ずっと渡したかったんだ。世界中で、セレナにだけ……受け取ってほしい」

 

オレの視線と、差し出したプレゼント。

二人の間に流れる空気は、夕陽よりも熱く、そしてとろけるような甘い沈黙に包まれる。

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