ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
サトシの大きな手から、震える指先で小箱を受け取ったセレナは、吸い込まれるようにその中を見つめた。
そこには、サバンナの黄金色の光を浴びて青白く輝く、透き通った石のチャームが付いたネックレスが収められていた。
「これ……ミナモの海の色……?」
「ああ。……あの日、ミナモシティの埠頭で、船が出るギリギリまでお前と話した時の、あの海の青さだ。あの時、セレナは笑顔で『またね』って言ってくれたよな。オレも、精一杯かっこつけて笑って返したけど……」
サトシの声が、微かに熱を帯びて低くなる。
オレはセレナの潤んだ瞳から一瞬たりとも視線を逸らさず、さらに一歩、彼女の甘い吐息が肌に触れる距離まで踏み込んだ。
「本当は、離れていく船を見送りながら、胸が締め付けられるみたいに苦しかったんだ。船を止めてでも、セレナを抱きしめて引き留めたかった。世界一のパフォーマーを目指して輝いているセレナを誰よりも応援したい気持ちと同じくらい……、一人の男として、お前を誰にも渡したくない、ずっとオレのそばにだけいてほしいって……、喉元まで出かかった言葉を必死で飲み込んでたんだぜ」
「サトシ……そんな風に、思ってくれてたの……?」
セレナの頬を、大粒の涙が伝い落ちる。
サトシはその雫を親指で優しく、慈しむように拭い、そのまま彼女の火照った頬を大きな両手で包み込んだ。
その手のひらは驚くほど熱く、けれど壊れ物を扱うように繊細な力加減で、セレナを自分だけの世界に閉じ込めていた。
「カロスで別れる時、セレナはエスカレーターを駆け上がって……オレに特別な『答え』をくれただろ。あの日からずっと、オレの中でお前は『憧れの幼馴染』じゃなくなったんだ。……セレナ。もう、あの日みたいに背中を見送りたくない。お前を誰にも、一秒だって譲りたくないんだ。お前が頑張る姿も、泣き顔も、最高の笑顔も、全部オレだけのものにさせてくれ」
サトシの告白は、まるで熱風のようにセレナの心を溶かしていく。
「大好きだ、セレナ。世界中の誰よりも、お前だけがオレの心をこんなに熱く、狂おしくさせるんだ。……オレの『唯一』になってくれ。最強を目指すオレの隣に、最高に綺麗になったお前にいてほしい。一生かけて、オレがお前を、誰よりも幸せにしてみせるから!」
「っ……、サトシ……! 私も、私もずっと……! 誰よりも、サトシを愛してる……! 私を女の子にしてくれたのも、夢の見方を教えてくれたのも、全部サトシなんだから……っ!」
セレナが堪えきれずサトシの首に腕を回し、その胸に飛び込むと同時に、サトシは彼女の細い腰を折れんばかりに強く引き寄せた。
そして、渇望していた想いをすべてぶつけるように、深く、情熱的なキスを交わした。
サバンナを吹き抜ける熱い風が二人を祝福するように包み込み、見渡す限りの黄金色の草原が、二人の高鳴る鼓動に共鳴して激しく波打つ。
ようやく唇を離したサトシは、紅潮した顔で肩を揺らし、愛おしげに自分を見上げるセレナの額に、自分の額をぴたりと合わせた。
「……もう、どこへも行かせない。お前の全部、オレに預けてくれ。お前の夢も、未来も、その身体も心も……全部オレが守り抜くから」
「……うん。サトシに、全部あげる。私の全部、サトシのものだよ。……ずっと、ずっと離さないでね」
セレナはサトシのシャツをぎゅっと掴み、幸せを噛みしめるように目を閉じた。
夕陽が地平線へ沈み、群青色の空に星が瞬き始めるサバンナの大地で、二人はいつまでも、互いの熱と鼓動を確かめ合うように、深く、甘く、抱き合い続けた。