ポケモン最強トレーナー・サトシ、バレンタインで好感度が限界突破している件 作:寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
文化祭が終わり、オレたち特進クラスは、パルデア地方への修学旅行に出かけた。
目的は、テラスタルの聖地を巡る学術探訪らしい。
ブリアー先生も引率に加わり、タケシは「先生と二人きりの時間が!」
と目を輝かせたが、すぐにジャック先生に「タケシ君は荷物番ね」と釘を刺されていた。
夜、みんなが寝静まった頃、オレはピカチュウと二人で夜の散歩に出ていた。
静かで美しいパルデアの星空を見上げていると、オレの頭の中は、究極のポケモンマスターになることと、シンジにどう勝つかでいっぱいだ。
その時、背後から声がした。
「サトシ……やっぱり、ここにいたんだね」
セレナだった。
セレナは、オレの隣にそっと寄り添った。
「うん、なんだか寝付けなくて。……サトシと二人で、こうして夜空を見るのは、久しぶりだなって」
吐息が近くて、オレは少しドキッとしたが、すぐに「仲間との友情の証だ」と頭の中で解釈した。
セレナは、静かに話し始めた。
「ねえ、サトシ。カロスで、私、サトシに伝えられなかったことがあってね……」
(伝えられなかったこと? パフォーマーとしての新しい目標か、それとも次の旅の話?)
セレナは目を閉じて、意を決したように言った。
「あのね、サトシ。私、サトシのことが——」
その瞬間、遠くの茂みから珍しいポケモンの鳴き声が聞こえた。
「おっ! 今のは! セレナ! そういえばさ、あそこの木、珍しいポケモンがいた気がするぞ! 見てみよう!」
オレは興奮し、無意識に話題を逸らした。
オレは、ただポケモンへの純粋な好奇心に従い、セレナの手を引っ張って走り出した。
セレナは何も言えなかった。
翌日。
カスミがオレに話しかけてきた。
「サトシ、あんた、夜中にセレナと二人で抜け出したでしょう。全部知ってるわよ」
「別に、散歩しただけだ。珍しいポケモンがいたんだ」
「フン。あんたのそういう鈍いところが腹立つのよ! いい? あんたが誰とどこへ行こうと、私とあんたの絆は、誰にも負けないんだからね!」
(カスミは、オレの最高のバトルのパートナーの座を、他の誰にも譲りたくないんだな。さすがジムリーダー、熱い!)
そんな中、オレたちの仲間にも進展があった。
オレが湖畔でポケモンを探していると、ゴウがコハルと一緒にいるのを見かけた。
ゴウはいつもポケモン図鑑の完成に夢中だが、この修学旅行の間、コハルに対してはなぜか落ち着きがない。
コハルも、いつもよりゴウに優しく接している。
(ゴウとコハルは、研究者としての目標に向かって、協力し合っているんだ)
さらに、遺跡の探訪中、少し離れた場所でアランが動揺している姿を見た。
「マノン! 危ないだろ!」
アランは、かつての旅仲間、マノンが遺跡の崩れかけた壁に不用意に触れた瞬間、抱き寄せて守った。
彼らの間にある絆は、オレとヒロインたちの間に漂う曖昧な「友情」とは違い、明確な「守る」という形で結ばれていた。
(アランとマノンも、最高の仲間だな。オレも、ピカチュウをあんな風に守れるように、もっと強くならないと!)
オレは、自分と仲間の「絆」の形について考えることをすぐにやめた。
考えるべきは、究極のポケモンマスターへの道だけだ。