異世界エボルト   作:バルーンボーイさん

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「地球外生命体である俺、エボルトは強大なエネルギーを秘めたパンドラボックスを使い、地球滅亡目前まで迫る!」
「しかし、仮面ライダービルド=桐生戦兎をはじめとする仮面ライダーたちの手により、その計画は見事に阻止。敗れた俺は消滅したと思われていた!」 
「ただ、突如現れた自称女神のガキンチョにより、色々と面倒な条件付きで、異世界救世と引き換えに大復活!」

「さすが女神の私!天才!輪廻転生の操作もお手の物!」
「ってなんじゃ、ガキとは!私は本物の女神だと、最初から言ってるでしょうが!」

「はいはい。そんなことはどうでもいいだろ?」
「とはいえ、女神。転生ってのはどういう原理で出来るんだ?」

「それは、キラ~ン♪シャラリラ♪ギュインギュインのドドドドド~ですわ♪」
 
「……何はともあれ、どうなる第一話!!」

「あれ、私の出番は!?」

「そんなもん、もうねぇよ」


#1「エボルト異世界に立つ」

 朦朧としていた意識は、徐々に輪郭を取り戻していく。

 ぼんやりとしていた肉体の感覚もはっきりとしてくる。手足の指先の感覚が戻る頃には五感も全て戻り、ようやく目が開いた。女神に飛ばされてから、しばらく眠っていたらしく、強張った身体を軋ませながら状態を起こすと、両腕、両脚の様子を確認する。

 

 どうやら今の肉体は、擬態したブラッドスタークの姿のようだ。

 

「……ずいぶんな荒治療だな、こりゃ」

 

 思わず、溜息をつく。

 

「おかげで、俺のハザードレベルもまた上げなおしだ」

 

 愚痴を吐きつつ、自身の懐から所持品を探ってみるも、エボルドライバーはビルドとの戦いで壊れている。当然、ドライバーが使えない以上、エボルボトルやエボルトリガーがあっても意味がない。今の自身にとってこれらは最早ガラクタ同然だ。

 ただ、喜ばしいことに、トランスチームガン、スチームブレード、そしてブラック化する前のコブラロストフルボトルは無事ならしい。一応最低限の武装は残してくれた、と考えるべきだろう。

 

 確認を終え、立ち上がろうとした弾みに、懐から何かが落ちる。

 その正体は、几帳面に封蠟された便箋。送り主など、最早考える必要はない。

 

 開いてみると、その内容はやけに簡潔であり、この世界における俺への縛りが書かれている。

 

 ”一つ、人を殺してはならない”

 ”二つ、任務から逃げ出してはならない”

 ”三つ、私の期待を裏切ってはならない”

 

 ”私はいつでもあなたのことを見ているから”

 ”あなたにそれなりの光あれ。チャオ~”

 

 随分とご丁寧なもので、尚且つ、女神に都合のいい一方的な内容。どうやら本当に俺をこの世界の救世主にしたいらしい。

 既に舞台へ駆り出された以上、俺に逃げ場はない。だが、文句を言ったところで何かが変わるはずもない。軽く諦めを付け、手紙をそこらへんに投げ捨てた。

 

「さてと。……これからどうしたもんかね」

 

 そう独り言を零しながら、周囲へと視線を巡らせる。

 見た目だけなら前の世界の森と大差はない。だが、ところどころに生えるキノコや花は淡く発光し、漂う空気は非常に澄んでいる。ただ、微かに感じる違和感が、この世界の異質さを物語っている。

 

 未だ少し懐疑的な自身に、否応なく理解させられる。

 ここは間違いなく異世界なのだと。

 

 「まったく、あの女神の野郎。……よくも、こんな僻地に飛ばしてくれたな」

 

 兎にも角にも、こんな森の中で留まっていては何もできない。さっさと森を抜けて人里に降りようとしたのだが。ここには人の気配があるどころか、そもそも森すら抜けられない始末。

 特に腹が減ったり、喉が渇いたりはしない。ただ、自身の歩く足音以外に音がなく、静寂を保っているこの森では、そろそろ気が滅入ってしまいそうだ。

 

 徐々に増す愚痴と怒りで気を紛らわし、しばらく森を彷徨っていたのだが、木々の隙間から見える太陽は既に沈みかけ、森は徐々に闇に包まれ始めた。体感でおおよそ2~3時間ほど経った頃だろうか。

 喜ばしいことに、ようやく人の気配を見つける。見つけたのは葉と湿り気でぬかるんだ道に付いた一人の足跡。どうやら、まだ捨てたものではない。

 

 少なからずとも、この足跡を辿れば人間に出会えるかもしれない。今まできっかけが一切見つかっていないせいか、期待からなのか、その足取りはほんの少しだけ早くなっていたのかもしれない。

 

 だが、喜ぶこともつかの間。エボルトはその足をぴたりと止めた。

 

 等間隔に並ぶ足跡の途中からは、人とは似ても似つかない大きな足跡が割り込んでいる。まるで先程までついた人の足跡を追いかけるようだ。

 この世界での獣がどんなものなのかは分からないが、この人間が逃げている以上、この足跡の持ち主では歯が立たないような相手なのだろう。このまま犬死されては、こちらも困る。

 その瞬間、先程とは一変し、素早く森の中を駆け出す。

 

「折角の情報源なんだ。死んでくれるなよ」

 

 大きく剥きだした根を飛び越え、傾斜を滑り降りる。まるで蛇が獲物を追うように、森を駆け抜けていく。

 より奥へ進むにつれて、木々に付いた傷や、へし折られたような枝、抉られた幹が見えてくる。明らかに人がつけたような傷ではなく、間違いなく追っている獣によるものだろう。

 

 刹那、静寂を保つ森の奥から微かに枝を折るような音が響く。

 未だにこの森の奥は暗闇に包まれている。だが、確実に奥には人が生き、逃げているはずだ。

 

 この距離まで近づけば、あとはその姿を拝むだけ。

 さらに距離を縮め、音の元凶が目視で視覚できるようになった距離で、二つの影を捕らえた。

 

 一つは大型のクマのような獣。毛皮はかなり丈夫なのか、枝程度では傷一つついていない。

 そしてもう一つは、子供だ。




【追記】
森といえばキャンプ。キャンプといえばコーヒーですよね。
(まだまだ一話は続きます)
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