ドラえもん:F&U   作:izuminnー3305

2 / 3
2.僕は僕の力で守る

 テストが終わった後、のび太はいつも同じ通りに出木杉としずかと共にテストの見直しと今日の授業の復習を休み時間に図書室で行い、そして下校を始めた。

 

「それじゃ、また明日」

 

 のび太が笑顔で出木杉としずかに向かって手を振ると二人は笑顔で手を振り返した。

 

「うん、また明日、のび太君」

「また明日ね、のび太さん」

 

 少し小走りで校門を出たのび太の前にジャイアンとスネ夫が笑顔で待ち構えていた。

 

「よっのび太!悪いんだけど、少し付き合ってくれないか?」

「そうなんだよ。実はボクちゃん達、ちょっとのび太に用があるんだ」

 

 二人から頼みにのび太は笑顔で頷く。

 

「うん、いいよ」

 

 そしてのび太は二人に付いて行く事となった。

 

 いつもの空き地。ジャイアンとスネ夫に付き合う事なったのび太は二人から理不尽な暴力を受けていた。

 

「やい!のび太‼︎今日の俺様はムシャクシャしているんだ!」

「そうだ!ダメなのび太のくせに生意気だぞ‼︎」

 

 ジャイアンに胸ぐらを捕まれボロボロになったのび太は涙目で訴えた。

 

「どうして!僕が一体何をしたんだ⁉︎」

「惚けるな!一丁前に頑張りやがって‼︎」

 

 そう言ってジャイアンはさらにのび太を殴り、スネ夫も追い討ちをする様にのび太を殴った。

 

(ドラえもん!ドラえもん‼︎)

 

 心の中でドラえもんに助けを求めるのび太。だがのび太は決してドラえもんの名を口に出そうとはしなかった。

 

(駄目だ!もしここでドラえもんを言ったら君が安心出来ない‼︎絶対に言うものか!)

 

 のび太は理不尽な暴力に晒されてもドラえもんの名を叫ぼうとはしなかった。

 

「どうした!いつもの様にドラえもんを呼ばないのか‼︎」

 

 煽るスネ夫に対してのび太は手をギュッと握り、涙目でも固い意思を持った眼差しで言った。

 

「嫌だ‼︎僕はどんな事をされても!言わないぞ‼︎絶対に言うもんか‼︎」

 

 それを聞いたジャイアンのさらに苛立つ。

 

「なんだと‼︎のび太のくせに生意気だぁーーーーーっ!」

 

 さらにジャイアンとスネ夫はのび太に暴力を与えようとした所で偶然、空き地の前を通り過ぎ様としていた出木杉としずかがジャイアンとスネ夫に暴力を受けているのび太を目撃し、走って止めに入る。

 

「君達!のび太君を離すんだ‼︎」

「武さん!スネ夫さん!止めなさい‼︎」

 

 出木杉としずかが来た事に気付いた二人は急いで自分のランドセルを持って空き地から逃げ出した。

 

 そして二人はボロボロになって、その場に投げ捨てられる様に横たわるのび太に心配する表情で駆け寄った。

 

「のび太君!大丈夫かい‼︎」

「酷いわ!ランドセルまでボロボロよ‼︎」

 

 ボロボロののび太は出木杉の肩を借りて立ち上がると作り笑顔で首を横に振った。

 

「ありがとう・・・出木杉君、しずかちゃん。僕は・・・大丈夫、だから」

 

 そう言ってのび太はしずかが拾ってくれた自身のランドセルを受け取る。

 

「それじゃ、また明日ね」

 

 明らかに平気ではない状態にも関わらず、のび太は少しふらつきながら空き地を後にする。一方でのび太のそんな後ろ姿に出木杉としずかは不安そうな表情で見ていた。

 

⬛︎

 

 翌日、手当をしたのび太はいつも通りに学校に通っていた。

 

 そして自分の教室に入ろうとした時に後ろの出入り口から出木杉としずかがジャイアンとスネ夫を連れて行くのを目撃する。

 

 気になったのび太は教室へと入り、クラスメイトの安雄に話し掛けた。

 

「おはよう安雄君。出木杉君としずかちゃんがジャイアンとスネ夫を連れて行ったけど、どうしたの?」

 

 のび太からの問い掛けに安雄は両手を肩まで上げて、首を傾げた。

 

「さぁ。でも何か大事な話しがあるって通り過ぎた時に聞いたけど」

「そうなんだ」

 

 後方の出入り口を見つめるのび太。気になってしまいランドセルを自分の机の上に置くと小走りで後を追った。

 

 階段を登り、屋上に出ると出来杉としずかはジャイアンとスネ夫に向かって昨日の空き地で行いを咎めていた。

 

「のび太君は!ドラえもんを安心させようと頑張っているんだ‼︎なのに君達は!頑張る姿が気に入らないだけで、のび太君に暴力を振るうなんて‼︎最低だよ!」

「そうよ!のび太さんは未来に帰ったドラちゃんの為に一生懸命に頑張っているのよ‼︎それなのに!どうして、あんな酷い事をするの‼︎」

 

 二人からの正論にジャイアンとスネ夫は知らん顔をしていた。

 

「そんな事、俺達には関係ないね!大体、あののび太だぜぇ。どうせ何やっても駄目なんだよ」

「そうだよ。テストだってどうせドラえもんが置いて行った道具を使ったに違いないよ。あんな駄目なのび太が努力するわけないじゃん」

 

 何も知らない言われのない否定に出木杉としずかはさらにのび太の為に強く言った。

 

「どうして認めようとしないんだ!のび太君は本当に頑張っているんだ‼︎」

「酷過ぎるわ!友達ののび太さんをそこまで傷付けるなんて‼︎」

 

 余りにも酷い言われをする二人の姿にさすがのしずかも涙目になって行く。

 

「うるせぇ!」

 

 ジャイアンはそう言ってしずかの肩を軽く押して、スネ夫と共に屋上を去って行った。

 

「しずかちゃん!大丈夫?」

 

 転びそうになったしずかを優しく支える出木杉。するとしずかは両手で目を覆いながら涙を流し始める。

 

「どうしてなの!武さんもスネ夫さんもどうして‼︎あんな酷い事を!」

 

 思わず感情が溢れ出るしずかの姿に出木杉も悲しい表情をする。

 

 そんなやり取りを屋上の出入り口の物陰から聞いていたのび太も俯きながら涙を流していた。

 

「僕の事を悪く言うなら分かる!でも出木杉君やしずかちゃんに向かって‼︎あんな酷い事を言うなんて!」

 

 小声で言うのび太は怒りよりもジャイアンとスネ夫が二人を傷付けた事に深く悲しんでいた。

 

⬛︎

 

 放課後、夕暮れの中を土手を歩くのび太は授業を受けている中でもジャイアンとスネ夫が行った事に深く悲しんでいた。

 

「ジャイアンもスネ夫も本当は優しいのに、どうして、あんな酷い事をするんだ」

 

 顔を俯かせ独り言を言うのび太。すると川に掛かる橋の下から叫び声が聞こえて来たのでのび太は気になって急いで向かった。

 

 すると、そこでは体格の大きい中学一年の感じの悪い男子三人が怯えるジャイアンとスネ夫を取り囲んでいた。

 

「おい、坊主。よくも空き缶を俺の当てたな。ちょっとお兄さん、機嫌が悪くなっちゃたよ」

 

 目の前の不良学生が嫌な笑顔で言うとジャイアンとスネ夫は涙を流して懇願する。

 

「ごめんなさい!蹴ったら当たっちゃって‼︎わざとじゃないんです!」

「本当にごめんなさい!もう二度しませんから‼︎」

「駄目だね。こうなった以上は制裁は受けてもらうぞ、悪ガキ」

 

 不良学生がそう言って拳を鳴らす。

 

「母ちゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!」

「ママァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」

 

 すると大泣きする二人の前に両腕と両足を広げてのび太が不良学生に立ちはだかった。

 

「やめろ!僕の大切な友達を傷つけるな‼︎」

 

 威勢よく言ったのび太。すると不良学生は不機嫌な表情となる。

 

「なんだテメェ!邪魔するのか?」

 

 脅しの様に言う不良学生に向かってのび太は揺るぎない決意に満ちた表情で言う。

 

「当たり前だ!弱い者いじめを止めるのは‼︎」

 

 すると不良学生はのび太の胸元を掴む。

 

「そっか。だったら容赦はしねぇーぞ。お前らやっちまおうぜ」

 

 左右に立つ不良男子学生が嫌な笑顔でのび太に迫って頷く。

 

「「おう」」

 

 そして不良学生三人組はのび太に対して拳を振り上げ、暴力を振るい始めた。

 

 不良学生達からの暴力に晒されながらも、のび太は必死にジャイアンとスネ夫に向かって叫んだ。

 

「逃げろ!今の内に逃げるんだぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼︎」

 

 のび太は声が枯れるくらいに二人に向かって叫んだ。そんな姿にジャイアンとスネ夫は意を決して、その場から走り出した。

 

 そしてジャイアンとスネ夫が当てもなく走っていると細い十字路で偶然、出木杉としずか、そして先生と鉢合わせた。

 

「「先生ぇーーーーーーーーーーーーーーっ!助けて下さいぃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼︎」」

 

 突然、涙目で走って来た二人からの救助の声に先生は少し、驚く。

 

「剛田、骨川、一体どうしたんだ?」

 

 ジャイアンとスネ夫は訳を急いで話し、事の重大さを知った先生、出木杉、しずかはジャイアンとスネ夫と共に急いで土手へと向かった。

 

 皆が橋の下の前まで着くとボロボロになったのび太は地面に横たわった状態で三人の不良学生から踏み付けられていた。

 

「こらぁーーーーーーーーーーーーーーーっ!何をしているかぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ‼︎」

 

 厳しい表情で土手を下って走る先生の姿に気付いた不良学生達は一目散に逃げた。

 

「のび!のび!しっかりしなさい‼︎」

 

 横たわるのび太に駆け寄った先生は心配な表情で彼の体を優しく起こして問い掛けた。

 

「のび太君!大丈夫‼︎」

「のび太さん!しっかりして‼︎」

「「のび太‼︎」」

 

 過度な暴力で気を失っていたのび太は皆の心配する声でゆっくりと重い瞼を開けた。

 

「皆・・・先生。ジャイアン・・・スネ夫・・無事、で・・よかった」

 

 ボロボロになりながらも安心した笑顔をするのび太に向かってジャイアンとスネ夫は涙目で問い掛けた。

 

「どうしてなんだ!オレら‼︎お前の事を散々にいじめていたのに!」

「そうだよ!いじめていたボク達を‼︎こんなになっても守るんだよ!」

 

 自分達など助ける価値もないと非難する二人に向かってのび太はゆっくりと震える左手を動かして、ジャイアンとスネ夫のそれぞれの左右の手の上に乗せて、笑顔で答えた。

 

「だって二人は僕の友達だから。どんな時でもいつも僕の側にはドラえもん、しずかちゃん、皆、パパやママ、先生、そしてジャイアンとスネ夫が居てくれた。どんな事があっても、どんな事をされても、僕にとってジャイアンとスネ夫は一番の大親友だからだよ」

 

 純粋で優しく、そして誰よりも強い勇気と絆を持ったのび太の言葉と姿の前に皆は思わず涙を流した。

 

「のび」

「のび太君」

「のび太さん」

 

 そしてジャイアンとスネ夫は涙を流しながら彼の左手をギュッと優しく握った。

 

「ごめんよ‼︎のび太‼︎オレが悪かった‼︎本当にごめんよ‼︎」

「ごめん‼︎のび太‼︎今まで意地悪して来て‼︎本当にごめん‼︎」

 

 二人が泣きながら謝罪する姿にのび太はゆっくりと首を横に振った。

 

「いいんだよ。僕は大丈夫だから」

 

 その後、皆に連れられたのび太は最寄りの病院で手当を受けて先生の連絡を受けたパパとママと共に入院する事となった。

 

 のび太は喧嘩は弱く、気も弱い。だがドラえもんとお別れした事で彼の心には確かに大きく熱い勇気があった。

 

 自分の弱さを知りながらもジャイアンとスネ夫を守る為に自らの身を犠牲にして守った姿は、間違いなく本物の“英雄(ヒーロー)”である。




自分の弱さを知りながらも全力を出す。
それは泥臭くとも、格好悪くても、確かに誰にも負けない姿があります。
皆様、一生懸命、頑張れば夢は実現すると私は信じています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。