負けず嫌いのオレっ娘獣人少女が天才聖女に敗ける話   作:とろろろもち

1 / 7
魔法って超面白そう

 

 始まりは怪我をして涙目になる自分を治療するために、母が治癒魔法を使ってくれたことだった。

 

 幼いながらに感じていた自分と世界に対する違和感への答え合わせとして、そして魔法という未知への心を焦がすほどの興味として、その回復魔法特有の白い光はオレの記憶に焼き付いている。

 

 

 オレ―フェリックス・ノルシアは朧気ながら前世の記憶というものを持ちながら獣人の少女として生きている。

 どのように死んだのか、そもそも死んでから転生したのかはわからないが、男子学生として前の自分は暮らしていたことを薄く覚えている。

 

 意識をすればぴこぴこと動く黒いもふもふ猫耳と、白い斑状模様の入ったふさふさしっぽを携えた、金色の双眸を持った幼女を姿見で眺める。我ながらかわいい容姿だ! 両親に感謝しよう

 

 したらばこの世界の情報を集めることと、ものすごーく気になっている魔法のことについて情報収集をすることが何よりも先決だろう。

 とりあえず遊んでいる最中にオレに絡んで「人間モドキ!」と散々イジメてくれたくそガキどもは次会ったらボコボコにしよう。

 

 

 

「おかあさん、えほんよんでー」

 

「あら、フェルはこの物語が大好きなのね。こっちに来なさい、一緒にお休みしながら読んであげる。」

 

 今世の両親は、他の家庭と比べてもとても優しく仲が良いと思う。4歳の幼児ボディに精神が引っ張られていることも相まって、接していてとても安心感と包容力を感じる。

 親に色々と質問をしたり、絵本に触れることでこの世界と魔法について大まかに知ることができた。この世界では強大な魔物の脅威により割とコロッと国が滅ぶことがあったようだ。

 

 魔族へ一丸となって対処する必要に駆られたことで、少ない例外を除いて人、獣人、ドワーフらへんの大多数の種族は表面上は概ね手を組み、連合国として多少の仲の良し悪しはあれ協力関係にあるらしい。

 

 また、この世界の人々は大なり小なり魔力を持っており、種族別での魔法の上手下手はあれど適正属性の魔法であれば大体の人が頑張れば多少のものは使えるらしい。

 あと魔法についてを専攻する魔法学院というものがエリート校として存在するのだとか。

 

 我らが獣人(オレはそのなかでもミルシャ族というものらしい)は、魔力を打ち出すといった操作が苦手な傾向にあるらしく、その分無属性の身体強化魔法といった自己干渉型の魔法には適性があるようだ。

 当面は魔力を感じて操作する練習を両親に頼み込んで行い、あとはこの元気あふれる子供ボディに従って遊び回ろう。

 

 そんなことを考えながら世界を巡りながら魔物をなぎ倒していく絵本を母親に読んでもらっていると、だんだんとぼーっとしてきて眠くなってくる。

 優しげに髪を撫でられると、その圧倒的包容力に敗北したオレのまぶたはだんだんと下がっていく。

 

おやすみなさい ぐぅ

 

 

 

 近所のくそガキをボコボコにしつつ、魔法についての勉強と訓練を重ねること幾8年ちょいぐらい、天才たるオレは立派なガキ大将IKEMEN少女として鼻高々にのんびり魔法ライフを謳歌しているかと思いきや、受験勉強というものに集中をしていた。

 

 どこを受けるんだいという話だが、親からの魔法の手ほどきを受けるなかで「「天才」」たる才覚を発揮し魔法にのめり込んでいったオレは、魔物狩りという小遣い稼ぎを編み出しつつ、エルネア大陸西部の魔法都市にある世界中の叡智が集まる最も権威ある学校、アルセリア都立魔法学院に入学をすると決めた。

 

 この学校、なんと成績優秀者限定の特待生枠に入ることで学費や下宿代等々が在学中無料になるという神制度がある。となれば圧倒的な成績を叩き出しこの特待(タダチケット)をもぎ取る他ない!

 

 入学試験は実技と筆記で分かれているが、オレは天才なので実技は全く心配していない。オレの最適性である雷魔法ですべて消し炭にしてくれるわ!といった感じである。

 

 だが筆記についてはこの世界の一般教養を学ぶ機会というものがイマイチ少なかったので、魔物狩りで得た小遣いをわざわざ使い、教会の聖書と神話ばっかりのカスみたいな蔵書の中からひねり出した歴史書などを閲覧して勉強を進めていっているのだ。

 

 幸いこの獣人ボディの出来は良いらしく、身体強化魔法の応用で脳みそにバフりつつ反復演習をするとあら不思議! 記憶が容易に可能になるというわけだ(当社比)

 

 この脳みそにバフるという芸当、最初試すのが怖すぎてそのへんのネズミとくそガキを実験台として試運転などをしてみたおかげでとっても安全に運用可能となっている。我ながら天才すぎて困っちゃうね。

 

 まぁ魔力を回し続けていることとオレの持つ魔力量が人並み外れたものであることから結構お腹が減ってしまうというデメリットがあったりするのだが、この家庭はご飯をいっぱい食べれるので問題なしだ。

 

 オレの持つ魔法適性は雷属性が突出して高く、次点で最も多くの人が使える無属性(身体強化はこの範疇となる)、並んで光属性(オレは個人差なのか治療魔法しか使えない)の適性が高い。

 ほかの属性では火、水、風がまぁ少しではあるが適性を持っており効率は悪いけど使えんことはないといった感じである。

 地、闇属性に関しては全く適性がないようだった。

 

 ちなみに獣人の種族特性っぽい魔法の体外放出が苦手という一面はしっかりと持っている。

 ド派手な感じで魔法ぶっぱをしたかった我が身からすると、少し悲しいものがある。

 

 んなこと言っても仕方がないので、魔獣をしばく時には身体強化魔法を専ら使っていた。

 

 何はともあれ今日はついに魔法都市へ入学試験を受けるために出発する日だ。

 

「フェルぅ〜〜!学院での生活が忙しくても手紙は小まめに送るのよ!あと落ちたら速攻家に戻ってくるのよ!」

 

「このオレが入学試験程度に落ちるわけがないだろ! 首席だ首席。まぁ、今まで応援してくれて本当にありがとう、母さん父さん、オレ行ってくるよ。」

 

「「フェルぅぅゔゔぅぅぅゔ〜〜!」」

 

 最後まで試験会場についてこようとしたギャン泣きの両親を止めつつ、ここまで愛情たっぷり自由に育ててくれたことにありったけの感謝を伝える。

 

 13歳の誕生日プレゼントである外套を羽織り、魔物の素材から作った愛用の蒼い双剣を携えて、快晴の中でオレは馬車に乗った。




 フェルの両親は昔パーティーを組んで魔獣討伐をしまくっていた過去があり、その中でくっつきました。
 親バカなことと、フェルが少女ボディに精神が引っ張られていることから、前世の記憶を引き継いでいることでの違和感はほとんど感じていません。フェルのことは可愛い才能あふれる性格が良いといった3拍子揃ったとても出来のよい愛すべき子供と思っています。
 
 フェルが小遣い稼ぎとして魔獣を狩りまくっていることも、一度同伴で狩りを見てからフェルの実力を知り。油断することが無いよう教育をしてからは割と放置してます。
 ちなみに魔物素材は親名義でギルドに卸しています。普通にアウトです。

 魔法関連のおねだりも聞きまくっており、ご飯をとんでもない量食べていることもただ単に成長期だなぁと思っています。

 自分の性癖が入ったバトルありの物語作りたいなぁ…という思いから生まれた本作なので、気軽に生暖かい目で読んでもらえると幸いです!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。