ベジットとアクアは異世界に降り立った。
その風景は中世の様な建物、人々の様子は馬車に乗っている者、魔法使いらしき者、鎧や武器を身に着けた戦士らしき者、この街で生活している者など様々な人々が居る、のどかな街である。
所謂ゲームの世界だ。
「ここが異世界か。思ってたより旧式だな〜?」
どちらかと言えば近未来的な技術を使われている自分の世界、この異世界の技術の差に少し驚く。
「う…あ…ああ…」
「まずは情報だ……どうした?」
さっきから呻き声らしきものを発しては、自身の髪をくしゃくしゃにしているアクアに声を掛ける。
「おい、聞いて……お、おい!?」
「うわっはっははあああっはは!!?」
ベジットにしがみ付き、声にならない声を出すアクア。
「お家に帰りたい〜!?お家に帰してよ〜!!?」
「お、おい!揺らすな!お前を帰らせる為にも魔王をぶっ倒す。だから取り敢えず離れろ!!」
「貴方何言ってんの!?チートも無いアンタだから困ってるんですけど!どうすんの?ねえ、どうしよ!?これからどうしたら良いのよーっ!?うぇ〜んえーん。」
ベジットの力をまだ知らないアクアは魔王を倒す事が不可能だと思い、帰れない事に、途方に暮れ泣き始めた。
「お、おい!だからな、泣くな!さっきも行った様に、情報収集を…ん……?」
おい、アレ!何の光ぃ!?
アクセルから出て、すぐの所か!?
神が御降臨なされたわっ!!?
突然、街の人々が声を上げ、その目線には光の柱が上空へと立ち昇る光景だ。
「
「神…?あの子かしら…?まあ、それは無いわね!」
「あの光はお前の知り合い、か?」
「それは無いわ。きっと
「ああ。そうだな。」
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「すまねぇ。オレ達は遠いところから来たんでな、ここの情報が欲しいんだが人が集まる場所が何処にあるのか、わかるか?」
「はい。
多少歩いた所に人が集まる場所、所謂ギルドがあることを聞いたベジット。教えてくれた人物に礼を言い、歩き始める2人。
「貴方、ゲームを知らなそうだけど、随分と手際が良いわね?」
「ちっ…まあな、女神様。」
「ちょ!?何故に舌打ち…?」
「まあ良いわ。ところで女神様って呼んでくれても良いけど…騒ぎになると面倒だから、出来ればアクアって呼んでちょうだい。」
「わかった。そうだ、アクアお前がこの世界に人を送り込んでいるんだろ。だったらお前もギルドの場所も知っているだろ?」
「そんな下々の事をいちいち知る訳無いでしょ。」
「おいおい…(オレが知ってる神様と大違いだ。)」
「ここがギルドってヤツか。」
「ひえーおっかねえー。」
ベジットとアクアの目の前には大きな建物がある。そして扉を開け、2人は中へ入って行った。
「いらっしゃいませ!お食事なら空いてるお席にどうぞ。お仕事案内なら奥のカウンターへ。」
ギルド内の店員らしき金髪の女性が声を掛ける。
「サンキュー。ほーう、変わった奴が随分といるな。」
「おい!見かけねえ顔だな?」
ベジットとアクアに話し掛けて来たのは、髪型がモヒカンの如何にも厳つい男である。
「ひっ…!?」
「それに何だあ、その妙な格好は?」
「オレ達は遠いところから魔王をぶっ倒す為に来たんだ。」
「おー言うね、アンちゃん。そうかい命知らずめ!ようこそ地獄の入り口へ!ギルド加入の受付なら、あそこだ。」
「そうか。サンキューな。」
ベジットとアクアはモヒカンが説明してくれた場所まで行く。
「なあ、アクア。魔王を倒すのにわざわざ何かに所属しなければならないのか?」
「ベジット…それは言わない
「そう…なのか?」
それからアクアは、ポタラでの合体する前の2人について聞いていた。
1人はベジータ、もう1人はカカロット。
この2人は血と戦闘を好む種族、戦闘民族サイヤ人だ。
「ひぇ〜恐ろしいわね。
「これでも
そうこう言ってる内に目的の場所へ着いた2人。
そこには金髪の受付嬢のお姉さんが居た。
「はい。今日はどうなされましたか?」
「ギルドってヤツに加入をしたい。」
「えーと…つまり
「そうだ。」
「では、最初に
「ああ。ん?手数料?流石にタダではいかないのか…おいアクア、金を持ってるか?」
「何も準備せずにいきなり飛ばされたんだもん。無い、そんなの無い。ある訳無いでしょう。」
初めの一歩の出鼻をくじかれた。自分は良いが、異世界に送ったアクアにはせめてもの資金を持たせておけよ、とあの上司様に少し不審になるベジット。
「どうなされますか?」
「少し待っててくれ。また後で来る。」
「は、はい。」
受付を後にして、資金の方をどの様に工面するか話し合っていた2人。
「さっき確か、ギルドの女が『お仕事案内』とか言ってたな。仕方ねえ、今は仕事を受けに行くか。」
「うーん…あたしに言い考えがあるわ!ここらで女神の本気ってヤツを見せてやるわ!!」
「聞いてねーや…」
張り切ったアクアは、ギルドで休憩している老年の方まで駆け寄る。
「そこのプリーストよ!宗派を言いなさい!!」
「んう?」
「あたしはアクア。そう、
頭を下げるアクア。
しかし……
「わしは
「なっ…!?ガーーン…!!」
「あ…そうでしたか…すいません。」
「あ、お嬢さんもアクシズ教徒じゃな。女神アクアと
老年のプリーストは机の上に、金色の通貨を4枚出した。
「ほれ、エリス様の御加護ってヤツじゃ。でも、幾ら熱心な信者でも女神を名乗っちゃうのは、よろしくないぞ?」
「ア…ハイ…スイマセン…アリガトウゴザイマス。」
目を潤ませながらベジットの所に戻るアクア。
「女神だって信じて貰えなかったんですけど。ついでに言うとエリスはあたしの
「(上司と居た、女の方の事か…?それとも…)」
「じゃあ…行こっか…って!?無い…!!」
「行くわけねえだろ。こいつは、あの爺さんに返す。大体お前はオレの話をちゃんと聞きやがれ。」
「ちょ!?無視したのは謝るわよ!でも、それを返しなさいよ!そんな事したらあたしが、恥を晒しただけが残るじゃない…!!」
「いちいち喚くな。爺さん、アンタには悪いがこいつは返すぜ。」
「いやいや、わしに返さなくても構わんよ。その子が可哀想じゃよ?」
「ありがとな、爺さん。だが、それだとオレのプライドが許さん。金の事なら仕事案内もあるし、そろそろ動きたい気分なんでな。」
「こらーーっ!勝手に話を進めるなーーっ!!!」
『何だ何だ?喧嘩か…?」
『ざわざわ…ざわざわ…』
「うるさい女だ。おい、受付の女!」
「お…女…!?あ…は、はい!」
「何かの仕事があるか?もっとも手短で終わるヤツが好ましいが。頼む!」
「…では貴方には、
『姉ちゃん、正気か…!?冒険者でも無い…ましてや、正規の手続きをしてないヤツにクエストを受けさせるなんて…!!」
「(この人…今まで来た冒険者とは何かが…具体的にはわからないけど…違う。)」
「へぇー、そいつは面白ぇ!良いだろう、その依頼受けるぜ…!!」
「お、面白い…ですか。それで貴方が受けて貰うのは……」
「この位でくたばってちゃあ、魔王なんざあ程遠いぜ!」
「さっきの
「アンタ、散々言い切ったんだから、これで失敗したら盛大に笑ってやるわ!!なっーはっはっはっはっ!!」
「あ…あの〜。」
「ああ!目ん玉ひん剥く程の力を見せてやるからな?さて…いっちょ、行ってみるか!!」
さあ、いよいよ初陣だ!
果たして、無事にクエストをクリア出来るのか?
「そう言えば、ソイツは何処にいるんだ…?なはは…」
ズコーッと、皆が一斉に転げた。
「ちょっと〜…折角決まったのに〜!」
「い〜や、悪い悪い。」
「ごほん…これが地図と魔物の絵になります。」
「おー、そいつは助かる。ふーん…ん?コイツは…」
「今度こそよろしくお願いします!」
「ああ、行って来るぜ!」
「いってらっしゃい!ベジット!!」
「お・ま・え・も…来い!!」
「ちょ!?うわーーーーーーっ!!??」
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「この辺りか。おい…大丈夫かアクア?」
「うへへ〜お星様が〜いっぱいよ〜」
アクアを担いで、目的地の渓谷まで
それからアクアが立ち直るまで5分が経過した。
「アンタ、飛べるなら先に言いなさいよ!?大体ねえ、なんでチート持ちでもなかなか無いような魔法を持っているのよ!」
「へいへい、加減したつもりだが悪かったな。まあ、そんなに怒るなよな?」
この世界の人々、チート持ちの人でも飛べないのが普通らしい。
因みにこの世界での食材は、飛ぶらしいがこれはまた別のお話。
「ここにコイツが居るんだな。じゃあ行ってくる!」
「そこは釣るんじゃないの…!?あー行っちゃった…。」
2人は少しの徒歩で湖に着いた。
討伐モンスターの確認しては、真っ先に湖に潜り込んだベジット。モンスター名からして魚類だから釣り上げるのでは?と、尤なツッコミを入れるアクア。まあ釣り上げる道具すら持って無いが……
「(お?アレだ!)」
『(……………)』
目標のモンスターを見つけたベジット。
そしてそのモンスターと目があった瞬間、まるで『掛かって来い』と言わんばかりに指を振り、挑発する。
『(ん?ばはは!!久しぶりの獲物だーーっ!!!)』
挑発されたのを理解したモンスターは、その巨体でベジットに襲い掛かる!
「(そらよ!)」
「(ぐふっ……!?)』
しかし、ベジットは攻撃を余裕で躱し、自身の拳で軽く殴ると、モンスターはあっという間に白目を剥いて動かなくなった。
「(コイツは懐かしいな〜
一方その頃、アクアは暇だったので石ころを上へ上へと積み上げていた。
「崩れちゃったわ…いつになったら帰って………」
「ふぅー!大漁大漁!!」
「あら、おかえり。って…えーーーーーっ!?」
"バジャン!"と湖から勢いよく飛び上がって来たベジットに、目が飛び出る程に驚くアクア。
その光景は、軽々と片手で巨大魚の尻尾を掴み、持ち上げていた。
「へへっ、どうだ?少しはオレの力を信用してくれたか?まあ、ほんの僅かしか力を出してないがな。」
「ア、アナタが強いってのは最初から見抜いていたわよ!やはりこの女神アクア様の眼に狂いは無かったわ!!なっはっはっはーーっ!!」
「ウソつけ。しかも今さっき、スッゲー驚いていただろ?」
「はて何の事かしら?さあ!ベジット、
調子のよい事を言うアクアに、少しムッとなったベジットは行きよりも、ちょっとだけ飛ばして帰ろうと思った。
「帰りは
「ちっ…勘の良いヤツだ。」
「またしたーーっ!なんで舌打ちするの!?」
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アクセルの街に着いてからは、通行人の妨げにならない様に、何処かにぶつけない様に、と器用に軽々と巨大魚を持ち上げるベジットに住民は少しドン引きしている。そんな中でアクアは自分の手柄だと言わんばかりに住民にアピールしていた。
そしてギルドに着いた。
「おい、帰って来たぞ。」
ベジットが発した声に冒険者達の視線は出入り口に集まる浴びる。
彼らから見たら、無傷で何も無かった様な涼しい顔で戻って来たベジットを、ドヤ顔をしているアクアは除いて、少なからずこう思った者もいるだろう。
(本当に討伐したのか?)
(怖気付いて帰って来たのか?)
(受付の姉ちゃんの見込み違いかよ)
(何だ、ハッタリかよ…)
(失敗なら、あの青髪の姉ちゃんをパーティに入れよう)
皆が疑心暗鬼になる中……
「よお!アンちゃん。オレも最初は疑っていたが…今のお前の目を観て確信した。な?姉ちゃん。」
「ふふっ…はい!私も貴方が無事にクエストをクリアしたと思っていますよ!」
「おや?随分と信用してんだな。」
モヒカンことおっちゃんと受付のお姉さんは一足先に外に出る。
「まだ疑うヤツがいるのなら、さっさと外を見てみな!」
「そうよ!さあ、見なさい!!」
論より証拠、冒険者達は出入り口へ次々と集まって来る。
『おい…これって…!?』
『ウソ…?2人だけで討伐したの…!?』
『あの獰猛なジャイアントフィッシュだぞ…!?』
見た者達は次々と度肝を抜かれた表情に変わっていく。
そしてベジットは改めて巨大魚を指差し、確認する。
「この紙の通り、コイツだろ?」
「はい!こちらは正真正銘、ジャイアントフィッシュになります!!おめでとうございます!!」
討伐成功を確信した冒険者達は続々と歓喜を上げ、ベジットに賞賛を贈る。そして自分の手柄だ!と言わんばかりに喜ぶアクアであった。
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「少し時間が掛かったがようやく、その冒険者とやらになれるのだろ?」
「はい。今から手続きを始めますが登録手数料にはお二人合わせて4000エリスになります。ですが、討伐クエストの報酬の差額分で19万6000エリスが納付されます。」
「ほう、そいつはありがたい。」
「へぇ?…やったーーーーっ!!!」
「はい。ではこちらへ付いて来てください。」
ベジットとアクアは受付のお姉さんの案内通りに付いて行く。
「では改めて説明を。冒険者には
受付のお姉さんは薄茶色のカードを2人に見せる。
「冒険者がどれだけの討伐を行ったかも記録されます。"レベル"が上がると"スキル"を覚える為の"ポイント"が与えられるので、頑張って"レベル"を上げて下さいね。」
一通り説明し終えると、2人の前に水色の水晶が装飾された機械に、手をかざす事を促した。
「ではこちらの水晶に手をかざして下さい。」
「アクア、お前からやれ。」
「はいはーい」
アクアは水晶に手をかざす。
「はあ…!?知力が平均より低いのと、幸運が最低レベルの事以外は、全てのステータスが大幅に平均値を越えてますよ!」
「へ〜、何々あたしが凄いって事?」
「す…凄いなんてモノじゃないですよ!知力を必要とされる"魔法使い職"は無理ですがソレ以外なら何だってなれますよ?"クルセイダー"、"ソードマスター"、"アークプリースト"…最初から殆んどの"上位職"に…!!」
「(さらっと頭が悪いって言ってやがる…まあ間違ってはいないが。)」
「そうね。女神って職業が無いのが残念だけど…あたしの場合は仲間を癒す"アークプリースト"かしら。」
「"アークプリースト"ですね!あらゆる"回復魔法"と"支援魔法"を使いこなし、前衛に出ても問題無い、万能職業です!」
『『わーーーーーーーーっ!!!!』』
いつの間にか冒険者達が2人の近くに集まっていて、歓喜が鳴り響く。段階を踏まずにいきなり上位職になった事に驚く人もいる。
「取り敢えず、凄いって事だけはわかった。じゃあ次はオレだな…ん?どうした?」
先程とは打って変わって、皆は何故か一気に静かになった。中には目を光らせている人、緊張している人もいる。
「まあ良いか。(
「(貴方の能力が、どんなものなのかを見せて貰います…!!)」
水晶に手をがさすとアクアの時と同じく測定が始まる。皆が固唾を呑まずにしている。
「ん?煙?よっと。」
突然、機械から煙が出て来た事に気づいたベジットは手を退ける。
「いつも点検をしてますが、今までこの様な事はありませんでした…。」
「(やはりこうなるか。)…それで計測は出来たのか?」
計測を終える事が不可能だとわかっていたが、
こう…何と言うか、既視感がある。
「カードの方は…あ、無事です!ベジットさん。え…!?全ステータス…
「何だ?オレは冒険者とやらになれないのか?」
「いえいえ、カード自体には異常はありませんし、"職業"の方も問題無く選べます…。」
受付のお姉さんは少し表情を暗く落とす。
「ただし…ベジットさんが今現在、選べる職業は"
「その最弱職、そいつで構わない。」
どうでもいい、と言わんばかりに淡々と話を進めるベジット。
「はい!ではお二人は今、冒険者になりました!!スタッフ一同はベジットさんとアクアさんに活躍に心より期待をしていますっ!!!」
『『わーーーーーーーーっ!!!!』』
静かにしていた冒険者達は歓喜狂乱。一部には魔王の撃破達成の希望に芽生えた者もいる。
あまりの五月蠅さに流石のベジットもこれには苦笑いになる。
遂に冒険者になったベジット。
これから始まるのは、神より授かりし力を持つ合体戦士が、隣にいる女神様と、そしてこの異世界にいる者達と紡ぐ物語である。
「よし。まずは寝床を探すぞ。」
「ちょ!?は、離して…!もう少し!ほんの少しだけ!この賞賛をーーーーっ!!!」
母さん、父さん、お元気ですか?
俺は相変わらず元気です。まあ死んでますが…
さて、俺は前回に記した、体内を探索してます。
正直…ハチャメチャ怖いです。
でも、あそこにさえ着ければ自ずと、あの2人と
会えるだろう。に賭けて奮起してます。
それにこの体内の主もまだ勘付いて無いと思う…
恐らく…多分…きっと…