ありがとうございます!
大きなイビキを出し、ダラシなく寝ているのは女神様ことアクアだ。それを呆れた表情で突っ立って見ているベジット。
「おい、起きろ。」
「ん…ふわ〜…あ…久しぶり…じゃない…おはよう…。」
「何、寝惚けてんだが…もうこんにちはの時間だ。今日からどんどん依頼を受けるつもりなんだが?」
「だってえ…
仕方ない、と思いつつも溜め息が出るベジットであった。
それは時間が遡り……
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『よし、まずは寝床を探すぞ。』
2人(主にベジット)は冒険者登録後に、
空きのある宿屋を隈なく探していた。
『2人なんだが空いているか?』
『すみません、空いてません。』
『2人なんだが空いて…』
『スマン!空いてない!』
『2人なんだが…』
『ない、何処も空いてない。空いてるわけが無いだろ。』
『2人…』
『ぜえ…ぜえ…ぜえ…』
『申し訳ありません。ところで…お連れの方は、大丈夫ですか…?』
『気にするな…』
息を切らしているアクアを心配する店主。
聞いたとこによると、どうやらこの街の宿屋は大抵が満床らしい。
その為か、馬小屋で就寝する者も居るとか…
『悪い悪い。まさか寝床探しに苦戦するとは思わなかったぜ。にしてもよくついて来れたな?』
『えへへ…って!ち・が・う!!も〜うあたし疲れた〜、お風呂に入りた〜い!』
『仕方ねえ、確か…風呂はあっちだったな。さあ、掴まれ!』
『また…ゆっくり飛んでね?』
上空へと上昇し、大浴場がある場所まで飛んで行った。
着いたら早速アクアは風呂に入りに行き、
ベジットだけは再度宿屋探しをしていた。
しかし、その道中に…
『おい、おっさん!オメエだよオメエ。オメエと一緒に居たあの姉ちゃん凄えタイプなんだよ。だから俺に寄越しな!!』
『………。』
『チッ!何シカト決めてんだよ!もしかして、ビビって声も出ねえのか?はーはっはっは!!死ね!!』
『今のオレは気が立ってんだ…!』
『ひっ!?…あ…あ…ああ…!!』
『ビビって声も出ないのか?おい、オレは宿屋を探しているんだが教えな。消されたくなかったら、な?』
『は…はい…!…今使っている…や…宿屋を…ゆ…譲り…ま…ますのでー!お…お許し下さいーーっ!!??』
『ほーう、そいつはありがたい。その前に…オレに付いて来な!!』
『と言う事だ。それでお前はさっさと手続きをしやがれ!』
『は、はひいーーーっ!!??』
『100%喧嘩を売った、その子が悪いわ。でも貴方は…"ヤバン人"に改名しなさい…』
『何故なんだ…?』
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そして今に至る。
「昨日から思っていたんだが、魔王ってのは本当に居るのかすら怪しい程にこの世界は平和だよな?…お前より上の
「ウソではないわ。だってここは
「雑魚だから見もしねえのか。単に面倒なのか…それとも余程自分の強さに自信があるんだな?その魔王ってのは。」
言い方が悪いが、人類や星一つを軽々と滅ぼせる自分の世界とは比べて、この世界はマシな方だと思うベジットであった。
「この話はここまで!さあ、貴方のその力なら簡単なクエストは余裕よ!だ・か・ら、このあたしを楽にさせる為に、パパッとクエストを受けに行きなさい!!」
「………はあ〜…。」
「じょ、冗談よ…だからそんな目で見ないでーっ!?」
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ジャイアントトード(巨大蛙)
繁殖の時期になると産卵時の体力をつける為、エサの多い人里にまで現れると言われ、農家の家畜を丸呑みにするらしく、実際に毎年カエルの繁殖期には、人里の子供や農家が行方不明になるらしい。
因みに意外にも食材としてはグッドである。
「カエルってのはここまでデカくなるのか…さて、いち!にー!さん!っと!」
遠方から見ていて、標的でもある名前通りの巨大さに感心したベジットは、軽く手足を解していた。
「そらあ!」
「(ゲ…コ…!!??)」
まずは巨大蛙に悟られない様、瞬時に頭上に移動し、そのまま無防備の脳天目掛けて拳を放つ。
攻撃をモロに受けた巨大蛙は、あまりの衝撃だったのか、潰されたかの様に地面に倒れ伏す。
「ほれ!受け取りな!!」
遠方に2匹が居る事に気づき、追撃するベジット。
今度は右手の5本指を前に突き出すと、そこからエネルギーが発生し、それを2匹に目掛けて直線状のエネルギー波を5本発射する。
『『(ゲ…!!?……コ……)』』
二本のエネルギー波は2匹の腹部を貫き、残りの3本は時間差で地面に着弾しては爆発する。
「まあ、こんなもんか。」
「何…今の…?何が…起こった…の…?」
意識した時には既に事を終わらせていたベジットに、唖然と立ち尽くすアクアであった。
「蛙を倒した、それだけだ。さあ、残りはお前がやるんだ。いいな?」
「えーと…あたし…居らなくなーい?」
「行け。思いっ切りぶつかるんだ。」
そんなやり取りをしている内に、更に1匹の巨大蛙が現れた。
「(この目で見せてもらう。
「そこで見てなさい!うおーーーーっ!!!」
巨大蛙に向かって行くアクアの右拳に、炎の様なエネルギーが収束していく。
「神の力を思い知れ!あたしの前に立ち塞がった事、地獄で後悔しながら懺悔なさい!"ゴッドブロー"!!」
「(「ほーう…
「くたばりなさい!!!」
アクアの渾身の拳が巨大蛙の腹部に炸裂し、その衝撃で"ドーン!!"と、破裂したかの様な音が鳴り響いた。
「へえ……?」
『(ナンナンダ?イマノハ…?)』
しかし、巨大蛙には効いていなかった……
「カエルって…良く見ると可愛いとおも……。」
だから何だ?と言わんばかりに"パク"っとアクアを捕食する巨大蛙。
「バカめ、余計な感想を言うヒマがあるなら一旦引きやがれ…今助けるぞ!」
悪態を吐きながらも救出されたアクアは唾液まみれになっており、ベジットに泣きつく。
「ぐすん…あり…がとう…ベジット…あり…がとう!ありがと
…ね!うえーーーんっ…!!」
「礼は要らんから引っ付くな!まだ時間があるから一旦帰るぞ。次は相手を分析してから戦えばいい。」
「あたしはもう穢されてしまったわ…今の穢されたあたしを
「ヨダレを垂らして寝ているお前が神だと確信するヤツがいるのか?」
「あー!今言ってはいけない事を言ったーーっ!!」
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やけクソになり、同じ戦法で巨大蛙に突っ込もうとした彼女を力尽くで止め、アクセルのギルドに戻って来た2人。
すっかりと陽は落ちていた。
「あれね…あたしだけじゃ無理よ!大体…アンタのその強さなら、あたし抜きで良いじゃない?」
「…………。」
「な、何よ…何か言いなさいよ…。」
「じゃあ、この際だからハッキリ言わせて貰うがオレはこんなとこでグズグズしている場合ではないと、お前もそれを知っているだろ?」
自分の世界で魔人ブウと戦える戦士が不在の為、地球はおろか全宇宙が破壊し尽くされてしまう事に焦りが出るベジット。それに頷くアクア。
「だからオレがさっさと魔王を倒して、そいつを成し遂げれば、お前は自分の居場所に帰れる。そして…元の世界に戻ってブウに吸収された仲間達を助け、今度こそヤツと決着をつける。」
「それが
正直上手くいくかは一か八かのところだ。
「そんでお前はオレに頼りっぱなしで、あの蛙に負けっぱなしは悔しいだろ?」
「そうね。確かにやられっぱなしは癪だわ…!!」
「良く言った!てな訳で明日から朝から昼までの時間は修行して、昼からは休む。そんで持って明後日は万全の状態で蛙をぶっ倒す…わかったか!」
「やってやろうじゃない!!貴方が魔王を、あたしがあの憎きカエルを!お互いに
戦う相手のスケールの大きさは置いといて、ベジットは元々だが、あのアクアが目標を持つ事により俄然やる気が出ていた。
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宣言通りにベジットとアクアは修行をしていた。
「お前のパンチでは、あの蛙の腹を貫く事は不可能だ。だから簡単な話、攻撃の箇所を顎や頭とかのわかりやすい弱点をつく。」
「あんな図体を飛び越える程のジャンプは出来ないわ。けど顎はイケると思うわ…まあ怖いけど…。」
修行とは言ったものの敵の特性を知る事の座学だった。
ベジットの提案はあまり乗り気では無い様子で、以前は蛙ごときに負けは無いと確信していた彼女だったが、まさか通用せず捕食されたのが余程トラウマになっているそうだ。
「"アークプリースト"のお前が剣とか使えれば少しは楽になるのにな。いっそ鉄の鎧とかを着るか?」
「そんなの動きづらいだけだわ。却下よ却下。」
やる気出しといてこの言い草。
普通ならこのワガママ駄女神!と思うかもしれない…しかし、ここまでことを運んだベジットはある事を告げる。
「じゃあこうしよう。
「はいノッた!!ゴッドブローーーっ!!」
薄々感じていたが、アクアは相手の挑発に乗せられ易い。正直、酒で釣られるのはちょっと…まあようやく話が進んだから好都合。
「どうした?もっと本気でやって欲しいな?」
「ちょ!?近い近い…!!///」
アクアからしたら今の不意打ち気味の攻撃も、ベジットにとっては片手で軽々と受け止められる一撃だった。そして彼女を自分に引き付けては煽る、単純にやる気を出して貰う為だ。
そんな彼女はその意図を理解するよりも恥ずかしさが勝っていた。
「ゴッドブロー!ゴッドブロー!ゴッドブロー!ゴッドブロー!」
「ほれほれどうした!なんなら終わりにするか?あーあ、これじゃあせっかくの酒が飲めなくなるな〜。」
それから10分くらいの時間が経った。
「はあ…はあ…はあ…ゴッド…ブ…もう…ギブ〜…。」
「これで終いか。まあ、お前にしては良く頑張った方だ。その勢いを蛙にぶつけてやれ。いいな?」
息を整えるまで待った後に、アクアを背負ったまま飛んでアクセルに帰る。
帰還後は休息を含めた自由時間と言う訳で、アクアは昼寝(因みに明日の為に羽目を外し過ぎるなと警告をしている。)
ベジットは
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日が経ち、クエストの期限ギリギリの当日
「いよいよ本番だ…オレに証明して見せろ、お前がやる時はやる神様だって事をな。」
「ふっふーん!良いわよ!さあ、これで勝って街の人達と祝勝会でもしましょう!皆んながあたし達を祝福するわ!」
「……そうだな。」
今の間は何…?と疑問に思ったが、それよりも今はあの巨大蛙のリベンジマッチだ!と切り替えるアクア。
「よし、行くわ!!うおおーーーーっ!!!」
「(どでかい一発喰らわしてやれ…!)」
早速、巨大蛙を見つけたアクアは接近して行く。
今までよりも明らかに違う、やる気に満ちた声。
何故なら
後は、
「
『顎や頭とかのわかりやすい弱点をつく。』
今、出来る事は巨大蛙の顎に狙い定める!
そして新必殺技(?)を繰り出した!
『(ゲ…コ…!!?)』
"ズドーンッ!!"と打撃音が響き、巨大蛙は衝撃により、よろめき倒れかけるが、元の体勢に戻ろうとしていた。
しかし!アクアはこの好機をいっさい見逃さない!!
「これで…終いよ!くたばりやがれーーーーっ!!!」
アッパーにより、後ろに仰け反っていた巨大蛙の背後に回り、その角度は丁度、脳天に拳が入る射程圏内だ。
そこにフルパワーの一撃が炸裂した!!
「や…やった…の…?」
『(…………。)』
確実に一撃が決まった。その筈だが、まだ倒れない巨大蛙にどんどん不安が募るアクア。
ドスーーンッ!!!
「やった…やったわ…とうとうやったわ!!」
ようやく巨大蛙が仰向けで地面に倒れた。
よってこの戦いはアクアの勝ちだ!
「その通りだ。よく頑張ったな、アクア…。」
「えへへ〜ありがとう。」
道中あれやこれやと言いながらも、最後にはキッチリとやり遂げたアクアに、ベジットは彼女の頭を撫でては素直に褒める。
「もー子供扱いしないでよ!これでも貴方よりかは歳上よ!…多分。」
「ガキみたいなもんだろ…。」
「と・こ・ろ・でベジットの方はどうだった?まあ言わなくても結果はわかるけどね〜。」
「オレか?オレは……。」
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時間は遡り…
クエストの1日目の夜と2日目の午後から"とある場所"の聴き込みをしていた。
何件か回っているうちに、"とある街"の近くにその目的地があると情報を入手した。
その後は速攻でその目的地へと飛んで行った。
その様子を見ていた者が居たとか…居なかったとか…
『こいつが
上空から見下ろしているのは、いかにも漫画に出て来そうな城が顕在している。そしてベジットが言う"懐かしい"とは、多分何処かの
『おっと…感傷に浸っている場合じゃねえ。さっそく…ちゃあ!!」
ベジットは全身に力を込め、掛け声を出す。
それにより黒髪が金色の髪に、黒目が翡翠の目になっていた
。
この変化こそが女神アクアも見た姿、そして魔人ブウと戦っていた戦士。"
これこそが過去には千年に一度に現れると言われた"超サイヤ人"なのだ!
『受けてみな!ファイナル…!!』
自分の
しかし、そのまま放つのではない。
そこから
『かめはめ波ーーーーっ!!!!』
放たれた莫大のエネルギー波は真下にある魔王の城へと向かっていた。
この一撃なら魔王諸共、この世界での全ての片がつく…そう確信していた。
『何だと……!!?』
しかし、ベジットは驚愕の表情になっていた。
何故なら……
『
あんな莫大な技を外す訳が無い。
被弾する瞬間もしっかりと確認していた。
『ちっ!ならもう一度だ!ビッグ・バン・アタック!!!」
今度は開いた右手を前に出すと、その手から直線状のエネルギー波が魔王の城に放たれる。
『くそ!やはり…
今度こそは見逃さない様、更に注視していたが、やはりこの技も通用しなかった。
だが、1つだけ判った事があった。
『成る程、そう言う事か…オレの技が当たる瞬間に……。』
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「と言う訳だ。このオレの技が通用しなかった事に驚いている。魔王ってのは案外やるもんだな?」
「い…ま…で…の…。」
「こうなったら魔王の城に直接乗り込むしかないのか。まあ、妙な事に
「く…ろ…う…は……………。」
「一応聞くがお前は他に方法があるか知って……おい、さっきから何ブツブツ言ってんだ?」
「い…今までの苦労と期待は何だったのよーーーっ!!ゴッドブローーーーっ!!!」
魂の叫びと共に、巨大蛙の時よりも更に強化されたゴッドブローが放たれた。