なんとでも言え。私とてテラの大地を救わなければならない…   作:バリアンの(面)白き盾

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この小説を書き始めてからこうしようと思っていた所まで書けて良かったです。
お気に入り登録、評価、感想ありがとうございます!
私はまだ10章くらいしか進めてないのでメインを進めてきます。
ここから先はとしてオマケでちょこちょこ進められたらいいなと思ってます。


バリアンの(面)白き盾!ドルベ!

 独房の重厚な電子ロックが解除され、厚い扉がゆっくりと滑り開いた。

微かな明かりの中に浮かび上がったタルラの姿は、かつての暴君としての威圧感は消え失せ、ただ静かに罪の重さを噛みしめる一人の女性のそれだった。

 タルラは、妹であるチェンの姿を見て、安堵の溜息を心の中でついていた。

(……チェン、元気そうで良かった。ロドスという場所は、あなたに安らぎを与えているようね)

 そして、一歩前に出たエレーナ(フロストノヴァ)が差し出した野菜カゴを受け取った。かつて共に雪原を駆け、理想を語り、そして裏切ってしまったかつての同胞。彼女が「生きている」という事実は、タルラにとって何物にも代えがたい救いだった。

 無言でカゴの中の瑞々しいトマトを手に取ったタルラでしたが、その指が止まった。

 そこに貼られていたのは、厳めしいパトリオットの顔写真と共に映っている『私が作りました』というポップなフォントのシール。

(……パトリオット。あなたは、一体どうしてしまったの……? 誇り高きウルサスの盾が、なぜ、自らの顔をトマトに……。……いや、いい。あなたが、土を愛でるような穏やかな日々を過ごせているのなら、それで……)

 タルラは襲いかかる困惑を強引に振り切り、チェンたちへ向き直った。

 しかし、感動の再会はそこまでだった。

 エレーナとチェンの背後。そこには、扉が開いた瞬間からずっと、周囲を照らし出すほどの「光」を放ちながら固まっている男がいた。

 

 ドルベは、「極限まで背筋を反らした救済のポーズ」を決めていた。

「我ら二人の力をみせてやる!(訳:タルラ! 久しぶり……と言っても、私たちが直接言葉を交わすのはこれが初めてだったな! だが案ずるな、このホワイトシールドが、君の独房にバリアンの夜明けをもたらしてやろう!)」

「ブックス!(訳:さあ、私のポーズのキレを見るがいい! この輝きこそが、明日への希望だ!)」

タルラは、完全に動きを止めた。

 彼女の瞳には、かつてのコシチェイの呪いすら凌駕するほどの、強烈な「拒絶」と「困惑」の色が浮かんでいる。

(……これは、……何? ロドスが私に新しく用意した、精神的な拷問の一種なの……?)

 タルラはチェンをチラリと見た。その目は「説明を求めたい、今すぐに」と語っていました。チェンは目を逸らし、フロストノヴァはハッカ飴をガリリと噛み砕いた。

「貴様・・・何のためにこんな真似を!(訳:おっと、あまりの眩しさに言葉を失ったか! 無理もない、私のポーズは太陽すらも嫉妬させるからな!)」

 

「……チェン。……後ろの男は、どんな『拷問兵器』なんだ……?」

 タルラが震える声で尋ねると、チェンは深く溜息をつきました。

「……タルラ姉さん。あれは…兵器じゃない。一応……ロドスの、…仲間だ」

 タルラは再び、キレッキレにポーズを変え続けるドルベに視線を戻した。

 いやチェン、君も言葉に切れがないじゃないか…という言葉は口にはしなかった。

 

 

「……もういい、ホワイトシールド。お前の熱意(光)は十分に伝わった。外へ出るぞ」

 チェンは、かつてないほど「情けないものを見る目」でドルベの襟首を掴みました。あまりにもタルラの引きつった顔が痛々しく、厳しい性格として知られる彼女ですら同情を禁じ得なかった。

「なんとか凌いだようだが、僅かな時を稼いだにすぎん(訳:待て、チェン殿! まだ『再会の喜びを爆発させるファイナル・バリアン・ポーズ』を披露していない! タルラ殿の心の闇が、あと一歩で完全にランクアップされるところだったのだ!)」

「いいから来い! 姉さんの心には、今一番必要なのは光じゃなくて『静寂』なんだ!」

 ズルズルと引きずられていくドルベ。彼は去り際、独房の扉が閉まるその瞬間まで、タルラに向けて「指先の間から覗く切ない眼差しで表現するポーズ」を決め続けた。

「非力な私を許してくれ!(訳:タルラ殿、また会おう! その時は、パトリオット殿直伝の『収穫の舞』もマスターしてくるからな……!)」

 

扉が重々しく閉まり、廊下から「ブックス!」という叫び声とチェンの怒鳴り声が遠ざかっていくと、独房にはようやく「まともな」空気が戻ってきた。

 タルラは、手に持ったトマトを見つめたまま、大きく肩を落として息を吐いた。

「……エレーナ。……あの男は、いつもあんな風なのか……?」

「……ええ。毎日よ。朝から晩まで、あの調子」

 フロストノヴァは、ようやく緊張の解けたタルラの横に座り、少しだけ苦笑いを浮かべた。

「でも、あいつが来てから、父さんも……スノーデビル小隊のみんなも、笑うことが増えた…気がする。あんなだけどあの馬鹿げた輝きに、救われてるやつも多いの。……たぶん、私も含めてね」

 タルラは、エレーナの髪で揺れる蒼い魔石のヘアピン――ドルベが贈ったもの――に気づき、静かに目を細めました。

「……そう。ロドスは、本当に奇妙で、優しい場所なのね」

 タルラはもう一度、パトリオットの『私が作りました』シールを指でなぞった。

騒がしい騎士が去った後の独房には、かつての戦友同士にしか流れない、穏やかで温かい時間が満ちていた。

 

 

 独房を支配していた静寂は、もはや拒絶の沈黙ではなかった。

タルラはゆっくりと、胸の奥底に澱んでいた「あの時」の真実を語り始めた。コシチェイの呪縛、己の弱さ、そしてチェルノボーグを地獄に変えようとした瞬間の歪んだ意志を。

 それは許しを請うための命乞いではなく、かつての戦友であり、今や光の下に立つエレーナという一人の女性に対する、誠実な「決別」の言葉だった。

 タルラの告白を最後まで静かに聞いていたフロストノヴァは、瞳を伏せ、短く息を吐いた。

「……あの時の貴方は、私たちの知るタルラではなかった。不自然で、歪んでいたことには気が付いていた。貴方を憎み、怒りに震えた夜もあった。けれど、あの雪原で戦うことを選び、ロドスと対峙したのは……他でもない私自身の選択だ」

 フロストノヴァは立ち上がり、独房の冷たい壁越しに姉のような存在だった女性を見据えた。

「貴方を許すことはできない。……けれど、タルラ。貴方はこんな狭い檻の中で、過去を数えながら朽ちる器じゃないはずだ。今度こそ、誰の影でもない貴方自身の足で、感染者の平和を願ったあの日の夢を叶えなさい」

 彼女は扉のほうへ歩き出し、去り際に一度だけ振り返った。

「……あなたが裁かれた先で待っているわ。まあ、その時まで私がまだ生きていれば、の話だけどね」

 少しだけ意地悪く、冗談っぽく笑って見せたエレーナ。それは、かつての「冬の死神」ではなく、今を必死に生きる一人の少女としての表情だった。

 

「……ああ。さよならだ、エレーナ」

 扉が完全に閉まり、タルラは再び独房の孤独へと戻った。

 かつての同胞との真の意味での「決別」。それはタルラにとって、止まっていた時間がようやく動き出す音でもあった。

 彼女は震える手で、カゴに残された一つのトマトを手に取った。

 パトリオットが不器用に育て、自らの顔のシールを貼った、あの奇妙なトマト。

 一口かじれば、かつて北の大地で分け合った、どの食事よりも瑞々しく、そして温かい味がした。

「……っ……」

 気づけば、タルラの視界は酷く滲んでいた。

 独房の暗闇の中で、彼女はパトリオットのシールを見つめながら、声を殺して涙を流し続けた。

 

 

 

 レユニオンの残党が集う暗い廃ビルの一角。そこには、かつて龍門を、そしてロドスを震撼させた面々が顔を揃えていた。

ナイン、Guard、そして元レユニオンたち。彼らの目的はただ一つ、ロドス本艦に収監されているタルラの身柄奪還だった。

「内部からのハッキングによるセキュリティの無力化、エリートオペレーターたちの外勤スケジュールの把握……全て順調だ。最短ルートで独房へ向かい、タルラを確保する」

 ナインの言葉に、周囲のレユニオン兵たちは歓喜の声を上げた。彼らの多くは、タルラを救い出すためではなく、彼女に「けじめ」をつけさせるためにこの作戦に参加していた。

 しかし、ナインは険しい表情を崩さなかった。

「……だが、この計画はまだ未完成だ。この男をどうにかしない限りな」

 彼女が端末の画面に表示したのは、白く輝くマントを纏い、「全宇宙の理を指先一点に集約し、明日への希望を無駄に叫ぶ究極の降臨ポーズ」を決めている男の隠し撮り写真だった。

 見ているだけで気が滅入るのは気のせいであるとナインは頭を振った。

「ホワイトシールド……。龍門からの離脱時、一度だけ遠目に見たが……あの男の放つ『光』は異様だった。アーツユニットを介さず、複数の自律兵器を即座に顕現させる。あんな戦闘スタイル、テラのどこにも存在しないだろう」

 ナインの言葉に、元ロドスのGuardが重々しく頷きました。

「……俺がロドスを離れてから加入したオペレーターですね、彼の詳細は機密の塊だ。分かっているのは、あのパトリオットが死の淵から生還した際、中心にいたのが彼だったということ。そして……ドクターやアーミヤさんが、彼を『エリートオペレーターに匹敵する、あるいは凌駕する戦力』として運用しているという噂です」

「そんなやつ、大したことない噂だろ?」

レユニオンの一人が不思議そうに聞いた。

「……奴の恐ろしいところはそこです」

Guardの声が低くなります。

「あのポーズ、一見無意味に見えるが……あの人と対峙したオペレーターの報告によれば、『精神への直接的な干渉』と『戦場の物理法則を歪めるような圧力』を感じるそうです。何より、彼の放つ『NO.102』の輝きは、レユニオンが誇るアーツを根底から無効化しかねない強力な力です」

 ナインは静かに写真のホワイトシールドを見つめた。

「奴を正面から突破するのは不可能に近い。かと言って、無視するにはあまりに予測不能だ。……Guard、奴の『弱点』に関するデータはないのか?」

「……一点だけ。彼は非常に『善性』が強く、仲間の窮地を見過ごせないというところでしょうか。そして、特定の発言……『ドルベ語』と呼ばれる言語を発している間は、わずかに隙が生じるという報告があります。……が、その隙すらも奴の罠である可能性もありますが…」

 ナインは深く息を吐き、作戦地図の中央に赤い×印をつけた。

「決まりだ。タルラ奪還の成否は、この『白き盾』をいかにして戦場から隔離し、その『ポーズ』を封じるかにかかっている。……総員に告ぐ。ホワイトシールドに遭遇した場合、決して一人で戦うな。ポーズを見ても目を合わせるな。奴の独壇場に引き込まれたら最後、我々に勝機はないと思え」

 ナインは計画をさらに年密にするため計画を練り始めた。

 

 ナインの立てた計画は、冷酷かつ理にかなったものだった。ホワイトシールドという「未知の力」を真正面から受け止める愚を避け、彼の最大の武器である「善性」をそのまま「弱点」へと変換しかないと判断した。

 ターゲットは、彼の事実上の監視役であり、唯一の理解者でもあるフロストノヴァ。

 任務を終え、ロドスへの帰路についていたフロストノヴァを、予期せぬ襲撃が襲った。

 一緒に補給任務に出ていたスノーデビル小隊の一人が人質に取られたのだ。

「……お前たちはレユニオンなのか!?いったい何がっあ!」

 背後から音もなく伸びた影が彼女の意識を刈り取った。人質にとっていたスノーデビル小隊を気絶させその場に捨てた。

レユニオンの彼らは倒れ込むフロストノヴァを支え、その手から零れ落ちたロドス専用通信機を拾い上げた。

「……悪いなスノーデビル。これしか方法がないんだ」

 

 その頃、ロドスの甲板で「夕陽の残光を背に受け、世界の平穏を指先で守護せんとするポーズ」を決めていたドルベの端末が、激しくノイズ交じりで鳴り響いた。

通信越しのノイズひどい中、フロストノヴァの通信信号であったためドルベは短く「ブックス!(訳:どうした?補給任務で何かあったか?)」と聞いたが反応はない。何かがおかしいと思っていた矢先だった。

『ホワイトシールド。……彼女を返してほしければ、一人で座標地点まで来い。仲間に知らせれば、彼女の命の保証はない。……待っているぞ』

「……貴様、何のためにこんな真似を!!(訳:フロストノヴァに……何を! )」

 

 ドルベは「仲間の窮地に際し、一切の迷いを捨てて戦地へと急行する、風を切るような疾走のポーズ」を決めると、ドクターへの報告すらせず、単身で闇の中へと飛び出した。

 ナインは遠く離れた監視地点から、ホワイトシールドがロドスを離脱したことを確認していた。

「……かかったわね。これでホワイトシールドは半日は戻れない。……Guard、作戦を開始しなさい。ここから先は時間との勝負だ」

「……了解した。……すまない、ロドスの同僚たち。我々も、後には引けないんだ」

 協力者のおかげでロドス内部システムをダウンさせ、非常用のアラームが鳴り響く。

 

 一方、ドルベは全速力で指定された廃ビルへと向かっていた。その瞳は、バリアン世界の冷たい、激しい炎で燃え上がっていた。

「非力な私を許してくれ…!(訳:待っていろ、フロストノヴァ! 今すぐこの白き盾が、君を救い出してみせる!)」

 

 

 

 ロドス本艦は、かつてない混乱の渦に叩き込まれていた。

鳴り止まない非常警報、ハッキングにより機能を喪失した防衛システム。暗転した廊下で火花が散り、レユニオンの怒号が響き渡る。

「エリートオペレーターの不在、フロストノヴァの未帰還……。出来すぎている」

 ドクターは戦術マップを睨みつけながら、拳を握りしめた。

 これほど精密な電撃戦を仕掛けられる相手は限られている。そしてドクターは確信していました。この作戦の真の狙いは、ロドスの「白き盾」であるホワイトシールドを戦場から隔離し、その間に最短ルートで目的を果たすこと――。

「目的はタルラか……! 彼を狙い撃ちにした計画の全貌が見えてきた…。だが、今は目の前の敵を叩くしかない!」

 一方、演習場では、レユニオンの別働隊がロドスの若きオペレーターたちを追い詰めていた。

「死ね、感染者の裏切り者!」

突き出された槍が新米オペレーターの喉元に迫ったその瞬間、巨大な影がそれを弾き飛ばした。

「……若キ……芽ヲ……摘マセハ……セン……」

 そこに立っていたのは、教官としての職務を全うせんとするパトリオットだった。

 彼はかつての同胞であったレユニオン兵たちをその威圧感だけで圧倒する。

「パトリオット……! なぜあなたがそこに!」

「……私ハ……ロドスノ……盾……。行ケ……若人ヨ……ココハ……通サヌ……」

パトリオットの大きな背中は絶望を打ち砕く「希望」そのものだった。

 しかし、混乱の隙を突き、ナインとGuard率いる精鋭部隊は、すでに独房エリアの目と鼻の先まで迫っていた。

「順調ね。ホワイトシールドを釣り出し、パトリオットを演習場に釘付けにした。……Guard、このままタルラを確保するわよ」

「……ああ。だが、ドクターの指揮が持ち直し始めている。時間が惜しい、急ごう」

独房の重厚な防壁が、ナインたちの手によってこじ開けられようとしていた。

 

 

 

 闇に沈んだ廃ビル。ドルベが足を踏み入れた瞬間、四方の壁から無数のレユニオン兵が影のように湧き出した。

 ドルベは「四面楚歌の絶望を、誇り高き沈黙で受け止める受難の騎士ポーズ」を維持しながら、襲い来るアーツの弾幕を『光天使』たちの盾で防いだ。

「貴様・・・何のためにこんな真似を!(訳:卑劣な罠を仕掛け、フロストノヴァを盾にするとは……! 貴様らに、戦士としての誇りはないのか!!)」

 激昂したドルベが、胸の奥から溢れ出す輝きと共に『No.102 光天使グローリアス・ヘイロー』を顕現させようとしたその時、レユニオンの一人の冷酷な声が響いた。

「……やめておけ。その化け物を呼び出せば、ビルが崩れ、拘束されているフロストノヴァが瓦礫の山に埋もれることになるぞ」

ドルベの動きが、凍りついたように止まった。

 

「……姑息な手を……!(訳:……汚い……汚すぎるぞ、レユニオン……!)」

ドルベはナンバーズの召喚を中断し、生身に近い状態でレユニオンの猛攻に晒された。物理的な爆発や投石、そして精神(ライフポイント)を削る攻撃は、着実に「白き盾」の光を奪っていく。

 レユニオンたちの目的は「抹殺」ではなく「足止め」。ナインの教え通り、彼らは決して深追いせず、ドルベがロドスへ引き返そうとすれば死に物狂いで食らいつき、時間を浪費させることだった。

 廃ビルの上層階、拘束されたフロストノヴァは意識を取り戻した。

 朦朧とする意識の中、階下から聞こえるのは、聞き慣れた「ドルベ語」のあの男の叫び声。

(……ホワイトシールド? どうやってここに…あのバカ……。……ナストラル、聞こえる? 私のアーツで、ここを吹き飛ばして降りる。手を貸して)

 フロストノヴァの意識に、ナストラルの無機質な声が響く。

『それは推奨しない。君の周囲には、アーツの微かな揺らぎを検知して爆発する感応式爆弾が設置されているようだ。動けば、このビルごと君も、そして下にいるドルベも消し飛ぶことになるだろう。……彼らは、君がドルベのために「動かない」ことを計算に入れている』

「……っ、そんな……!」

 フロストノヴァは唇を噛み締めた。自分が動けばドルベを殺し、自分が捕らわれたままでいれ彼は不利な中戦闘することになる。

(一体何が起きているの…?)

「これは、恐らくだが『ロドス』を狙ったものだろう。君たちは分断されたんだ」

 ナストラルの冷静な分析が脳内に響く。

 もしナストラルの言う通りならロドスの救援も難しくなる。

(ホワイトシールド…無事でいて…)

 

 ドルベは「一筋の希望を掴み取ろうともがく、泥濘の騎士ポーズ」で耐え凌いでいた。

「私とてバリアン世界を救わなければならない!(訳:待っていろフロストノヴァ!絶対にたすけだしてみせるぞ! )」

 彼への一方的な攻撃のような戦闘は始まったばかりだった。

 

 ロドスの最深部には、切断された隔壁の焦げた臭いと、重苦しい敗北感が漂っていた。

 タルラは、ナインの手を取り、自らの足で歩みを進めた。アーミヤの悲痛な呼びかけも今の彼女を止めることはできなかった。

「私は行く、アーミヤ。私が灯した炎は、まだ消えてはいない……。裏切りの答えを、感染者達が、求めている。……私は審判を待ち続ける。必ず生き残ってみせるさ。その時が来るまで」

去り際、タルラはロドスの構造を一瞥した。この艦のどこかで土に触れているパトリオット、そして自分に希望を託して去ったフロストノヴァ。私は責任を取らなければならない。彼らが繋いでくれたこの「命」という灯火を、今度は自分が正しく導くために。

 

 

 レユニオンの飛空艇が闇へと消え、ドクターたちが悔恨の情に沈んだその時――。

「……皆さん空から、何か来ます!」

アーミヤが叫び、一同が夜空を見上げた瞬間、雲を割って「一陣の白き閃光」がロドスの甲板へと急降下してきた。

 凄まじい風圧と共に着地したのは、伝説の天馬――『No.44 白天馬スカイ・ペガサス』。その背には、ボロボロになりながらも互いを支え合うドルベとフロストノヴァの姿があった。

 ドルベは、天馬の首筋に手を当てながら、満身創痍の状態で「戦友と共に凱旋する、奇跡の守護騎士ポーズ(右膝を突き、左手を天に掲げる)」を決めました。

「そうだ凌牙!私がバリアンだ!(訳:……間に合わなかったか! だが、フロストノヴァの命は、この白き盾が死力を尽くして繋ぎ止めたぞ! タルラの去り行く背中に、バリアンの祝福があらんことを!)」

「非力な私を許してくれ…(訳:ドクターすまない…)」

 フロストノヴァは、ドルベの肩を借りてふらつきながらも、去り行くレユニオンの航跡を静かに見つめていた。

 

「……無事だったか、二人とも」

 ドクターの声には、タルラを失った喪失感と、目の前の二人が生還したことへの安堵が入り混じっていた。

「ああ。……ホワイトシールドが、無茶をしたんだ」

 フロストノヴァが短く答え、ドルベを促しました。

 ドルベは、まだバリアンエネルギーの余韻でピカピカと明滅しながら、廃ビルで起きた「あるまじき奇跡」について語り始めた。

「これがお前の力か(訳:……話せば長くなる…)」

 

 

 

 廃ビルの中、飛び交うアーツとレユニオン兵たちの嘲笑。

ドルベは、彼らが単に力でねじ伏せようとしているのではなく、明確に「ドルベを無力化し、時間を稼ぐ」という戦術を徹底していることに気づいた。

 

 ドルベは、「絶望的な包囲網の中で、運命のドローを天に掲げる逆転のポーズ」を決め、手札から一枚のカードを叩きつけました。

「私はフィールド魔法、異次元の古戦場―サルガッソを発動!」

瞬間、廃ビルのボロボロの床と壁が歪み、宇宙の塵が舞う異次元の荒野へと書き換えられた。レユニオン兵たちは、足元の地面が書き換わり、広がる銀河の光景に戦慄した。

「我ら二人の力をみせてやる!」

ドルベの声が廃ビル……サルガッソに響き渡る。

「私は光天使(ホーリー・ライトニング)ウィングスを召喚! そしてウィングスの効果発動! このモンスターを召喚した時、光天使モンスター1体を特殊召喚できる! 現れろ! 光天使、ブックス!!」

「さらにブックスの効果発動! 墓地へ送ったカードはサルガッソの灯台! そして手札から光天使ソードを特殊召喚!」

 三体の天使がドルベの周囲を旋回し、光の渦が形成される。

「私はレベル4の光天使ウィングス! ブックス! ソードでオーバーレイ! 3体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

「光の使いよ、今、悠久の時を超え、輝きの衣をまといて、かの地に降臨せよ! No.102! 光天使グローリアスヘイロー!」

 まばゆい三対の翼を持つ『No.102』が、サルガッソの夜空を背に顕現した。その輝きは、フロストノヴァを捕らえているこの包囲網も一瞬で晴らすかのようだった。

 しかし、レユニオンの精鋭たちは怯まなかった。ナインが授けた「対ホワイトシールド」の秘策は、彼のナンバーズのこともあらかじめ対策していたからだ。それは「アーツに頼らない物理的な集中攻撃」だった。

「今だ! アーツじゃない、火薬と源石の爆弾を叩き込め!」

 指揮するレユニオンの合図と共に、ビルの崩落さえ厭わない、原始的かつ膨大な量の爆弾が投げ込まれた。アーツ無効化のオーラを掻い潜り、純粋な衝撃と高熱がグローリアス・ヘイローを襲った。

「この突然の異変は・・・まさか滅びの前兆!? しまった! ・・・これでは本来の力を使う事ができない! 私とした事が・・・!」

爆風の嵐の中、オーバーレイユニットが激しく火花を散らし、グローリアス・ヘイローの甲冑が砕けていく。一度倒されれば墓地へ行く。再召喚に手間がかかるナンバーズの弱点を、彼らは徹底的に突き、封じ込めた。

煙が明けた先には光の粒子となって霧散していく『No.102光天使グローリアス・ヘイロー』の姿があった。

 ドルベは膝をつき、「最強の盾を失い、深い後悔と焦燥に焼かれる騎士のポーズ」をとりながら、虚空を掴もうとした。

「非力な私を許してくれ……。ここまで追い込まれるとはな……!」

(ナッシュ……こんな時、君がいてくれたら……。いや、俺が不甲斐ないばかりに、フロストノヴァを……守れないっていうのか……!?)

「終わりだ、ホワイトシールド。貴様はここで、朝日を見るまでポーズでも決めているがいい」

レユニオン兵たちの嘲笑が響く中、ドルベの眼光はまだ死んでいなかった。

 ナンバーズを失い、サルガッソすらも消えゆこうとするその瀬戸際で、彼はまだ、逆転の「一枚」を信じ続けていたのだ。

 

 粒子となって消えゆくグローリアス・ヘイロー。その残光が、廃ビルの闇に呑み込まれようとしたその瞬間、ドルベの手の中で一枚のカードが、心臓の鼓動のように脈打ち、紅い輝きを放つ。

「RUM――バリアンズ・フォース……」

視界が真っ白に染まり、時間の流れが止まったような静寂が訪れた。そこは廃ビルでもサルガッソでもない、純白の空間だった。

「ナストラル……? ナストラル、いるんだろ? 返事をしてくれ!」

 声を張り上げるが、返ってくるのは自分の声の残響だけだった。代わりに、眩い光の向こうから、静かに歩み寄ってくる「影」があった。

 それは、自分自身。

 いやそうではない、自分とは決定的に違う――揺るがない意志をその瞳に宿した、「本物のドルベ」だった。

「君に、そのカードは使えない」

 その時、ドルベ(転生者)の自分がなぜRUMを使えないのか理解した。

 本物のドルベの言葉は、冷酷な宣告のように響いた。

「……ああ、分かってる。分かってるよ。俺はあんたじゃない。あんたの姿を借りて、あんたのふりをして、勝手にテラの世界でポーズを決めて悦に浸っていただけの、ただの『偽物』なんだからな」

 転生者である彼は、俯いた。RUM(ランクアップマジック)とは、魂のステージを引き上げる奇跡。中身が空っぽの偽物に、その輝きを使いこなせるはずがなかったのだった。

「今の君の姿……人間としての仮面を被ったままでは、バリアンの力の本質を引き出すことは叶わない。そのカードを使いたければ、バリアン形態になるしかない」

「バリアン形態に……? そんなの、どうすればいいんだよ。俺には一瞬しか変身できない…!やり方なんて分からないし、もし俺が本当にバリアンになっちまったら、ロドスの皆は……フロストノヴァは、俺をなんて思うか……!」

 迷い、震える彼に対し、本物のドルベが雷鳴のような声を上げた。

「何をしている!!」

その一喝に、彼は顔を上げた。

「君は私ではない。だが、今この瞬間、バリアンの力をその身に宿し、仲間を救おうとしているのは君だ!君は私の姿をしているのだ……あまり無様な姿を晒すんじゃないぞ。……君も、『バリアンの白き盾』、なんだろう?」

 本物のドルベの姿が、光の中に遠ざかっていく。

 バリアン形態への変身方法など、彼は一つも教えてくれなかった。けれど、遠ざかる彼の背中を見て、一般人の彼は気づいた。

(……ああ、そうか。やり方なんて、最初から決まってたんだ…)

バリアン形態とは、見た目を変える手段ではない。

「自分は偽物だ」という逃げ道を捨て、たとえ化け物と呼ばれようとも、愛する者たちを守るために。「自分はバリアンの戦士である」という覚悟を、魂に刻みつけること。

「……悪いな、ナストラル。そして、ドルベ。……俺、もう迷わないぜ」

 光が収まり、再び廃ビルの冷たい空気が肌を刺す。

 そこには、跪いたまま俯く男の姿があった。しかし、彼から漏れ出すプレッシャーは、先ほどまでとは一変していた。

彼は、ゆっくりと立ち上がる。

その胸の奥で、バリアンズ・フォースがかつてないほど激しく、紅く、そして気高く燃え上がっていた。

 

 

 廃ビル全体が、物理法則を無視した紅い螺旋の奔流に飲み込まれ始めた。

 レユニオン兵たちが「何が起きているんだ!?」と絶叫し、後ずさる。崩れかけの瓦礫が宙に浮き、全ての光が一点、ドルベという男の魂へと収束していく。

 ドルベは、消えゆくグローリアス・ヘイローの残光すらもその身に纏い、天高くカードを突きつけた。

「私はRUMバリアンズ・フォースを発動!モンスターを一体一つ上のランクのエクシーズ召喚を行う!!ランクアップさせるモンスターを指定する! それは……私自身だ!!」

 その宣言と共に、ドルベの足元に巨大なオーバーレイネットワークの渦が発生した。彼はもはや「カードを使うプレイヤー」ではなく、自らが運命を切り拓く「切り札」そのものとなった。

「私は、私自身でオーバーレイネットワークを再構築! 友よ! 俺の『意地』を見ててくれ! カオスエクシーズ・チェンジ!……バリアルフォーゼ!!」

光が爆発する。

 爆風が収まった中心に立っていたのは、これまでの「ドルベのガワを被った人間」ではない。

青を基調とし、神秘的な白の意匠が走る、どこか宇宙的で……それでいてテラの人々が見れば※私たちが見てもそうです※「極限まで無駄を削ぎ落とした、神々しくもシュールな全身タイツマン」にしか見えない、真のバリアン形態。

 しかし、その姿から放たれるプレッシャーは、山々を揺らすほどに重厚だった。

 バリアン形態となったドルベの手には、いつの間にか黄金の輝きを放つ新たなカードが握られていた。

「私はRUM―七皇の剣を発動!」

 その瞬間、廃ビルの天井が消失し、夜空から一筋の神聖な光が降り注ぐ。

ドルベは、「宇宙の真理を掌に収め、全ての偽りを打ち砕かんとする、究極のバリアン・ポーズ」を決めながら吼える。

「このカードの効果は、墓地、またはエクストラデッキにいる『No.102』を、召喚条件を無視して特殊召喚し、さらにカオスエクシーズ・チェンジさせる!」

「再臨せよ、光天使グローリアス・ヘイロー! そして今、その魂をカオスの力でランクアップさせよ!!」

 

「現れろ! CNo.102! 光堕天使ノーブル・デーモン!!」

霧散したはずの白い翼が、今度は漆黒と赤褐色の禍々しくも美しい翼となって再構築された。

 その場にいたレユニオン兵たちは、もはや爆弾を投げることすら忘れ、その「神」にも等しい威圧感に膝をつく。

「貴様らのしがみつく希望! 今こそ意を決し、花と散れ!」

上階で爆弾に囲まれていたフロストノヴァは、その凄まじい圧に息を飲んだ。

 

 

 惚けていたレユニオン達はすぐさま体制を整えノーブル・デーモンへ集中砲火を叩き込んだ。

そして煙が晴れたとき、レユニオン兵たちは、目の前の光景が信じられなかった。

 先ほどまでの「集中砲火」と同じ、あるいはそれ以上の爆発がノーブル・デーモンを包み込んだはず。しかし、煙の向こうから現れたのは、傷一つない黒金の翼と、冷徹なまでに静かなバリアンの戦士の姿だった。

「馬鹿な……! さっきと同じ火力、それ以上を叩き込んだはずだぞ! なぜ落ちない!?」

狼狽する彼らを見下ろし、ドルベは残酷な真実を告げた。

「……グローリアス・ヘイローとは異なり、ノーブル・デーモンは本物だ。ナンバーズは、ナンバーズでしか破壊されない……!」

(ナストラル……見てるか! これが今の俺の『意地』だ! テラの意思だろうが源石爆弾だろうが、バリアンの魂をランクアップさせた今の俺を止めることはできねぇ!!)

 レユニオンたちにとって、それはこの世界の常識(テラの理)を根底から覆す、最悪の「ルール説明」だった。

 ドルベは漆黒のカードを指でなぞり、ノーブル・デーモンの周囲を漂う紅い光の塊を指し示しました。

「行くぞ!! CNo.102! 光堕天使ノーブル・デーモンの効果、発動!!」

「カオスオーバーレイユニットを1つ使い、相手モンスターの効果を無効にし、その攻撃力をゼロにする!!」

 ノーブル・デーモンがその巨大な翼を広げると、廃ビル全域に重圧感のある闇の波動が吹き荒れた。レユニオン兵たちが手にしていた武器は砕け散り、彼らのアーツの源である源石回路は沈黙し、戦う意志そのものが根こそぎ奪い去られていく。

「う、動けない……! 体が重い……なんだ、この光は……!?」

「貴様らのしがみつく希望! 今こそ意を決し、花と散れ!!」

 

 無力化された敵の間を縫うように、ドルベは上階のフロストノヴァへと視線を向けていた。バリアルフォーゼした彼の瞳には、爆弾の導線すらも肉眼でとらえていた。

「女、貴様はよく戦った、眠りにつくがいい!……と言いたいところだが、君にはまだやるべきことがあるはずだ、フロストノヴァ!」

 ノーブル・デーモンの放つ衝撃波が、フロストノヴァを囲んでいた感応式爆弾を「誘爆させる暇も与えず」一瞬で粉砕する。

「……ホワイトシールド……本当、バカみたいに強いじゃない……」

 拘束を解かれたフロストノヴァが、眩しそうに目を細めながら呟いた。

 

 

 廃ビルの喧騒が嘘のように静まり返り、レユニオンたちは地に伏せ体が動かせずにいた。この戦場はノーブル・デーモンの光によって完全に浄化されていた。

 拘束を解かれたフロストノヴァは、呆然としたまま、自分に差し伸べられた「白き盾」の手を見つめていた。その手を取り、立ち上がらせる仕草は、いつになく滑らかで騎士のように見えた。

「私が君の危機に駆けつけないと思ったか? さあ、ロドスへ帰ろう」

 その瞬間、フロストノヴァの全身に電撃のような衝撃が走った。

「……ホワイトシールド? 今、あなた……普通に喋った……?」

 それは断片的な心の声でも、ノイズのような無理やりな解釈でもなかった。混じりけのない、真っ直ぐな言葉が、彼女の耳に、そして心に直接届いたのだ。

「ふ、そんなことで驚くなんてな。私は誇り高きバリアンの戦士だ。これぐらい、大したことではない」

 ドルベは少しだけ得意げに、けれど慈しむような優しい眼差しで彼女を見つめた。いつもの、ポーズで感情を表す彼ではない。そこには、魂をランクアップさせ、真実の姿を晒した者だけが持つ、圧倒的な姿があった。

「ホワイトシールド、あなた……」

問いかけようとしたフロストノヴァを遮るように、彼の身体から柔らかな光の粒子が溢れ出し始めていた。

「……おっと、もう時間のようだ。この姿でいられる限界が来たらしい」

 ドルベは、消えゆくバリアン形態の光の中で、最後にもう一度だけ彼女を真っ直ぐに見つめた。その表情は、かつて地下通路でで死を覚悟した彼女を救った時と同じ、一点の曇りもないものだった。

「フロストノヴァ、いつもありがとう。……君がいてくれるから、私はここで戦える」

その言葉を最後に、まばゆい閃光が彼を包みました。光が収まった後、そこに立っていたのは……。

「ブックス!!」

「我ら二人の力をみせてやる!(訳:フロストノヴァ、無事か! さあ、スカイ・ペガサスに乗ってロドスへ急行だ! 遅れたらケルシー先生にMon3trでケルシコされてしまう!!)」※ケルシコとはケルシーに殺されるの略です※

 後半はナストラルの計らいでカットされた。

 いつもの、キレッキレだが何を言っているのか分からない、ポーズまみれのホワイトシールド。

「……っ。」

 フロストノヴァは思わず口元を抑え、空を見上げた。

(今の時間は、なんだったの……? 夢? それとも、あいつが隠していた本当の姿……?)

 スカイ・ペガサスの背に揺られながら、必死に「風圧に耐えつつ、夜空を駆ける伝説の騎士を演出するアクロバティックなポーズ」をとっているドルベの背中を見つめ、彼女は小さく微笑んだ。

「……『ありがとう』なんて、らしくないじゃないか、バカ……」

 ロドスへと帰還する空の上。彼女の手のひらには、まだ先ほど握られた、バリアンの戦士の熱い体温が、奇跡の証として確かに残っていた。

 

 

 ロドスに帰還してからの数日間、フロストノヴァのドルベに対する視線は、明らかに以前とは異なるものになっていた。

 これまでは「放っておくと何をしでかすか分からない、ピカピカ光る迷惑な不審者」という認識だったが、あの廃ビルでの「対話」を経て、彼女の中でドルベは「不器用だが、魂の底から信頼できる相棒」へとランクアップしていた。

 医務室での検査中、隣のベッドで「全回復を祈願しつつ、静止のポーズ」を決めているドルベに向かって、フロストノヴァは唐突に切り出した。

「ねえ、ホワイトシールド。……あの廃ビルでのこと、本当に覚えてないの?」

「ブックス?(訳:廃ビル? ああ、あのレユニオンの連中をポーズのキレで圧倒した時のことか! 私の『意地』が爆発した瞬間だったな!)」

「そうじゃない。……あんな風に、普通に喋っていたことだ。私の目を見て、『ありがとう』って……」

「貴様・・・何のためにこんな真似を!(訳:何を言っているんだフロストノヴァ! 私の言葉は常にこのポーズに集約されている! 感謝の意なら、今この『感謝の正拳突きポーズ』で表現しているではないか!)」

 ドルベは至って真面目な顔でポーズを更新し続ける。どうやら、バリアン形態時の記憶は曖昧か、あるいは「本来の姿」に戻ったことで、出力系統が再びドルベ語に固定されてしまったようだとナストラルは結論付けていた。

 フロストノヴァは溜息をついたが、その表情には以前のような苛立ちではなく、どこか穏やかな諦めが含まれていた。

(……まあ、いいわ。言葉が通じなくたって、あいつが何を考えてるかは、もう嫌というほど分かるさ)

 彼女は、ドルベがくれたヘアピンにそっと触れた。

 以前なら、彼が敵陣に突っ込めば「またあのバカが……」と頭を抱えていたところだろうが、今なら確信を持って背中を預けられる。彼がどれほど滑稽なポーズをとっていようとも、その内側には、かつて自分を救い出した「騎士の誇り」が燃えていることを知っているからだ。

「……ふん。まあいい。その代わり、次の任務でもしっかり働いてもらうぞ、相棒」

「王を救うのだ!全軍突撃!(訳:もちろんだ、フロストノヴァ! 君と私のコンビネーションは、既に銀河級のランクアップを遂げているからな!)」

 その様子を、医務室の入り口からジト目で見つめる影がありました。

「……ドクター。最近、フロストノヴァさんとホワイトシールドさんの距離、近すぎませんか? なんだか、二人だけの『共通言語』があるみたいな雰囲気で……」

「なんとでも言え。私とてバリアンを救わなければならん…!(訳:アーミヤちゃん! 廊下で立ち話か? 成長期の君には、パトリオット殿の特製パトリオットマトのランクアップ(増量)が必要だな!)」

「……ドクター、ホワイトシールドさんがケルシー先生の講義を受けたいそうなので次の講義の予約を入れておいてください…」

ドクターは苦笑しながら、ロドスに新しく生まれた「最強のコンビ」の絆を、そっと見守るのだった。

 

 

オリジニウムダスト後は…

  • オペレーターとの交流(時系列バラバラ)
  • ドクターやロドス首脳陣主体の交流
  • 単独でサイドストーリーに乗り込む
  • 結果を見たい用兼感想でお教え下さい
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