なんとでも言え。私とてテラの大地を救わなければならない…   作:バリアンの(面)白き盾

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あとWってフロストノヴァのこと雪兎か白兎どっちかなきがしたんですがわかりませんでした。


全軍突撃!

 ロドスの廊下で、フロストノヴァは「元レユニオン」であり、最も予測不能な傭兵——Wと遭遇した。

 Wは腰に手を当て、口角を吊り上げてフロストノヴァを眺めた。

「あらあら、雪兎。死に損なったって聞いたけど、案外元気そうじゃない。……所で、隣に連れてるそいつは何? 雪兎ったらアーツを無くしてその『異物』のお守りなんて随分と落ちぶれたわね〜。」

 Wがドルベの独特すぎるポーズ(「再会を祝して黄金の三角形を全身で描くポーズ」)を指さしてケラケラと笑います。

 隣でドルベは、中身の転生者としての知識が爆発していました。

(Wだ!生ダブチだ!相変わらず性格悪そうで最高に可愛いな!)

 興奮した、ドルベの心の声はフロストノヴァへと届いた。

「(……あ、ダブチだ)」

 その言葉が、フロストノヴァのツボを直撃しました。

「……っ! ぷっ……、あははは!!」

それまでクールに構えていたフロストノヴァが、突然お腹を抱えて吹き出したのです。まさか、あのWを「ダブチ」と可愛い響きで呼ぶとは思いもしなかったからだ。

「……ちょっと、何がおかしいのよ。気味が悪いわね」

怪訝そうに顔を顰めるW。しかし、ドルベは止まりまらない。

 ドルベは「癒やす休息のポーズから、一瞬で騎士の礼をとる流麗なポーズ」へ移行し、高らかに名乗りました。

「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ。」

「はぁ? 旅行者? どこの国から来たらそんな変な格好(ポーズを指して)になるわけ?」

「バリアンの白き盾!ドルベ!」

「……何よそれ。バリアン? 盾? あなた、脳みそに源石でも詰まってるんじゃないの?」

 唐突な名乗る名前が変わったことに混乱する。Wは露骨に嫌悪感を出し、爆弾のリモコンを弄びながら反論するが、その程度でドルベを止めれるわけがなかった。

「なんとでもいえ、私とてバリアンを救わねばならん。」

「……話が通じないわね。ねえ、さっきからそれしか言ってないじゃない」

「なんとでもいえ、私とてバリアンを救わねばならん。」

「……っ!!」

 Wはこれまでに多くの人間を見てきたが、ここまで「会話のキャッチボールを物理的に拒否してくるタイプ」は初めてだった。本気で引き始めたWを余所に、フロストノヴァは壁にもたれかかり、涙を拭きながらその様子を楽しそうに眺めていました。

(いいぞホワイトシールド、もっとやれ。あのWが、あんなに困惑した顔をしてるなんて……最高だ…!)

「……もういいわよ! 好きにしなさい! 関わったら馬鹿になるわ!」

 Wは吐き捨てるように言い残し、逃げるように廊下の角へと消えていった。

残されたドルベは、「去りゆく友の背中に、無言で祝福の光(光天使の残光)を送るポーズ」を決め、中身の転生者として(ダブチ、やっぱりチョロいな。流石ファッション狂人の常識人だな)と満足げに頷くのでした。

 

 

 ロドスの甲板。

 そこには、いつものように太陽の光を浴びながら「右足を軸にして全身を螺旋状にねじるポーズ」で固まっているドルベの姿があった。

 中身の転生者である彼は、昨日のW(ダブチ)との邂逅を思い出し、悦に浸っていました。

(いやぁ、昨日のダブチの困り顔、最高だったな。フロストノヴァもあんなに笑ってくれたし、俺の『ホワイトシールド』としての名声も爆上がり間違いな……!)

 しかし、彼は気づいていなかった。

 彼が立っているいつもの位置、「指定席」の床に、昨日屈辱を味わったWによって、精巧にカモフラージュされた地雷が仕掛けられていることに。

「我ら二人の力をみせてやる!(訳:今日も世界を救うポーズ、決まったぜ!)」

ドルベが最後の手のひらを天に向けた瞬間、カチリという乾いた音が甲板に響いた。

ドォォォォォン!!

凄まじい爆炎がドルベを包み込む。遠くの物陰からそれを見ていたWは「イヒヒッ! ざまあないわね!」と高らかにを笑った。

 しかし、煙の中から現れたのは、爆風でボロボロになりながらも、奇跡的に服の繊維一本分で致命傷を避けたドルベが立っていた、ドルベの姿だった。

「なんとか凌いだようだが、僅かな時を稼いだにすぎん……(訳:あぶねぇ! 死ぬかと思った!)」

「あら、それだけで終わりだと思った?」

Wがリモコンのスイッチをもう一度押した。

次の瞬間、ドルベの周囲がまたもや爆発した。

「一見破壊を逃れた様に見えたが、逆に丸裸にされていたというわけか……!」(奇跡的なそのままの意味)

 爆風が収まった後、甲板に残されたのは、ロドスの制服と白いスーツがボロボロになっており、ロドスの支給品である「健康診断用シャツ(背中に『白き盾』とマジックで書いてある)」一枚になってしまった、あまりにも無防備なドルベの姿だった。

「しまった!バリアラピスを(訳:俺のバリアンとしての威厳が)……これでは本来の力を使う事ができない!私とした事が……!」

 あまりの恥ずかしさに、ドルベは「股間を隠しながら(ズボンは無事)表現する芸術的なポーズ」で固った。

 そこへ、近くにいた騒ぎを聞きつけたフロストノヴァがやってきた。

「……何してるの、あいつ」

ボロボロのシャツ一枚で、変なポーズを取りながら震えているドルベ。その背中の「白き盾」という文字が、空しくに揺れている。

「……W。やりすぎよ。あんなのを見せられる私の身にもなって」

「いいじゃない、狂人の正体は、ただの露出狂だったってわけよ!」

笑い転げるWと、呆れてボロボロになったドルベを見るフロストノヴァ。

 

 Wの嘲笑と、フロストノヴァの冷ややかな視線。絶体絶命の屈辱に立たされたドルベの中の転生者魂が、ついに火を点けた。

(舐めるなよダブチ! 俺はただの露出狂じゃない! 真のバリアンの姿を見せてやる!!)

「バリアンの白き盾!ドルベ!私とてバリアン世界を救わなければならない…!」

 ドルベが激しく光り輝き、その身体が黄金の粒子に包まれた。

「バリアルフォーゼ!!」

一瞬にして、彼はロドスのシャツを脱ぎ捨て(物理的に消滅させ)、全身タイツマンのようなバリアン形態へと変身した。

そのあまりにも唐突な「映画のヒーローのような変身」と、テラの源石アーツの予兆すら一切ない発光現象に、Wはリモコンを落とし、二人は完全にドン引きさせた。

「……は? 何今の。消えたり現れたり……手品?」

「ホワイトシールド、あなた、人間なの……?」

 しかし、変身は長くは続きしなかった。バリアン形態の維持にはカオスエネルギーが、この場にはなかったからだ。そして今の彼にはそれを維持するだけの貯蓄がなかった。

「しまった!バリアラピスを・・・これでは本来の力を使う事ができない!私とした事が・・・!」(なんと2度目の奇跡的なそのままの意味)

数秒でバリアン形態は霧散し、ドルベは再び「背中に『白き盾』と書かれたボロボロのシャツ」姿に戻り、「力尽きて崩れ落ちる悲劇の王のポーズ」で膝をついた。

 この「変身」の報告を受けたドクターとケルシーは、ドルベを研究室へ呼び出していた。

「ドルベ、君……変身できたのか……」

ドクターは、もはや驚きを通り越して感心すらしていた。

 ケルシーはこめかみを指で押さえ、深い、深すぎる溜息をついた。

「……また頭が痛くなるようなことを。その『変身』とやら、もう一度ここで再現しろ。記録を録る」

「非力な私を許してくれ……(訳:今はエネルギー切れで一瞬しか無理なんだ!)」

ドルベが「エネルギー不足を表現するために、電池が切れたロボットのようにカクカク動くポーズ」を決めると、ケルシーは無言で観測機器のスイッチを入れた。

 二人は、ドルベがこれまでに断片的に語った「バリアン世界」の情報を、いよいよ真剣に精査し始めた。

「ケルシー、見てくれ。変身の瞬間、空間の源石濃度に一切の変化がない。つまり、アーツによる光学迷彩や形状変化ではないということだ」

「ああ……。まるで、別の次元に存在する『本来の姿』を、無理やり投影したかのような現象と推測する他ない。……バリアン世界。アストラル世界。彼の語る『世界を救う』という言葉が、もし単なる妄想ではなく、高次元の物理干渉を指しているのか……?」

ドクターとケルシーは、互いの顔を見合わせた。

「テラの法則が当てはまらない、文字通りの『異世界』。……ホワイトシールド、君の故郷は一体、どのような力学で成立しているんだ?」

「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ(訳:それを説明するには、まずデュエルについてから話さなきゃならないんだが……)」

ドルベが「深淵なる知識を授ける賢者のポーズ」を決めると、ケルシーは再びノートを閉じた。

「……いやいい。今日はここまでにしよう。これ以上彼の主観に付き合うと、私の理性がどうにかなってしまいそうだ」

 少しずつだが本当に『異世界』の存在に頭が痛くなった2人はその場は解散することにした。

 研究室から解放されたドルベは、廊下で待っていたフロストノヴァと鉢合わせた。

「……終わったのか? お前の生態調査とやらは」

「ブックス!(訳:ああ! ドクターたちも俺のポテンシャルに気づいたみたいだ!)」

(ドクターとケルシーさんにじっくり見つめられちゃったぜ! これで俺もロドスの重要機密扱いだな!※既にそうです※)

ドルベは「V字型ポーズ」で去っていった。

 フロストノヴァは、そのシャツの背中に書かれた「白き盾」というマジックの文字を見つめながら、「……後で、ちゃんとした服を見縫ってあげたほうがいいか…?」と、小さく独り言をつぶやくのでした。

 

 フロストノヴァは夢を見ていた。

 果てしない白銀の吹雪の向こう側、透き通った青い光を纏ったナストラルが、静かにフロストノヴァを見つめていた。

「……またあなたね、ナストラル。ホワイトシールド——ドルベが、変なポーズを取りながら『変身』したけど、あれもあなたの仕業?」

フロストノヴァの問いに、ナストラルは静かに首を振った。

「いいや、フロストノヴァ。あれは彼の魂の奥底に眠っていた本来の力の一部に過ぎない。……しかし、伝えなければならないことがある。彼の中には、まだ目覚めていない、さらなる力が眠っているのだ」

 フロストノヴァは眉をひそめた。

「さらなる力? ただの変身以上のものがあるというの?」

「そうだ。だがそれは、同時に『良くない物』まで引き寄せてしまう危うい力だ。今の彼には、その力……RUM(ランクアップマジック)は必要ない。いいや、眠らせておくべきだ」

「RUM……? ランクアップ…マジック…?」

聞き慣れない単語を口にするフロストノヴァに、ナストラルはかつてないほど真剣な眼差しを向けた。

「フロストノヴァ。もし、戦場や日常の中でドルベがその『RUM』を使おうとしたなら……あなたは全力で彼を止めてくれ。必ずだ」

「なぜそこまで警戒する必要が? その力が発動したら、彼に何が起きるというの」

フロストノヴァは食い下がる。彼女にとってドルベは、命を救ってくれた大切な、そして放っておけない相棒だったからだ。彼に危険が及ぶなら…。

 しかし、ナストラルはどこか寂しげな、それでいて少しだけ呆れたような微笑を浮かべた。

「理由は簡単なことだ……今の彼には、それは『使えない』んだ」

「……使えない? 準備が足りないとかじゃなくて?」

「そうだ、使えない。少なくとも、今の彼のままでは……。フロストノヴァ、彼を頼む。彼の『意地』だけでは、その境界線を越えられない。」

 その言葉を最後に、青い光は吹雪の中に溶けていった。

 

 

「待ちなさい、ナストラル!」

フロストノヴァは、ロドスの自室のベッドでガバッと跳ね起きた。頬を伝うのは冷や汗ではなく、久しく感じた温もり(冷たさ)だった。

「……ハァ、ハァ……。RUM(ランクアップマジック)……。彼には使えない力……」

 彼女は自分の胸に手を当て、まだ安定している体温を確認した。ドルベの封印は、今も確かに彼女を守っていた。

 フロストノヴァは深く溜息をつき、もう一度ベットへ潜り込む。

「……ナストラルの言う通りだ。あんなバカに、これ以上の力を与えたらロドスが物理的に崩壊しかねないな……」

彼女は心に決めた。もしドルベが「ランクアップ!」などと叫び出したら、その瞬間に迷わずダイレクトアタックを叩き込んで阻止しよう、と。

ナストラルの警告が、フロストノヴァの胸に刻まれた。

 

 

 ロドスの演習場は、再び紫色の不気味な雷鳴が轟く「異次元の古戦場-サルガッソ」へと塗り替えられていた。

 ドルベは、昨日までの「自爆する(面)白き盾」ではなかった。その手には、サルガッソの荒廃した大地を照らす一筋の光を宿したカード「サルガッソの灯台」が握られていた!

「私はバリアンの白き盾、ドルベ!」

 ドルベの中身(転生者)は、ついに手に入れた「サルガッソの灯台」に興奮を隠しきれない。

(ついに来た! これがあればサルガッソのダメージは無効! 俺はもう『ポイント制!?』と叫んで転げ回るだけの男じゃない! 見てろよフロストノヴァ、パトリオットさん! これがランクアップへの……第一歩だ!!)

彼は「直立不動のまま片目をカッと見開き、指先から微かな光を放つポーズ」を決めました。

「さあ、決着をつけよう!デュエルだ! 手札から魔法カード、『サルガッソの灯台』を発動……!」

その瞬間、傍らで観測していたフロストノヴァの脳裏に、昨夜のナストラルの警告が鮮烈に蘇った。

『彼はその力……RUM(ランクアップマジック)を……。あなたは全力で彼を止めてください。いいですね、必ずです』

「(……まさか! ランクアップ!?)」

彼女の目には、ドルベが掲げた「サルガッソの灯台」が、ナストラルが警告した力「RUM」の予備動作に見えた。ドルベがさらに力を高めようとするその挙動、その不穏なポーズ——すべてが「境界線を越える儀式」に感じられたのだ。

「させないわよ……ホワイトシールド!!」

「なんとでも言え。私とてバリアン世界を救わなければならない!(訳:この灯台の光こそが、俺の新たな……)」

 ドルベがカードを天に掲げ、最高にカッコいい「灯台のポーズ」を完成させようとしたコンマ一秒前。

フロストノヴァのダイレクトアタック(渾身の飛び膝蹴り)が、ドルベの顎を的確に捉えた。

「ブックス!?(訳:ぐはぁ!?)」

カードは手から離れて宙を舞い、ドルベはそのまま演習場の壁へと垂直に叩きつけられた。

「はぁ、はぁ……。……出し抜こうなんて、100年早いわ。その『ランクアップ』だか何だか知らないけど、私がいる限り絶対に許さないから!」

 壁にめり込んだドルベは、「力尽きた遭難者のポーズ」のまま、涙を流しながら中身の心で叫んでいました。

(違うんだフロストノヴァ! これはRUMじゃないんだ! ただのサルガッソのダメージを無効にするだけの無能な灯台なんだぁあああ!!)

「一見破壊を逃れた様に見えたが、逆に……(訳:せっかくの灯台が……台無しだ……)」

それを見ていたパトリオットは、深く感銘を受けたように頷いた。

「……ム……。……ホワイトシールド殿ノ……新シイ……術……。……娘ノ……一撃ト……相打ちニ……ナルホドノ……威力トハ。……恐ルベシ……」

「父さん! 納得しないで! さあ、帰るぞホワイトシールド! その変な空間もさっさと片付けろ!」

 フロストノヴァはドルベの襟足を掴んで、ズルズルと引きずりながら演習場を後にした。ドルベの「灯台」がサルガッソを照らす日は、まだまだ遠そうであった。

 

 

 演習場の片隅で、ドルベは「理不尽な衝撃に耐え、真実を追い求める巡礼者のポーズ」のまま、プルプルと震えながら問いかけた。

「その荒ぶる言動の裏にある真っ直ぐな魂を感じる(訳:フロストノヴァ、なぜ君がRUMという名を知っている!? 俺にしか知らないカードの筈……!)」

「……その話、ここで立ち話でする内容じゃない。ドクター、少し時間をいいか?」

 フロストノヴァは、混乱するドルベと、ちょうど視察に来ていたドクター、そしてアーミヤを伴い、応接室へと場所を移した。

「……結論から言うと、ナストラルは私に直接会いに来た。私がロドスに来たばかりの頃、夢の中でね」

 フロストノヴァの言葉に、ドルベは驚愕して衝撃のあまりそのまま固まった。

(ナス……トラル……?誰それ…?俺ドルベ…。いや、ナストラルって誰だよ!?アストラルじゃないのかよ!!)

 ドクターは頷き固まっているドルベに、以前彼女から聞いた話を補足した。

「ああ、彼女からは聞いているよ。ナストラルは自分を『ナンバーズの力の断片』だと言ったそうだが……今回、彼が君に警告したのは、ドルベが持つ『RUM(ランクアップマジック)』という力についてだ…」

「ええ。ナストラルは言った。その力は『良くないもの』を引き寄せる。だから、ホワイトシールド……あなたがそれを使おうとしたら、全力で止めろと」

「なんとでも言え。私とてバリアン世界を救わなければならない(訳:ナストラル……一体お前は誰なんですか…?)」

ドルベは「片手で顔を覆いつつ指の間から虚空を睨むポーズ」をとった。

 アーミヤは心配そうに彼を見つめました。

「ドルベさん……。あなたのその『力』は、ナストラルさんが言うにはあなたがフロストノヴァさんのアーツを封印し続けているのは、『絶対に解かないという意地』だけなんですよね?無理していませんか?」

「感じるぞ、お前の魂を(訳:俺の意志は鋼だ。たとえ世界が滅んでも、この封印は解かせない)」

フロストノヴァは、ドルベから漏れ出る「心の声」にこめかみを押さえ、とことん無茶をする「白き盾」にため息をついた。

 

 

「ドクター。ナストラルが言った『彼には使えない力』というのが、この『サルガッソの灯台』のことなのかは分からない…。だが、ホワイトシールドがこれ以上危険な……あるいは変な方向へ力を暴走させないように、監視を強化すべきだと考える」

 ドクターは真剣な表情でドルベに向き合った。

「ホワイトシールド。君の力がロドスにとって不可欠なのは確かだ。だが、ナストラルの警告に無視できないと判断した。……当面の間、君が『ランクアップ』と叫びながらポーズを決めることを禁止する。これはロドスの安全管理上の決定だ」

「ブックス!?(訳:そんな殺生な! あれは俺の唯一の友の……!)」

「……その代わり、と言っては何だけど」

 フロストノヴァが、少しだけ声を和らげた。

「あなたがその力を正しく使って、私と一緒に任務をこなす限りは……さっきの『ダサいシャツ』じゃなくて、私がちゃんとした隊員服を用意してあげてもいいわ。……父さんも、あなたのことを気に入っているみたいだし」

( フロストノヴァお手製の服!!)

「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ(訳:喜んで! その条件、謹んでお受けしましょう!)」

ドルベは「喜びのあまり、全身で感謝の太陽を表現する、背骨が鳴りそうなポーズ」で爆発的な光(物理)を放ち、アーミヤを眩しがらせた。(ドルベさん、凄く嬉しそうです…。でも光るのは控えて欲しいです…)

 

 

 

 

 ドクターは執務室で、チェルノボーグの記録映像を何度も見返していた。

 そこには、絶望的な状況下で突如として黄金の輝きを放ち、新たな力を手に入れた時の記録が映し出されていた。

 ドクターはペンを回しながら、ナストラルの言葉を反芻していました。

(「彼には使えない」……。ナストラルはそう断言した。だが、ドルベという男は、極限状態において理屈を超えた「意地」で奇跡を形にしてきた…。もし彼が、このテラの戦場であらゆる絶望を背負い、その果てに「RUM(ランクアップマジック)」を強制的に引き寄せてしまったら……)

 それは、単なる戦力の強化ではない、何か「異質なモノ」がこの世界に混じり合う予感だった。

 ドクターはナストラルが言ったことからある仮説を立てていた。

 ドクターは、先日のドルベの「バリアルフォーゼ」のデータを画面に表示した。

「ケルシー、見てくれ。彼の変身が短時間で解けてしまう理由……。単なるエネルギー不足だけではない気がする。彼の魂か、あるいは肉体か……どこかテラの理に馴染みきっていない『綻び』がある。ナストラルが言った『彼には使えない』という言葉の真意は、彼自身の存在が、まだその力を受け止める器として不完全だからではないか…?」

 ケルシーは腕を組み、冷徹な視線を向けた。

「憶測に過ぎない。だが、彼の変身が『本来の姿の投影』だとするなら、その投影元である『バリアン世界』そのものが、今の彼を拒んでいる、あるいは彼自身がその故郷から何かを切り離されている可能性もあるだろう…」

 何ということだ、彼らはナストラルの言葉からドルベが本物のドルベの言葉しか喋れない憐れな存在である真実に近づき付きつつあるのだ…。

 ドクターは考察を深めようとしたが、決定的なデータが足りない。ドルベの持つカード、ポーズ、そして「ポイント制」という謎の概念……。それら全てを繋ぎ合わせる「何か」が見当たらない。

「……ダメだ。これ以上は、彼自身が『目覚める』のを待つしかないか。核心に迫ろうとすればするほど、バリアン世界の霧に巻かれるようだ…」

ドクターは思考を遮断し、端末の電源を落とした。

 

その頃、ドルベは廊下で「ドクターの深い苦悩を察知し、影ながらその苦悩を半分肩代わりしようと壁と一体化するポーズ」で潜んでいた。

(ドクター……。俺のRUM(ランクアップマジック)を心配してるのか。安心しろよ、俺だって今のままじゃダメなことは分かってる。でも、俺の『意地』があれば、いつかその壁も越えられるはずだ……!!)

「非力な私を許してくれ……(訳:今はまだ、このポーズで存在感を示すことしかできないが……!)」

 その姿を見つけたフロストノヴァが、無言で新しい隊員服の採寸用メジャーを構えて背後に立つ。

「ホワイトシールド。いいからそこに直立しなさい。変なポーズで固まられると、袖の長さが測れないでしょう?」

「ブックス!?(訳:あっ、はい! すみません!!)」

 ドクターがどれほど深刻な未来を予測しようとも、目の前のドルベは相変わらずの「不器用な戦士」であり、フロストノヴァに叱られながらも幸せを噛みしめているのだった。

 

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