なんとでも言え。私とてテラの大地を救わなければならない… 作:バリアンの(面)白き盾
ロドスの宿舎区にある広場で、ついにその時がやってきた。
フロストノヴァが夜なべをして(かつ、ドクターのアドバイスも受けつつ※ここ重要※)完成させた、ドルベのための「新しい正装」のお披露目が始まろうとしていた。
現れたドルベの姿に、集まっていたオペレーターたちから感嘆の声が上がった。
それは、ロドスの支給品をベースにしながらも、フロストノヴァのこだわりが詰まった特製の隊員服だった。
全体を清潔感のある「純白」で統一し、肩や袖口にはロドスのロゴと共に、かつての光天使たちを想起させる黄金のラインが刺繍されている。さらに、マントのように翻る裾の裏地には、隠し色として淡いラピスラズリの青が配されていた。
ドルベは、その着心地の良さと、何よりフロストノヴァの手作りであるという事実に打ち震え、「胸に手を当てて斜め45度上を見上げる究極に高潔なポーズ」を決めた。
(あああああ!! 眩しい! 鏡に映る俺が眩しすぎる!! フロストノヴァの苦労が、糸の一本一本にまで宿っている……! 汚せねぇ! この服は一生汚せねぇぞ!!)
「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ(訳:今日からこの姿が、ロドスにおける私の真実の証となる!)」
重厚な足音と共に、パトリオットが歩み寄ってきた。彼は巨大な指先で、ドルベの肩の生地をそっと確かめるように触れた。
「……白ハ……汚れヤスク……戦場ニハ……向かヌ。……ダガ……。……貴殿ノ……ソノ……揺るぎナイ…高潔ナ…『意思』ニハ……相応シイ……色ダ」
パトリオットの赤い瞳が、誇らしげにドルベを見つている。
「……娘ヨ。……良イ……仕立テ……ダ。……遊撃隊ノ……誇リト……ロドスノ……理念ガ……一ツニ……ナッテイル」
「……別に、お父様に褒められるために作ったわけじゃない。あいつがいつまでも『白き盾』なんてマジックで書いたシャツを着てるのが、恥ずかしかっただけ」
フロストノヴァは顔を背けながらハッカ飴を噛み砕いた、その耳は微かに赤くなっていた。
衣装が整ったことで、ドルベのポーズのキレは以前の1.5倍に増大していた。
「我ら二人の力をみせてやる!(訳:この服があれば、俺のポーズの説得力も100倍だ!)」
彼は「新しい翼を得た鳥のように、軽やかに回転しながらロドスの紋章を指差すポーズ」を披露。周囲のオペレーターたちも、あまりの奇妙な動きに「やっぱり変な動き」というギャップに、ドン引きしつつも「……嬉しそうだからいいか」と納得し始めていた。
「……ホワイトシールド。いい気になって汚したりしなさいよ。もし一箇所でも穴を開けたら、その時は……」
フロストノヴァが指先でハッカ飴を転がしながら釘を刺すと、ドルベは「恐怖に直面しながらも忠誠を誓うポーズ」で固まった。
「ブックス!(訳:了解です! クリーニング代は自腹で払います!!)」
ロドスの「白き盾」は、新たな装いと共に、さらなる(ポーズの)高みへと登り始めた。
新衣装に身を包んだドルベと、その隣に立つフロストノヴァ。二人に下された共同任務は、カズデル近郊で暴徒化した武装集団に包囲されたロドスの後方部隊、救護班の救出だった。
戦場の泥濘と硝煙の中、純白の隊員服を纏ったドルベは、まるで場違いなほど戦場に輝く灯台のようだ。
「さあ、決着をつけよう!デュエルだ!(訳:フロストノヴァ、君の道は私が切り開く!)」
(見てくれフロストノヴァ! この新衣装、泥一滴すら寄せ付けない俺の華麗な回避ポーズを!!)
ドルベは「飛来する矢を、バレエのピルエットのように回転しながらミリ単位で躱し、敵の攻撃が掠りそうになるたびに、彼は「ブックス!」と短く叫び、物理法則を無視した角度で体を捻って新衣装を死守している。
「……相変わらず、無駄に騒がしい男ね」
フロストノヴァは呆れながらも、ドルベが引き付けた敵の隙を突き、アーツの代わりに手榴弾と近接戦闘で次々と暴徒を無力化していった。
救護班が追い詰められた広場に、ドルベが先陣を切って飛び込んだ。
「私はバリアンの白き盾、ドルベ!(訳:安心しろ、ロドスの同胞たちよ。私が来たからには、一人の脱落者も出さん!)」
彼は「新衣装のマント部分を風にたなびかせるポーズ」で彼らを出迎えた。
「……ホワイトシールド! ポーズはいいから、左から来てる増援を止めて!!」
フロストノヴァの怒声が飛ぶと同時に、ドルベは「叱責すらも自らの糧とする騎士のポーズ」を経由して、光天使の達を戦場に召喚した。
「我ら二人の力をみせてやる!(訳:フロストノヴァとの初陣、汚点一つ残さず勝利してみせる!)」
戦闘が終了し、救護班を無事に回収したロドスの輸送機の中。
フロストノヴァは、肩で息をしながら水筒を口にしていた。ふと横を見ると、ドルベが「夕陽に向かって自らの正義を問い直すポーズ」のまま固まっていた。
「……はぁ。ホワイトシールド、怪我はない?」
「なんとでも言え。私とてバリアン世界を救わなければならない(訳:怪我など問題ではない。見てくれ、この服に泥が一点もついていないことを!)」
ドルベは「服の清潔さを誇示するために、親指で自分を指しながらドヤ顔のポーズ」を決めたが、その足元は無理な回避運動の連続でプルプルと震えていた。
(勝った……俺は勝ったぞ! 敵にも、そして洗濯の苦労にも!! フロストノヴァの手作り衣装を無傷で持ち帰る……これこそが真のデュエルだ!!)
「……そう。それならいい。次は、もう少し『まともに』戦いなさい。見てるこっちの心臓に悪くなる、あなたのあの動きはね」
フロストノヴァは少しだけ口角を上げ、彼に新しいハッカ飴を一つ差し出した。
「ブックス!(訳:ありがたき幸せ!!)」
ドルベは「飴を聖杯のように受け取り、感極まって天を仰ぐポーズ」を決め、「今日が人生の最高到達点だ」と確信する、記念すべき任務となった。
夕闇が迫る輸送車の中、エンジンの重低音が響いていた。
無事に救護班を収容し、任務は完遂。しかし、窓の外を流れる雲を見つめるフロストノヴァの瞳には、冷たい影が差していました。
先ほどの戦闘――。ドルベが「光天使」を自在に操り、敵を圧倒する傍らで、彼女が行ったのは旧来の軍事的な格闘術と手榴弾の投擲だった。
「……はぁ」
かつて「スノーデビル」と恐れられ、一振りで戦場を氷結させたアーツは、今やドルベの「意地」という名の金庫に厳重に封印されている。これこそが、彼女が今「生きている」理由であったのだが。しかし、戦士として、そしてロドスのオペレーターとして、彼女は己の無力さを痛感していた。
(……私は、彼に守られているだけの『荷物』になりたいわけじゃない)
歯痒さが、胸の奥でチリチリと燃えていた。ロドスのために、ドクターのために、もっと振るえる力があるはずなのに、その力を使えば自分の命が燃え尽き、ドルベの想いも無下にしてしまう。その矛盾が、彼女を苦しめていた。
その沈黙を破ったのは、離れた位置でピースのポーズをとっていた「白き盾」だった。
ドルベは、彼女の微かな心の揺れを敏感に察知していた。
彼は「沈思黙考する騎士のポーズ」から、ゆっくりと近寄った。。
(フロストノヴァ……。分かってる、分かってるよ。あんたは強い人だ。本当は俺の助けなんて借りず、自分の力で戦いたいんだろ? だけどさ……)
「非力な私を許してくれ……(訳:今は、その歯痒さすらも私に預けてはくれないか)」
ドルベは「片膝をつき、自分の胸元を指し示すポーズ」を決めた。
「我ら二人の力をみせてやる!(訳:あんたのアーツは消えたんじゃない。次の『勝利』のために牙を研いでいるだけなんだ)」
フロストノヴァは、ドルベから流れてくる(あなたが生きて、隣にいてくれるだけで、俺の『ポイント制!?』はカンストしてるんだよ!)という暑苦しいほどの心の声に、思わず毒気を抜かれた。
「……相変わらず、勝手なことばかり言うな。私は戦えないことが悔しいと思っているのに…」
「なんとでもいえ、私とてバリアンを救わねばならん(訳:戦い方は一つじゃない。あんたが隣で指揮を執り、俺がその盾になる。それが今の『バリアンの戦術』だ!)」
ドルベは「背中合わせで未来を見据えるポーズ(一人で)」を強引に決め、彼女に拳を差し出した。
「……ふん。相棒なら、もう少しマシな慰め方を学びなさい」
フロストノヴァは呆れたように言いながらも、その拳に自分の拳を軽くぶつけました。アーツという最強の武器を失っても、今の彼女には、この「最高に騒がしくて不器用な白き盾」があった。
(……焦ることはない。この男の『意地』が続く限り、私の戦いも終わらないんだから)
彼女はハッカ飴を一つ噛み砕き、少しだけ晴れた心地で、ロドスへの帰路につくのだった。
フロストノヴァの心の葛藤を、ドルベなりの方法で受け止めた。輸送車の窓からははるか遠くのロドスが見え始めていた。
ロドスの訓練場。そこには、巨大な盾と槍を傍らに置き、厳かな威圧感を放つロドスの新たな「教官」パトリオットの姿があった。
訓練場の隅で、自身の拳をじっと見つめていたフロストノヴァに、重厚な金属音が近づく。
「……エレーナ。……迷イハ……鋭サヲ……鈍ラセル」
「父さん……。別に、迷っているわけじゃ……」
パトリオットは娘の言葉を遮るように、訓練用の木製の長柄武器を彼女の足元へ放り投げた。
「……アーツハ……強大ナ……力、ダ。……ダガ……ソレハ……魂ノ……一部ニ……過ギヌ。……貴殿ガ……失ッタノハ……熱源デアリ……戦士トシテノ……牙デハナイ……ハズダ」
パトリオットの赤い瞳が、かつてウルサスの荒野で数多の兵士を育て上げた「愛国者」のそれに変わった。
「……術ニ……頼ラヌ……死線。……肉体ト……鋼ノミガ……語ル……世界。……ソコデ……新タナ……自分ヲ……見出セ。……私ガ……直々ニ……鍛エヨウ」
「感じるぞ、お前の魂を!(訳:パトリオット大尉! その訓練、私にも手伝わせてください!)」
どこからともなく現れたドルベが、「地面と垂直に静止するポーズ」で割って入った。
(フロストノヴァの近接特訓!? 最高だ! 俺が盾役になれば、彼女は心置きなく全力で拳を叩き込める! これぞ愛のオーバーレイ・ネットワーク!!)
あまりにも気持ち悪かったのでナストラルはフロストノヴァには先ほどの心の声を届けなかった。
「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ(訳:私が彼女の『壁』となりましょう。大尉、ご指導をお願いします!)」
パトリオットはドルベを一度見やり、深く頷いた。
「……良カロウ。……ホワイトシールド。……貴殿ノ……ソノ……頑強ナ……『意思』……。……娘ノ……拳ヲ……受ケルニハ……不足ナイ」
「……ちょっと、二人で勝手に話を進めないで!」
フロストノヴァは呆れながらも、投げ渡された武器を手に取り、鋭い眼光を取り戻した。
「いいわ。アーツがなくても、私は『スノーデビル』のリーダーだ。……ホワイトシールド、後悔しても知らないぞ」
特訓が始まると、訓練場には凄まじい衝撃音が響き渡り始めた。
フロストノヴァの鋭い打撃と、それを「一切の苦痛を感じさせない優雅な受身のポーズ」で受け止めるドルベ。そして、その二人の動きを的確に修正し、冷徹な一撃を繰り出させるパトリオット。
「……甘イ! ……腰ノ……回転ガ……死ンデイル!」
「ブックス!(訳:もっとだ! もっと強く叩き込んでくれ、フロストノヴァ!)」
「……くっ、この変態戦士が……! はぁぁあッ!!」
その光景を、遠くからドクターとアーミヤが眺めていた。
「……ドクター、あれは本当に訓練でしょうか? なんだか、ドルベさんが一方的に喜んでいるように見えますが……」
「アーミヤ、あれが彼らの信頼(?)の形なんだ。……見てごらん、フロストノヴァの動きが、さっきまでよりずっと速くなっている」
ドクターの言う通り、フロストノヴァの顔からは陰りが消え、戦士としての高揚感が戻っていた。アーツを封印された悔しさを、彼女は今、力強い肉体の鼓動へと変えていた。
(ああ! 今の右ストレート、芯に響いたぜ! 4700ポイントダメージだぜ!……ポイント制!?)
ドルベの「魂の絶叫(心の声)」が漏れ聞こえる中、ロドスの訓練場には、新しい「力」を模索する熱気が渦巻いていた。
数日後、訓練場には熱を帯びた鋼のぶつかり合う音が響き渡っていた。
パトリオットの鋭い号令の下、数名の遊撃隊員がフロストノヴァを包囲した。かつての彼女なら、ここで一息に周囲を凍らせていただろう。しかし、今の彼女の手にあるのはアーツユニットではなく、一本のタクティカルナイフと鍛え上げられた自身の肉体だった。
「……遅い!」
フロストノヴァは、盾持ちのわずかな隙を突き、重厚な防具の間を縫うように鋭い一撃を叩き込んだ。パトリオット直伝の足捌きは、氷の上を滑るかのように速く、正確だった。アーツを失ってもなお、彼女の五感は研ぎ澄まされ、敵の動きが以前よりも鮮明に見えていた。
「……ム。……良イ……踏ミ込ミ、ダ。……エレーナ……貴殿ノ……牙ハ……マダ……折レテハ……イナイ」
訓練場の隅では、ドルベが「成長を涙ながらに見守る、聖母のような慈愛に満ちたポーズ」で固まっていた。
(あああ! フロストノヴァ! あの流れるような回し蹴り、1000ポイントだ!彼女は今、新たな次元へランクアップしようとしているんだ……!!)
その様子を、ドクターは腕を組んでじっと見つめていた。
「……驚いたな。アーツを使わずに、これほど短期間で遊撃隊の精鋭を圧倒するとは。……よし、次の任務の編成は決まった。フロストノヴァ、そしてホワイトシールド。君たち二人にメインを任せよう」
ドクターの言葉に、フロストノヴァは荒い息を整えながら、力強く頷き返した。
ドクターの指名を受け、ドルベの興奮は最高潮に達していた。
「我ら二人の力をみせてやる!(訳:ドクター! その判断、待っていたぞ! 俺とフロストノヴァの最強コンビで、どんな困難もブックス!(?)してやるぜ!)」
ドルベは「戦場へ向かう戦士の決意を表現するために、片手を天に突き出し、もう片方の手で新衣装の裾を翻すダイナミックなポーズ」を決めた。
(ドクター! 大好きだ! あんたは分かってる! 今日の俺のこのポーズ、新衣装の白さが際立って最高にカッコいいだろ!? 見てくれよ!!)
「……ホワイトシールド、心の声がうるさい。さあ、何処だって付いていくさ。次の任務……私の『新しい力』を見せてやろう」
フロストノヴァは、どこか吹っ切れたような明るい表情でドルベの横を通り過ぎた。
「ブックス!(訳:了解だ! どこまでも付いていくぞ、フロストノヴァ!)」
ドルベは「主君を追う忠義の騎士を表現するために、その場で三回転してから猛ダッシュするポーズ」で彼女の後を追い、ドクターは苦笑しながら彼らの背中を見送った。
ロドスの発着場には、出発を控えた緊張感と、慌ただしい足音が入り混じっていた。
新衣装に身を包み、気合十分で「暁の出撃を告げる、黄金比に基づいた前傾姿勢のポーズ」を決めていたドルベだったが、そこへ血相を変えたアーミヤが駆け込んできた。
「ドクター! ホワイトシールドさん! 待って下さい!」
アーミヤの叫びに、ドクターが足を止めた。
「どうした、アーミヤ。任務の時間だが……」
「急患です! 重症のオリパシー患者が運び込まれましたが、アーツの暴走が止まりません! ケルシー先生が、患者さんを鎮められるのはホワイトシールドさんのによるナンバーズしかないと……!」
ドクターとケルシーの研究により、ドルベの放つ未知のエネルギーは、アーツだけでなくオリパシーの進行や発作的な症状さえも「一時的に症状を抑える」ことが出来ることが判明していた。
ドクターは眉をひそめた。「……任務の編成を変えるしかないか。ホワイトシールドをここに残し、フロストノヴァ、君は——」
しかし、ドルベはドクターの言葉を遮るように、守るべき命の優先順位を瞬時に判断し「自己を犠牲にする騎士のポーズ」で走り出した。
「非力な私を許してくれ……(訳:作戦に穴を開けて済まない! だが、目の前の命を見捨てることはバリアンの誇りが許さない!)」
(ドクター! 俺がいなくてもフロストノヴァを連れて行ってくれ! 彼女はもう、俺が守るだけのひな鳥じゃない! 彼女の新しい力を、テラの奴らに見せつけてやるんだ!!)
「我ら二人の力をみせてやる!(訳:フロストノヴァ、君を信じている! 任務を頼んだぞ!)」
ドルベはフロストノヴァを一瞬だけ振り返り、「信頼を託すサムズアップと、それを引き立てる腰の捻りポーズ」を残して、急患が待つ医療区画へと消えていった。
ドクターはドルベの強い意志——を感じ取り、即座に再編成を指示した。
「……分かった。フロストノヴァ、君を主力として任務を続行する。スカジ、テキサス、彼女のサポートに回ってくれ!」
輸送機が浮上し、ロドスの姿が遠ざかっていく中、フロストノヴァは手持ちのナイフの柄を強く握りしめた。
「……何かしら、この感じ」
ドルベがいないことへの不安ではない。
訓練で手に入れた確かな手応え、信頼できる仲間、完璧な作戦。すべてが揃っているはずなのに、彼女の鋭い直感は、霧の向こうから忍び寄る「正体不明の悪寒」を捉えていた。
ナストラルが語った「良くない物」——。
あるいは、ドルベという強力な「封印」が自分から物理的に距離を置いたことで、初任務で緊張しているだけだろうか…?
「……気を引き締めなさい。もう任務は始まっているんだ…」
フロストノヴァの呟きは、輸送機のエンジンの轟音にかき消された。彼女たちの向かう戦地には、ドルベの「意地」すら届かない、未知の領域が待ち受けている…そんな気がした。
ロドスの管制室は、かつてないパニックに陥っていた。ドクターたちとの通信が、突如としてノイズに呑まれ、完全に途絶したからだ。
「……ダメです、広域の通信障害が発生しています! 外部からの妨害としかいまはわかりません!」
オペレーターたちの悲鳴のような報告が飛び交う中、アーミヤは冷静に救援部隊の編成を命じた。しかし、その背後に一人の男が立ちふさがった。
「私の名前はナッシュ…ただの旅行者だ(訳:アーミヤ、編成を待っている時間はない! 俺が今すぐ先遣隊として向かう!)」
新衣装の裾を翻し、ドルベは「仲間の危機を察知し、迷わず死地へと赴く不屈の勇者のポーズ」を決めた。
「待ってください、ホワイトシールドさん! 向かうと言っても、ここからドクターのところまでは数百キロあります。輸送機も準備できていないのに、どうやって……!」
「なんとでも言え。私とてバリアン世界を救わなければならない(訳:方法ならある。俺たちの絆を形にする時が来たんだ!)」
ドルベはアーミヤの静止を振り切り、甲板へと駆け出した。
吹き荒れる強風の中、ドルベは懐から一枚のカードを取り出していた。
(……スカイペガサス。かつての友の魂よ、今一度、俺に翼を貸してくれ!)
(頼むぞ相棒! フロストノヴァとドクターを救えるのは、お前のスピードだけなんだ!!)
ドルベは「光り輝く星々を指先で操り、運命の渦を創り出すダイナミックな召喚ポーズ」を決めた。
「我ら二人の力をみせてやる!」
「現れろ!光天使、ブックス!!」
「さらにブックスの効果発動!1ターンに1度、手札からマジックカード1枚を墓地へ送る事で、手札の光天使モンスター1体を特殊召喚する事ができる!そして手札から光天使ソードを特殊召喚!」
「来い!光天使ソード!」
二つの光が渦を巻き、甲板に巨大なオーバーレイネットワークが構築されようとしていた
「私は2体のモンスターでオーバーレイネットワーク構築!エクシーズ召喚!悠久の大義よ、今こそ古の眠りから目覚め天空を駆ける翼となれ!現れろ!NO.44白天馬スカイ・ペガサス!!」
眩い光の中から、純白の翼を持つ伝説の天馬が顕現した。テラのいかなる生物とも異なる、神々しくも強大なエネルギー体。
ドルベは華麗にペガサスの背へと飛び乗り、「風を切り裂き、光の速さで正義を届ける天上の騎士のポーズ」を維持したまま、空へと舞い上がった。
「……何だ、今のは。……馬なのか? 生物学的にも、完全に説明がつかない…」
甲板に駆けつけたケルシーが、空の彼方へ消えていく黄金の光跡を呆然と見つめていた。
「ケルシー先生、ホワイトシールドさんが……。でも、あのカード……以前ナストラルさんが言っていた『RUM』の前兆なのでしょうか?」
「分からない。だが、彼がかつてないほど『本来の力』を解放し始めているのは確かだ。……それが、フロストノヴァの封印にどう影響するか、そして私たちに何をもたらすか……」
ケルシーは厳しい表情で空を睨んだ。
「アーミヤ、救援部隊の編成を急げ。彼が『本来の自分』に戻りすぎる前に、私たちが介入しなければならない。ドクターもフロストノヴァたちも、そしてホワイトシールドもロドスにとって無くてはならない存在だ。急ぐぞ」
一方、ペガサスに跨るドルベの心は、ただ一点に集中していました。
(待っていろ、フロストノヴァ! 俺が、俺たちが今行く!!)
「ブックス!(訳:全速前進だ、スカイペガサス!)」
白き盾と白天馬は、暗雲に包まれた戦地へと、一条の光となって向かった。
カズデル近郊の荒野。そこは、本来なら小規模な略奪者の掃討で終わるはずの任務地だった。
しかし、現実には見渡す限りの地平線を埋め尽くす、異常なまでに活性化した「感染生物の群れ」が、ドクターたちを包囲していた。
「……数が、おかしい! こいつらは一体何処から溢れてきたのよ!」
フロストノヴァは、パトリオットとの特訓で磨き上げたナイフ捌きで、次々と飛びかかってくる感染生物を切り捨てていた。アーツを使えない彼女の体には、すでに疲労の色が見え始めていた。
その隣では、スカジが巨大な剣を振るい、テキサスが剣で影を編むように群れを殲滅していたが、倒しても倒しても、地を這う感染生物達はは減るどころか増えているようにさえ見えた。
「ドクター、これ以上の維持は困難だ。……脱出経路も、彼らに塞がれている」
テキサスが冷静ながらも、険しい表情で報告を上げます。
輸送機のハッチで指揮を執るドクターは、先ほどからノイズしか吐き出さない通信機を握りしめた。
ロドス本艦との連絡は完全に絶たれ、ここは孤立無援のデッドゾーン。
(……いや、アーミヤなら必ず動いているはずだ。そして、ロドスには『彼』がいる)
ドクターは、あえて動揺を押し殺し、冷静に声を響かせた。
「全オペレーター、輸送機を背にして防御円陣を維持しろ! 弾薬と体力を温存し、一点突破の機を待つんだ。……援軍は必ず来る。信じてくれ」
フロストノヴァは、ドクターのその言葉に、自分の中に眠る「封印」の主を思い出していました。
(……ホワイトシールド。あんなに騒がしかったあなたの心の声が、今は聞こえない。……皮肉ね、あんなに『うるさい』と思っていたのに、今はそれが恋しいなんて)
その時でした。
感染生物たちが一斉に動きを止め、空を仰いで奇妙な鳴き声を上げ始めた。
「何かが……来るわ。ドクター、下がって!」
フロストノヴァが武器を構え直したその瞬間。
遥か上空、鉛色の雲を突き破って、目も眩むような純白の閃光が荒野へと降り注いだ。
「悠久の大義よ、今こそ古の眠りから目覚め天空を駆ける翼となれ!!」
戦場に響き渡る、あまりにも場違いな、けれど最高に心強い絶叫。
巨大な翼を広げた「NO.44 白天馬スカイ・ペガサス」が、光を纏って降臨した。
その背中には、新衣装を風になびかせ、「絶望の淵に現れた究極の救世主を表現するために、手綱を放して両腕を大きく広げる、落馬寸前のダイナミックなポーズ」を決めたドルベの姿がありました。
「私が君の危機に駆けつけないと思ったか?(訳:みんな!助けに来たぞ!)」
「……あのバカ。本当に来ちゃったじゃない……」
フロストノヴァは呆れ果てたように溜息をつきましたが、その口元には隠しきれない安堵の笑みが浮かんでいた。
ドクターもまた、空を見上げ、確信を持って拳を握った。
「……反撃開始だ。ホワイトシールド、道を作れ!」
「ブックス!(訳:了解だ! 蹴散らせ、スカイペガサス!)」
絶体絶命の窮地に、最強の(そして最高にうるさい)援軍が到着した!
荒野に吹き荒れる風と、感染生物たちの飢えた咆哮。
ドクターはある決断を下した。ドルベの「翼があるから後で追いつける」という言葉を信じ、オペレーター達を乗せた輸送機を離脱させた。
しかし、空へ逃れる輸送機の窓からフロストノヴァが見たのは、追ってくる白い光などではなく、群れの中に独り取り残され、急速にその光を失っていく戦士の姿だった。
ドルベは、自分の手の中で黒く染まっていくカードを静かに見つめていた。
(すまない、スカイ・ペガサス……。ここに来るまでに無理をさせたな…。お前のエネルギーが、これほど早く尽きるとは……。だが、お前が稼いでくれた時間で、あいつらは脱出できた。……ありがとう、友よ…※彼とは友ではありません※)
「悠久の大義よ、今こそ古の眠りから目覚め……(訳:さらばだ。お前の羽ばたきは、俺の心に刻まれたぜ)」
スカイ・ペガサスは悲しげに、しかし誇り高く嘶き、粒子となってドルベの指をすり抜けて消えていった。
見渡す限りの地平線は、黒い感染生物の波で埋め尽くされていた。退路はなく、空を駆ける翼も失われた。
(怖い……。めちゃくちゃ怖いぜ、これ。足が震えて止まらねぇ……)
ドルベの膝は、恐怖で小刻みに震えていた。しかし、彼はその震えを「あえてリズムを刻んでいるかのような、不敵な戦士の震えのポーズ」へと強引に変換した。
「バリアンの白き盾ドルベ!お前達をデュエルで倒す者!(訳:ドクターたちは必ず戻ってくる。彼らが体制を立て直して迎えに来るまで、この『盾』が砕けることはない…!)」
ドルベは、新衣装の汚れを払うこともせず、光天使ソードを召喚した。
「なんとでも言え。私とてバリアン世界を救わなければならない(訳:……それに。ドクターたちが戻るまでに、この程度のゴミ掃除、片付けてしまっても構わんのだろう……?)」
(カッコいい! 今の俺、最高に主人公っぽい台詞だっただろ!? フロストノヴァが見てたら惚れ直してたに違いねぇ!!)
彼は生前の記憶をほとんど失っているため気が付かなかっただろう。心の中で言った台詞は俗にいう死亡フラグということに。
ドルベは、迫り来る感染生物の群れに対し、「多勢に無勢の状況を逆に楽しみ、敵の死角から逆転の光を放つ孤高の覇者のポーズ」を決めた。
「さあ、決着をつけよう!デュエルだ!(訳:来い、化物ども! バリアンの意地、見せてやる!)」
孤立無援。エネルギーは枯渇寸前。
それでも、荒野に立つ「白き盾」は、かつてないほど高く、鋭く、その指先で勝利のポーズを刻もうとしていた。
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