大昔から神の奇跡や魔法、錬金術や神秘などの不可思議な力があった歴史を持つのが今回の舞台となる世界です。
まだまだ小説家初心者ですが、どうかお読みになってください。
清々しい朝日が自室に満ちる。7月の短い秋で、気温もちょうど良い。
僕は秋山数希。パンダの獣人で、高2である。
あぁ、学校へ行くの面倒くさいな…
なんて思いながら、ベッドから起きる。まだ少し眠い。
顔を洗おう。そう思って自室を出て、洗面台に向かう。冷たい水を顔に浴びると頭がスッキリしたように思えて、清々しい気持ちになった。
「数希」
「あ、おはようございます」
「…ああ。朝食はここに置いておく。俺は仕事へ行くからな」
「わかりました」
そう言って、父さんは仕事に行った。1人で朝食を食べるのは慣れていたので、ぱぱっと済ませて学校へ行った。
通学路へ出ると、少し肌寒い風が出迎えてくれた。秋ということで枯れ葉も多く、辺りを見るとだいたい茶色である。
…おっと、気づいたらもう学校に着いてしまった。
割と朝早くに起きたので学校に着いても教室にはほとんど人がいない。…少し寝ようかな。
少し時間は飛んで四時間目。社会の授業だ。
「…えー、邪馬台国はご存知の通り何処にあったかわからない国です。この頃は魔法技術が発展していたため隠蔽能力が高かったと予想され…」
学校の授業はとても退屈でつまらない。どこも既に学んだことばかりで、眠くなってしまう。
「魔法技術とは紀元前3000年から4世紀まで存在していたと言われるロストテクノロジーで…」
先生の話を聞いているうちに、だんだんと意識が…消えて……
「…ぁ、起きろって!数希!」
「んぁ…?あ、もう終わった?」
「終わったぜ〜。食堂行こうぜ」
「ん〜」
まだ眠気が支配する頭を無理やり起こし彼についていく。
彼の名は山之木大和。レッサーパンダの獣人で、運動が好き。そして僕の親友。小さいころからずっと一緒にいるぐらい仲良しだ。
食堂に着いた。食券機にはたくさんの品物が書かれている。僕は…これにしようかな。
「もう決めた?」
「うん。僕はチャーシュー麺で」
「じゃあオレはカツ丼の大盛りで」
券売機でチケットを買って受付に出す。シンプルで良いシステムだといつも思う。
僕はこの時間が好きだ。彼と共にいる時間はいつも心が躍る。
大和と2人でご飯を食べ、至福の時間を味わった。この後の授業も退屈すぎて眠ってしまった…眠気対策に事前にコーヒーでも飲んでおこうか…?
下校時間。大和と校門前で鉢合わせて一緒に帰ることになった。
この時間の通学路はいつも野良犬や野良猫がいたりするが、今日はいないようだ。少し肌寒い風が吹き、空は赤橙色に染まっていく。
「なあ、もうすぐ冬休みだな」
「来月だよね、それがどうかしたの?」
「いや、なんか予定あんのかなって」
何気ない会話
その中でも、大和の顔はとても愛らしく笑っていた。
今年も冬がやって来る。
来月から冬休みというわけであるけど。
例年通り、8月からの寒波により防寒具を着なければならないほどの寒さが来ると予想されている。いつものことだけど、ちょっと嫌だなとも思う。
「予定か…特にこれと言って特別な予定は…あ、初詣なら行くかな」
「お、いいなそれ!オレも行くけど、いつぐらいからなんだ?」
「詳細は決まってないけど、31の夜には神社に着く話になってる」
「なあ、オレも一緒に行ってもいいか?」
「んー…父さんに聞いてみないとなんとも…」
大和は不満そうな顔をする。
僕の父さん…
いつも厳しくて、時間があるなら勉強をしろなんていう典型的な親だ。
本当は大和と一緒に行きたい…けど、無許可で行ったらまた怒られるだろうし、これがきっかけで縁を切れだなんて言われたくないな。
「…なあ、そろそろ親べったりも辞めたらどうだ?」
「…え?」
「だって、オレらもう高2だぜ?友達と一緒に行くくらい別にいいだろ…?」
…確かに、そうだ。
全然思いつかなかった。
考えてみれば、いつもいつも僕が何か自主的にやろうとすることには許可が必要だったな…
大和はしばらく黙った僕を心配そうに見ている。
「…なあ、大丈夫か?オレ変なこと言ったか…?」
「…あ、ううん!大丈夫」
「…そっか。じゃあ、初詣の話、待ってっから」
「…うん」
大和はそのまま家に帰っていった。
…大和はいつも、僕が思いつかなかったことを言ってくれる。あの時も…あの時も…そうだったね。
あ、もう家に着いちゃった。はぁ…切り替えるか…
時刻は16時。夕日がだんだん落ちていく。
鍵を開けて玄関のドアを開ける。
僕は暗くなった玄関に少しボリュームを上げて、
「…ただいまー」
と言ってみた。
…やっぱり何も返事がない
玄関を抜けてリビングへ。カバンをソファに置いて、洗面台へ向かう。その途中で執事の部屋にもただいまと言ってみた。
…やはり出てこない。ちょっとがっかりだな…
父は…どうせまた自室に引きこもっているのだろう。このまま手を洗って勉強を…
「数希」
「…!はい」
突然父さんの声が聞こえた。僕は恐る恐る声がした方向に顔を向けると、無感情そうな表情をした父さんがそこにいた。
いつもの顔だ。
「…来月は冬休みだったな」
「…はい」
「休みだからと言って、気を抜かずに大学受験を目指せ」
「………はい」
父さんはそう言って、また自室に向かった。僕はそそくさとソファのカバンを回収してから自分の部屋に向かった。
はぁ…怖かった。
大学受験…かぁ
まだ、行きたいところなんて決まってないな。色々オープンキャンパスとかに行ってみてはいるけど…
…これだと、初詣の許可は取れなさそうだな。
僕はため息をつきながら勉強机に向かった。
まずは宿題をしよう……
と思ってはいるが、帰りに話したことが脳内に残ってなかなか集中できない。
大和のあの満天の笑顔を思い出すと、どうしても彼のことばかり考えたくなる。
やっぱり…一緒に行きたいな…
大和のこと大好きだし、もっと一緒にいたいし。
「数希」
突然部屋のドアが開いた。驚きでシャーペンを落としてしまった。僕の父はどうしてこうもいきなり現れるのだろうか…
「は、はい…なんでしょうか?」
「来週の土曜日にオープンキャンパスを申し込んどいた。行って来い。」
「…はい」
ドアが閉まった。
おもわず、大きなため息が出てきてしまった。
…一体いつまでこんな生活を続けるんだろう。
そう思うととても気が重い。
時は本日の夜まで進む。
布団の中でくるまっていた僕は、未だ眠れずスマホをいじっていた。
ピコン。RAINの通知音が鳴る。
『な、初詣一緒に行けそうか?』
大和からメッセージが届いた。
まだ起きていたのか、という驚きは置いておく。
僕は淡々と返事を書く。
『ううん、あの感じだと無理そう。』
メッセージを送ると僕は少し画面から目を外す。
僕は目を閉じて待つことにした。流石に画面を見続けるのは睡眠や視力に悪いしね。
思わず寝そうになったところ、やっとメッセージが返ってきた。
『そっか…。ならしょうがないな。初詣は一緒に行けないけど、冬休み中はいっぱい遊ぼうな!』
『うん。』
悲しかった。しょうがないと割り切ってくれた大和に対してとても申し訳ない気持ちもたくさんある。
本当は一緒に……
そう考えていたら、意識はだんだんと睡魔にやられて眠っていった…
目を覚ますと、既に窓からは朝日の光が見えていた。
…あれ、顔に水っぽい何かが…
………涙?
つづく
読んで下さり誠にありがとうございます!
実はずっと前からこのお話を書いており、結構スタックがあるのです。ですがまだ書き途中なのでだんだんと1週間おきになっていくと思います。申し訳ないです。
ちなみにこの舞台である町の名前は「陽刻市」と言います。歴史がある町で、神社やお寺もあります。三方を山に囲まれ、南に海岸を持っており、水産も盛んです。
次回は明日の4時半に投稿予定です。どうかお楽しみに。