アイス・ブレイク! 〜雪原抗戦編〜   作:犬鮫獣人のイクト

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いつか運命の交差点で誰かと出逢い、そして別れが来る。
それはいつかもわからない。誰なのかもわからない。
そうやって人々は永遠の初めましてとサヨウナラを繰り返す。

忘れないで。
いつか僕が誰かと別れることになっても、
それでも貴方と共にいた時間は真実だったことを。



第11話「いなくならないで」

…夢を見たんだ。

父さんと仲直りするもしも(可能性)を。

一緒に雑談して、ご飯を食べて、そして笑顔の日常を過ごすんだ。

崩れていく。崩れていく。崩れていく。

僕が大和と一緒にいたいだなんて思ったせいで、これらは訪れなかった(可能性を否定された)

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい…!

最後の、家族だったのに__

 

 

あれから、数日が経った。

葬式を終えて以来、数希は外に出ることが極端に減った。

毎日自室に籠もって寝ているばかりだ。

今日も数希は昼までリビングに来なかった。さすがに心配だし、見に行こう。

オレは2階の自室のドアを開けた。数希はまだベッドで寝ていて、うめき声をあげている。

悪夢を見ているようで、とても苦しそうにしている。

枕に泣いた跡がある。でも、寝顔はもう泣き止んでいる。

 

「…なあ数希、もう昼だぜ? そろそろ起きよ〜ぜ」

 

オレは数希の体を揺らした。数希は起きなかった。

今度は数希の腕をブンブンと動かした。それでも数希は起きなかった。

しょうがねえ、今日も寝かせてやるか。

ベッドに腰をかける。ズレていた布団をかけ直す。

頭をポンポンと軽く撫でたあと、部屋を出ようと立ち上がった。

 

「……ん……い、かないで…」

 

声がした。弱々しく、寂しそうな声色だった。

 

「あ…ごめん、嫌だったか…?」

「……ぐぅ……ぐぅ……」

 

どうやら寝言みたいだった。

それでも、オレはここを去るわけにはいかない気がした。

… … …。

午後の日差しがカーテンを通り抜けて降り注ぐ。

ここにはオレと数希しかいない。

手を繋いであげると、少し苦しそうだった寝顔が和らいだ。

 

「数希はさ、すごいよ」

 

少し、語りたくなってしまった。

まあどうせ深く寝ているし、聞かれることはないだろう。

 

「数希はオレより頭もいいし、いろんなことを知ってるし、どんなことでも乗り越えられてきた。

オレにはそんなことできねーな。そんな勇気もない。でもな、オレにだってやれることはあるんだぜ。

それは側にいることだ。お前がどんな目に遭っても、例え辛い気持ちになっても、オレがずっと側にいる。

だから大丈夫さ。

オレも一緒に、泣いてやるから」

「……大和は、ほんとにかっこいいね…」

 

心臓が飛び跳ねる。

どうやら起きていたらしく、寝起きのか弱い声で話しかけてきた。

 

「あー…へへ、まあな」

「あぁ…やっぱり大和はすごいや。

僕には誰かを気にかけたり、助けたりなんてできない。全部独りよがりなんだ。それに…」

「はーい、もうそれ禁止な。お前には全く似合わないぜ」

 

オレは自分の指を口に当てて何も言わないようにジェスチャーした。

「…なにそれ」数希はちょっと笑いながら文句を言った。

…数分も経たないうちに数希がまた口を開いた。

 

「……ねぇ、大和」

「…ん、何だ?」

「今日は…さ、甘えても…いいかな」

「おう、いいぜ。とことん甘えな! オレはお前のランタンだからな!」

「…ふふ、なにそれ」

 

オレはベッドに横になり、一緒の布団に入る。とても暖かい。

お互い見つめ合う向きだからか、少し恥ずかしいような気がする!

オレが数希の頭を撫でてやると、最初は少しびっくりしていたが、続けているとそのうちとても穏やかな笑顔になった。

まるで氷っていた何かが一気に溶けていったような雪解けの如きまぶしさだった。

 

「えへへ…誰かに撫でてもらえるなんて、久しぶりな気がする」

「今日は…いや、今日も明日も撫でてやるぞ」

「うーん、それは流石に恥ずかしくなっちゃうかな…」

「はは、まあたまにはいいよな。

…ちょっといいこと思いついたぜ」

「…?」

 

腕を布団の中にしまう。そしてオレは両腕で数希を掴み、そのままゼロ距離になるまで抱き着く。

ぎゅ〜〜!

布団の中は温かくて、数希の身体も暖かい。

柔らかくて、抱き心地がとてもいい。まるでマスコットみたいだ。

身体が密着する距離なので、顔もめちゃ近い。

数希の顔がどんどん赤らんでいく。少し面白い。

 

「あっ…えっと…これ…」

「ん?嫌だったか?」

「ううん、全然嫌じゃないよ!むしろ、嬉しいというかその…」

「へへ、いやじゃなきゃこれでいいな!

……あったかいな」

「…うん、ちょっと暑いくらい。でも、不思議とこのままがいいなって思う」

「奇遇だな、オレもそう思う」

 

カーテンから漏れ出る日差しが、彼らを包み込む。

まるで世界が彼らを祝福しているかのように見えるほど、それはとても綺麗だった。

布団の中の温もりが、彼らを夢の世界へと誘う__

 

…結局、オレたちはそのまま寝ちゃって、夕方に母ちゃんが起こしてくれた。一緒に起きた時、数希はクシャッとした笑顔でおはようと言ってくれた。

 

…夢を見たんだ。

僕と大和が、一緒に暮らしている(未来)を。

もしもこれが正夢になってくれるならば。

僕はまだ、死にたくない。

父さんと仲直りができなかったのは、やっぱり心残りだ。

けど、それでも僕は。

僕はこの道を歩む。

後悔を背負って、遥か彼方の未来(一生を生ききるIF)へ。

 

つづく




ご読了誠にありがとうございます!
今回は瘉し回です。砂糖爆盛です。激甘いちごミルクです。
それから毎度毎度更新が遅くてすみません!
リアルの予定やら精神の不安定さでなかなか続きを書けませんが、完結は絶対させます!そこは本気です!!
次回も投稿日は未定となります。
それでは、さいなら〜!
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