アイス・ブレイク! 〜雪原抗戦編〜   作:犬鮫獣人のイクト

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もしも親友が心の危機にさらされていた時、貴方ならどうしますか?
助けようと思って、それを実行に移せるのはほんの一握りでしょう。
それでも、助けたいと思えたなら__


第4話「ターニングポイント」

『前回のあらすじ』

オレはごく普通の男子高校生、山之木大和だ。

今日はオレの親友の数希と一緒にホットスナックを食べてたんだが、親からメールが来た時の数希の挙動が怪しすぎて思わず家まで付いてきちゃった感じである。今のところバレてねえ見たいだけど。

オレは塀に隠れながら数希を観察していた。表情は見えねえが雰囲気で何となく分かる。きっとめちゃくちゃ嫌な予感がして気分が落ち込んでいるんだろうな。

お、あいつが玄関を開けるみてえだ!大丈夫っかな…

オレは玄関のその先を見た。そこにはまるで何かがすっぽりと無くなって存在意義を失ったかのような雰囲気を放つ人がいた。

 

「えっ…と、ただいま…です」

「…おかえり」

 

…そっか、あいつの数希の父ちゃんか。なんだか身震いがするな…

…大丈夫だよな、数希?

 

「その…話、とは」

「あぁ、それのことだが」

「最近、また山之木と遊んでいるようだな」

「…それは…」

「まあ、今から話すことをちゃんと聞けばもう怒るような真似はしない」

「………え?」

 

…こいつ、さっきから話を聞いていれば。オレと数希が一緒にいることがそんなに不満かよ…

でも、次に言うことだけはわかる。きっとそういう事言うんだろうなって。

 

「山之木と縁を切れ。二度と関わるな」

 

言わんこっちゃねぇ!ほら数希をちゃんと見ろよ!あんな暗い顔で…絶望でいっぱいの顔じゃねえか!!おめえそれでも親かよ!!

 

「何度も言っただろう。遊ぶのもいいが勉強を第1にしろと。お前も高校2年生だろうに、受験に集中すべきだ」

「…ですが、」

「くどい」

 

「…だから、あいつとはもう縁を切れ。今すぐに。」

「ぁ……ぇ…と…」

「はぁ…。これからは学校は行ってもいいが交友関係は断ち切r…

「待った!!!」

 

気がついたらオレは玄関のドアを開けて数希の隣に立っていた。身体が勝手に動いていた。オレの本能がこれ以上好きにさせるなと言っていた。

でも、オレは何してんだ?とかも思った。こんなことしたらさ…

 

「…はぁ、何かと思えば。数希、これはお前が仕込んだことか?」

「ぇ…えっと…その…ち、違います…」

「あんたさ、どれだけ数希のこと虐めたら気が済むんだ?嫌がってるだろ、怖がってるだろ!!なんで親がこんなことすんだよ!おかしいだろ!」

 

腕で数希とこいつの間にバリケードを作る。それはもう手出しはさせないという意思表示でもあった。

 

「他所は他所、うちはうちだ。お前には関係ない。他所の家庭に入り込む余地はお前にはないのだよ。」

「あああもう、あったま来た!数希ごめん!」

「え…なに…?て…ぇええええ!?」

 

オレは数希の腕を掴んで、玄関から外へ飛び出した。そのまま抱きかかえて建物の屋根まで跳んで数希の家から離れた。

あああどうしようどうしよう。オレやっちまった。どうしようどうしようどうしよう。これ犯罪になるのかな。誘拐犯ってことになるのかな。いけないことだってのはわかってるんだ!でもあのままだと数希は…数希は死にそうだったってことはわかるんだ。今してることが間違いじゃないといいな。

暫くすると、数希がオレの服を引っ張った。

 

「ね、ねぇ大和。そ、そろそろ降りない?」

「だ、ダメだ!まだお前の父ちゃんが探してっかもしれねえだろ!」

「さ、流石にここまで来たら誰も来ないよ…」

 

あ…ここは…海岸か。

オレは数希を降ろすと、その場に座り込んだ。数希もそのまま座った。

どうしよう…オレ、犯罪者かな…人様の子どもを誘拐したわけだもんな……

でもオレ…数希のこと助けたくて…でも、でも、でも、でm

 

「大和!大丈夫…?」

「あ…っへへ、大丈夫だぜ!ほーら、元気百倍!」

「ぁ…ふふ、そういうことにしとくよ」

「な、何のことだ?…まあいいか!あはははっ」

 

一気に静かになる。なんだかとても気まずく思えてきてまた話せるような気になれねぇ。

 

「…その、さ。助けてくれて…ありがとう」

「……おう」

 

お礼、言われちまったな。なんだか少し安心する。

…オレ、間違ってなかったんだよな。

 

「…これから、どうしよっか。大和」

「……そうだな…」

 

海岸から吹く風は潮の匂いがして、とても寒い。住宅街は明るい光が漏れ、海沿いは儚い幻想が終わる時間だと告げていた。

太陽はもう夕暮れの橙色をしていて、もうすぐ夜の帳が降りる時間だ。この刹那みたいな時間に、オレは心を奪われていた気がする。

…今夜はとても寒い夜になりそうだな。

 

僕は離れたところで彼らを見つめている。1つ目のターニングポイントは乗り越えられた。きっとこの調子でいけば望んだ未来が見られると思いたい。

 

「…主様、やっと大和様と一緒に乗り越えましたね」

「僕は絶対に、主様も大和様も、みんな助けます」

 

小さく、そう呟いた。

 

長い耳を持つ犬のような、サメのような見た目。ミステリアスと言われるほどのオーラは纏っていないけど、怪しさは満点な謎の魔法使い。

そんな彼の名前は、

サヌ。秋山サヌ。

ホムンクルスにして獣人と成った変成体。そして誰よりも数希と友を愛するたった1人の執事である。

 

つづく




ご読了、誠にありがとうございます!
ついにサヌくんが出てきましたね!!!イェーイ!
今回は大和くんの視点で書いてみました。どうだったでしょうか?
ちなみに、数希くんの運命はこの地点で分岐したりします。
次回は1/14の4時半頃です!
それでは!
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