だが、こうして人と関わりを持てるのは良いことだと僕は思う。そこには数多の可能性と、物語が生まれていくからね。
とある人はこう言った。人と人が出会わなければ、そこに物語も生まれないと__
最近はよく外を散歩する。
時間帯はバラバラで、出たいと思ったときに出る。たまにサヌや大和と一緒に散歩をするときもある。
散歩はいいものだ。運動にもなるし気分転換にもなる。
それはある日のことだった。
お昼時のちょっと前ぐらいの頃、僕と大和が近所を散歩していたところ、
突然ライオンの兄弟、特に恐らく妹方に絡まれてしまった。
推定妹さんは細身の人間のようで、しかしライオン獣人特有の耳と尻尾を持っている。
推定兄さんは体格が大きいライオン獣人そのもので、こういうのは失礼だが少し太っているように見える。鬣の毛量がとても多く見える。
「ちょっとあなたたち!止まりなさい!」
「え、ちょ、なんだ?!」
「あなたたちも魔法使いでしょ?なら、今ここに魔獣が潜んでいるのもわかるのよね?」
「あ…うん。わかるけど…それが?」
「なら私と勝負しなさい!勝ったほうが先に魔獣退治する権利をくれてやるわ!」
「ええ…っと…」
ここまでノンストップでまくし立ててきたよこの人。
なんだろう、僕たちを呼び止めた挙句よくわからない因縁をつけられて僕はどうすればいいのだろう。
というか、後ろのお兄さん?はなんで止めないのだろうか…さっきから申し訳なさそうにはしているが中々自分が介入できるタイミングを掴めなくてものすごく困っているような。
「ほーう、いいぜ。受けて立つ」
「ふん、後悔するわよ」
「話がどんどん進む…」
いいのか、大和。それ以上先は泥沼かもしれないぞ。
というか自分から言っておいて後悔するわよって…?
そうして彼女と大和は勝負をすることになった。具体的な内容は、どれだけ魔獣の仔を倒したかを競うようだ。
彼女たちと僕たちは二手に分かれてからそれぞれ領域に入った。
「大和…こんなことしてて大丈夫かな…」
「へーきへーき、それにオレが勝つし」
まあそこまで自信があるなら…とそれ以上は言わなかった。
道中たくさんの魔獣の仔をバッサバッサとなぎ倒していきながら領域の奥まで行く。ちなみに僕は倒した数を記録していた。
領域の深層までやってきた。
彼女らも同時に来たようで、先に合流した。
推定兄さんと倒した数を教え合ったところ…
結果は彼女の勝利だった。パンパカパーン。
「ふふん、流石私ね」
「くそぅ…変にカッコつけなければ…」
「そこなの…?」
推定兄さんも一緒に喜んでいるように見えたが、同時に申し訳なさを感じていそうだった。ここまで申し訳なさそうにしているところを見ると何か事情があるのかなと思える。
そうして彼女は魔獣と戦いに行った。
武装すると、神社の巫女さんのような姿になり刀のような武器で攻撃を仕掛ける。
機敏な動きで魔獣を翻弄し、ジワジワとダメージを与えていく。確かに、彼女は強いようだ。
彼女が地面に突然攻撃すると、眩しい閃光が見えて思わず目をつぶってしまう。収まってきたとおもったら魔獣は黒い影のような何かで拘束されており、出たくても出れないほど体力もないみたいだ。
彼女は刀を構え、刀身に光を纏わせる。そのまま光を増大させ、魔獣に斬りつけた!何か聞こえたような気がする。確かなんたらカリバーと叫んでいた気がする。
そのまま魔獣は姿形すら残さず消滅、領域を消えていった。
地面には相変わらずアフターブラックが落ちていた。
「ふう、こんなの昼めし前ね」
「朝飯前では…?」
「うるさいわよ優人」
どうやら彼は優人という名前らしい。
大和はものすごく悔しそうな顔をしていた…
…まあ、あの技普通にかっこよかったしね。ちょっとわかる。
「ちくしょお…」
「まあまあ、大和も頑張ったほうだよ」
「うう…」
「とりあえず、僕たちはこれで帰りますね」
大和を慰めつつ、この場から離れようとした。
すると偶然、サヌと鉢合わせた。
「え、サヌ?どうしてここに」
「柚子さんに買い物を頼まれたんですよ〜」
サヌはこっちに来ると、彼女を見て手を振った。
「あ、久しぶりです弥来さーん」
「はっ、師匠!?お、お久しぶりです…!」
えっとごめん、師匠とは…??
詳しく聞くと、どうやらサヌと弥来さんはよくスーパーのタイムセールなどで会うようで、お互いの節約術を鍛えているそうだ。
サヌと弥来さんはそのまま何か話し込んでしまった…次のタイムセールとかこの時期は魚が少し安いとか聞こえてきた…
「なあ、もう話についていけねえんだけど」
「わかるかも…」
「…あの…すいません、うちの姉が…」
「あ、いえいえ…大丈夫ですよ」
彼は影谷優人、姉のほうは影谷弥来というらしい。身長が高い…そういえばこの兄弟、おそろいのポニテをしている。毛の反り方も似ている…
彼らは年守神社に拾われた姉弟らしく、僕たちと同じ学校に通っているらしい。気づかなかった…
今回の騒動、もとい弥来の奇行は優人さん曰く
「姉さんはなんていうか、他人とのコミュニケーション能力が壊滅的に低くて…それでいていつも自分に自信がないから思わず人に強く当たってしまうんです」
ということらしい。まあ、いわゆるツンデレと言うやつだろう。
今日はそのまま2人と連絡先を交換した。
僕はまた新しい友達?ができたことに少し喜んでいたと思う。大和は対抗心を燃やしているみたい。
こういう突然な出会いがあるのも、散歩の醍醐味だよね。
つづく
ご読了、誠にありがとうございます!
すみません今回も遅れてしまいました…
次回からはちょっと未定にしますね。
弥来ちゃんの読み方は「みらい」といいます。
ツンデレな姉と影で支える弟…いいですよね。
それではまた次の話で!