正義の先で、人は笑う   作:クノスペ

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戦いのアート(後編)

 

 

糸が、空を切る。

現れたのは、人の形をした異様な人形。

仮面のような顔。

長い手足。

軽やかで、不気味で、どこか滑稽。

 

「な...なんだあれ...」

「に、人形...?」

 

突如現れた存在のその威圧感に、闇派閥は困惑し怯えすらした。

そんな中、シロガネはその指先であるるかんに戦いを命じた。

 

「【(セント)ジョージの剣】」

「ぐぁっ!?」

「ぐっ...!?」

 

人形の右腕に仕込まれた刃が閃く。

その巨大に似合わない速度に、1人...また1人と倒される。

闇派閥は人形を操っているシロガネを狙おうとするが、シロガネは少女を抱き抱え、人形を挟むように動いている。

 

「くそっ...こうなったらお前達!同時に行くぞ!」

 

その言葉に闇派閥達は武器を構え、ジリジリと近づいてくる。

それに対してシロガネは慌てるどころか不気味なほど落ち着いていた。

 

「今だ!かかれ!」

「「「死ねぇ!」」」

 

1人の声と同時に一斉に飛び掛かる。

しかし、それがシロガネの狙いだった。

 

戦いのアート(レ ザア マシオウ)!!」

「【コラン】」

 

シロガネは叫ぶと同時に両手を交差させ持ち上げる。

その瞬間、あるるかんの上半身が驚異的な速度で回転し闇派閥達へ突撃した。

完全に想定外の動きをされた闇派閥達は防御もできずまともに攻撃をくらい意識を手放した。

 

「...これにて閉幕...なんてね」

 

シロガネは冗談混じりに言葉を発した後、鞄に向けてあるるかんを歩かせる。

するとあるるかんはその体を何度も変形させ、先ほどの巨体が嘘のように鞄へ収納された。

 

「お兄ちゃん、強かったでしょ?」

「うん!お兄ちゃんありがとう!」

 

抱き寄せていた少女を下ろし頭を撫でてやると、少女は先程まで怯えていたのが嘘のように笑っていた。

すると、向こうでも戦闘を終わらせたアーディとアリーゼが大慌てで走ってきた。

 

「大丈夫シロガネ!?怪我してない!?」

「うん、大丈夫だよアーディ」

「貴方が無事でよかったわ。それにしてもとっても強いのね、旅芸人さん」

「手先がちょっと器用なだけだよ...それはそうとして、宿...どうしよう」

 

怪我をしていないか、シロガネの体をぺたぺたと触りながら心配してくれるアーディにシロガネは苦笑しながら応える。

そんな姿にアリーゼは笑顔を向けながらシロガネを称賛したが、シロガネは謙虚に答え自分が泊まる宿について頭を悩ませた。

今回事件が起きた場所は、西地区の中で宿泊施設が集中していたためしばらくオラリオに止まる予定のシロガネは下手をしたら野宿する羽目になってしまう。

 

「あら、なら私達のファミリアに来たらいいわ!」

「ア、アリーゼ!?」

「シロガネは安全な場所に泊まれて、その対価にアストレア様にさっきのパントマイムとかを見せてあげられる。ふふーん!さすが私天才ね!」

「け、けどシロガネも急に決められたら困るんじゃないかな〜...」

「いや...僕にとってはありがたい限りなんだけど」

「あっ...そっか、発作が出てもすぐ対処できるもんね...」

 

ゾナハ病患者のシロガネにとって、すぐに笑わせられる人がそばにいるという事が何よりありがたい事だった。

アストレアファミリアの事をよく知っているアーディはシロガネのことを考えて止めようとしたが、彼の体のことを思い出して納得した。

 

「じゃあ決まったことだし行きましょ!アーディ、後は任せていいかしら?」

「う、うん。それじゃあまたねアリーゼ、シロガネ」

「うん、またねアーディ」

 

そうしてアリーゼの案内の元、アストレアファミリアへシロガネは歩いて行く。

アーディは無力化した闇派閥をガネーシャファミリアへ連れて行く準備をしている時、ふと先ほどのことを思い出した。

 

「あれ?なんでシロガネがアストレアファミリアに行くって決まった時...モヤモヤしたんだろ?」

「ま、いっか」

 

 

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