入試当日、朝。
ブルース「ただいま。」
ブルースは開発した黒いスーツである、TARANTULA MK15のテストに出かけていたが、帰ってきたのは結局翌日の朝。
約束の夕飯前には帰ってこなかった。
レディバグ「遅せぇよ!!どこで油売ってやがった!!」
ブルース「いった。フライパンで息子の頭殴ってんじゃねえよ、バカ親父。」
レディバグはフライパンでブルースの頭をかち割る勢いでフライパンを振り下ろすが、ブルースはビクともしない。
ブルース「すまん。グラップリングが思いの外楽s…頑丈でどれくらい持ち上げられるか試してた。」
レディバグ「はぁ…バカ息子がよ…本音丸出しじゃねえか!昨日の夕飯抜きで入試行く気か!?」
ブルース「別に夕飯抜いたところでコンディションに支障は出ねえよ。もし倒れそうになったらENUI-5*1で何とかする。」
ブルースがフードを下ろしてうなじを見せると、黒い装甲の上に蛍光グリーンの液体が入った瓶があった。
これがENUI-5の投与装置である。
レディバグ「お…おう…。てか時間やべえじゃねぇか!飯食え!!」
レディバグが近くの時計を確認すると、時刻は入試開始時間の30分前。
ピンチだ。
ブルース「ダッル…着替え済ませてこのまま行く。飯は?」
レディバグ「フッフッフ…こんなこともあろうかとゼリーを用意しといたぜ!!これなら飯食いながら学校行けるだろ!!」
ブルース「珍しく気が利くな。」
レディバグ「生意気なガキだぜ、ほんと。」
ブルースは中学の制服に着替え終わると、レディバグがゼリーを手渡し、ブルースはもう一度TARANTULA MK15を起動した。
TARANTULA MK15には手足、胸に合計5つ極小のリアクターを搭載している。
そのため、24時間起動し続けようと電源は切れる事はなく、長期間戦闘を継続できる。
ヒーローらしからぬ、機能に全振りしたスーツだ。
ブルース「じゃあ、行ってくる。」
その言葉と共に、ブルースはバイザーを上げると、ブロンドのセンターパートに青い目を持つ美少年の顔があらわになる。
レディバグ「おっけ、受かれよ!!美少年!!」
ブルース「期待は裏切らん。」
彼は玄関のドアを閉めると、スパイダーマンのようにグラップリングを活用して入試会場…雄英高校へ向かった。
雄英高校。
日本最大のヒーロー養育機関であり、ヒーロー科の倍率は約300倍という一周まわってバカ高校である。
昇降口らしき場所に多くの受験生が向かっていく中、TARANTULA MK15を装着したブルースはやはり異質であった。
受験生A「何あれ…ロボット?」
受験生B「ロボット操るヒーローなんて居たか?違うだろ。」
ブルース「うわ…ダル。人混み嫌いなんだよなぁ…。早めに帰って早めに来るべきだったか…。」
ブルースは左腕に搭載されたデバイスを操作すると、パワードスーツが瞬く間にブリーフケースの形に戻っていく。
ブルース「…カバンふたつだと流石に見栄えが悪いな。アイアンマン MK85やアイアンスパイダーみたくナノマシンでも開発しとくべきだったか…。」
ブルースは普段使い用のバックパックを背負い直すと、昇降口に向けて歩いていった。
プロヒーローであり教師のプレゼント・マイクによるオリエンテーション、そして筆記試験が終わり、ブルースは入学試験演習会場Bに割り当てられた。
都市を模したエリアであり、試験内容は各地に点在する1から3
尚、後半になるとギミックである0Pロボットが登場するため、逃げることが推奨されている。
ブルース「都市か…なら俺の得意分野だな。」
ブルースはブリーフケースになったTARANTULAを装着し、フードを被ると、腰に収まったリボルバーを手に取る。
ブルース「おさらいといこうか。1度の冷却で使用可能な弾数は5発…冷却には実弾リボルバーと同じく2.5秒を要し、5発以上冷却せずに撃てば冷却時間が10秒に延長される…もう少し多く撃てるようにすれば良かっただろうが、火力が疎かになる。」
ブルースのリボルバーはエネルギー弾であり、冷却すれば150発撃てるという代物。
しかし、冷却をしなければ10秒以上の冷却を要し、それでも撃ち続ければ10発でオーバーヒート、メルトダウンを引き起こすというピーキーな性能をしている。
その分火力は申し分無く、50口径弾の対物ライフルには劣るものの、高火力を発揮するのだ。
ブルース「…まあ今回はコイツとグラップリングだけで行くか。ライフル使うほどでもないし、弓も使い道無さそうだしな。」
そんな呟きをしている間、周りの受験生は騒いでおり、精神統一を図るもの、人に注意をするものがいた。
ブルースがスーツの性能の最終確認をしていると。!
プレゼント・マイク「はい スタート!!!」
カウント無しにスタートの合図がかかった。
その瞬間、ブルースは門の縁にグラップリングフックを突き刺し、演習会場に誰よりも早く突入した。
ブルース「確かに、実戦にカウントはないもんな。合理的だ。」
スパイダーマンのように演習会場に滑り込んだブルースの背後で、他の受験生達が一斉に走り出し始めた。
1Pロボ「標的補足!!」
ブルースの前に緑色のロボットが現れ、その左腕には1と描かれていた。
1Pロボットだ。
1Pロボ「ブッコロス!!」
バシュッ!!
ブルース「もう少し早く動くべきだったな。」
ブルースは建物の壁にグラップリングフックを突き刺すと、超高速で1Pロボットに飛び蹴りをかまし、1Pの胸部に直撃。
1Pは爆散した。
ブルース「親父のトレーニングに比べれば大分温いな。」
次々と襲いかかってくるロボットに対し、ブルースはグラップリングフックを射出、他のロボットに対し投げつけたり、リボルバーで胸部コアを破壊した。
ロボットの残骸が足元に転がる中、ブルースは光学迷彩*2を起動し、ロボットの主要部を背後から破壊する。
光学迷彩が自動で解けるのは起動から10秒後、次に起動できるのは25秒後であるが、その10秒でブルースは5体ものロボットを破壊し、10ポイントを稼いだ。
ブルース「これで45ポイント…か。初の実戦にしてはなかなかじゃないか。残り時間は3分を切ったし、後は救助活動に回すか。」
彼がそう呟いた次の瞬間。
ドカーン!!!
ブルース「?」
大きな爆発音が響き渡り、現れたのは巨大なロボット。
ギミックであり、所狭しと暴れ回る圧倒的脅威である。
ブルース「ダル…!」
ブルースはグラップリングを使って会場を飛び回り、危険な状況の生徒を救出する。
受験生C「あっ…ありがとう!!てか、あんたも逃げろ!!あれはシャレにならんぞ!!」
ブルース「分かってる。」
プレゼント・マイク「残り2分を切ったぜーっ!!」
ブルース「そろそろ撤収するか。」
ブルースは瓦礫に埋もれていた生徒を助けると、試験時間が2分を切った知らせを聞き、安全で攻撃を回避しやすいビルの屋上へと向かう。
ブルース「巨大な
ブルースがそう呟いていると、地上からとてつもない速度で
ブルース「
その何かは0Pの目前まで迫ると、拳を振り上げ…
バァァァァァァァァン!
突き出した。
その衝撃は凄まじく、0Pはぶっ飛び、風圧がブルースにも襲いかかる。
ブルース「なんて威力だ…!」
吹き付ける圧倒的な風圧の中、ブルースが見たのは、手脚が粉砕した縮れ毛の少年が落ちていく様子。
ブルース「ダッル…!」
ブルースはグラップリングを活用してビルから降り、受け止めようとするが、どう見ても間に合いそうに無い。
ブルース「
だがしかし、縮れ毛の少年は地面までもう少し。
助かりそうに無い…が。
近くにいた女子生徒が頬を叩くようにすると、その少年は無重力状態になったように浮かび上がる。
ブルース「重力操作系個性…なるほど、研究のしがいがあるな。」
ブルースは降下を中止し、建物に突き刺したワイヤーを使ってぶら下がる。
ブルース「しかし、あの縮れ毛…個性を受け取って間もないような感じだな。トレーニングしなかったのか…?」
彼の脳に浮かび上がるのは、縮れ毛の少年がボロボロになりながら落ちていく様子。
個性がないブルースでも、10年以上の月日があれば身体に馴染むことはよくわかる。
しかし、縮れ毛の少年はたった一度の個性の行使でボロボロになっていた。
ブルース「まあいい…。考えるのすらダルくなってきた。」
不可解な現象に頭を回転させるも、理解できないために、ブルースは考えるのをやめた。
こうして、雄英高校ヒーロー科の入試は終了した。
果たして、ブルースは受かるのだろうか。
縮れ毛の少年は無事なのか?
次回もお楽しみに。