無個性ヒーロー:タランチュラ   作:インビジブルです男

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MISSION 3:蜘蛛の狩り方

入試当日、朝。

 

ブルース「ただいま。」

 

ブルースは開発した黒いスーツである、TARANTULA MK15のテストに出かけていたが、帰ってきたのは結局翌日の朝。

約束の夕飯前には帰ってこなかった。

 

レディバグ「遅せぇよ!!どこで油売ってやがった!!」

 

ブルース「いった。フライパンで息子の頭殴ってんじゃねえよ、バカ親父。」

 

レディバグはフライパンでブルースの頭をかち割る勢いでフライパンを振り下ろすが、ブルースはビクともしない。

 

ブルース「すまん。グラップリングが思いの外楽s…頑丈でどれくらい持ち上げられるか試してた。」

 

レディバグ「はぁ…バカ息子がよ…本音丸出しじゃねえか!昨日の夕飯抜きで入試行く気か!?」

 

ブルース「別に夕飯抜いたところでコンディションに支障は出ねえよ。もし倒れそうになったらENUI-5*1で何とかする。」

 

ブルースがフードを下ろしてうなじを見せると、黒い装甲の上に蛍光グリーンの液体が入った瓶があった。

これがENUI-5の投与装置である。

 

レディバグ「お…おう…。てか時間やべえじゃねぇか!飯食え!!」

 

レディバグが近くの時計を確認すると、時刻は入試開始時間の30分前。

ピンチだ。

 

ブルース「ダッル…着替え済ませてこのまま行く。飯は?」

 

レディバグ「フッフッフ…こんなこともあろうかとゼリーを用意しといたぜ!!これなら飯食いながら学校行けるだろ!!」

 

ブルース「珍しく気が利くな。」

 

レディバグ「生意気なガキだぜ、ほんと。」

 

ブルースは中学の制服に着替え終わると、レディバグがゼリーを手渡し、ブルースはもう一度TARANTULA MK15を起動した。

TARANTULA MK15には手足、胸に合計5つ極小のリアクターを搭載している。

そのため、24時間起動し続けようと電源は切れる事はなく、長期間戦闘を継続できる。

ヒーローらしからぬ、機能に全振りしたスーツだ。

 

ブルース「じゃあ、行ってくる。」

 

その言葉と共に、ブルースはバイザーを上げると、ブロンドのセンターパートに青い目を持つ美少年の顔があらわになる。

 

レディバグ「おっけ、受かれよ!!美少年!!」

 

ブルース「期待は裏切らん。」

 

彼は玄関のドアを閉めると、スパイダーマンのようにグラップリングを活用して入試会場…雄英高校へ向かった。

 


 

雄英高校。

日本最大のヒーロー養育機関であり、ヒーロー科の倍率は約300倍という一周まわってバカ高校である。

昇降口らしき場所に多くの受験生が向かっていく中、TARANTULA MK15を装着したブルースはやはり異質であった。

 

受験生A「何あれ…ロボット?」

 

受験生B「ロボット操るヒーローなんて居たか?違うだろ。」

 

ブルース「うわ…ダル。人混み嫌いなんだよなぁ…。早めに帰って早めに来るべきだったか…。」

 

ブルースは左腕に搭載されたデバイスを操作すると、パワードスーツが瞬く間にブリーフケースの形に戻っていく。

 

ブルース「…カバンふたつだと流石に見栄えが悪いな。アイアンマン MK85やアイアンスパイダーみたくナノマシンでも開発しとくべきだったか…。」

 

ブルースは普段使い用のバックパックを背負い直すと、昇降口に向けて歩いていった。

 


 

プロヒーローであり教師のプレゼント・マイクによるオリエンテーション、そして筆記試験が終わり、ブルースは入学試験演習会場Bに割り当てられた。

都市を模したエリアであり、試験内容は各地に点在する1から3P(ポイント)ロボットをボコボコにするというもの。

尚、後半になるとギミックである0Pロボットが登場するため、逃げることが推奨されている。

 

ブルース「都市か…なら俺の得意分野だな。」

 

ブルースはブリーフケースになったTARANTULAを装着し、フードを被ると、腰に収まったリボルバーを手に取る。

 

ブルース「おさらいといこうか。1度の冷却で使用可能な弾数は5発…冷却には実弾リボルバーと同じく2.5秒を要し、5発以上冷却せずに撃てば冷却時間が10秒に延長される…もう少し多く撃てるようにすれば良かっただろうが、火力が疎かになる。」

 

ブルースのリボルバーはエネルギー弾であり、冷却すれば150発撃てるという代物。

しかし、冷却をしなければ10秒以上の冷却を要し、それでも撃ち続ければ10発でオーバーヒート、メルトダウンを引き起こすというピーキーな性能をしている。

その分火力は申し分無く、50口径弾の対物ライフルには劣るものの、高火力を発揮するのだ。

 

ブルース「…まあ今回はコイツとグラップリングだけで行くか。ライフル使うほどでもないし、弓も使い道無さそうだしな。」

 

そんな呟きをしている間、周りの受験生は騒いでおり、精神統一を図るもの、人に注意をするものがいた。

ブルースがスーツの性能の最終確認をしていると。!

 

プレゼント・マイク「はい スタート!!!

 

カウント無しにスタートの合図がかかった。

その瞬間、ブルースは門の縁にグラップリングフックを突き刺し、演習会場に誰よりも早く突入した。

 

ブルース「確かに、実戦にカウントはないもんな。合理的だ。」

 

スパイダーマンのように演習会場に滑り込んだブルースの背後で、他の受験生達が一斉に走り出し始めた。

 

1Pロボ「標的補足!!」

 

ブルースの前に緑色のロボットが現れ、その左腕には1と描かれていた。

1Pロボットだ。

 

1Pロボ「ブッコロス!!」

 

バシュッ!!

 

ブルース「もう少し早く動くべきだったな。」

 

ブルースは建物の壁にグラップリングフックを突き刺すと、超高速で1Pロボットに飛び蹴りをかまし、1Pの胸部に直撃。

1Pは爆散した。

 

ブルース「親父のトレーニングに比べれば大分温いな。」

 

次々と襲いかかってくるロボットに対し、ブルースはグラップリングフックを射出、他のロボットに対し投げつけたり、リボルバーで胸部コアを破壊した。

 

ロボットの残骸が足元に転がる中、ブルースは光学迷彩*2を起動し、ロボットの主要部を背後から破壊する。

光学迷彩が自動で解けるのは起動から10秒後、次に起動できるのは25秒後であるが、その10秒でブルースは5体ものロボットを破壊し、10ポイントを稼いだ。

 

ブルース「これで45ポイント…か。初の実戦にしてはなかなかじゃないか。残り時間は3分を切ったし、後は救助活動に回すか。」

 

彼がそう呟いた次の瞬間。

 

ドカーン!!!

 

ブルース「?」

 

大きな爆発音が響き渡り、現れたのは巨大なロボット。

ギミックであり、所狭しと暴れ回る圧倒的脅威である。

 

ブルース「ダル…!」

 

ブルースはグラップリングを使って会場を飛び回り、危険な状況の生徒を救出する。

 

受験生C「あっ…ありがとう!!てか、あんたも逃げろ!!あれはシャレにならんぞ!!」

 

ブルース「分かってる。」

 

プレゼント・マイク「残り2分を切ったぜーっ!!」

 

ブルース「そろそろ撤収するか。」

 

ブルースは瓦礫に埋もれていた生徒を助けると、試験時間が2分を切った知らせを聞き、安全で攻撃を回避しやすいビルの屋上へと向かう。

 

ブルース「巨大な(ヴィラン)への対策を考えておくべきだった…失敗だな。」

 

ブルースがそう呟いていると、地上からとてつもない速度で()()が、0Pロボットに向けて飛んで…いや、跳んでいった。

 

ブルース「What the heck...?(一体なんだ…?)

 

その何かは0Pの目前まで迫ると、拳を振り上げ…

 

バァァァァァァァァン!

 

突き出した。

その衝撃は凄まじく、0Pはぶっ飛び、風圧がブルースにも襲いかかる。

 

ブルース「なんて威力だ…!」

 

吹き付ける圧倒的な風圧の中、ブルースが見たのは、手脚が粉砕した縮れ毛の少年が落ちていく様子。

 

ブルース「ダッル…!」

 

ブルースはグラップリングを活用してビルから降り、受け止めようとするが、どう見ても間に合いそうに無い。

 

ブルース「Damn...!(クソ…!)間に合ってくれよ…!」

 

だがしかし、縮れ毛の少年は地面までもう少し。

助かりそうに無い…が。

 

近くにいた女子生徒が頬を叩くようにすると、その少年は無重力状態になったように浮かび上がる。

 

ブルース「重力操作系個性…なるほど、研究のしがいがあるな。」

 

ブルースは降下を中止し、建物に突き刺したワイヤーを使ってぶら下がる。

 

ブルース「しかし、あの縮れ毛…個性を受け取って間もないような感じだな。トレーニングしなかったのか…?」

 

彼の脳に浮かび上がるのは、縮れ毛の少年がボロボロになりながら落ちていく様子。

個性がないブルースでも、10年以上の月日があれば身体に馴染むことはよくわかる。

しかし、縮れ毛の少年はたった一度の個性の行使でボロボロになっていた。

 

ブルース「まあいい…。考えるのすらダルくなってきた。」

 

不可解な現象に頭を回転させるも、理解できないために、ブルースは考えるのをやめた。

 

こうして、雄英高校ヒーロー科の入試は終了した。

果たして、ブルースは受かるのだろうか。

縮れ毛の少年は無事なのか?

 

 

次回もお楽しみに。

 

 

 

 

*1
記憶・意識補強化合物クラスE:ENUI-5のこと。ENUI-4は身体への負荷が凄すぎて意識補強は出来なかったが、意識補強が完璧にできるようになった。副作用は摂取からおよそ30分後の猛烈な倦怠感と空腹感。

*2
ここでは光の屈折を上手いこと利用して敵から見えなくなるという技術。TARANTULAの左腕端末を操作し使用。

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