『魔宝少女マジカルファルス!』ノベライズ版   作:maTSue

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第2話『駅前カオス! 初めての淫獣退治とフェロモンの罠』

 

【挿絵表示】

 

「淫獣の反応だ! いこう、魔宝少女マジカルファルス!」

 

 プリアポスの無邪気な声に促され、RANは魔法少女のフリフリ衣装と、股間の“マジカルスティック”に戸惑いながらも、部屋を飛び出した。プリアポスはRANの肩にちょこんと乗り、「大丈夫だよ、魔宝少女! キミならできる!」と無責任に励まし続けている。

 

 悲鳴が聞こえた場所──近くの駅前広場に到着すると、RANは信じられない光景に目を疑った。

 

 人間サイズの、不定形ながらも明らかに性的意図を持った黒い塊のような生物が、若い女性に纏わりつき、痴漢行為を働いている。女性は恐怖で硬直し、周囲の人々は混乱しているが、誰も手出しできないでいる。

 

「ひっ……あれが、淫獣……!? ホントにいるんだ……ていうか、キッモ!」

 

 RANは淫獣の姿に吐き気を催しつつも、決死の覚悟で立ち向かった。

 

「えーと、マジカルスティック出して……」

 

 RANはとっさに股間に手をやる。触れた瞬間、明確な感覚が奔る。

 

「ナニコレ! 感覚ある!」

 

「当然だろ! 今はキミ自身の一部なんだ!」

 

 プリアポスが当然とばかりに言い放つ。RANは混乱のまま、両手でマジカルスティックを淫獣に向ける。

 

「……え、エクスタシースプラッシュ!」

 

 しかし、何も起きない。光も音も、何の兆候もない。淫獣は女性にまとわりつくのをやめない。

 

「しっかりしてくれ、魔宝少女! まずはドリームエネルギーを溜めて!」

 

 プリアポスが焦れたように促す。

 

「どうすればいいの!?」

 

「いつもシてるみたいに、想像力を高めるんだ!」

 

「この状況で!?」

 

 まさかの指示にRANは絶句する。だが、淫獣の迷惑行為は止まらない。RANは顔を引きつらせながらも、プリアポスの次の言葉に賭けるしかなかった。

 

「まずは『マジカルフェロモン』を使ってみて! 周囲の人間も興奮させられるから、相手のガードが甘くなるよ!」

 

「え、何それ、ヤバくない!? ていうか、どうやって使うの!?」

 

 RANは半信半疑で、しかし切羽詰まって「マジカルフェロモン……!」と唱えた。すると、彼女の身体から甘く淫靡なオーラが放出され、たちまち広場全体に拡散していく。

 男女問わず、フェロモンを吸い込んだ人々は、みるみるうちに顔を赤らめ、目を潤ませ、理性が薄れていく。淫獣までもが興奮しているように見える。

 

「うわあああああ! 何これ!? みんなおかしくなってるじゃん! 私もなんか、体が熱い……!」

 

 RAN自身もフェロモンの影響を受け、身体の内側から熱くなるのを感じた。

 

「よし、ドリームエネルギーが溜まってきたぞ!」

 

 プリアポスの声と同時に、RANのマジカルスティックが、先ほどとは比べ物にならないほどに屹立し、眩い光を放ち始めた。

 

「今だ! 『エクスタシースプラッシュ』で淫獣を無力化するんだ!」

 

 RANは混乱の極みで「エクスタシースプラッシュ!」と叫び、マジカルスティックから光の奔流を放つ。光は淫獣に直撃するが、なぜか効果がない。淫獣はますます女性にまとわりつき、その痴漢行為はエスカレートしていく。

 

「え!? なんで効かないの!?」

 

「だから言っただろう! 生き物に使うには、エネルギーを体内に『入れないと』いけないって!」

 

「はああああ!? 体内って……!? つまり……直接挿入しろってことォォォ!?」

 

 淫獣に近づき、その体に触れること、そして「マジカルスティック」を使うことに、RANは激しく抵抗し、葛藤する。「いやいやいや! 無理でしょ!? ムリでしょこれ!?」

 

 絶望しかけるRANだったが、その時、彼女の脳裏に腐女子としての妄想が閃いた。

 

「待てよ……『淫獣を少女に変える』……エクスタシースプラッシュで『存在を作り替える』……ということは……」

 

 混乱する理性と、抑えきれない妄想がRANの脳内で化学反応を起こす。

 RANは意を決し、淫獣に接近する。そして、半ばヤケクソ気味に淫獣の体の一部を掴み、「エクスタシースプラッシュ!」を再度放った。今度は光が淫獣の体内に吸い込まれていく。淫獣は苦悶の声を上げ、みるみるうちにその不定形の体が変形を始めた。

 

 淫獣が消えた後には、先ほどまで淫獣に痴漢されていた女性と瓜二つの、だが髪の色だけが不自然なピンク色で全く違う、別人の少女が呆然と立っていた。彼女の瞳は潤み、表情はどこか恍惚としている。

 

「え……本当に少女になった……!?」

 

「そうさ! これで淫獣は完全に無力化されたよ! 見事だ、魔宝少女!」

 

 プリアポスが無邪気に褒める。しかし、周辺はマジカルフェロモンの影響で阿鼻叫喚のセクハラ地獄、いや、興奮の坩堝と化していた。特に、淫獣から変身したばかりのピンク髪の少女は、周囲の興奮につられるように、痴漢されていた女性に対し、自ら濃厚な接触を試みようとする。

 

「や、やめろおおおおお!! 私のせいで百合が捗るのはいいけど、それはまだだ! まだそこまで関係性を進める段階じゃないいいい!!」

 

 RANはなんとか淫獣を退治し、少女もそれ以上の暴走はしなかったものの、広場はフェロモンの影響で軽いパニック状態が続いていた。RANはぐったりと座り込み、変身を解いて元の姿に戻る。マジカルスティックも消え、安堵の息を吐く。

 

「初めてにしては上出来だったよ! 流石はキミだ!」

 

 プリアポスがなおも無邪気に褒める。

 

「上出来なわけあるか! あのフェロモン、どうにかしろよ!」

 

「時間経過で効果は切れるから大丈夫だよ。さあ、今日はもう帰ってゆっくり休もう! また淫獣が出たら、よろしく頼むよ、魔宝少女!」

 

 RANは疲弊しきった顔で空を見上げる。自分の部屋に戻り、ベッドに倒れ込むRAN。しかし、脳裏には先ほどの光景と、淫獣が少女に変わった瞬間の顔が焼き付いていた。

 

「これが……魔宝少女……。R-18同人ネタにはなるけど、これはちょっと想像と違う……!」

 

 だが、その日の夕方、ニュースで「駅前で謎の集団ヒステリーが発生。その混乱の中で、親友同士の女性が突然熱い抱擁を交わし、関係性が急進展した」という報道が流れるのを聞き、RANは微かに口角が上がるのだった。

「……まさか、これも私の『エクスタシースプラッシュ』の影響……?」

 

【続く】

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