『魔宝少女マジカルファルス!』ノベライズ版   作:maTSue

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第4話『潜入! 乙女寮は百合の香り、淫獣も百合の香り』

 RANこと東室蘭(ひがしむろ・らん)、23歳。彼女は前回の機械淫獣退治での妄想暴走、そして推しカプ成就の余韻に浸っていた。罪悪感と、同時に止められない興奮がない交ぜになっている。自分の妄想が現実を書き換えていく魔宝少女としての能力に、畏怖と、どこか底知れない悦びを感じていた。

 

 その日の午後、プリアポスがRANの部屋に現れた。いつになく深刻な雰囲気を漂わせている。

 

「緊急事態だ、魔宝少女! 名門女子校『聖アリアナ学園』の乙女寮に淫獣の反応が出た!」

 

「乙女寮……!?」

 

 その言葉にRANの脳内に、学園百合モノの膨大なストックが去来した。清純なイメージの裏で、数多の百合カップルが秘密の愛を育んでいるという噂の場所だ。RANは内心、歓喜に震えた。

 

「い、いくわ! 推しカプの次は、聖地が汚されるなんて許せない!」

 

 表向きは正義感。だが、実際は百合カップルたちへの興味と、新たな妄想のネタへの欲求が勝っていた。

 

 RANは魔宝少女マジカルファルスに変身し、夜の乙女寮へと潜入した。寮内は静寂に包まれているはずだが、RANには分かる。この空気、この匂い。間違いなく“それ”だ。廊下や共有スペースから聞こえる女子生徒たちの親密な囁き声、微笑み合う姿、そして時に抱き合って眠るカップルらしき生徒たちの姿に、RANのドリームエネルギーは急上昇していった。

 

「うっ……! これは……ヤバい! 空気だけでご飯三杯いける! 百合の香り、濃すぎでしょ!」

 

 RANのドリームエネルギーに呼応するように、マジカルスティックがジワリと屹立し、微かに光り始める。プリアポスがRANの肩で「キミの力がここまで高まるとはね……!」と感心するように言った。

 

 ドリームエネルギーの高まりに引き寄せられるように、寮内のあちこちから複数の淫獣が出現し始めた。今度は前回のような金属色の機械淫獣ではなく、不定形な黒い塊の生物型だ。大小様々なタイプが、次々と女子生徒たちに痴漢行為を働き始める。

 

「きゃああああ!」

 

 悲鳴が上がり、寮内はパニック状態に。RANは「マジで百合現場が汚される!」と激怒し、淫獣たちに立ち向かった。

 

 RANは迷わず「マジカルフェロモン」 を放つ。甘く淫靡なオーラが寮中に拡散し、たちまち寮生たちと淫獣が興奮状態に陥る。寮生たちは互いの身体に手を伸ばしたり、淫獣に抱きつこうとしたり、普段の清純な姿からは想像できない行動を取り始める。

 

 RAN自身のドリームエネルギーも高まり続け、マジカルスティックが強烈に光り輝き始めた。複数の淫獣を前に、RANの脳内では「この淫獣たちがイケメンになって寮生たちとハーレムを形成したら……いや、やっぱり百合だろ! でも、淫獣がイケメン化して、彼らに女性をNTRさせたら……!?」など、様々な妄想が制御不能に暴走し始める。頭の中で、ありとあらゆる百合シチュエーションが洪水のように押し寄せ、それが全てR-18展開へと向かっていく。

 

 RANは暴走する妄想の中で、乙女寮を駆け回り、次々と淫獣にエクスタシースプラッシュを放った。

 

「淫獣を少女に!」

 

 その意識と、目の前に広がる百合の空気が混ざり合い、淫獣は次々と可憐な少女の姿に変身していく。しかし、変身後の少女たちは、通常の少女とは明らかに異なっていた。鮮やかなピンクや青、紫、緑といった、自然界ではありえない髪の色をした少女たちが、興奮で潤んだ瞳で寮内に溢れた。さらに、彼女たちは周囲のマジカルフェロモンとエクスタシースプラッシュの副次効果(RANの妄想の影響)により、皆がふたなり化した上で、他の寮生や変身前の淫獣に痴漢されていた寮生に濃厚な接触を試み始める。

 

 RANが淫獣を退治するたびに、新たな百合カップル(または三角関係やそれ以上)が寮のあちこちで誕生し、R-18展開に発展していく。寮内は、悲鳴と嬌声、そして甘い喘ぎ声が入り混じる、狂乱の百合ハーレム状態と化した。

 

「うわああああああああ! 止まれーっ! 私の妄想が現実になってるけど、こんなに一気に!? ていうか、全員ふたなり化してどうすんだよおぉぉぉぉ!!!」

 

 RANの絶叫が木霊する中、プリアポスはRANの肩の上で嬉しそうに飛び跳ねた。

 

「素晴らしいぞ、魔宝少女! キミの『愛と欲の結晶』は、これまでのどんな魔宝少女をも凌駕している! 

 これは“資格”に相当する……」

 

 全て淫獣を退治し終える頃には、乙女寮はR-18百合天国と化していた。RANは変身を解除し、ぐったりと床に座り込む。

 

 変身した少女たちと、巻き込まれた寮生たちは、意識が朦朧としながらも、互いに寄り添い、愛を囁き合っている。翌日には記憶が曖昧になるだろうが、彼女たちの関係性は確実に「深いもの」に変わっていることだろう。

 

 RANは「清純な乙女寮」を自身の妄想で「極上百合寮」に変えてしまったことに、喜びと、途方もない疲労、そして微かな後悔を感じた。

 

「もう……疲れた……。こんなに一度に百合が捗るのは胃もたれする……」

 

 プリアポスがRANの顔を覗き込む。

 

「ふふふ、これでまた、キミのドリームエネルギーが大きく成長したよ。次はどんな妄想が世界を彩るのか、楽しみだね、魔宝少女!」

 

 その言葉に、RANは自分の妄想が及ぼす影響の大きさを改めて痛感する。この力が制御不能なまま続くことに不安を覚えた。しかし、同時に、彼女の奥底にある「もっと最高の百合が見たい」という欲望が、静かに燃え上がっていくのだった。その力の高まりは、きっと彼女のマジカルスティックにも新たな変化をもたらすことだろう。

 

【続く】

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