『魔宝少女マジカルファルス!』ノベライズ版 作:maTSue
RANこと
プリアポスがRANの肩にちょこんと乗り、得意げに語りかける。
「さあ、魔宝少女! ヘルマプロディトスの力を試す時だ!」
「長い!」
RANは即座にツッコんだ。
「ヘルマプロディトス。それは新たなるマジカルスティックの真名だ」
プリアポスは諭すように言うが、RANは全くピンとこない。
「おぼえられないよ。なにが違うの? 長さ? 硬さ?」
「キミ自身が新たなステージに進んだ証なんだ! その名に相応しい力が宿っている!」
「一本しかないんだからマジカルスティックで良くない? 名前変えるにしてもスーパーマジカルスティックで良くない?」
RANは納得がいかない様子でぶつぶつ言った。プリアポスは呆れたように黙り込んだ。
そんな戸惑いの中、友人から海水浴の誘いが入った。RANは「水着回って聞いてないんだけど!?」と内心ツッコミつつ、渋々OKした。
翌日、RANは友人と海岸沿いの海水浴場に到着した。広がる青い空、輝く海、そして眩しい水着姿の男女。
「うわあ……リア充の巣窟……!」
RANはゲンナリしながらも、水着姿の女性たち、特にスタイルが良いグループや、仲睦まじい女性カップル(に見える人々)を見つけると、やはり妄想が刺激されるのを止められない。海水浴場の開放的で高揚した雰囲気が、RANのドリームエネルギーを自然と高めていく。ヘルマプロディトスもRANの股間で微かに存在を主張し始めた。
「この場所は淫獣も出やすいぞ! キミのドリームエネルギーも高まっているし、注意が必要だ!」
プリアポスがRANの肩の上から忠告した。
案の定、海水浴客の興奮とRANのドリームエネルギーに引き寄せられるように、複数の淫獣が出現し始めた。今回は小型から中型まで様々で、中には透明で気付きにくい、タコの足のような複数の触手を持つタイプもいる。彼らは水着姿の男女にまとわりつき、触手で体を絡め取り、執拗に痴漢行為を働き始めた。
「げ! 出たー! よりによってこんな場所で!」
RANは急いで人の少ない場所で魔宝少女マジカルファルスに変身した。
RANは迷わずマジカルフェロモンを放つ。甘く淫靡なオーラが浜辺全体に拡散し、たちまち周囲の人々と淫獣が興奮状態に陥る。浜辺は悲鳴と嬌声、そして水着の擦れる音が響き渡るカオスな状況に。RAN自身のドリームエネルギーもマックス状態に高まる。
RANはヘルマプロディトスを構えるが、その力が以前よりも格段に増していることに驚いた。より強く、より早くエネルギーがチャージされ、その存在感が以前とは比べ物にならない。
「これ、ヘルマプロディトスとかいうやつのおかげ!?」
RANは内心焦りながらも、次々と淫獣にエクスタシースプラッシュを放った。新しいヘルマプロディトスの力は、以前よりもRANの妄想を強く現実世界に反映させてしまう。淫獣が少女に変身する際、その能力とRANの「水着百合」への強烈な妄想がミックスされる。
変身した少女たちは、全員が自然には発生しない髪色を持ち、しかも例外なくふたなり化している。さらに、彼女たちの水着は、RANの妄想する「エロくて可愛い水着」に変化し、露出度が高まったり、紐が食い込んだり、素材が薄くなったりする。
そして、エクスタシースプラッシュの影響は淫獣に留まらなかった。淫獣以外の海水浴客も巻き込まれ、男性は全員ふたなり化し、女性も極一部がふたなり化した(彼女たち自身、または近くの人間が強く希望していたためだ)。そして、RANの美的感覚によって、だらしなく太った人や不健康な人は全員、キュート、スレンダー、グラマー、セクシーなど、RANの好みに合うように普通以上に整った姿に改変されていく。
「ぎゃあああああああ! 止まれーっ! これ私が望んだ水着回じゃな──い! いや、望んだっちゃ望んだけど、やりすぎいいいいいいい!!!」
RANの絶叫が浜辺に木霊する。プリアポスはそんなRANを尻目に満足げに言う。
「素晴らしいぞ、魔宝少女! ヘルマプロディトスの真の力が覚醒したな! これぞ愛と欲の究極の具現化だ!」
すべての淫獣を退治し終える頃には、海水浴場は完全に水着百合ハーレムと化していた。戦闘終了時には、海水浴場に男性の姿はどこにもなく、ふたなり化した人間と元淫獣の少女たち(髪の色で区別できる)だけが、愛と興奮に満ちた(そして周囲の迷惑を顧みない)濃厚な関係性を築いていた。ふたなり化した人間の元の性別は、外見からは区別できないほどだった。
RANは変身を解除し、砂浜にぐったりと座り込む。自身の妄想が、ヘルマプロディトスの力によって淫獣のふたなり化と性的暴走を想像以上に加速させてしまったことに、途方もない疲労と、制御不能な力への恐怖を感じる。プリアポスは、この状況を全く気にしていない、どころか肯定的に考えているようだった。
帰りの電車の中。
「今日の帰りは好みのタイプばっかりで目移りしちゃうなー。眼福眼福」
RANは窓の外を眺めながら、どこか暢気なことを口にする。
「あれ、でも朝は結構男の人もいなかった?」
RANはふと疑問に思い、隣にいたプリアポスに問いかけた。
「さあ、先にいなくなったんじゃないか?」
プリアポスは淡々とした口調で答える。RANは、この力が自分自身をも巻き込みかねないものであることをぼんやりとしか認識していなかった。しかし同時に、彼女の奥底にある、ヘルマプロディトスがもたらす「究極の妄想実現」への抗いがたい魅力を感じている自分に気づき、複雑な表情で夏の夕焼け空を見上げるのだった。
【続く】