【⚠ 注意書き ⚠】
本作は『プリンプリン物語』の二次創作であり、ファンが勝手に書いたお話です。
幼少期の前日譚と最終回後の展開を考えて執筆したため、
公式と関係のない者が設定をねつ造、その後のストーリーを書くことに嫌悪感を持っていらっしゃる方にはおすすめできません。
【前日譚と最終回後のねつ造】
『プリンプリン物語』のレギュラーキャラの幼少期の出逢いと、最終回後の展開を勝手に書いています。
最終回のネタバレ注意。
手紙の内容や「プリンプリンの出自」について、独自の解釈・ねつ造を含みます。
【独自設定(子世代)】
「プリンプリンとボンボンの息子」が登場する世界線(『あの海のリンリン』、通称リンリン時空)と繋がっています。
最後にちょっとだけリンリンが出てきます。
【暴力描写】
中盤、キャラクターが窮地に陥るシーンにおいて、一部ショッキングな描写(尊厳をおびやかされる行為・暴力・負傷)が含まれます。
そのため、R-15に設定します。
心配な方のため、内容をすこし明かすと肩に触れる程度です。
ですが、その後の抵抗場面のほうが暴力的なのでご注意ください。
できるだけ描写を抑えましたが、これ以上削ると切実さが失われるため、この形で出すことにします。
【オリジナルキャラクターの登場】
物語を進行させる上で、オリジナルキャラクターが数多く登場します(五人程度)
【カップリング】
ボンプリ120%なので他CPはありません。
以上、『大丈夫!』という方のみお進みください。
1、
ボンボンが見つけたのは、毛むくじゃらで、目がくりくりした猿だった。
狭い岩場の隙間でキィキィ鳴いているそれを食い入るように見つめ、急に抱き上げて連れ帰った。
アルトコ市の浜辺に友だちが二人とも並んでいる。
「オサゲちゃぁん、セイちゃぁん」
舌ったらずな声。
ボンボンはまだ四つになったばかりで、背は三人組の中でいちばん高いもののお喋りはあまり上手くない。
ふわふわの白い髪が綿毛のように揺れる。
素肌に薄荷色のベスト、同じ色の半ズボン。お腹が冷えないように紅の腰布を巻かれ、ひたいには金色の飾りをつけていた。
「どちたのボンボン」
桃色の髪を三つ編みにしたオサゲもまだ舌が回りきらず、ヨチヨチ歩いている。
白いベストと鍵のような形状のチャームがついた首飾り。ピンク色の腰布からぷくぷくした脚が覗いていた。
「なに持ってるんですか」
セイちゃんと呼ばれた水色の短髪の少年……後にカセイジンと呼ばれる彼は、このころにはすでに上手にお話しできていた。
金のベストにターコイズの首飾り。アラビアンズボンに青い腰布を合わせている。
ボンボンが猿を二人の前に差し出す。
「これねー、あっちいた。ちっち、きいきい鳴いてた。だからぼんぼ助けてあげた」
ぷらぷらと揺れるしっぽをオサゲが掴もうとする。
カセイジンが慌てて止めた。
「だめですよ、いたがるから」
「あう」
オサゲが頭を下げる横でボンボンは猿に頬擦りする。
「ちっち、あっちいこ。そんで、ぼんぼんちの子になりな」
まずは三人がよく集まる天然の岩のプレイルームへ行った。
岩がゴツゴツしているが慣れた三人組はどこに座ればおしりが痛くないかわかっている。
「ねえ、おさる、かわいいねえ」
オサゲはやっと猿の頭を撫でられてご満悦だ。
ボンボンは得意げに胸をぐんと張る。
「ぼんぼ見つけた。ぼんぼの」
すっかり猿を自分のものと思っており、ずっと手放そうとしない。
だがカセイジンはそんなボンボンへ心配そうに尋ねた。
「ぼんぼん、その子、ほんとに拾ったんですか?」
聞かれてボンボンはコクコクと頭を振る。
「ちょ。あっちいた」
「だれかの落としものかも……」
オサゲが猿を撫でつつ驚く。
「えっ、返さなきゃ」
至極真っ当な提案だったが、ボンボンは不満げに唇を尖らせた。
猿を未練がましく抱き締める。
「えとね。ちっちは、捨てられた……かも?」
語尾で可能性を示唆するだけなのが、ボンボンがボンボンたるゆえんだった。
嘘が苦手そうなのがキョトキョトした碧の目からも伝わってくる。
隣でオサゲがひっくり返りそうなほどのけぞった。
「エーッ、かわいちょ……」
猿を抱きながらボンボンが必死に訴える。
「捨てられたから、かわいちょだから、ぼんぼんちでだいじにすんの。
ずーっと抱っこちて、ごはん食べさせて、ねんねもいっしょ。
ぼんぼの友だちになんな」
こんな時のボンボンは強情だ。
カセイジンはわかっていながらも疲れた様子で言う。
「でも、落しものは、まずケーサツに」
「いや! ぼんぼのだもん!」
「あのね」
「ぼんぼのちっち! ぼんぼの、友だち! ぜーったい離さない!!」
涙ながらに言われてはもう強くは言えなかった。
カセイジンはうなだれると、
「じゃ、後でおかあさんと話したら」
と伝える。
ボンボンの顔もパッと明るくなった。
「えへへ、ちょすゆ。おっかちゃん許してくれるかな……」
目を糸のようにして、口からちっちゃな八重歯を覗かせ、にぱっと笑う。
この先もずっと変わらない無垢な笑顔。
これを見せられるとカセイジンもオサゲも口をつぐむしかなかった。
ボンボンが猿の毛に顔を埋め、ちゅっ、ちゅっ、とキスをする。
両親の真似事でもしているのか熱烈だった。
「ちっち、ぼんぼのかぞくだよ。うれちいね!」
猿はどこか遠くを見る目で甘んじてキスを受けている。
その視線の先に――彼らのひみつ基地に珍しいお客さんがいた。
「だれぇ」
オサゲが指をさす。
岩陰に隠れていた女の子が顔をひょこりと出した。
男の子三人組は思わず息を飲んだ。
その子は三人と同じくらいの背丈だったが、とてもきれいだった。
銀色の髪を左右でお団子にして、薄桃のワンピースを着ている。
アルトコ特有のアクセサリーを首もとや腕につけ、全身がきらきら輝いていた。
だけど、女の子そのものがいちばん光り輝いている。
柔らかいとび色の瞳は大きく、長いまつ毛は化粧もしていないだろうにくるんと丸まっている。
通った鼻筋に、さくらんぼ色のちいさな唇。
「……」
声もきっと美しいだろうが、その子は黙りこくってボンボンたちを睨んでいた。
ボンボンはしばらくポカンと口を開けていたが、ハッとなり、女の子へ声をかける。
「どちたの。まいご?」
問いかけても女の子は答えない。
その場でじっと突っ立って、ボンボンの腕の中にいる猿を見つめている。
だがボンボンはその視線に気づかず、立ち上がると女の子へ歩み寄った。
「おっかちゃん、おっとちゃん、はぐれた? ぼんぼ、さがしてあげようか?
このへん、よくちってるから……」
猿を目の前で抱っこしたまま。
女の子へ百パーセントの善意で言ったのに。
女の子が物凄い勢いで猿をむんずと掴んでくる。
あまりの衝撃にボンボンは前のめりになり、『ひゃっ』と悲鳴をあげた。
「何するのー! ちっち、ぼんぼのだよ!」
キンキンした声で言うと、女の子が初めて口を聞く。
「だめ、だめ! ちっちじゃない、モンキー!」
生まれて初めて会った相手からいきなり怒鳴られ、ボンボンは戸惑うばかり。
「や、ちっち、ぼんぼのかぞくになるのに! 連れてっちゃだめ!」
頭を左右に振り乱すが相手の女の子も負けていなかった。
「モンキーは、わたしの! ちっちじゃない!」
かわいい外見のわりに気が強く、ボンボンの手をペチペチと叩いてくる。
ボンボンが痛がっているとグイと引っ張られた。
女の子は尻もちをつき、ボンボンは前に倒れ込む。
擦りむいたのかボンボンの膝は真っ赤に染まっていた。
「あぅ……」
ふうふうと息を吹きかけているあいだに女の子が猿を抱きしめ、背中を見せて走り去ってゆく。
痛む膝を引きずりながらボンボンは追いかけようとした。
「あっ、だめ! ちっち、ちっちぃぃぃぃぃ!」
必死に叫んだところをカセイジンがガシッとしがみつく。
「ぼんぼん、だめ。きっと、あの子、お猿の飼い主だよ!」
「やだあ、ぼんぼんの〜〜〜〜〜!」
ボンボンは生来より力が強く、自分より小柄なカセイジンを押しつぶしてしまう。
「むぎゅう」
「わアッ、わアッ、セイちゃんがしんじゃうよ」
オサゲがそばでオロオロするも、絶望の淵にいるボンボンの耳には届かなかった。
「ちっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
晴れ渡るアルトコの空に、たどたどしい叫びが響き渡った。
♢
プリンプリンは公海で拾われたみなしごだった。
箱のような舟にモンキーと一緒に入っていて、傍らには王冠。どこぞの姫ではないかと市長さんが世界じゅうに電報を送ったが返事はナシ。
結局、アルトコ市の老夫婦へ預けられることになった。
漁師のチャムチャムと、海産物を加工して売るハナハナ。
彼らは子がなく、プリンプリンを目に入れても痛くないほど可愛がった。
海がくれた贈りもの。私たちの姫君。
そう呼んで、プリンプリンに薄桃のふわりとした素材のワンピースを送り、アルトコ特有のアクセサリーを身につけさせた。
確かにプリンプリンは海が遣わした精霊のごとく美しい娘だった。
しかし周囲は浮世離れした美貌を畏れ、距離を置いた。
アルトコ市は平凡な港町。暮らす人々も決まったコミュニティで集まり、よそ者は歓迎されない。
童心にプリンプリンも感じ取り、大人たちに寄りつかなくなった。
並びに同世代の子どもと接触する機会もほぼなく、たまに同じくらいの年ごろの女の子と遊んでも自宅に飾ってあるティアラを勝手に触られたりして諍いを起こすことがままあった。
ハナハナはかばってくれるが、大体は相手の子の親が気の毒そうな顔をして、
『かわいそうな子なのよ』
と子どもに謝らせる。
プリンプリンはそれがたまらなく嫌で、いつしかモンキーと海を眺めるばかりになっていた。
トコトコと歩けば、浜辺に小さな足あとが残る。その隣に並ぶ者はいない。
モンキーの足あとはお猿さんのソレで、プリンプリンのとはまるで違う。
海と空の境。
光さす海面。
プリンプリンは『パパー、ママー』とよく呼びかけていた。
『プリンプリンはここよ! どこにいるの?』
聞いても聞いても返事はない。
それはそうだ。
『プリンプリン』という名前は拾ってくれた漁師さんたちがつけた。
父や母が知るはずがない。でもプリンプリンは自分の名前はそれしか知らない。
ただ波音だけが聴こえる静寂が少女の小さな胸をどれだけ締めつけたことか――。
座り込んで夕方までモンキーと海から離れずにいて、暗くなる前にハナハナが迎えにくる。
そんな日々の繰り返し。
その中でモンキーと岩場で隠れんぼをして遊んでいた時のことだった。
突然モンキーがいなくなったのだ。
いつもはそう遠くまで行かないハズ。プリンプリンは必死で探し回った。
彼女にとって共に海で拾われたモンキーは家族同然だからだ。
はぁはぁと息を切らし、足がもつれながらも彼女は諦めなかった。
だからか細いモンキーの声も聴き取れた。
一直線に駆けつけると、岩の奥まったところに誰かいた。
『ちっち、ぼんぼんちの子になりな』
白い綿のようなふわっふわの頭の男の子だった。腕にモンキーをしっかと抱え、馴れ馴れしくキスを贈っている。
その子の他にもピンクのおさげの子。水色の鳥の羽のような短髪のめがねの子。
全員、男の子だろうか?
プリンプリンは未知の三人組に身構える。
そうしているうちに綿毛の男の子はどんどんモンキーを我がものにしようとアレコレ言っていた。
冗談じゃない。モンキーは、プリンプリンの大切な家族だ。
グッと拳を握りしめたら、おさげの子に気づかれた。
そしたら綿毛の子がひょいと立ち上り、プリンプリンへ近づいてきた。
思ったよりいくらか背が高くて気圧されたが、彼の一言で闘志が燃え上がった……。
『おっかちゃん、おっとちゃん、はぐれた? ぼんぼ、さがしてあげようか?
このへん、よくちってるから……』
それでカッとなって、モンキーを巡って引っ張りあいにもつれ込んだ。
男の子はやたら馬鹿力だったのでプリンプリンはその手を叩いた。
相手が怯んだ瞬間、モンキーを引っ張りあげて取り戻せた。
だが男の子は膝を擦りむいたようで、ちょっとだけ罪悪感を覚えつつ走り去る。
後ろから悲痛な泣き声が聴こえたが振り返らなかった。
プリンプリンはただ、モンキーをあの子から引き離したくて走りつづけた。
浜辺に残る足あとの間隔がいつもより広い。
馴染みある景色まで逃げ切ると、モンキーをそっと下ろし、プリンプリンは両膝をついた。
額から汗が玉のように噴き出る。
「キー」
プリンプリンを見て、モンキーがあごをしゃくった。
元来た道のほうだ。
「……あの子?」
「キッ、キ、キャ」
モンキーがうなずく。
ケガさせたから謝ろうよ、とおそらく言っている。
プリンプリンの心臓がはねた。
ここで戻ればあの子はまたモンキーを狙ってくるだろう――プリンプリンから取り上げて目の前で抱きしめて。
恐ろしい光景だった。
「いやよ、行かない」
プリンプリンは断る。
だがモンキーはチラチラと向こうばかり見ていた。
せっかく連れ帰ったのに、とプリンプリンは苛立つ。
「どうして? あの子のほうがいいの?」
モンキーに左右に首を振られるが、つい口からすべり落ちる。
「じゃあモンキーだけで行けばいい」
モンキーのしっぽがしおしおと下がった。
プリンプリンは顔を背け、その場から一歩も動かない。
潮騒が聴こえる。
やがてモンキーはほんの少しプリンプリンから後ずさった。
それだけなのにプリンプリンはパッとその体を引き寄せる。
毛むくじゃらの胸元に顔を押し当て、ワッと泣きだした。
「いや、いや! モンキー、行かないで!! ひとりにしないで!」
久方ぶりに流した大粒の涙が、モンキーのふわふわした毛を濡らす。
いくら美しくとも、プリンプリンも自分の足で歩き出して間もない幼子であった。
原作最終回後のねつ造としてはアリですか?
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アリ
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大アリ
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アリ寄りのアリ
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おれ、もっとすごいの考えたー!