虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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第42話 冬空恋歌(前編)

 

 《世直し任侠譚③》

 

「わあっと、待て待て!」

 あちこちに逃げ回るニワトリを、ハイベルは必死に追いかける。

 動物の世話をしたことなどない。要領が悪いのは仕方ないことではあったが。

 翻弄されてヘトヘトになった彼のそばに、一人の女性が近付いてきた。

「もう、全然ダメね。そんなんじゃいつまで経っても仕事が終わらないわよ」

「あ、ココさん」

 座り込んだまま顔を上げる。口をへの字に曲げたココが、ハイベルを見下ろしていた。

「牛の世話だって残ってるし。言ってる間にお昼の支度だってしないといけないんだから。居候なんだから働きなさい」

「わ、分かってるよ」

 ずけずけとした物言いに、引け腰になりながらも立ち上がる。

「もう一人の方が幾分かマシよ。ほら」

 ココが目線で示した先。大量の薪を背負ったクレインが帰ってくるところだった。自分と同じで朝から働き詰めのはずなのだが、疲れた顔一つしない。

「彼とは体の作りが根本的に違うんだよ」

「言い訳はいいから、さっさと動く」

 ここは東ケルディック街道の外れにある農家である。

 クレインがケルディックで兵士をぶん殴ったせいで、ハイベル共々領邦軍に追われる身になってしまったが、運よくこの農家にかくまってもらう事ができたのだ。

 以降、彼らは家畜の世話や雑務を手伝いながら、隠遁の日々を過ごしている。

 ちなみに、かくいうココも居候だ。

「次は牛のエサやり頼んだわよ」

「わかってるさ――痛っ」

 指先に痛みが走る。右の人差し指にうっすらと血が滲んでいた。ニワトリを追いかけている最中に、どこかですり傷を作ってしまっていたらしい。 

「切っちゃったの? 仕方ないわね」

「あ、ちょっと」

 ココはハイベルの腕を掴んで水場まで連れて行くと、丁寧に指の汚れを落とす。

「こういうの早くきれいにしないと炎症起こすんだから」

「……うん」

 愛想のない横顔をちらりと盗み見る。ショートにまとめられた赤茶色の髪。白く綺麗な細面。

 蛇口から出てくる水は冷たい。でも胸の内はほのかに温かい。

 自前のハンカチで濡れた手を拭うと、ココは絆創膏をハイベルの指に貼った。

「はい、これで大丈夫」

「あ、ありが――」

「おーい、ニワトリの世話は終わったか?」

 家の中から青年が顔を出す。この農家の跡取り息子で、名前はタリムだ。

「も、もう少し! タリムは家の中で待っててよ」

「そんなに怒るなよ……」

 すごすごと引き返すタリム。ココの息は荒い。

 ハイベルは貼ってもらったばかりの絆創膏を押さえる。指の傷がちょっとだけ痛かった。 

 

 ● ● ●

 

 その日の夕方。

 何とはなしにハイベルは外に出ていた。農家は早寝早起きが基本だ。朝は四時起きだから、あと一時間もしたら寝ないと体がもたない。

「ハイベル? 外にいたら寒いわよ?」

 心配したのか、ココが様子を見にきた。

「ごめん、すぐ戻るよ」

「……あの」

「なに?」

「ちょっとだけ話いい?」

「え……」

 どくんと胸が高鳴った。

 二人は近くの小川沿いに腰を下ろした。静かな夕暮れ。流れる水のせせらぎが心地よかった。

「それで話ってなんだい?」

 どうにも落ち着かなくて、ハイベルは先に問う。少し迷った様子で「実はね」とココは口を開いた。

「なんかさ、変に気になるんけど……タリムのこと」

「え」

「どうしてか前に立つと焦っちゃうし、思ってもないこと口に出しちゃうし。どうしたらいいのか分からなくて困ってるの」

「ああ――」

 そんなことだろうと思ったよ。分かっていたことじゃないか。変な期待をして、馬鹿みたいだ。

「どうしてそれを僕に打ち明けるんだ?」

「だってハイベル、頭良さそうだから。それに何だか話やすいし」

「そっか。そう思ってもらえたなら嬉しいよ」

 魚が水面を跳ねた。パシャンと波紋が広がっていく。

「君にとってタリムさんってどんな人だい?」

「どんな人って言われても……いつもマイペースで、でも他人のことを気にかけて、や、優しくて」

「僕もそう思うよ。彼はいい人だ」

 どちらかといえば、タリムは事なかれ主義だ。でも物事に無関心というわけじゃない。困ってる人を見捨てない優しさと強さがある。だから自分とクレインをかくまってくれた。

「時々胸がしめつけられるみたいにもなるのよ。今までこんなことなかったから、病気とかだったらどうしよう」

「病気なんかじゃないよ。それは君が……」

「私が?」

「………」

 言えなかった。どうしても。

「ねえ、教えてよ。私が何なの?」

「そろそろ眠くなってきちゃったな。明日も早いし、もう寝ることにするよ」

「ハイベルのいじわる! せっかく相談したのに」

 ココは怒って家の中に戻ってしまった。

 後は追わなかった。その場に座ったまま、小石を拾って川に投げ入れる。

 そんなことをしていると、別の足音が近付いてきた。クレインだ。

「よ。何してるんだ?」

「見ての通りさ」

 彼はハイベルの隣に腰を据える。特に何を言うでもなく、ただ横にいる。もう完全に陽が落ちて、辺りは暗い。瞬く夜空の星がきれいだった。

「心をちぎって石と一緒に投げ捨てれば、気持ちも楽になるかと思ったんだけどね」

「詩人だな。何言ってるか全然分かんねえけど」

 もう投げる石も見当たらなかった。

「そろそろこの農家から出る頃合いかもね」

「また急だな。でも同感だ。長居したせいで領邦軍に見つかったら、タリムさんたちの立場が悪くなっちまう」

「じゃあ決まりだ。お礼を言って明日にでも出て行こう」

 

 翌日。ニワトリや牛の世話も終えた昼前。

「別にまだ滞在してくれて構わないのに。こちらとしても男手は助かってたんだ」

 タリムはそう言ってくれたが、もう決めたことだった。

 ちなみにこの農家、他に家族が三人いるのだが、今はケルディックに買い出しに行っている。彼らにも事前の挨拶は済ませておいた。

 家にいるのはタリムとココだけである。

「お世話になりました」

「内戦が落ち着けば、改めてお礼に来ますので」

 ハイベルとクレインはそろって頭を下げる。

「もう、明日から仕事が増えるじゃない」

 相変わらずの態度だったが、ココはどこか寂しそうにしていた。

 荷物をまとめて玄関に向かおうとした時、タリムが緊張した声を上げる。

「待て! 今は外に出ちゃダメだ。二人は奥に隠れてくれ」

 領邦軍の兵士が二人。この家に近付く姿が窓から見えた。ハイベルたちは慌てて隣室に身を潜める。

 ほどなく訪ねてきた兵士がドアを開けた。

「ケルディック駐在中のクロイツェン領邦軍だ。この家に手配中の学生に似た人間が住み込んでいるとの情報提供を受けた。室内を調べさせてもらうぞ」

 トールズの学院生はⅦ組を除けば、手配をかけられていない。しかしクレインとハイベルは別だった。町中で公然と兵士を殴りつけたせいで、しっかりお尋ね者になっている。

「待ってくれ。ここには誰もいない。無用に立ち入るのは控えて欲しい」

 タリムが止めようとするが、兵士は「どけ!」と彼を突き飛ばした。

 食器の割れる音が床に響く。

(おい、ハイベル。我慢ならねえ、もう出るぞ)

(ダメだ。こらえろ)

 ハイベルは小声でクレインを抑える。

「ちょっとあんた達、いいかげんにしなさいよ!」

 タリムを庇うように、ココが兵士たちの前に立つ。

「どいつもこいつも。邪魔をするならお前も痛い目にあってもらうぞ」

「きゃあっ!」

 兵士が拳を振り上げる。

(ハイベル!)

(ダメだ!)

 肩を震わし、唇を噛みしめるハイベル。

 大丈夫、ちゃんと守ってくれるはずだ。君の一番守って欲しいと思う人が、必ず――

「ココ!」

 起き上がったタリムが、兵士の殴打を受け止めた。

「今だ!」

「待ってたぜ! ていうかこれ、何のタイミングだよ?」

 部屋の扉を蹴り開けて、ハイベルとクレインが飛び出した。

「き、貴様ら……! やはりこの農家がかくまっていたか!」

「ああ? おいおい、なに勘違いしてくれてんだよ。なあ、ハイベル?」

「まったくだ。考えることをしない一兵卒はこれだから」

 拳をばきばき鳴らすハイベルの横で、嘲るようにハイベルは言った。

「僕たちがここの家族を脅して隠れ場所にさせてたんだよ。領邦軍が全然探しに来ないから、また昼間から酒でも飲んでるのかと思ってたけどね。職務怠慢も甚だしい限りだ」

「つーか、こいつら。俺がケルディックでぶっ飛ばした二人じゃねえか」

 ジェイクと絡んだキュアハーブの一件でクレインに殴られ、その後査察にきたユーシスにも咎められ、トイレ掃除一週間を命ぜられてしまった二人である。

「まーだ殴られ足りねえみたいだなあ?」

「学習能力も足りないと見えるね」

 クックックと過剰な演技で、彼らは邪悪に笑ってみせる。見事なまでの悪役ぶりだった。

 舌打ちした兵士の一人が、タリムを無理やり押し退け、ココの腕をひねり上げた。

「いたっ!」

「動くな。この女がどうなってもいいのか?」

「てめえ……」

 ぎろりとにらみつけるクレイン。

「民間人を盾にとるなんざ、仮にも軍人がやることとは思えねえな」

「ふん。そもそもお前たちが抵抗しなければいい話なのだ!」

「だとよ。どうする?」

 ハイベルに目を向ける。

 温和な彼が拳を握りしめていた。眼鏡の奥の瞳は怒りに満ちている。

「今回ばかりはちょっと……許せないかな」

「わかった。でもやめとけ」

 そう言ってクレインはハイベルの前に出る。

「なんでだ。僕は――」

「下手に殴って手を痛めたらどうすんだ。こないだも肝心な時に演奏会出られなかったんだろ?」

「そ、それは」

 トリスタ教会での演奏会の話だ。不注意のケガで彼は舞台に上がることができなかった。

「お前の手はさ。やっぱ楽器持ってる方が似合うよ。だから、こういうのは俺がやる」

 無造作にクレインは歩き出した。兵士が焦る。

「お、おい! 見えないのか? こっちには女がいるんだぞ!?」

 恥知らずな牽制は無視して、ハイベルが言った。

「クレイン。頼みがある」

「なんだ」

「全力でぶちかましてくれ」

「おう」

 兵士が反応するより早く、友の怒りを引き受けた鉄拳が炸裂する。めり込んだ拳の跡を顔面に残して、その兵士は勢いよく壁に叩きつけられた。悲鳴を上げる間さえなく意識が飛んでいる。

「うわあっ!」

 逃げ出すもう一人。背を向けて戸口に走ろうとした襟首を、クレインはぐいっとつかみ上げた。

「ひいい! た、助け」

「今からケルディックに戻って本隊に報告しろ。手配中の男二人は抵抗して暴れたが、お前らの反撃にあって逃走。領邦軍の迅速な対応のおかげで、脅されていた農家の人間にケガはなかった。わかったか?」

「は? え?」

「わかったかって言ってんだよ!」

「は、はいいいっ!」

 転げそうになりながら走り去っていく。

 ハイベルはタリムたちに罰悪そうに謝った。

「最後までご迷惑をかけてしまいました。ココさんも怖い目に巻き込んでごめん」

「私は大丈夫だけど……これからハイベルたちはどうするの? 兵士が追ってくるわ」

「ああ、早く逃げないといけない」

 このまま行こうと思っていた。けれどこれだけは、やっぱり言おう。

「昨晩、君が言っていた胸の苦しさ。それは君にとって大切なものなんだ」

「いきなり何を言って……私にとって大切って、どうしてハイベルに分かるのよ」

「分かるさ。君と同じように僕の――」

 僕の胸も苦しいから。

「ハイベル?」

「ま、いつか分かる日がくるよ。大丈夫」

 事なかれ主義で、いつもマイペースを崩さないタリムが、身を挺して必死に君を庇った。無意識にかもしれないけれど、彼も君を大切に想っている。だから何の心配もいらないんだ。

「ハイベルはそんなのばっかりね。いつも自分だけ全部知ってるみたいな顔して」

「仕方ないよ。知ってるんだから」

 わざとらしく肩をすくめてみせると、ココはふくれっ面を浮かべた。

「もう知らない。早く行けば?」

「ああ、そうする」

「……外は寒いし体には気を付けなさいよ」

 こぼれた彼女の本音を背中で聞きながら、ハイベルは家の外に出た。

 ケルディック地方にはもう留まれない。どこか違う場所を目指さなければ。

「あんな別れ方でよかったのかよ」

 街道を歩きながら、クレインが横目を向けてくる。

「良いも悪いもないだろ。どのみち今日に出発するって決めてたんだから。あのタイミングで領邦軍が来たのは誤算だったけど」

 クレインは首を横に振った。

「そうじゃなくて。お前、ココさんのことが――」

「ダメだよな、僕は。余計なことはすぐに口から出るのに、肝心なことは言葉足らず。自分が嫌になる」

「お前はいいやつだよ」

「君ほどじゃないさ」

 警笛の音が鳴り響く。背後から数人の兵士が追ってきていた。

「思ったより対応早かったな」

「ここで捕まるような間抜けはしたくないね」

「同感だ。どこ行く?」

「ここからなら……そうだな。とりあえずバリアハートあたりにしよう」

 二人同時に走り出す。

 街道を駆けながらクレインが言った。

「二十歳になったらよ、一緒に酒を飲もうぜ。それで笑いながら今日のことを話すんだ」

「魅力的なプランだ。なら僕は今から店を探しておこう」

 がなりたてながら距離を詰めてくる追っ手。二人はさらに速度を上げた。

 ハイベルはふと自分の手を見る。人差し指の傷はもう痛くなかった。

 ただまあ、なんだ。この絆創膏はもう少しだけ巻いておくことにしよう。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

 《グランローゼのバラ物語 chu!③》

 

 ノルティア州にある関所の一つ、黒竜関。この情勢下でわざわざ厳しいチェックを受けてでも、関所を通ろうとする人間は限られている。

 閑散とした関門には、小さな休憩所が併設されていた。主には食堂である。

 普段は賑わっているのだろうが、今は通行人自体が少ないので、当然ここを使用する人間はさらに少ない。

 今店内には男女の一組と、彼女しかいなかった。

「まあまあのお味ねえ」

 運ばれてきた焼き魚を一口、否、一吸いで胃袋に送る。そのコンマ一秒にも満たない光景は、もはや消滅だ。

 マルガリータが言った。

「店員さん、追加お願いねえ。ここからここまで全部」

 料理名が並ぶメニュー表の端から端を太い指がなぞる。驚愕する店員は「し、承知しました」と慌てて厨房に駆け込んでいった。

「ンゲフォオオ」

 淑女らしく、慎ましやかにアンニュイな一息をつく。

 食料を求めてルナリア自然公園に踏み入ったマルガリータだったが、まともな獲物は手に入らなかった。

 一匹のドローメを追い詰めたまでは良かったのに、もう少しのところでゴーディオッサーという魔獣に邪魔されてしまったのだ。

 そのゴーディオッサーにも逃げられ、結局彼女は収穫なしで森を出た。

 流れに流れてたどり着いたのが、この黒竜関。幸いにも食堂は営業していて、路銀も十分にあったので、こうして食事にあり付けているわけである。

「生き返ったわあん」

 次の皿が運ばれてくるまで時間が掛かる。マルガリータは何気なく店内に視線を巡らせた。

 離れたテーブルに若いカップルが向かい合って座っている。

「困ったわね。検門ばかりで足止めばかり」

「僕は構わないさ。その分、君と長く居られるんだからね」

「まあ……私もよ」

 ハートマークが具現化して、二人の周りを踊っている。

 それを見たマルガリータの額に青筋が浮かび上がった。

「……なんなの、あの人たち。公の場で不健全よお」

 こっちはヴィンセント様に会えないで毎日辛い思いばかりしているのに。虫唾が走る。

「お客様、先にローストチキンをお持ちしました」

「フンッ!」

 店員の手から皿を奪い、皿ごと大口の中に放り入れた。

 ガリッガリッと噛み潰し、すり潰し、異物諸共喉へと通す。胃に落ちたそれらは、強力な酸によって瞬く間に消化された。

 ブパアと鼻息。生み出された突風に、店員は向かいの壁まで吹っ飛んでいった。

「あなた達ぃ……」

 ぎりりと奥歯を合わせ、カップルに近づいていく。

「え? うあああ!」

「な、なに?」

 魔獣と見紛うその姿に先に気付いたのは男性で、マルガリータを直視するや、彼は一目散に逃げ出した。

 必死の形相で戸口に走る男性だったが、ちょうど店内に入ってきた人物とすれ違った瞬間、体中の力が抜けたかのようにどさりと床に倒れた。

 その脇を「私を見捨てていくってどういうことよ。あんたなんかもう知らないわ!」と憤慨した女性が走り抜けていく。

 佇む人物――フードを被った男は言った。

「よくない。実によくないね。愛する人を置いて一人逃げようなどとは」

「誰よお、アンタ」

「しがない旅人と言っておこう。おや、どうやら君は虫の居所が悪いようだ」

「ああん?」

 苛立つ心中を刺激され、頬がぴくりと脈打った。

「察するにだ。君は想い人に会えず憤懣が溜まり、他人の色恋を見ては立腹している。ふふ、わかりやすい嫉妬だね」

「グフォオオ……」

 こいつと交わす言葉などない。塵芥にしてやる。豪腕に力を込めたその時、「君の気持ちを一段階先へ昇華させよう」と重ねられた言葉に彼女は思いがけず固めた拳を解いた。

「昇華?」

「そう。偽らぬ君の想いに敬意を表してね。なに、単なるアドバイスだ」

 顔も思惑も見えないまま、フードの男は続けた。

「想い人と再会したら、感情のおもむくままに接吻したまえ」

 接吻。せっぷん。いわゆるキス。

「な、なんですってえ……!?」

「バラの花を贈るのもいいが、君自身を贈った方が彼は喜ぶんじゃないかな」

 マルガリータとて乙女。そのような事を面と言われては、頬を赤く染めずにはいられない。

「そ、そんな、私とヴィンセント様が……ムフォオーン!」

 ぎちぎちと腹の肉をよじらせて恥じらう。

「私の求める愛ではないが……その真っ直ぐな心は実にいい。つい応援したくなってしまったよ」

「グフフ。あなた話が分かる人ねえ。良かったら相席していかない?」

「せっかくの申し出だが辞退させてもらおう。思わぬ戦利品も手に入ったことだ。これ以上望むことはない」

「あら、そう?」

 フードの男は伏したままの男性の襟首をつかむと、彼を連れてどこかへと去っていった。

 一人になってしばらくしても、胸の鼓動は収まろうとしない。

 モチベーションがぐいぐい上昇していく。彼に会えない日々が蓄積させた膨大な愛のエネルギー。その全てが今、一点に凝集されていた。

「ヴィンセント様と……ヴィンセント様と……グフッ、グフフッ」

 人差し指がそっと唇に触れる。

 肉厚の二枚貝が歪み、灼熱の吐息がこぼれ落ちた。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

《ピンキートラップ③》

 

 リンデが無事でいますように。

 姉を案じていつも通りのお祈りを済ました後、ヴィヴィは教会を出た。

 リンデが心配なのは変わらないが、やはり体を動かさないと悪いことばかり考えてしまう。それでも、動こうと思えるぐらいには心境が変わっていた。少し前までは、教会に一日閉じこもっていたぐらいだったのに。

 ハミルカル教区長、シスター・セラミス、アルゼイド流門下生のみんな、そしてカスパル。彼らが毎日声をかけ続けてくれたおかげだ。

「んー、どこ行こっかな」

 湖畔の町、レグラム。町の雰囲気や趣きは、さすが風光明媚と称されるだけある。適当に歩き回っていても十分に時間を潰せるほどだ。

 しかし寒い。エベル湖から吹き寄せる寒風は、中々身に堪える。

「少年鉄騎隊、進め!」

「おおー!」

「待ってよー」

 聖女像の周りで子供たちが遊んでいる。さすが子供は元気だ。

 眺めているとその中の一人がヴィヴィに気付いた。

「なんだよ。姉ちゃんも少年鉄騎隊に興味があんのか」

 姉ちゃんも、ってどういうことよ。他にもこの子たちに絡んだ人がいるのかしら。

「別に興味はないけどね。遊び回って前みたいに湖に落ちないでよ」

「そんなヘマもうしねーよ。散々怒られたしな。だろ?」

 一番年少の子がうんうんとうなずく。落ちたのは彼で、それを助けたのがカスパルと聞いている。

 そういえばカスパルはその時のことがきっかけで、武器の手入れとか扱いをアルゼイド流の人たちに教わっているらしい。

「どうせヒマだし……ちょっと様子見に行こうかな」

 

 

 練武場まで足を運んでみたものの、カスパルはいなかった。

 毎日ここに来ているそうだけど、休憩中かしら。

「あ、ヴィヴィちゃん。どうしたッスか」

 所在なくきょろきょろしていると、門下生の一人が声をかけてきた。確かダットという人だ。

「ちょっとカスパルに会いに来たんですけど……」

「カスパルくんなら今、ガヴェリさんと出掛けてるッス」

 ガヴェリはクラウス師範代に次いで、アルゼイド子爵不在の道場をまとめている人物である。

 そんな人がカスパルと二人でどこかに行った?

 場内の他の門下生達の会話に耳を傾けてみると、話題はそのカスパルのことだった。

「それにしても見事なものだった」

「ああ。あれは俺たちでも一目ではわからん」

「しかも即答だもんな」

 何らかの評価を受けているようだが、内容まではわからない。

「カスパルがどうかしたんですか?」

「んー、一言では説明しづらいッスけど……まあすごかったッス」

「はあ……」

 さっぱりだ。

 カスパルの話もそこそこに、彼らの会話は別の話題へと移っていく。

「ようやく体の調子が戻ってきたみたいだ。ラウラお嬢様には申し訳ないが……」

「フリッツもか。実は私もだ。今回は胃の不調が長びいたな」

「クラウス殿の意識も先日戻ったそうだ。綺麗な川辺で亡くなられた奥方様にお会いしてきたとか」

 それはラウラの料理の話だった。

 稽古中に持ってきてくれる彼女の差し入れが、それはそれは凶悪な破壊力らしい。料理を差し入れられたというより、胃にナイフを刺し入れられたなどなど。

 女の子の料理になんてことを言うの、この人たちは。

 不意に彼らは神妙な面持ちになる。

「しかし何だな。先の話ではあるのだろうが、このままではアルゼイド家を継ぐ者が現れるかどうか」

「つまりは婿殿か。継ぐ継がないの前に、あれを食して胃が耐えられるかが問題だ」

「一人候補がいるじゃないッスか」

 会話に割り込んだダットが言う。

「リィン・シュバルツァー。お嬢様のクラスメートっス」

「ああ、彼か」

 リィンは少し前、エマとラウラと合流するべくこのレグラムを訪れた。もっともヴィヴィは教会にこもっていたから直接会えていないのだが。

「子爵様も度々その名を口にしておられるな。見どころある少年だと。ラウラお嬢様が一目置くほどだとも」

「易々と学友以上の関係は認めないとも仰ってられたが……しかし今のところあの料理を食べて、まともでいられるのが彼だけというのも事実」

「認めるしかあるまい、鋼鉄の胃袋の持ち主であるということは。……これは準備が必要かもしれん。“アルゼイドの試練”の」

 ざわつく一同。

 話についていけなくて、ついヴィヴィは口を挟んだ。

「何ですか。その、アルゼイドの試練って?」

「ああ、それはッスね――」

 ダットが説明してくれた。

 アルゼイドの試練とは師範、師範代も含めた、門下生全員を相手にする勝ち抜き戦のことだ。その実体は領主令嬢に言い寄る悪い虫を公然と蹴散らす為の、いわば見せしめ兼公開処刑である。

 元々は婿入りする男子を、アルゼイド家に迎え入れる為の儀礼式らしい。とはいえ、ここ数代は婿入りの事例もなく、まともな意味合いで実施されていない風習だそうだが。

「へえ。でもそれって意味ないですよね」

 ヴィヴィはそう言った。

「だって今回はリィン君を受け入れる為の――本来の意味での試練じゃないですか。私はよく知らないけど、師範の子爵閣下って《光の剣匠》って呼ばれる実力者でしょ。そんな人も待ち構える勝ち抜き戦で、彼に勝機はあるんですか?」

「た、確かに……。このままではリィン君の首が天高く舞って、それで終わりだな」

 え。普通に殺されるんだ。

「うーむ。これは困ったぞ。誰かいい案はないか?」

「はいはーい。そこで私に考えがありまーす」

 難しい顔で押し黙る一同に、ヴィヴィが提案する。

「剣での勝負一辺倒だからそうなっちゃうんですよ。もっと試練にバリエーションを増やすべきです」

「そうは言ってもこれは慣習で、おいそれと変更などできない」

「もう固いなあ。時代が変われば風習も変わる。変革に付いて行けなければ廃れるだけ。本当に存続させるべきは、格式ではなく本質なんですよ」

「おお……名言だ」

 授業で聞いたトマス教官の言葉を転用しただけだが、歴史を重んじる彼らの胸には響いたようだ。

 一人二人とヴィヴィに同意し、最終的には全員の協力を得る形となった。

「してバリエーションとは?」

「それは私に任せて下さい」

「これは心強い。必要なものは何でも言ってくれ」

「ありがとうございます。んふふ」

 久しぶりにいつもの笑いが出た。通称“たくらみの笑み”が。

「それじゃあ、レグラムの町全部を借りますね」

『……へ?』

 呆ける門下生達を前に、彼女は宣言した。

「《新アルゼイドの試練》計画、開始~!」

 さあ楽しみにしていてね、リィン君。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

 《魔獣珍道中⑤》

 

 整備された街道は避けて、ルーダは険しい山道を通っていた。

 その後ろを一匹のサメゲータがついてくる。以前に倒してから、ずっとルーダに付き従っている魔獣で、名はシャクティだ。

「アギャース」

 姐さん。ルーダ姐さん。

「キュイ」

 何よ。また歯に獲物の肉が挟まったの? 待っててあげるから木の幹で牙をこすってきなさい。

「アギャンギャー」

 違うよ。アタイらもずいぶん大所帯になったと思ってさ。

 ルーダとシャクティの後ろには、十数匹の魔獣が群れを成して付いて来ていた。

 道中で襲い掛かられて、ルーダが返り討ちにした輩共である。敗れたものたちは皆、彼女をボスとして服従している。これは魔獣の掟だ。

「キュイッキュ」

 私が望んだわけじゃない。勝手について来てるだけよ。

「アギャン……ギャ」

 姐さんの向かうところがアタイらの行くところさ。……でも。

「ギャアギャギャ」

 そのマキアスってやつ信用できるの? 人間でしょ、そいつ。もしアタイらを攻撃してきたら――

 ピシィッとルーダの触手がシャクティを打ち据えた。

「キュ!」

 それ以上余計な口を開くんじゃないよ。あの人はね、他の人間とは違う。

「ギャシュッ」

 わ、わかったから。じゃあ会ってどうするのか教えてよ。

「キュー」

 力になる。それだけよ。クロもきっとそう思ってる。

 

 ● ● ●

 

 人里離れたどこかの森林。

 クロは一匹、木々の間を飛び回っていた。その彼を四方八方から多数の影が襲う。影の正体は飛び猫だった。

「シャッ!」

 迎撃の蹴り。しかし外れだ。その隙に回り込んできた別の飛び猫が、クロの腹部に強烈な頭突きをかます。

「シャグッ!?」

 てめえ、俺の柔らかいところによくも……!

 ダメージは大きかった。それ以上飛び続けることができず、クロは地面に墜落した。

 動けない彼を取り囲むように、大勢の飛び猫たちが空から降りてきた。

 震える頭を持ち上げるクロの前に、群れの中でも風格の漂う一匹が近付いてくる。

「ジャアージャ」

 自分の力量がわかったか、小童が。

「……シャア」

 うるせえ、じじい。とっとと奥義を教えやがれ。

 ぎろりとクロはにらみ上げた。

 ここは飛び猫の森。マルガリータにぶん投げられた彼は、三日三晩さまよった末にこの場所にたどり着いたのだ。

 そしてクロを見下ろす相手こそ、ここら一帯をしきる飛び猫の長。人間の言葉で表現するなら“飛び猫老師”と言ったところだ。

「ジャジュウ」

 口の利き方もなっとらんようじゃの。ほれ、頼むときはこうじゃ。

 飛び猫老師はクロの頭を短い脚でむぎゅっと踏みつける。程よい弾力の肉球は激戦を潜り抜けてきた証か。

「シャアア……」

 くそっ、くそ……。

 ぶにっぶにっと何度も押さえつけられる。クロは悔しさに砂を噛んだ。

「ジャジャッヒャア!」

 ほれ、どうした。ワシの配下の百匹を倒し抜いたら、お前の欲する力を授けてやるぞ。もっとも、たかが人間の為にそれを使うなどとほざくお前に出来るとは思えんがなあ!

 哄笑を上げる飛び猫老師の頭を、後ろから叩いたものがいた。

「ニャニャー!」

 おじいちゃん、もうそれくらいにしてよ!

 白い毛並が美しいメス飛び猫だった。彼女は飛び猫老師の孫で、名前はシロという。

「ニャウ!」

 クロ、こっちに来て。おじいちゃんのばーか。

「ジャッキュショー!」

 待て、待つのじゃ、シロー!

 飛び猫老師を押し退けると、シロはクロを抱えて飛んだ。

 

「ニャニャア」

 大丈夫? うちのおじいちゃんと若衆がごめんね。

 少し離れた小川近く。シロは薬草を噛んで潰し、傷ついたクロの体に塗った。

「シャー」

 平気だ、これくらい。それよりも行かないと。百匹倒さなきゃ――

「ニャウニャ」

 そんな体じゃダメ。返り討ちにされるだけよ。……ねえ、本気なの。飛び猫族に伝わる奥義を手に入れたら、その力を人間の為に使うって。

「シャーシャ」

 そうだ。マキアスだけは他の人間と違う。俺とルーダを助けてくれたんだ。あいつが困ってたら俺も助けてやりたい。でもその為には力が足りない。そりゃあ……変だって自覚はあるよ。

「ニャッ」

 私は変だって思わない。私子供の頃ね、人間の仕掛けた罠にかかったことがあるの。でも私を見つけた人間の子供が、罠を外してくれた。だから人間って嫌いじゃない。私も変かしら?

 愛嬌のある丸い瞳がクロを見る。

「……シャア」

 変じゃねーよ。

「ニャン」

 ありがと。

 そんなやり取りを交わしたあと、シロが言った。

「ニニャアー」

 私もあなたに協力する。おじいちゃんの試練を突破して、力を手に入れて。

「シャアッシャ」

 いいのか? お前が怒られるかもしれないぞ。なんで俺にそんなに良くしてくれるんだ。

「ニャ、ニャ、ニャン」

 ヒ・ミ・ツ。

 クロとシロの飛び猫百匹組手攻略。ただ一人の人間の為に、彼は荊の道を征く。

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

《真実のファインダー③×――》

 

 検門を迂回する手間に比べれば、ルーレ市内に入ることは比較的容易だった。

 あれほどの規模で、しかも入り組んだ町。

 巡回兵の目を盗んで外部から忍び込もうと思えば、そこまで難しいことではない。

「はあー。聞いてはいたけど、やっぱでっかい町だよなあ」 

 町中への進入を果たしたレックスだったが、さりとて大きな目的があったわけでもなかった。

 ただ何となくである。

「さあ、撮りまくるぞ~!」

 町行く美人を探し求めて、レックスは導力カメラを手に歩き回る。

 極論、カメラと美女がいればどこだっていいのだ。

「はいはーい、こっち向いて」

 食堂手伝いのお嬢さんを激写。ノリよくポーズまで取ってくれた。

 ルーレ工科大学の女子学生を激写。ノートを片手にウインクしてくれた。

 ラインフォルト本社の受付嬢を激写。これは警備員につまみ出された。

「へへー、何だかんだで結構撮れたぜ。しばらくはこの町にいようかな」

 上機嫌である。

 自動昇降階段に戸惑いつつ下層に降りたところで、偶然にもレックスはその後ろ姿を見つけた。

 清楚なロングスカートに、腰上まで流れるホワイトブロンドの髪。

「メアリー教官……? メアリー教官だ!」

 密かに行われたトールズ士官学院、好きな教官ランキングぶっちぎり一位のメアリー教官。ちなみにぶっちぎりの最下位はハインリッヒ教頭だったりする。

 他にもお嫁さんにしたいランキング。お姉様にしたいランキング。手料理食べたいランキング。守ってあげたいランキング。尽くしてくれそうランキング。などの各項目も首位独走で、一部の男子たちの間では“トールズの至宝”などともてはやされている。

 尚、サラ教官の諸々のランキングは口外できない。

 もっともこのランキング自体も、その一部の男子たちによる非公式なものではあるが。

 彼女もトリスタを出て、このルーレに来ていたのだ。やった。最高の出会いだ。

「メアリーきょうかーん!」

 レックスはメアリーの後を追った。

 

 ● ● ●

 

「ふうん。ここがルーレね。罪深い技術の発展の場だわ」

 クスクス笑いながら、ルーレの町を歩くのはベリルである。

 建造物に建造物が重なったような雑多な街並みは、正直好みではなかった。

「街道はともかく町中は精霊が少ないわね。ルーレもレグラムを見習うべきよ。そう思うでしょう、ベラ・ベリフェス」

 何者かに問い掛け、また笑う。

「そうよね。機械と精霊って共存が難しいもの。霊力と導力のあり方が正反対のように」

 歩きながらぶつぶつと独りごちる。通行人がベリルを避けて通っていたが、彼女がそれを気にする様子はない。

「リィン君はもう気付いているかしら。早くその感覚を身に付けないと分岐点に間に合わなく――あ」

 足を止めて、立ち止まる。

 視線の先に、見知った顔があった。あのニット帽。手に持っている導力カメラ。間違いない。どうしてここに?

「レッ……」

 レックスと言いかけて口を閉じる。何と言って声をかければいいか、咄嗟に分からなかったのだ。

 思えば彼と距離を取ったのは自分からだった。悪気がないのは知っているけど、あまりにも他の女性の写真ばかり撮るものだから。

 楽しそうにファインダーをのぞくあなた。それを横から見る私。私がどんな気持ちでいたか、考えたこともないでしょう?

 別に自分を撮って欲しいわけじゃなかった。目を向けられないことが、ほんの少しだけ寂しかった。心も向けられていないような気がして。

 それをあなたに伝えることができず、黙って遠ざかろうとした私も良くなかったのかもしれないけれど。

「レックス……」

 ここはお互いに初めてで、知らない場所。今なら話せそうな気がする。ここで遇うことが縁と言えるなら。

 思い切って自分から一歩を踏み出してみる。

「あ、あの――」

「メアリーきょうかーん!」

 嬉しそうな顔でレックスは走り去っていく。

 自分と違って背が高くて、自分と違って綺麗な金髪の、その女性を追いかけて。

 その彼の背中を追おうとは、もう思わなかった。

「……レックスなんて知らない。……本当に知らないから」

 目じりを袖でこすって、ベリルは反対側に歩を向けた。

 路地の影に溶けるようにして、彼女の姿は消えていく。

「物語の分岐点が近付いてる。すぐそこまで来てる」

 あなたと私の分岐点も。

 薄れていく声は確かにそう言った。

 

《×――黒色ミステリーツアー③》

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 ――後編に続く――




新年最初の更新となります。本年もどうぞ宜しくお願い致します。

一部締めくくりの『冬空恋歌』をお送りしました。タイトル通り淡い恋心の動きに焦点が当たっていますが、ちらほら関係ない人たちも出てきます。

個人的にココとタリムの関係は気になっていて、章が進む度に様子を見に行っていました。

前作で名前だけの登場だった“アルゼイドの試練”を覚えておられるでしょうか。今作になって、ヴィヴィカスタマイズされた上でようやくお披露目です。

例によって魔獣たちの補足ですが、会話は彼らの明確な言語ではなく、疎通している意志を人間の言葉に置き換えているだけです。それにしてはハッキリしゃべり過ぎだろというツッコミは何卒ご容赦下さいませ。世界のどこかにはいるはずなんです、飛び猫老師。

前編は5話、後編は6話構成にしています。サブストーリーメインとはいえ、いずれ本編と絡む重要な話が多いので、引き続きお付き合い頂ければ幸いです。
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