虹の軌跡Ⅱ Prism of 《ARCUS》   作:テッチー

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第Ⅱ部 『紅き翼~目覚める獅子たち』
第49話 刃、研ぎ澄まして


 皇族専用の部屋というわけではなかったが、アルフィンは私室としてこの来賓室を使用していた。

 壁を埋める黒塗りの本棚にはカレイジャス運用に関する規定書や承諾書、設備説明書一式に緊急時マニュアルまでそろっている。

 もちろんマニュアル類は各フロアにも配置してあるが、ここにあるのは全て原本だ。

 父ユーゲントと兄オリヴァルト。二人の連名直筆サインを施された竣工時の書面もある。これらの公式書類の数々が、極めて難しい立ち位置での遊撃活動――その正当性を証明してくれる。

 もっとも厳密に言えば、この手の認可状が本当の意味で効果を発揮してくるのは、内戦が終了した後のことではあるが。

 それにしても、こんな超重要書類と同じ棚に音楽雑誌やら娯楽本がしまわれているのはどうなのか。まあ、兄の趣味なのだろう。置いていいなら自分のお気に入りの本だって置きたい。

「これで書類上、この船は正式に君に譲渡される。正確には父上からの貸与だがね」

「ご期待に添えられるよう、精一杯務めますわ」

 執務机に向かい合わせ、引継ぎ書類の束をまとめるオリヴァルトに、アルフィンはにこりと微笑んだ。

 一体何枚の書類にサインをしたのやら。大事なものもあれば、そうでないものもあったように思う。

 “男女間三角関係における介入許可書”など完全にオリヴァルトの作成した書式だ。それは確かに大事なものなので、迷わずサインをしたけれど。

「お兄様はこのまま西部へ向かわれるのですか?」

「ああ、アルゼイド子爵からラウラ君への奥義伝授が済み次第だが。ちょうどレグラムに行くわけだし、エベル街道を通って西部へ移動するつもりさ」

「奥義の伝授ですか。修行というものですわね! 山ごもりなんてされるんでしょうか!?」

「ははは、どうやらイメージが偏っているようだ。ただまあ、特別な環境を作るという点では間違っていないと思うよ」

「ですがお兄様。修行とは何年も積み重ねて行うものではないのですか? 他の皆さんも色々取り組まれているようですけど、やはりそこまでの時間が……」

 地道な鍛錬と、その果てに得られる技術こそが、心身深くに刻まれる力。それは間違いない。

「今、Ⅶ組のそれぞれが向かい合っているのは自身の課題。修行とはまた少し違う。今日まで積み上げてきたものに新しい何かを加えるか、あるいは足りない何かを補う為だ。時間よりも大切なのは閃きなんだ」

「閃き……?」

「歯車さえかみ合えば、短時間で彼らは劇的に変わるだろう。問題はそのきっかけをつかめるか、かな」

 オリヴァルトは手元のコーヒーに口をつけた。

「ま、リィン君たちに関してはあまり心配していない。アルフィン、君の方は大丈夫かい?」

「わたくしは問題ありません。至らなさは承知していますけど、できる限りのことをしますわ」

「ふむ……」

 思案顔を見せた後、彼は背もたれに寄りかかった。

「騎士を選ぶのもいいかもしれないな。アルフィンの騎士を」

「興味深いご提案ですけど」

 皇族は一定の年齢を過ぎると専属護衛役として、騎士を選定することができる。任意なので強制ではなく、中世期の習わしが形として残っているだけなので、現代で実際に騎士を持つ皇族はほとんどいない。

「わたくしの騎士なら当然リィンさんですわ」

「そう言うと思ったよ。うん、リィン君ね。いいんじゃないか、ライバルは多そうだが」

「望むところです。でもどうして急にそんなことを?」

「騎士というのは単なる護衛じゃない。常にそばに控え、様々な場面で主を支えてくれるものだ。この先色々あるだろうし、そういう人物がいてもいいかもしれないと思っただけさ。まあ心の隅にでも留めておいてくれたまえ」

 ひとしきりの話を終えた後、ヴィクターとの打ち合わせがあるとオリヴァルトは退室した。

 誰もいなくなった部屋の中、アルフィンは搭乗員名簿を眺めてみる。決して本気にしているわけではなかったが。

「わたくしの騎士……?」

 

 

《――刃、研ぎ澄まして――》

 

 

「なるほど、最終的な目標は士官学院の奪還ですか」

「簡単なことではないと分かっていますが、やはりそうすべきだと考えました」

 ナイトが攻めてきた。ルークで牽制する。

「あなた達に相応しいものだと思いますよ。掲げる目標は大きく、そしてモチベーションの上がるものがいいですから。具体的にどう動いていくかも決まりましたか?」

「トールズを抜け出したあと、レジスタンス活動をしている士官学院生も少なくないそうです。まずは彼らと合流を果たし、トリスタ奪還の足場を固めていくつもりです」

 クイーンがよくない位置に来ている。ポーンを前進させて進路を阻む。

「先のパンタグリュエルの一件でカレイジャスは最重要の警戒対象になっているでしょう。機動力で勝っているとはいえ、現時点での移動航路は限定されていますね」

「承知しています」

 クイーンは陽動だった。こちらの防衛を突破したビショップが切り込んでくる。もうキングを下げざるを得ない。

「オリヴァルト殿下の協力者も各地に散っています。士官学院生の目撃情報もカレイジャスに報告を上げてくれるそうです。ブリッジにある端末がデータベースらしいので、あとで一緒に見に行きましょう」

「そ、そうですね……」

「どうかしましたか?」

 駒を進める手を止めて、クレアは盤上からマキアスの渋面へと視線を移す。

 カレイジャス三階、空き部屋の一つ。室内の片隅に設置された机に向かい合い、二人はチェスに興じていた、のだが。

「……大尉はチェス初心者でしたよね?」

「はい。ルールを知っている程度で、今日が初プレイです」

「それにしては強すぎませんか!?」

「そうなんですか? 自分では測りようがないので何とも言えませんが」

 戦績だけを見れば、三回勝負して三回ともマキアスが勝っている。積み重ねてきたものがあるから、そう簡単に負けはしない。

 しかし数を重ねる度に、クレアの実力はあっという間に向上した。本領を発揮したというべきか。

 ゲーム上で対峙して分かった。彼女は先を読む力が凄まじい。駒の特性を知り、戦術の要を把握し、チェス初心者にも関わらず、こちらの手を看破してくる。

 そして今の四戦目。マキアスは初めて追い詰められた。

 なんとか巻き返して今回のゲームも勝ったが、正直相当危ないところだった。戦略を熟知しているから対応できただけで、相手にも同等の経験値があれば結果は違っていたかもしれない。

 強い。端々に雑談を交えながらも、まったく駒のルートが乱れない。この人の頭の中はどうなっているのだ。

「また負けてしまいましたね。さすがはマキアスさん、私ではまだまだ及ばないようです」

「い、いえ。恐縮です。ですが……」

「このようなチェスをしていて、本当に自分の思考力向上に繋がるのか、ですか?」

「……はい」

 不安を隠しても見抜かれる。マキアスは素直に肯定した。

 並列思考、瞬間判断、状況予測を限りなくクレアのそれに近づけた上で、自分にトレースする。

 彼女からの提案だったが、現時点ではまるで見通しが立たない。

「私もチェスに慣れてきたところです。――そろそろ始めましょうか」

「慣れてきたというレベルではないと思いますが……何をするんです?」

「チェスには変わりありません。特殊ルールを用いた上で、ですが」

 そういえば最初にそんなことを言っていた。

 クレアは盤上に再び駒を配置する。見たところ特に変わった様子はない。

「その特殊ルールというのは?」

「やりながら説明します。では私から」

 クレアは駒を動かした。ナイトとポーンを二つ同時に。

「え? え……!?」

「次はマキアスさんの番です。あなたも二つの駒を一緒に動かして下さい」

 冗談かと思ったが、彼女は至って真面目のようだ。

 こんな駒の打ち方をしたことはなかったが、とにかく言われたとおりにする。ルークやビショップで攻める為、まずは前衛のポーンを二つ動かした。

 やってみると案外できるものだ。そう思えたのは五ターンを経過するまでの間だった。

 敵味方の駒が入り乱れ始めると、その様相は一変した。

 途端に考えることが増える。駒を二つ動かすから二倍などという単純計算ではない。

「こんなの……」

 必然乱戦になり、互いの戦力がみるみる内に削られていく。守りと攻めのバランスが保てない。損害を前提とした殴り合いだ。

 互角、ではない。打撃を受けているのはこちら側だ。駒数は同じに見えるが、クイーンとルークが潰されている。このままだと次のターンでナイトもやられる。

「難しいですか?」

 手を止めずにクレアは言う。

「こんなの普通のチェスじゃない。実際の戦術にも活かせませんよ!」

「そうですね。でも普通のままではいけません。当たり前の策は当たり前に読まれるものです」

「で、ですけど」

「そもそもこれは戦術指南ではありません。私を信じてくれるのなら、ゲームに集中して下さい」

 信じるかと問われれば、答えは決まっている。

 マキアスは盤上に視線を据え直した。

 考えろ。意図を汲み取れ。僕ならできると見込んでくれたからこそ、今この時間があるんだ。最大限に脳を回せ。

 ナイトを守る為にポーンを犠牲に。二つ目に動かすビショップで相手のクイーンを狙う。その為には前線に来ている敵のナイトが邪魔だ。ここはあえてキングを囮に使ってみるか。相手も同様に二つの駒を動かしてくることを忘れるな。

「……そう、それでいいんです」

 刻々と変わりゆく戦況。分岐に次ぐ分岐、枝分かれする可能性。型に嵌っていては絶対にできないダイナミックな取捨選択。

 これが未来予測と瞬間判断を伴う並列思考。これが氷の乙女(アイスメイデン)の情報処理能力。

 勝負は二十分と経たずについた。その一戦が終わった時、マキアスは疲弊しきっていた。

「負けました……けど掴めるものがありました」

「それは何より。でもまだですよ」

「へ?」

 優しげな笑みは浮かべたまま、クレアは駒の配置を戻していた。

「次は三つにしましょうか。最終的には四つの駒を同時に扱ってもらいますので」

「えええ!?」

 おそるべし氷の乙女。

「ち、ちょっと休憩をしたいんですけど、頭が回りませんし……」

「時間がないのでもう少しがんばってください。はい、これをどうぞ」

 手の平に何かが乗せられる。

「これはチョコレートですか?」

「糖分補給用です。早起きしてたくさん作りましたから」

「手作り……!」

「ええ、お口に合えばいいのですけど」

 ぱくんとチョコを食べる。とろけるような甘さだ。疲れが吹き飛ぶ。くすんでいた眼鏡のレンズが燦然と輝き始めた。

「さあ早く続きを。まだまだいけますよ」

「ふふ、その意気です」

 クレア・リーヴェルトの手作りチョコ。マキアスのやる気ボルテージは天井を突き抜けていた。

 

 

「そらそら走れー!」

 拡声器越しの声が一帯に響き渡る。高原に停泊中のカレイジャスの後部デッキから、トヴァルが叫んでいた。

 スパルタお兄さんの怒声にせっつかれながら、エリオットはかれこれ二時間は走り続けている。

「はあっはあ……もう無理……っ」

 しかし体力の限界だ。魔導杖を地面に突き立て、とうとう足が止まる。こんなものを持っているから余計に走りにくいのだ。

 トヴァルはささやかな休憩でさえ許してくれなかった。

「どうした、それで終わりか!? もっと気合いを入れて足を動かせ!」

「うう……せめて水を飲ませて下さい」

「甘ったれるな! そんなに飲みたきゃ自分で地下水脈を掘り当てろ!」

「そ、そんな無茶な」

 なぜか軍隊式のしごきである。歓迎会と称して新兵に行うようなそれと同じだった。

 右手にはメガホン、左手には木刀と鬼軍曹をイメージしているらしいトヴァルは、へばるエリオットを仁王立ちで睥睨している。それが彼の厳しいコーチ像なのだろう。指導はとりあえず形から入る人のようだ。

 エリオットは肩で息をしながらつぶやいた。

「はあ、こんなので本当に習得できるのかな。僕が前衛に出るとか想像もつかないよ」

 “ムービング・ドライブ”。

 それがトヴァルの言う特殊なアーツ駆動法の呼び名だった。

 方法は至ってシンプル。その名が示す通り、“動きながらアーツを駆動させる”ものである。

 可能とされながら普及しなかった理由は大きく二つだ。

 一つ目が容易には実現できない技術であること。アーツ準備段階――すなわち導力を結晶回路に伝え、アーツを形成している最中に下手に動けば、意識が戦術オーブメントから外れて駆動状態が解除されてしまう。

 二つ目がクオーツ本来の特性を十分に引き出せないこと。よしんば駆動までに持っていけたとしても、集中のムラや意識のずれは、威力減衰という形でアーツに反映される。

 要するにメリットよりもデメリットの方が大きいのだ。困難な上に利便性がなく、効果も発揮されないときたものである。好き好んで覚えようとする人間など、まあいないだろう。

「膝を付くな! 立て!」

「うー……」

 けれど。もしも駆動状態を維持したまま自由に動き回ることができ、かつアーツの威力も落とすことなく扱えたとしたら。

 アーツ使いの弱点である硬直の隙がなく、しかも強力な範囲攻撃を任意の場所とタイミングで炸裂させられるわけだ。

 その人間は敵にとって、もっとも厄介な存在になるだろう。

 エリオットもその理屈はわかった。守られる必要がなければ、リィンやラウラなどの前衛が攻めだけに集中できるのも利点だ。 

 だとしても。だとしてもである。その習得方法というのが、

「走れ、走れ、走れー!!」

 こんなハードな走り込みだけ(・・)だとは。こんなことでムービング・ドライブとやらが覚えられるのなら、誰でもできるのではないだろうか。

 実際にトヴァルにも質問してみたが、事はそう単純ではないらしい。

 アーツとの相性。持ち前のセンス。高い次元でそれらがかみ合わないと、決して成功しないという。

 それと一つ、エマではなくエリオットにしかできない理由があるとトヴァルは言ったが、その詳細まではまだ教えてもらっていなかった。

 いずれにせよ、今さら投げ出すわけにはいかない。代えられない仲間の戦力のなれるのなら、やるだけはやってみよう。

 魔導杖に体重を預けるようにして立ち上がる。

 まともに言うことを聞かない足を引きながら、エリオットは走り込みを再開した。

「よーし、その意気だぜ! ノルド高原、あと十週!」

「どこからどこまでが一週なんですか!?」

 

 

 意識を一点に集中する。頭の中で描いた魔法陣を、視線の先にそのまま映し出す。

 光を宿した紋様が輝きを増し、その中にある物体を別の位置へと転移させた。

「……基本はこんな感じかしら」

「ま、これができなきゃ話にならないしね。実際の戦闘で求められるのは臨機応変さに尽きるから。念話の習得に手を出すのはまだ先よ」

「そうね。わかってる」

 遊戯室。近くの台から離れたの台へ。エマは転移させたばかりのビリヤードの玉を一瞥した。

 セリーヌの転移術のサポートを何度か務めていたおかげで、感覚をつかむのは早かった。術のベースはそれなりに扱える。

「まずはおさらい。転移のルールについて理解できてるかの確認よ。いくつか質問していくから答えて」

 転移術にはいくつかの制約がある。それらを把握して効果的に術を行使しなくてはならない。

「使用する霊力の消費量は何によって決まる?」

「数量、質量、転移の距離。あと体積」

 これは術の修練度で上限が変わる。現状、エマはヴァリマール級の質量と大きさを転移させることはできない。

「転移させられないものの特徴は?」

「固定してあるもの。もしくは定型を持たない物質」

 たとえばこのビリヤード台は転移可能だが、もし足が床に接着してあったら不可ということになる。人工的な物でなくても、地面に根を張っている木なども無理だ。

 定型を持たない物質というのは、主には液体である。ただし水槽やコップに移せば、容器ごとの転移は行える。

「転移ができる範囲は?」

「私が肉眼で視認できる位置。それと、私が実際に知っている場所なら行けるわ」

 つまり“見えるところ”と“見たところ”である。この遊戯室内はもちろん、壁を隔てた隣室、フロアの違うブリッジなどにも転移はできる。当然、霊力分の距離までという縛りは生まれるが。

「今のアンタなら50から100アージュの転移が限界でしょうね」

「……たったの100」

 その程度では離脱にも使えない。最低でも500アージュの距離は欲しい。

「とにかく術に慣れること。その為には数をこなすこと。アタシのレクチャーは厳しいわよ」

 セリーヌはもったいぶったように鼻を鳴らした。

「さっそく応用編やるわ。手始めに①番の玉を二番テーブルへ」

 エマは指定されたビリヤードボールを、指定されたビリヤード台へと送る。 

 特訓場所に遊戯室を使ったのは偶然だったが、この環境は思いのほか役立ってくれていた。

「次、③番と④番の玉を二番、三番テーブルに分けて転移」

 転移陣を二つ同時に生み出す。③番は上手くできた。④番は転移先がずれて床を転がっている。

「もっと集中しなさい! 戦闘中は余裕がない上に、直感的な判断も求められるんだから!」

「ええ!」

「続いて二番テーブルの③番玉を一番テーブルに戻すと同時に、一番テーブルの②⑥⑦を三番テーブルに。転がってる④番玉はとなりの部屋の棚の上に。それから⑤番玉をブリッジの艦長席に――」

「ちょっ、ちょっと待って。そんなに一度には無理よ」

 言いながらも必死でセリーヌの指示に食らいつき、エマは無我夢中で転移陣を次々と顕現させる。ハードには違いないが、これはこれで実のある練習になっていた。

 不意にピタリと指示が止まった。

「セリーヌ?」

 気付けば、いつの間にか彼女がいなくなっていた。ふとビリヤード台に視線を落とすと、艦長席に送ったはずの⑤番ボールが残っている。

「……あ」

 丁度その頃、ブリッジではヴィクターの頭に黒猫が降ってきたところだった。

 

 ●  

 

 風霊窟。

 それがこの遺跡の名前だとセリーヌは教えてくれた。彼女の話によれば、同様の霊窟が各地にあるらしい。ガレリア間道で見た遺跡も同系統の遺跡だという。

 知っていたなら、その時に教えてくれたらいいのに。フィーはそうたずねてみたが、セリーヌ曰く『訊かれなかったから』だそうだ。

 もっとも、誰が、いつ、どのように、何の目的でこんな霊窟を作ったのか、その全てをセリーヌも把握していないらしい。

 もちろん遺跡が作られた背景など、フィーにとっては二の次のことではあったが。

「っ!」

 鈍い衝撃が左腕に走り、浮き上がった体が宙を回る。身をひるがえして着地しようとするも失敗。フィーは石畳の上を転がる羽目になった。

「やはり無茶だ。得体の知れない場所でもあるわけだし、そろそろ引き返さぬか」

「……もう少しだけ」

 気遣わしげに歩み寄るラカンに、首を横に振って応じる。まだ、ここを出るわけにはいかない。

 “風の読み方”を教えて欲しい。ラカンにはそう頼んだ。彼はノルドの民特有の感覚であるから、フィーが覚えることはできないと言った。

 それは理解している。ガイウスがやってのけた出現前の幻獣の気配を読むだとか、そんな芸当など真似るべくもない。

 そこまでは求めない。欲しい力は感知ではなく察知。

 周囲を取り巻く空気の流れを読んで、相手の動きを先読みすること。それこそが今の自分に必要な能力だ。

 だからこの場所に来た。風が渦巻くこの霊窟に。

 フィーとラカンがいるのは遺跡の中腹、進んできた通路よりは多少なり開けた空間だ。

 高低差のある構造。入り組んだ石壁。それらが至る所に設置された巨大送風機の生み出す風を、縦横無尽に、そして不規則に遺跡全域へと吹き巡らしている。

「ラカン、お願い」

「……承知した」

 よろめきながら立ち上がる。フィーはずれていた目隠しを締め直した。何も見えなくなる。ごうごうと荒ぶ風の音だけが支配する、盲目の世界。

 その中に、ひゅっと風を切る音。避けようとして果たせず、今度は右足に打撃を受ける。おそらく柄払いを食らったのだ。

 膝はつかない。歯を食いしばって耐える。

 二撃目に備えて身構えたが、続く攻撃はなかった。

「もうあきらめるがいい。こんなことをして何になる? 力を付けるにしても、もっと現実的な方法を選ぶべきだろう。いたずらに疲弊していくだけだ」

「……そうかもね」

 風霊窟に入ってもう何時間が経ったのか。おそらく半日――いや、もっとだ。

 視界を塞ぎ、勘だけでラカンの攻撃を避ける。荒唐無稽な特訓であることは承知の上なのだ。見当違いかもしれない。何も得られないかもしれない。それでも――

「それでも私は、この力が欲しい」

「どうしてそこまでする?」

「ある人たちに聞きたいことがある。でも勝たないと教えてくれない」

「それだけか?」

「……どうかな。多分、他にもあるよ」

 仲間たちの力になる為。エリゼを助ける為。それを成そうとしても、今のままでは届かない。

 黙考していたラカンだったが、ややあって槍を構え直した。

「いいだろう。ただしあと一回だけだ」

「ありがと」

 フィーの速度はⅦ組でトップだ。率先して先陣に切り込み、場合によっては活路を開く足掛かりになる。

 しかし早ければ早いほど、自分の体がスピードについてこれなくなって、やがては蓄積ダメージで筋肉が損傷してしまう。

 けれど相手の行動が事前に察知できたなら、後だしの急加速で敵を追い抜く必要はない。常に先手を抑えた状態で動いていけるからだ。

 予測、判断、行動の流れが確立され、判断と行動が同一化している今より、身体にかかる負担は軽減される。さらにマイナスコンマから始まる予測がある分、総じての速度と精度は以前よりも桁違いに向上するだろう。

「………」

 フィーは目を閉じて、意識を集中した。

 空気の流れを感じて物体の動きを把握するというのは、たとえばある種の昆虫や動物などには普通に備わっている機能だ。そういった特有の感覚器が体内にあるのではなく、そのほとんどが体の表面で察知している。

 虫、動物、人。当然違いはあるが、生物としてあり得ない感覚では絶対にない。

「………」

 じゃりと床を移動する足音。槍を持ち上げる衣擦れの音。音だけではない。空間をたゆたう複数の匂い。肌を撫でていく風のざわめき、揺らぎ。

 ここに至るまでに掴みかけている感覚はある。

 それを今、この瞬間にものにする。してみせる。全身全霊、自分の全てを研ぎ澄ませ。

 ラカンが動いたと分かった。前進してきている。微細な空気の密度の変化がそれを伝えていた。これが圧迫感と呼ばれるものか。

 肌が粟立つ。鋭い打突が迫っているのだ。どこを狙うのか。なんとなく分かる。集約されていく重い圧を自分の右肩が感じている。

 来る、今――

「なっ!?」

 ラカンの声。右頬を何かがかすめた。気付いた時、フィーは迷いなく左に回避していた。

 相手の体勢まで予測できる。電撃的に懐をかいくぐり、引き抜いた双銃剣の刃を彼の首筋に押し付けた。

「こんな感じかな」

「……見事だ」

 刃を引いて、目隠しを取る。眼前に驚きを隠せないラカンの顔があった。

 悪くはないと思う。でも、まだ完全じゃない。

「感覚が残ってる内にもう一度――」

 おぼつかない足がもつれ、バランスを崩す。フィーは壁面に手をついた。

 ガチリと音がする。手の平の先、ブロックの一部が奥に沈んだ。呼応するように地鳴りが起こる。

「え」

「い、いかん。早くこっちへ!」

 焦るラカンが手を伸ばすが遅かった。フィーとラカンの足元から仕切りが立ち上がり、二人は分断された。遺跡の仕掛けが作動したのだ。

 壁がスライドし、石段がせり上がり、連鎖的に周囲の構造が変わっていく。

「私は大丈夫だから、ラカンは先に外で待ってて」

 聞こえているか定かではないが、それだけを叫んでフィーは変動する遺跡内を駆けまわった。押し潰されるわけにもいかない。走って、飛んで、くぐり抜け、誘われるように奥へと進む。

 知らずの内に終点に着いた時、いつの間にか異変は止まっていた。

 目の前にあるのは、見上げるほど巨大な両開きの石扉。

「……まだ先があるっぽいけど」

 鋭敏になっている感覚が、隔たれた先にある何かを感じ取る。強大な力のうねりが、ずっと奥に集まっている。

 体を離し、後退するフィー。そこで彼女は気付く。

「これって旧校舎と同じ……?」

 古びた石の扉には、見覚えのある紋様が描かれていた。

 

 

 ――続く――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――Side Stories――

 

 

《猛将列伝のすすめ④》

 

 

 ざわざわと人だかりができていた。

 ゼンダー門の兵士たちはこぞって基地の外に出てきている。

 勤務中に持ち場を離れるなど言語道断。とはいえ今に至ってはそれを咎める上官でさえこの場所に来ているのだから、苦言を呈する人間は皆無ということになる。

 彼らはごくりと喉を鳴らし、固唾を呑んでその光景を見ていた。

「あ、あのお方が猛将エリオットか」

 兵士の一人が言った。

 遠くに停泊中のカレイジャス。その周りを魔導杖を持ったエリオットが走り回っている。

「猛将列伝に描かれてある通りだな。見た目は優しげな少年だが、しかしその実態は温和の皮を被った獣――否、ケダモノ」

「手にかけた獲物の返り血で染まった緋色の髪……やば過ぎだろ」

「“お前の鮮血が僕のシャンプーだ!”は名台詞だもんな」

 実際は橙色だが、夕日のせいである。

「それにしても猛将は何をしていらっしゃるんだ? お前ちょっと聞いてこいよ」

「馬鹿言うな。下手に近付いたら今日のシャンプーにされちまうだろうが。ミントちゃんなら聞けるかもしれんが、今は例の機甲兵の方に行っているらしいし」

「うーむ……」

 ここからカレイジャスまでは距離があるので、彼らに甲板の上から怒鳴るトヴァルの姿は見えないし、声も聞こえない。エリオットの姿もかろうじて、というレベルである。

「まったく。猛将列伝の読み込みが足らんようだな」

「た、隊長!」

 騒ぎを聞きつけた隊長は、人垣を抜けて最前列までやってきた。彼もしっかりケインズの著書に毒されている。

「お前たち。猛将が今何をしているのか分からんのか?」

「は、面目ありません。隊長はお分かりになるのですか」

「無論だ。あれはただ走っているわけではない。地面を踏み慣らしている」

「と、申されますと?」

 隊長は満足気に地平を見据えた。

「猛将はこのノルドの大地を調教しておられるのだ」

「な、なんと!」

 人外のビッグスケールに誰もが絶句した。そして誰も疑わない。

「考えてもみるがいい。母なる大地の意味を。母とは夫と子がいるということ。つまりこのノルド高原は――」

「人妻……!」

「うむ。猛将のテリトリーだ」

 豊穣の土地から転じる地母神、という概念はすでに消え去っている。

 その折、走り続けていたエリオットが膝をついて四つん這いになっていた。

「あっ、猛将が……まじかよ」

 体力の限界である。しかしバーストしている兵士たちの解釈は違った。

「おいおい、地面につかみかかったぜ! 実力行使に出るつもりだ。猛ってる、これ以上ないくらい猛ってるぜ!」

「ヒュー、蒼穹の大地危うし!」

 わいわいと好き放題に騒ぎ立てる彼らの声が、エリオットに届くことはなかった。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

《ピンキートラップ④》

 

 ほとんどの準備は整った。

 町中の仕掛けは設置済み。住人の協力も取り付けた。何より、先だってレグラムを訪れたアルゼイド子爵の承諾も得た。

「あとはリィン君を待つだけね。待ち遠しいわ」

 んふふ、とヴィヴィは笑う。

 カレイジャスはこちらに向かっているらしい。噂に聞く速度なら到着まで時間はかからないだろう。

 そう、準備はほとんど終わっている。だから最後の詰めをしなくてはならない。

 ヴィヴィは彼らに目をやった。

 フリッツ、ダット、ガヴェリ、アレス。練武場の中央、円状に配置した椅子にアルゼイド流門下生たちが座っている。大切な話をするからと言って招集したのだ。

 彼らの円の中心に、一本の蝋燭が立っている。ゆらゆらと揺れる灯を見つめる男たちの瞳は、とろりと虚ろっていた。

「……ヴィヴィ君……大切な、話と……いうのは」

「ガヴェリさん、そう焦らないで。ちゃんと話しますから、今はその蝋燭の火を見ていて下さいね」

「承知した……」

 いい感じに朦朧としてきている。しかしまだ通常の会話ができるとは、さすが武の世界に身を置くだけあって精神が強い。

 足元にはお香も焚いているのに。園芸部で育てたハーブのいくつかを調合した、特にリラックスできるやつを。

 だけどそろそろ頃合いだ。ヴィヴィは円の中へと入ると、まずはガヴェリと向き合った。

「今からいくつか質問していきます。考えなくていいですから、思った通りに答えて下さい」

「わかった……」

 力なくうなずくガヴェリ。

「ガヴェリさんにとってラウラはどんな存在ですか?」

「……高潔で芯の通った方だ。真摯に剣を鍛錬するお姿に、我らも学ぶところが多かった……」

「他には?」

「子爵家のご令嬢にも関わらず、気取ることなく皆に……平等に接して下さった。彼女を慕わない人間はレグラムにいない……」

「町の人から愛されているのね。体面を取り繕わないことは魅力だと私も思います。もっと教えて。あなた達がラウラをどう思っているかを」

 ヴィヴィは教会から拝借してきたメトロノームを床に置いた。カッチコッチと針が往復し、規則的な音が耳朶を打つ。

「お嬢様は……いつも我々のそばにいた。いつも笑って下さった……。年上の者にとっては妹のような、年下の者にとっては姉のような、年配の者にとっては娘のような……心癒される存在だった」

「そう。とても大事な存在」

「大事……な、存、在……」

 もう一つメトロノームを追加。重なる音が時折不規則に響く。カッチカカッチコッチコッチココチッカッチ。

 音がずれると、思考もずれる。意識に隙間ができる。

「とても大事なラウラお嬢様。でも考えたことがありますか? 彼女も年頃の女の子。気になる異性がいるかもしれませんよ」

「それは……良いことだ。お嬢様が幸せになるなら我らだって嬉しい――」

「本当にそう思う?」

 さえぎる声音を差し挟む。耳ではなく脳に直接伝えるように。

「誰にだって平等だったラウラお嬢様。平等の笑顔を向けてくれたラウラお嬢様。けれど彼女にとっての特別ができた時、“彼”に向ける笑顔とあなたたちに向ける笑顔は、果たして平等と呼べるものなのかしら」

「……彼?」

「リィン・シュバルツァー。ラウラにとって“特別”になるかもしれない男の子」

「だ、から……お嬢様の特別であることを認める為に……アルゼイドの試練を……」

「認められるの?」

 カチチカチチ。まるで嘲笑うかのようなメトロノームの音。

「確かにガヴェリさんたちはリィン君を認める為にアルゼイドの試練を企画したわ。じゃあ仮に彼が試練を突破したら、みんなは心の底から受け入れられるのね? 彼こそがラウラのとなりに立つべき男性だと」

「そ、それは」

「違うでしょう。そうなる未来をあなた達は本心からは望んでいない。試練の中で彼が脱落することを密かに期待している」

「や、やめろ。そんな矮小な考えなど……持っていない。お嬢様の幸せこそが我らの望み……!」

「心を偽らないで。ラウラを想う気持ちが本物だってことは分かってる。そうよね。リィン君よりもよっぽどラウラのことを大事に想ってるわよね」

「無論だ……!」

「渡したくないよね。ラウラお嬢様」

「無論だ。い、いや違う。お嬢様が幸せで……お嬢様の幸せを……!」

 苦しそうに頭をかきむしる。

「ほら、こんな光景を想像して。将来結ばれた二人が暮らす新居。そこに一日の仕事を終えたリィン君が帰ってくる。待ちわびた旦那様の帰宅。エプロンを付けた新妻のラウラお嬢様はスリッパをぱたぱた鳴らしながら、小走りで出迎える。そして彼女はこう言うの。ご飯にする? お風呂にする? それとも――」

「ぐああああ! やめろおっ!!」

 ガヴェリは吐血した。真っ赤なしぶきがメトロノームに飛び散る。

 ヴィヴィは見開いたその目に、ペンライトを近付けた。

「そんな未来、耐えられる?」

「……耐えられなイ」

 チカチカとスイッチを切り変え、光で瞳孔を刺激する。

「リィン君を許せる?」

「許せナイ……」

 メトロノームのリズムとライトの点滅が同期し、一つになっていく。ずれていた思考がすり替わり、他人の言葉が自分の言葉になっていく。

「お嬢様を?」

「守らナイト」

「レグラムを?」

「守ラナイト」

「幸せを乱すものは?」

「敵……」

「リィン・シュバルツァーは?」

「テキ!」

 ガヴェリの額にピキキッと青筋が浮かぶ。

 上々の仕上がりだ。この調子でどんどん行こう。ヴィヴィは二人目、三人目へと同様に声をかけていく。

「失礼します――ってなんだこれ!?」

 しばらくしてカスパルが練武場にやってきた。場内に入るなり、彼はその有様に目をむく。

 ヴィヴィが最後の一人の“仕上げ”に取り組んでいる最中だった。カスパルは駆け寄って彼女の肩をつかむ。

「お、おい! 何やってんだよ」

「ちょっと静かにしてよ。台無しになっちゃうじゃない」

「台無しって何が……」

 彼の手を払いのけて、ヴィヴィは続ける。

「さあ、フリッツさん教えて。お嬢様の幸せは?」

「私が……守ル……」

「その幸せを脅かすものは?」

「敵……」

「リィン・シュバルツァーは?」

「テキ!」

 ライトを明滅させ、メトロノームの音を言葉と共に刻み込む。

「お、お前これやっちゃダメなやつだ! 本気でダメなやつだぞ! どこで覚えたんだよ!」

「学院の図書館。ハーブの効果を調べるついでに、脳とか心の仕組みも勉強したの」

「ついでで覚えるもんじゃないだろ! あと方向性が間違ってるから! これってどう見ても洗の――」

「うるさいなあ!」

 ヴィヴィは屈めていた腰を上げた。

「何よ! カスパルってば最近武器ばっかり眺めて、全然私にかまってくれないし! 放っておいてよ!」

「いや、かまってやってたよ。毎日教会に行って声かけてたって。ふさぎ込んで反応しなかったのはそっちじゃないか」

「あーそうなんだ。“かまってやって”たんだ。やっぱりそういう感じだったのね!?」

「言葉のあやだろ! 面倒だな、お前!」

 場内の隅にもう一人転がっていた。クラウス師範代である。彼も半目を開いて「リィン、憎イ……リィン、憎イ」とうわ言のように繰り返している。

「あの人は簡単だったわ」

「なんてことを……」

 洗脳とは少し違う。

 理性という心の枷を外し、感情のリミッターを解除する。どちらかと言えばこれは暗示や催眠に近い。

 ラウラを大切に想う人間ほど、その力を余すことなく引き出すことができるのだ。

「なんの目的があるんだ」

「目的? みんなの後押しよ」

 自分が一任され、取り仕切ることになった《アルゼイドの試練》。

 リィンを認める為の催しという本質は忘れていないが、簡単にクリアしてもらってもつまらない。ギリギリのラインを攻めてこそ、試練の名を冠するに相応しい。

 予想していたよりも遥かに皆を強化しちゃったから、リィン君が途中でグシャグシャにされる可能性もあるけど、その時はその時ということで。

「こんにちはー。ヴィヴィちゃん来たわよ」

「面白いことをするって聞いたけど」

「何するの?」

 入ってきたのは三人組の女性。クロエ、シンディ、セリアである。

 いわゆるラウラ親衛隊。ラウラをお姉様と慕い、敬愛し、寵愛し、崇拝し、誰よりも大切に想う乙女たち。

「いらっしゃい。待ってました。さあ、三人ともこの椅子に座って下さいね。んふふ」

「……俺、どうなっても知らないからな」

 武器を片手にカスパルは別室へと向かう。背後からメトロノームの音が聞こえてきた。

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 




 大変お待たせしました。本日より第二部の開始となります。

それぞれが力を付けている最中ですが、やはり習得度合には個人差がありますね。第二部からは戦い方、そのスタイルが変わる人も多いです。最たる例は弓からパイロットに転向したあのお嬢様でしょうか。

カレイジャスを手に入れ、第一部よりも行動範囲と自由度が遥かに増した第二部。いよいよ原作とは異なる展開をしながら、物語は中核へと進みます。

今後も引き続きお付き合い頂ければ幸いです。
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