ククク、国家安全保障局、SNSが……いやNSS……どっちだっけ。
まあ細かいことはいい。
予兆はあった。あれは無職になる前に受けた健康診断だ。二十歳というのに、軽度の
さて、現在、俺は何者かに拉致され、そこがどこかもわからぬ見慣れた場所にいた。
広さは
そこには狭いワンルームの自宅が再現されていた。
ローテーブルとくたびれた
その再現度の低さには呆れてしまうばかりだが、ハン●ーハン●ーのキルア並みに頭が切れるのが俺だ。
カラーボックスに詰められた漫画雑誌が軒並み数年前の物であることからも、情報の更新がなされていないという重大な要素に気付いてしまう。
ふと、足下を見れば、先代住人が煙草の不始末で焦がした
なんとなく焦げ跡をほじほじする。
これで落ち着きを取り戻したこともあり、俺は思考を加速させて状況の整理を始めた。
謎の組織に
そうなると残る可能性はただ一つ、職場だ。
国籍不明の中年男が経営する電子タバコの工場で俺は働いて──そうか、あの電子タバコにはナノマシンが仕込まれており、俺たちは思考を支配されていた──思考が危険水域に及んだことで、俺は妄想にブレーキをかけた。
悪い癖だ。サメ映画に政治や陰謀論をぶちこんだところで何一つ面白くならないのと同じで、不要な設定は妄想の質を著しく損なってしまう。
駅から徒歩四十分。俺を除く住人全てが外国人のアパートで、家賃を滞納した俺は支払いか退去の二択を迫られている。残金は三千円。当然のようにスマホは平たいだけの板となっており、電気も数日中には止まってしまうだろう──
ゆえに俺は妄想しているわけだが、これは決して現実逃避ではない。
俺は意識をしっかりと保ちつつ、何が起こってもいいようにあらゆる事態を想定しているのだ。
いきなり工場を解雇されたことからも、この世はいつ何が起こるかわからない。
俺が風呂に入らないのも、いつ風呂場にサメが出現するかわからないためであり、ガスが止まっているせいでは断じてない。
時刻は夜の八時を少し過ぎたところ。
ブレインストーミングでカロリーを消費しすぎたこともあり、俺は電気を消すと早々に万年床に潜り込んだ。
明日になったら街にゾンビが溢れていることを夢見て。
※作中の歴史ネタやパロディは、うろ覚えで書いているので信じないでください。
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