ラインハルト転生   作:パワーワード大好きおじさん

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リメイクされないかなー。


04. 炎の宿命

グラン歴 761年

 

 

王都バーハラ。

 

クルト王子の死とシグルド軍の壊滅という凄惨な結末から半年。

かつての華やかさは、新たな秩序への移行期特有の、張り詰めた静寂へと変貌している。

 

ヴェルトマー公アルヴィスは、まだ王都の正式な主としての戴冠を済ませてはいない。

だが、実質的な統治権は完全にその手に握られている。彼は広大な執務室の窓辺に立ち、沈みゆく陽光が赤々と染め上げる街並みを凝視していた。その瞳には、血の混じった夕闇ではなく、自身の掲げる「差別のない理想郷」の礎としての情熱が宿っている。

 

しかし、その理想の影で蠢く不穏な報告が、彼の眉間に深いシワを刻ませた。

フリージの若き魔道騎士、ラインハルト。将来を期待されるその少年が、ロプト教団の手の者に襲撃されたというのだ。少年が自力で退けたとはいえ、同盟関係にあるはずの教団が、国の未来を担う貴種に牙を剥いた事実は看過できない。

 

「……入れ」

 

アルヴィスの低く、重厚な声が扉の向こうへ響く。

扉が音もなく開き、一人の老人が姿を現した。黒い法衣を纏い、死者の如き青白い肌に不気味な笑みを湛えた男。暗黒教団の大司教、マンフロイである。

 

マンフロイは歩を進めるたびに、周囲の空気を凍てつかせるような邪悪な魔力を漂わせる。

アルヴィスは振り返ることなく、冷徹な口調で言葉を投げた。

 

「マンフロイ。貴公らの配下が、フリージの少年に手を出し、返り討ちにあったと聞いた。……私の統治下で、勝手な振る舞いは許さぬと言ったはずだ。」

 

部屋の隅々にまで届くその威圧感は、炎の紋章を継ぐ者としての圧倒的な力に裏打ちされている。アルヴィスはゆっくりと体をひるがえし、燃えるような紅蓮の瞳でマンフロイを射抜いた。

 

「私の理想とする世界に、罪なき子供を狩るような蛮行は必要ない。それとも、貴公は私との約定を忘れ、このユグドラルを再び暗黒の混沌へ叩き落としたいとでも言うのか?」

 

その問いかけにマンフロイは黙して答えない。

 

アルヴィスの放つ覇気は、物理的な熱を伴って執務室の空気を膨張させた。

 

彼は一歩、マンフロイの方へと歩み寄る。その足音は重く、大理石の床を通じて建物全体に彼の意志を浸透させるかのようだった。アルヴィスの全身から立ち昇る威圧感は、もはや単なる権力者のそれではない。聖戦士ファラの血が、彼の血の管の中で激しく脈動し、触れるものすべてを灰に帰す劫火の如きオーラとなって溢れ出していた。

 

魔力を帯びた指先が、微かに、だが力強く握り込まれる。その動き一つで、部屋の隅にある燭台の火が大きく揺らぎ、次の瞬間には白熱した輝きを放った。それは、自然界の摂理さえも彼の感情に同調し、平伏しているかのような光景だった。

 

「私は、血筋や出自で虐げられることのない世界を作ると誓った。たとえそれが、貴公ら教団が望む『闇』であろうとも。……だが、私の法を乱す存在は容赦せぬ」

 

アルヴィスの背後に揺らめく影が、竜が翼を広げたかのように壁一面を覆い尽くす。

彼の瞳の奥に宿る炎は、暗い森のようなマンフロイの魔力を真っ向から焼き払い、退かせるだけの純粋な破壊衝動と、それを御する強固な理性に満ちていた。

 

その場に居合わせる者がいれば、呼吸することさえ忘れるだろう。

若き統治者が纏うのは、神の如き慈悲と、魔王の如き苛烈さが同居した、絶対的な覇道の色であった。

 

アルヴィスはマンフロイの目前で足を止め、見下ろすようにその冷徹な視線を突き刺す。

 

「答えろ、マンフロイ。私の温情を、甘さと履き違えたか?」

 

彼の声は低く抑えられていたが、そこには逆らう者を一瞬で消沈させる、圧倒的な格の差が刻まれていた。

 

アルヴィスの放つ、肌を焼くような覇気を真正面から受けながら、マンフロイの表情には微塵の動揺も浮かばなかった。それどころか、彼はその熱波を楽しむかのように、薄い唇を吊り上げ、歪んだ笑みを深くした。

 

 

アルヴィスの炎が陽の光とするならば、マンフロイが纏うのは光を吸い込む闇だ。

激昂するアルヴィスの威圧感が強まれば強まるほど、マンフロイの周囲にある影は濃くなり、実体を持ってうごめいているようにさえ見える。

 

「……おやおや。相変わらずの、凄まじい御力ですな。聖戦士ファラの血が、これほどまでに猛々しく燃え上がっていらっしゃるとは」

 

マンフロイは、芝居がかった仕草で胸元に手を当て、ゆっくりと頭を下げた。

その動きは滑らかで、あまりに淀みがない。

 

「ラインハルト少年の件……。あれは、末端の愚か者どもが功を焦り、わたくしの指示を履き違えた、単なる手違いに過ぎませぬ。若き賢王の御心を乱してしまいましたこと、このマンフロイ、深くお詫び申し上げましょう」

 

言葉こそ恭順の意を示しているが、その声の響きには、氷の塊が混じるような冷徹な響きがあった。謝罪の言葉を吐きながらも、彼の双眸はアルヴィスの瞳をじっと見据えている。

その眼球は濁り、知性ある人間のそれというよりは、獲物を狙う爬虫類や、あるいは深淵から這い出してきた異形のものに近かった。

 

マンフロイの影が、アルヴィスの足元にまで這い寄り、その境界線で炎の照り返しと激しくせめぎ合う。

 

「ですが、アルヴィス卿。理想の世界を築くには、時として不測の事態も起きるもの。あの少年は……少々、光を浴びすぎていた。ただそれだけ。そうはお思いにはなりませぬか?」

 

言葉の端々に潜む、底知れぬ悪意。マンフロイが発する空気は、執務室の豪華な調度品さえも腐食させていくかのような錯覚を抱かせる。アルヴィスという強大な太陽の背後に潜みながら、いつかその光を飲み干す機を窺う、飢えた深淵そのものであるようなーー

 

深く垂れ下げられたフードの奥で、マンフロイは再び笑みを浮かべる。

 

アルヴィスは、マンフロイが放った狡猾な問いかけを、鼻で笑うことさえせずに切り捨てた。少年の資質を説く大司教の言葉など、彼の耳には届いていない。あるいは、届いていてもなお、一顧だに値しないと断じた。

 

「質問に答える必要はない。貴公の詭弁を聞くために呼んだわけではないからな」

 

アルヴィスの声は、先ほどまでの激昂を通り越し、絶対的な零度へと達していた。

彼はマンフロイに向かって僅かに顎を引き、鋭い視線の刃を突き立てる。

 

「教団の役目は、私の足元に侍る影であることだ。それ以上に、私の領土、私の民に無断で干渉することは許さぬ。……二度は言わぬぞ、マンフロイ。次に手違いが起きた時、消えるのは末端の愚か者だけではないと知れ」

 

最後の一言は、実体を持った重圧となって部屋を震わせた。聖戦士の魔力による物理的な圧力と、ロプトの闇がぶつかり合い、一瞬、火花が散るかのような錯覚が空間に走る。

 

マンフロイは、その言葉の重みを味わうように沈黙を守った。やがて、彼は再び深く頭を下げた。今度はその唇に浮かぶ嘲笑さえも、法衣の闇の奥へと隠して。

 

「承知いたしました。卿の御意志こそが、我らの指針。以後、このような不始末は二度と」

 

その言葉を合図にするかのように、部屋を満たしていた張り詰めた気配が、潮が引くように退いていった。

アルヴィスの纏う熾烈な覇気は静まり、代わりに統治者としての冷徹な平穏が戻る。

マンフロイが放っていた、肌を刺すような魔力の残滓も、夕闇に溶け込んで消えていく。

 

先ほどまでの殺伐とした空気は、まるで最初から存在しなかったかのように霧散し、ただ豪華な執務室に、夕暮れの静寂だけが取り残された。

 

アルヴィスは再び背を向け、窓の外のバーハラを見下ろす。

マンフロイは物音一つ立てず、影そのものが消え去るように、音もなく部屋を後にした。

 

 

 

 

王都バーハラの喧騒から遠く離れ、地脈の底を這うような冷気が支配する暗闇の神殿。

 

そこは陽光の届かぬ世界であり、立ち並ぶ石柱の影には、恐ろしいまでの静寂が沈殿していた。祭壇に灯された青白い炎だけが、湿り気を帯びた岩肌を不気味に照らし出している。

 

神殿の奥から、マンフロイが音もなく帰還した。

その足音は石床に吸い込まれ、ただ法衣が擦れる微かな音だけが死者の囁きのように響く。

 

「……大司教様」

 

闇の帳を割り、一人の高位司祭が歩み寄った。その顔は蒼白で、額には脂汗が滲んでいる。司祭はマンフロイの数歩手前で、崩れ落ちるように膝を突いた。

 

「このたびの失態……弁解の余地もございませぬ。フリージの小僧と侮り、あのような屈辱を教団に。アルヴィス卿の不興を買う結果となり、万死に値いたします」

 

司祭の右腕は、肘から先が不自然に垂れ下がっていた。ラインハルトの放った斬撃によって、腕を飛ばされたのだ。

 

マンフロイは立ち止まり、足元に平伏する男を静かに見下ろした。

その瞳には、バーハラで見せたような鋭い光はなく、むしろ慈悲深い守護者のような、空虚なまでの穏やかさが宿っていた。

 

「よい、面を上げよベルド。功を焦るのは、それだけ我が教団の未来を案じている証左であろう。……お前の忠義は、私が一番よく知っている」

 

マンフロイは枯れ枝のような手を伸ばし、ベルドと呼ばれた司祭の肩に優しく置いた。

その動作は鷹揚で、まるで我が子の過ちを許す父親のようであった。

 

「……だが、その腕はどうした。ラインハルトに斬られたという、その腕。再生もせずに、私を待っていたのか?」

 

マンフロイの声には、本物の懸念が混じっているかのような響きさえあった。

彼はベルドの袖口に視線を落とし、労わるように言葉を重ねる。

 

「教団の貴重な高位司祭を、このようなことで失うわけにはいかぬ。一刻も早く闇の癒やしを施さねば、魂まで蝕まれることになるぞ」

 

ベルドは、大司教の思いがけない慈悲に、感激と恐怖が混じり合った複雑な表情で震えた。

 

「傷はすでにふさがっております。片腕は我が身への戒めとしたく……」

 

その答えを聞くと、マンフロイはそれ以上なにも言わず遠くを見つめた。

 

マンフロイはベルドの肩から手を離し、ゆっくりと神殿のさらに深奥、闇が最も濃く淀む祭壇の方へと歩き出した。彼の視線はもはや目の前の部下にはなく、遥か遠く、運命の歯車が噛み合う瞬間の先を見据えている。

 

「案ずるな。すべては、予定された流れの中にある……」

 

その呟きは、重苦しい静寂を孕んだ空気の中に溶け込んでいった。

マンフロイは、冷たくそびえ立つ神像の前で立ち止まり、天を仰ぐように両腕を広げる。

その仕草は、まもなく訪れるであろう巨大な変革を歓迎する、歪んだ儀式のようであった。

 

「まもなく、闇の御子が生まれる。聖戦士どもが築き上げた、偽りの平和を焼き尽くすための器が」

 

彼の声には、地を這うような重低音と、狂気にも似た歓喜が混じり合っていた。

神殿の天井に刻まれたロプトウスの紋章が、青白い火影に揺れて、あたかも脈動しているかのように見える。

 

「我らが希望。百年の呪縛を解き放ち、この地上に君臨する暗黒の輝きが、今まさに降り立とうとしているのだ」

 

マンフロイの瞳の奥で、昏い光が明滅する。

アルヴィスという太陽が、自らの光で影を濃くしている間に、その影の中から、太陽そのものを飲み込む真の闇が産声を上げようとしていた。

 

神殿の壁一面に、マンフロイの影が長々と伸びる。

その影は、彼一人というにはあまりに巨大で、禍々しい。

闇の司祭たちは、大司教の背後に漂うその圧倒的な「予感」に、畏怖と狂信の入り混じった溜息を漏らし、ただ沈黙の中に跪いていた。

 

 

 

 

ラインハルトだ!よもや、よもやだ!

 

このラインハルトの目をもってしても、暗黒教団という存在の動きを読めなかった。

危うく、この世からサヨナラバイバイするところだったよ……。助かったのは正直なところ、運が良かっただけだろう。いきなり黒幕の組織とエンカウトとか勘弁してくれ……。

こっちはまだ子供やぞ。

 

あの時にオレを助けてくれた、凄まじい強さを持つ男。

彼はヴォルツと名乗る傭兵だった。沈黙の魔法が解けてから改めて感謝を伝えて、死体の埋葬を手伝った時にそれとなく話を聞いてみたところ、なんでも戦場で片腕を失い、気まぐれで故郷に戻ってみたら、あの有り様で。何もする気が起きなく、ただ寝ていたそうだ。

 

「戦いは飽きたのさ」とか言ってたので元傭兵になるのか? むせる。カッコいいんだぜ……

 

ヴォルツはオレをフリージの屋敷まで送り届けると謝礼を受け取り、引きとどめる声を振り払って、さっさとひきあげてしまった。たぶん故郷だと言うあの廃村に隠遁するのだろう。

隻腕でもあの強さとか、現役の頃はどれほどの……世界は広いんだなと思いました。

 

いかんいかん、話が終わってしまう。

 

痛感したのは、自分ひとりの力では限界があるということだ。

オレが成長すれば、ひとつの部隊を個の力でねじ伏せることは出来るかもしれない。

だが、一国の軍を相手にするのは不可能なのだ。

前世の記憶でゲーム脳に流されがちになるが、気をつけねばならない。

この世界にSドリンクなどないのだ。……ないよね?

 

 

つまり……オレは!!!! 弱い!!!!

仲間がいるよぉ……!!!!

 

 

そうとわかれば、後は行動あるのみだ。

 

信用出来そうな人間を見つけて自分の周囲を固める。我がフリージは人材の宝庫なのだ。

オレも自分を鍛えるだけではなく、仲間と一緒に強くならねば。努力・友情・勝利!!

 

さっそく手近な配下の騎士たちから目ぼしいのを探す……おっ、キミ良い体してんねえ。

名前は? ふーん、フレッドくん……十六歳の新人騎士かぁ……ん? どこかで聞いたような?

まま、ええやろ。キミって才能ありそうだから一緒に鍛えようよ!

知ってるだろうけど、オレはラインハルト! コンゴトモゴロシク! ハイ、決定!

 

フレッドにくわしく話を聞くと、魔道を扱う才能がないらしくパラディン志望だそう。

魔力はけっこう持ってそうなのに、ままならないものだ。まあ、なにも問題はなかろうよ。

 

この世には、魔法の剣といったものが存在する。我が家にも何本か雷の剣が転がってた。

オレやオルエンには持ち前の雷の魔法があるから必要ないし……。

魔法が使いたいというなら、別に渡してしまっても構わんのだろう?

 

一緒にヴォルツのアニキに師事するのも良いな。あの剣筋は実に見事だった。

前は馬にも乗っていたようだから、騎士とはまた違った馬上での戦い方なども学べれば、きっと力となるはずだ。

なあに、頭を下げて出すモノ出せば嫌とは言うまい。少し勿体ないが、拾ったサイレスの杖を売って資金源にして……ラインハルト、三顧の礼を仕掛けます!

 

 

さて、やることが決まったらやる気が出てきたぞ。忙しくなるな!

 

そういえば、暗黒教団に襲われたという報告を上にあげないと。

すでに無事に帰還した知らせは出しているが、直接報告しなければならない。

オレはアルヴィスが裏でロプトとつながっていることを知ってるが、世間はそうではない。

つっつき過ぎるのは危険だが、常識的な対応として違和感はないし牽制にもなるだろう。

 

とりあえず、フレッドはオルエンの側仕えの騎士にでも取り立てておこう。

実直な性格で信用も出来そうだ。オラッ! 雷の剣ッ! 守役任命ッ!

この剣でオルエンをしっかりと守って……あ、あれ? オルエンとフレッド……?

 

雷の剣を持ってるフレッドって……こ、コイツはフレッドだッ!!

 

ゲームのエンディングの後日談で、後に主筋にあたる娘と結ばれて、あまりの年の差に周りからは大いに冷やかされたというフレッドだッ!! 主筋の娘ってどう考えても……

 

 

ね、NTRやんけ~!!




フレッドくんも改造されます。悲しいね。
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