【夢の中】で女を犯しまくっていたら、【現実】に影響でちゃった……。 作:BIBI
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少し古びた高校の校舎。
「そういや最近、カナミ先輩見ないな……」
教室の隅で友人と集まり、背を壁に預けて俺は床に座っている。そしてパンを齧りながらダラダラと友人達と会話していた。
「初恋相手が気になるか?」
隣で黒髪長髪の少年――ジュンは栄養ドリンクを片手に持って、揶揄うように笑って突っ立っていた。
「…………ちっ」
視線を合わせようとせず、席に着いて弁当を食べている。イノリはあからさまに不機嫌そうに舌打ちしていた。
「カナミ先輩。執筆で忙しいのかな、大人気小説家だし……」
この一週間で色々実験して分かった……。俺が直接触れた事のある相手じゃないと、夢の中に連れ込めないんだ。このまま不登校が続いて学校を休む様であれば、触れること自体が難しくなってしまう。
それは困る……。だって早く夢に連れ込んでレイプしたいから。
「……それが、学校来ても悪口ばかりで疲弊したらしいよ。嫌がらせって奴だね」
床に座り、袋から弁当を取り出しながら、茶髪の少年――ソウヤは苦笑する。
嫌がらせ? あの人、結構チヤホヤされてなかったか? 虐められてんの?
「自分の書いた小説を、目の前で朗読されたらしいな。ちょっと酷いよな、ははは。想像したら何かウケるけど」
ジュンはヘラヘラとした態度で、片手に持っていた栄養ドリンクに口を付けた。何の心配もしてない態度。あくまで他人事である。
でもそれは仕方がない事だ、実際俺達は会話した経験すら殆どない他人なのだから。
「何度もそういう弄りみたいな扱いされて、先輩は恥ずかしくて学校を休む様になったとか。しかも今は小説家としてのスランプなんだと」
「高校生にもなってガキくせーよな。この学校でも、そんな偏差値低そうな馬鹿いんの驚きだわぁ」
呆れ半分でソウヤが説明し、ジュンは軽く笑い飛ばした。別に肯定する訳ではないが、些細な問題として扱っている。
俺は二人みたいに軽く流せないなぁ……。漫画家や小説家って傷つきやすい人多いし、何か少し言われただけでもブチ切れたり、悲しんだりする奴ばっかで面倒な奴等だから。
カナミ先輩も傷ついているんだろうなぁ。笑えねぇよ……。学校辞めちゃったら、レイプできないじゃん……。
ハッキリ言って、緊急事態だな……。
「悪意はなかったらしいけどねぇ……。単なる弄りというか、仲良くしようとして空回りしてしまったって聞いた。ホントかどうかは知んないけど」
どうせ悪意があったに決まっている。そう言いたげなイノリは意味ありげに、深く溜息を吐いていた。だけど俺は――。
「……案外本当なんじゃないか? 無自覚に嫌なグループって結構多いから」
何となくだけど、そう思った。
「コイツなら雑に扱って良いと思って、集団で一人を指差して笑う。こういうの客観的に見たら嫌な集団になると思うんだ。でも本人達は自覚がねぇんだよ、自分達が嫌な集団に見えている事に。今回の話も、そういう残念な連中がやらかしたんじゃねぇの?」
だって、不良校ならともかくウチの学校は偏差値が高くて、わりと育ちが良い連中ばかりだ。そんなベタな悪人が居ると思えない。
「……確かに自分が嫌な集団だって無自覚な連中いるなぁ。言われたら、そんな気がしてきた。この学校に虐めとか馬鹿な事する奴居なさそうだし」
イノリも共感できたのか、少し困った様に笑っていた。
「他人を心の底から見下すと、自分達が普通。相手が恥ずかしい奴。みたいな図式が頭の中で出来上がるからねぇ。嫌な事をしている自覚が生まれにくいんだろうなぁ。本人は弄りのつもりなんだろうけど」
ガキ臭いと思ったのだろう。ソウヤは肩を落として困った様な顔をしていた。
「また陽キャ気取りの馬鹿が面白くもない弄りしてんのかよ……。そろそろ誰かコミュ障陽キャ君に弄りって一方的だと只の嫌がらせになっちまうって教えてやれよな……。ちゃんと自分も弄って貰える程度に、相手に興味を持ってもらう努力から始めねぇと……」
流石は陰キャと言うべきか。ソウヤだけではなくジュンも陽キャを嫌っている様子。これにはイノリも呆れて「……アンタ等、陽キャ嫌い過ぎでしょ」と苦笑い。
「人っていうのは、痛くてキモい程面白いんだ。だから陽キャなんて痛くもないしキモくもないんだから、弄っても面白くなんねぇだろ。あんなつまんねぇ奴等、関わるだけ損でしかない。時間の無駄だ。是非カナミ先輩には俺達のグループに入って欲しい所だな。俺達みたいに痛くてキモイ連中は探しても中々いないんだから」
俺はパンを食べ終わり、空になった袋を丸めて、ビニール袋に入れた。食後で腹が落ち着いたので、紙パックの珈琲牛乳を飲みながら立ち上がる。
「アンタ、痛くてキモイ自覚あったのね……」
食べる手を止めて振り向いてくる。俺に視線を合わせ、呆れ気味にイノリは驚いていた。
「当たり前だろ。俺より痛い奴この学校にいねぇよ。俺が一番で最強なんだ。つまんねぇ陽キャのくだらねぇ話を聞くのを今すぐ止めて、校内中の生徒は全員俺の雑談を聞けよ」
「陽キャを薄ら見下してるよな、お前……」
俺の傲慢で痛い発言に、隣でジュンは引き攣った顔でドン引きしていた。
そりゃあ見下している気持ちもあるけど、大半は羨ましいという気持ちなんだけどな。だって陽キャって当然の様に友人ができて、ふざけるだけで面白くもないのに周りが笑ってくれるんだぜ? 人生楽そうで羨ましいよ。
それに比べて俺達陰キャは、他人と同じ事をやっていても見向きもされないから、だから人一倍努力して生きるしかないんだ。
そういう意味じゃあ、陽キャが羨ましくて仕方がない……。
「つーか陽キャって名称が奇妙だよな。イキリ系の方が適切じゃね? 何でわざわざ言い換えてんだよ。もしかして陽キャって恥ずかしがり屋なのか? 僕達はイキリ系ですって素直に言えねぇの?」
欠伸混じりに呆れて、俺は肩を落とした。すると「相変わらず性格悪いなぁ。流石は陰キャの総大将と馬鹿にされているだけはあるよ」とソウヤは、少し揶揄うようにケタケタと笑う。
全く……、こいつ等ときたら……。
「つーか、根性とか、熱血だとか、陽キャだとか、男らしさだとか、そういう言葉ってイキリを誤魔化す為の言葉じゃね? だから馬鹿の癖に偉そうな奴程、こういう勇ましい言葉が好きなんだろうな。あんま恥ずかしがるなよ。全部イキリ系で良いじゃん。僕ちんはイキリ系ですって素直に言う方が人として可愛いと思うけどなぁ。正直に言ってくれたらこっちも弄りやすいからさぁ。恥ずかしがらないで欲しい」
俺は肩を竦め、片手をズボンの
俺が痛い奴なのは、いつもの事だから。
「お前は陰キャの鏡だよ、ホント……。どこまで陽キャ嫌いだったらそんな悪口を思いつくんだ。無駄に反論しずらい理屈を並べて小賢しいのも含めて陰キャ過ぎんだろ……。ホンモノだよ、お前」
言いながらジュンはどことなく少し嬉しそうだった。
昔からそうだけど……。俺の痛さを面白いと判断してくれるアイツ等って、すげー良い奴等だよな……。普通の奴等なら、俺なんて鼻で笑って馬鹿にしてお終いなのに……。
恵まれてるなぁ、俺。
〈補足〉
カイは平気で嘘を吐くわりに、性格が悪すぎてあまり悪口を我慢できません。だから周囲には、カイが大抵の女を穴としてしか見てないとバレています。その上、発言も理屈っぽくて女受けが悪くて、上から目線で周囲を見下す発言が多いので痛い奴認定されています。
わりと彼を面白がる人がいる反面、多くの人に関わりたくないとも思われているのが実情。遠目で見ている分には面白い奴、みたいな評価を受けがち。