【夢の中】で女を犯しまくっていたら、【現実】に影響でちゃった……。 作:BIBI
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明るかった日差しは傾き、辺りが真っ暗になった頃。
俺はミウからの脅迫に屈し、六時間ぶっ通しで絞り尽くされた。今はクタクタに疲れている中、元気にネット小説の感想欄で作者とレスバしていた。
【ネット弁慶】
『最初だけ凄く面白いんだけど、少しずつ逆張りし過ぎて台無し。これ作者女か? 女漫画家特有の繊細な心理描写に見せかけたキチゲ解放キャラ多くね? 浅はかだと思わないか? 病んでる奴とか嫌な奴さえ描けば繊細な心理描写だとか安直すぎ。寧ろやってることが大味だろ。早く気づいてくれ』
【桃色大根侍】
『別に逆張りしている訳じゃ有りません。それに作者が女とか男だとか、そういう決めつけって何が楽しんですか? 意味あります? 嫌な奴が繊細と思っていると仮定して、何が間違っているんですか? だって貴方自身が嫌な奴な訳で、随分繊細な人に見えますよ。貴方自身が証明しているんです、嫌な奴こそが繊細だと』
【ネット弁慶】
『こん! 論点を理解できていない所が最高にマンさんって感じで草。因みに繊細な人を描けば繊細な心理描写になると思っているというのが浅はかって指摘したんだけど。そんなに理解するのが難しかったのか? 結構簡単に教えたつもりだったんだけど……。何かごめんな』
【桃色大根侍】
『ただの女蔑視のクソ野郎でしたか。はいはい。男は女と違って頭が良いから幸せそうで何よりです。そもそも繊細な心理描写のつもりで書いてないんで、この議論自体意味ないんですけどね……。無駄に登場人物がメンヘラ化してしまう点は、キャラが発達障害を抱えている事の示唆であり、明るい結末を迎えられない伏線な訳です』
【ネット弁慶】
『ラブコメ作品なのに発達障害? 馬鹿すぎて草。お前って異世界転生物描いても、主人公に発達障害の設定取り入れるのか? ジャンルに合ってねぇ要素が混ざると違和感が出ると気づいてくれ。後、伏線の使い方間違ってて笑う。匂わせる描写は伏線じゃない。そんな臭いすかしっ屁を伏線と崇める馬鹿が増えた所為で、あらゆる名作は駄作と化したんだ。答えを忍ばせるのが伏線。ヒントを散りばめるだけなら匂わせ止まり。そして匂わせが多すぎる作品をすかしっ屁作品と揶揄するのが、現代の創作界隈だぞ。ハッキリ言ってお前の描く作品は遅れてる。ニコニコ笑いながら怒るヒロインが出てくる作品くらいノリが古いんだよ。昭和のギャグ漫画を読んでいる気分だ』
【桃色大根侍】
『こん! とか古いネットのノリを今なお大切にしている人が、よくもまぁいけしゃあしゃあと人の作品のノリが古いとか言えますね。そもそも自分が伏線だとか繊細な心理描写を理解できないから、難癖付けている様にしか見えませんね。後長いから。長すぎる。よくそんな長文で人の悪口が言えますよね。貴方の方がよっぽど小説家に向いている気がします。どうぞ自分の作品でその駄文を書いてくださいよ。勿論私も読みます。読んで貴方同様に長文批判しますから、マジで書いてください。お願いします。楽しみにしてますね』
見ての通り、レスバは白熱していた。俺はネット弁慶と名乗り作者と三年前から長きに渡るレスバをしている訳だが、全く飽きない。
それどころか日々レスバの熱はエスカレートしていた。
この作者惜しいんだよな……。面白いのに作者がメンヘラな所為で、少しずつ内容が暴走して、物語の登場人物もメンヘラ化してしまう。
ギャグが売りなのに、本人は格好悪いと思っているのか、あまり描きたがらない。何かシリアスな方向に途中から舵を切るから読者が付いていけなくなるんだよなぁ……。
最後までギャグで描き切ったら名作に成れたのに……。本当に惜しい。
「ふぅ……」
溜息を吐いて、椅子から立ち上がる。
そろそろ出来上がるか……。
頃合いを見てリビングに来た俺だが、本当にタイミングが良かったらしい。丁度オーブンでフォカッチャが焼き上がった。
「美味そうに焼けたなぁ」
俺はオーブンからフォカッチャを取り出し、今後の予定を考え直していた。
正直、イノリに拘りもないので別れること自体は問題ない。というか言われるまでもなく最初から別れる約束だったので、何という事のない話ではあった。
問題は
「…………ッ」
テーブルの席に着き、ココアの入ったカップを両手で持って、何処か青ざめていた。風呂に入ったばかりなので、体は火照っているはずだが、その表情からは温もりを一切感じない程、緊張や気まずさが滲んでいる。
「…………」
夢の影響による一時的な発情で、判断能力が落ちていたんだろうな。その発情が性行為で解消されて一気にシラフに戻った訳か……。
感覚としては男で言う賢者タイムみたいな感じかもな……。
「…………」
逆レイプに引き続き、脅迫からの性行為。その上、生しか許さず、中出しも強要。どう考えても、淫乱という言葉すら生温い所業だもんな……。
少なくとも教師や生徒から信頼厚い優等生のする事じゃねぇ。
でもなぁ、どう慰めてやりゃいいんだろ……。ミウは真面目だしなぁ。
考えながら俺は淡々とチーズやレタス、生ハムを挟んでフォカッチャサンドを作っていく。我ながら美味そうな出来栄えで、少し口元が緩んだ。
「……兄さん」
緊張した面持ちでミウは言う。「私の事、許せない、よね……?」震える声で、こちらを向かず、手元のカップを見つめままだった。
「別に……? 俺はミウが妹としては好きだし、今もそれは変わらない。許すも何も恨んですらねぇから、安心しろよ」
皿に出来たばかりのサンドを乗せて、テーブルに運ぶ。
「寧ろ良かったよ、相手が俺で。他所の男に発情して襲っていたら、最悪罪に問われる事もあるだろうしな。俺で満足できるなら、それが一番良い」
そもそも俺が襲った事が発端だしな……。ミウに罪はない。全部俺の所為だ。
少し恥ずかしそうにミウは、「兄さん以外にこんな気持ちになった事ないし……」と小さく呟き、上目遣いで俺を見つめてきた。
何か多少恋愛対象として意識している様な気がするな。
……それもそうか。あれだけ激しいセックスを二度も経験したら、多少は兄妹としての壁を感じなくなってもおかしくはない。
「兄さんは、妹が恋人だとか……、そういうのは嫌な訳……?」
まだハッキリとした返事をして貰っていないと、ミウは隣に立つ俺の
「俺は止めとけよ……。知ってるだろうけど、俺はクソ野郎だぞ。お前だってハーレム作る様な奴が恋人とか嫌だろ」
溜息混じり。大袈裟に肩を落とす。これは別に突き放す意図はなく、単なる本音として口にした。
俺は確かに夢の中なら魔が差して妹を襲うような最低な人間だけど、別に酷い事をして全く罪悪感がない訳じゃない。
妹をこのまま肉便器扱いして一生俺の物にするのは可能かも知れないが、そんな事をする気は起きない……。
これ以上ミウに酷い事は、したくない。
「兄さんに一途とか最初から求めてないから、大丈夫……。でも特別な相手は作らないで欲しい。私と兄さんの関係は皆に内緒なまま、一生私と一緒に暮らしてよ……」
耳まで赤く染め、恥ずかしそうに目を逸らすミウ。その言葉は弱々しくて、断られる事を前提としていた。
受け入れて貰える自信など欠片もない様子は、寧ろ断られる事で後腐れなく兄離れしようとしている覚悟にも感じる。
女好きの兄が自分を選ぶはずがないと諦めて、今ここで俺に振って欲しいのか? それで自分の中途半端な気持ちに踏ん切りを付けたがってる?
それなら、俺にミウにしてやれる事は――。
「分かった、一生一緒に居よう」
正直、このまま見捨てて、男に見境なく手を出すビッチになられても嫌だ。自暴自棄になりそうな気配を漂わされた時点で、俺が妹を見捨てられる訳ねぇじゃん……。
つい襲っちまうくらい好みの面した妹だぞ? 無理無理。捨てられない。万が一でもビッチになったら嫌だって、マジで。何処の誰とも知らない奴に抱かれてしまうくらいなら、俺が妹を独占するに決まってんじゃん。
「………………いいの?」
受け入れて貰えると想定していなかったのだろう。十数秒固まった後、涙を滲ませた瞳でミウはやっと声を出す。
「こんな健気な妹を見捨てられる訳ねぇだろ、兄として……。別に脅迫なんてなくても、お前が望むなら、俺は受け入れたさ」
そう綺麗事を口では言いつつも、俺は妹の体を一生好き勝手できる事に内心ウキウキしていた。
「…………ッ。子供、私がちゃんと育てるから、大丈夫……。迷惑は掛けないから……」
さも当然の様に産む気満々。ミウは嬉しそうな困り顔で、素直にはにかむ。
えぇ……。産むつもりだったの……? 中絶しねぇのかよぉ……。マジかぁ。
「…………。何言ってんだよ……。一緒に育てようぜ。生活費も稼ぐし、子育ても出来る限り俺が完璧にやるから、変に身構えなくて良い……。仮に母さんに俺達の関係がバレて絶縁されても、俺が一緒に居るから安心しろよ」
子供を産むなとは言えないし、仕方ないか……。面倒だなぁ、子育て。でもミウがこんなブラコンになったのは俺が原因だし、責任は取らねぇと駄目だしなぁ……。
ミウとテーブル挟んで向かいの席に俺は座り、目の前の皿に手を伸ばす。まだ暖かいサンドを取って口に運んだ。
我ながら絶品だなぁ。子供が大きくなったら一緒に料理したいかも……。
「兄さんって……、結構頼りになるんだ……。何か、意外……」
嬉しそうに笑って目を逸らし、誤魔化す様にサンドを口にする。ミウは「ホントに、好きになったらどうしよ……」と小さく呟き、少し困った顔で口元を緩めていた。
…………孕ませてしまったからには責任取るって普通な気がするけど。アレか、最初の好感度が低すぎる所為で、普通の事するだけで良い奴に見えるっていう奴か。
何か得した気分だな。
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『何か最近の私達って、ホントの恋人みたいじゃない?』
『案外こういう演技続けていたら、本当にお互い好きになったりしてな』
『…………そうね。あるかも、そういう事も』
少し緊張気味なイノリと、普段通り冗談半分で適当に喋るカイ。放課後に軽く交わした言葉のやり取りを思い出し、別に本気にしたわけではないが、彼女は嬉しく思ってしまう。
あんなの冗談だって分かってる……。でも頭で分かってるけど……、ホントに付き合えたなら……――。
「カイ……、返事遅いって……」
家に一人で居る時間が多くなると、つい独り言が増える。寂しさを紛らわす為なのか、誰か聞いてくれる人が居る訳でもないのに、何か呟きたくなるのは人の性分かも知れない。
イノリは寝間着姿でベッドに転がり、着信を待ちつつ目を閉じる。
考えれば考える程、カイが好きになる。生真面目なイノリにとって初めての相手というのは、それだけで絶大な価値を持つ。
初めてを捧げた相手だと、意識すればするほどにイノリは、カイを特別に想ってしまい胸が高鳴る。
結婚したいな……。でもアイツ浮気ばっかして、家庭を
いざとなれば、母さんの子だし、私なら、一人でも、育てられ……、る……――。
何も知らないイノリはカイと自分の幸せな結婚を夢見て、静かに寝息を立て始めた。